10月29日(月)

 午前9時。京都のマンションに、柴尾英令くんは到着したけど、土居ち
ゃん(土居孝幸)が来ない。土居ちゃんは本来、時間に正確だ。その土居
ちゃんが約束の時間に1分でも遅れる場合は、完全寝過ごしの場合が多い。
 電話する。
「ふぁい…。ん? はい…」
「土居ちゃん、まだホテル?」
「うん…。ふあああぁ…」
「どうする?」
「10時のほうに行きます…」

 うちの家族3人と柴尾英令くんで、「イノダコーヒ本店」へ。
 今回まだイノダコーヒに行っていなかったので、なんかホッとする。

 午前10時。京都のマンションの前で、昨日とおなじメンバーが大集合!
 すぎやまこういち先生ご夫妻、「プティ・ポワン」の北岡さん。寝過ご
した土居ちゃんもすっきりした顔で到着。
 ヤサカタクシーの宮本さんも、昨日に引き続き、ジャンボタクシーで到
着。
 大人の修学旅行シリーズ、第2弾だ!

 名神高速道路から、近畿自動車道、西名阪自動車道に入る。
 要するに、奈良の明日香村に向っている。
 香芝インターで降りて、大和道をマクロバスはひた走る。
 まったく違う業界の人たちなので、車中の会話も楽しい。
 鹿肉の話になってみたり、政治の話をしてみたり。
 大人ならではの豊かな会話だ。

