6月29日(火)


 午前5時30分。くっきり目が覚めてしまう。
 思い立って、江戸川乱歩の『青銅の魔人』を読み出す。
 最近この手の古めかしい文章の言葉遣いに興味がある。
「傍若無人なふるまい」とか「ああ! またしても魔術です」といいた言葉が心地
よい。
 何より「地底の道化師」「小魔人」「豆魔人」といった時代を感じさせる言葉が
いいなあ。

 午前中。『さくま式人生ゲーム2(仮)』の仕様書作り。
 いいかげん『怪物パラ☆ダイス2』を『さくま式人生ゲーム2(仮)』のなかに
組み込むのを諦めようかと思い始めている。
 すでにメインMAP自体が膨大になっているだけに、これにまったく新しいゲー
ムを入れても、収拾がつかなくなりそうだ。

 午前11時。4コマ漫画家のなかむら治彦くんが来る。
 例のデジタル・マガジンの連載を名乗り出てくれたので、その打ち合わせ。
 前から私にリクエストしていた、めちゃくちゃ濃い味の『中日ドラゴンズ物語』
をやろうかという話に。

 何だか軽いつもりで始めようと思っていた、デジタル・マガジンだけど、きょう
になって、作曲家の宮路一昭くんまで、音楽で連載したいと言って来てくれて、急
に大忙しになって来た。
 まさかこんなに反響があると思っていなかった。
 やっぱりプロのほうが食いつきがいいね〜!
 打てば響く、この感触が気持ちいい。

 午後12時。嫁、私、なかむら治彦くんの3人で食事にでかける。 
 途中なかむら治彦くんから「日本そばの美味しいお店を教えてほしい」という話
が出る。
 神田、池之端の「薮そば」が美味しいとか、吉祥寺の「よしむら」、西荻窪の
「鞍馬」がいい、