 午後12時30分。わが家族が毎年訪れている、明日香村の「めんどや」
さんに到着。飛鳥鍋の美味しいお店だ。
 飛鳥鍋というのは、地の鶏を鍋に入れて、野菜と牛乳でぐつぐつ煮る。
 そのままでもそこそこ美味しいのだが、「プティ・ポワン」の北岡さん
がいると、飛鳥鍋が違うものになって行ってしまう。
「この材料だと、もっとゴボウが多いほうが美味しいな」といって、ゴボ
ウを注文する。へ〜、そんなもんなのかなあと思って、ゴボウを増やして
食べてみると、妙に美味しくなるから不思議だ。
 北岡シェフもまたオーケストラの指揮者みたいなわけだな。
 ちょっとしたことで、ぐんと味をよくしてしまう。
飛鳥鍋と柿の葉寿司、ゴマ豆腐、デザートで3500円!
 それにしても、いつもは3人ぐらいで、飛鳥鍋を食べているだけに、 きょうのこの大人数で食べる鍋は楽しい。  何でも、鶏が大嫌いなヤサカタクシーの宮本さんが、せっかくだから口 だけでもつけてみようと思って、鶏を食べたら、美味しかった!というの だから、うれしい。  いわゆる鶏の臭みがなくて、美味しかったとのこと。  食後いつものように、このお店の美味しい柿を買うと、ご主人がおまけ にミカンをどっさりくれる。毎年このパターンだ。  午後1時30分。「めんどや」さんの近所の石舞台へ。  あの歴史の教科書によく載っているあの石舞台だ。  去年、わが家族は、めんどやさんから石舞台まで一山越えて歩いて、 えらい目にあった。きょうは宮本さんのジャンボタクシーで、スイッと だ。
 奈良というのは、京都と違って、名所は少ない。  名所は、名もない山肌だったり、山の端だったりする。  きょうもみんなで、石舞台に向こうの山林をぼ〜〜〜っと見たりする。  すぎやまこういち先生ご夫妻にも、このあたりの景色を非常に気に入っ ていただけて、よかった。別に私が石舞台を所有しているわけではないん だけどね。  土居ちゃん、柴尾英令くんとは、きょうここに来ることになっていたか らいいけど、すぎやまこういち先生ご夫妻と北岡さんは、昨日、急にお誘 いしただけに、ちょっと責任を感じる。
 石舞台で、写真撮影大会。  柴尾英令くんがなにやらいろいろ、すぎやまこういち先生の被写体とな って、遊んでいただけたようだ。
 午後2時。すぎやまこういち先生ご夫妻と北岡さんとは、ここでお別れ。 すぎやまこういち先生たちはきょう東京に戻るので、橿原神宮前駅から、 近鉄特急で京都へ向う。  こんな遠くからと思うかもしれないが、京都からこの橿原神宮前までは、 わずか46分である。別に近鉄の宣伝をしているわけではないのだが、 どうしても鉄道の味方をしてあげたい。  大人の修学旅行は、極力それぞれの予定を尊重して、無理強いをしない ことが鉄則。  午後3時。残ったうちの家族と、土居ちゃん、柴尾英令くんは石舞台脇 のお土産屋さんでコーヒーを飲んで、そのまま宮本さんのジャンボタクシ ーで、法隆寺へ。  世界遺産でおなじみの法隆寺だ。  途中、橿原神宮の脇を通ったけど、その規模の大きさに驚く。  そんなに由緒ある神社なのか?と思って調べたら、なんと第一代の天皇 である、神武天皇が建立した神社であった。それはそれは、無神経でござ りました。面目ない。  けっこう奈良の道は、道路が混んでいて、時間がかかる。  奈良の寺は、だいたい午後4時でお終いになってしまったりするで、 ちょっとひやひやする。法隆寺も今週いっぱいは、午後5時までのようだ。 11月の第一週が、お寺の改変期に当たるようだ。  午後4時。法隆寺に到着。  もう閉館時間が近いので、観光客も少ない上に、風が涼しくて、気持ち いい。  何度も来ているはずなのに、きょうは観光客が少ないので、ひときわ広 く感じる。五重塔もじっくり、ゆっくり眺めると、美しい形をしている。
 鏡池のほとりには、有名な「柿食えば 鐘が鳴るなり 法隆寺」の句碑 があった。ちょうど待っていたかのように、ゴ〜〜〜ン!と鐘がひとつ鳴 って、全員大喜び。この「柿食えば 鐘が鳴るなり 法隆寺」という俳句 は、誰の作か?という話になって、みんなそれぞれ思い出せない。  一茶だ、蕪村だ、芭蕉ではないと百出したが、なんと正岡子規の作品で あった。  全員、検索機能の入力ミスでしたな。
 一応、「柿食えば 鐘が鳴るなり 法隆寺」の前で、おなじみのパロデ ィ俳句「柿食えば 鐘が鳴るなり 堀井雄二」を唱えて行く。毎回ここに 来る度に、この句をつぶやいている。ギャグのためなら、友人も売る。  砂利道は、かなり私の残りのHPを激しく奪うので、玉虫厨子がある大 宝蔵殿は、私だけ遠慮して、ベンチで待つ。  なにしろ、夢殿だけはきょうも見ておきたかったので、大事を取った。 夢殿までの距離もけっこうある。  午後4時30分。あと30分しかないので、私と宮本さんで、夢殿まで 急ぐ。  私の足なら、みんながあとからでもすぐ追いつく。  午後5時。再びマイクロバスで、法隆寺インターから、西名阪自動車道 へ。  いよいよ奈良飛鳥路名物の夕陽が見えてくる。  飛鳥路のよさは、夕陽にあると断言してもいい。  夕陽を見ずして帰ったら、素晴らしさは半減する。
 しかし、この夕陽はわずか30分ほどしか見ることができない。  あっというまに夕陽は、闇になってしまう。  闇の登場と同時に、安全運転の宮本さんに身を任せて、仮眠。心地よし。  午後7時。京都市内に戻って、北大路から、修学院をめざす。  柴尾英令くんが、京都らしいラーメンが食べたいというので、私は「天 天有(てんてんゆう)」を選んでみた。  自分自身で食べて美味しいと思ったし、その後インターネットで京都の ラーメン屋さんについて調べても、総じてこのお店がいちばん評判がいい。  難点は、午後7時から営業開始なだけである。  ちょうどきょうはぴったり、この午後7時10分前に着いた。  すでにフライングで、お店を開いてくれたけれど、午後7時にはもう店 内満員。早くもお店の外で、順番を待つ人たちが出た。なんて私たちは運 がいいんだ。
 豚のこまぎれ、餃子、ビールなども注文して、チャーシューの美味しい ラーメンを食べる。  甘味のあるスープが病み付きになる味。  午後7時30分。京都ホテルでコーヒーを飲んで、それぞれの宿泊地に。  明日、全員、東京に戻るが、まだ明日京都でじたばたしてから帰る予定。

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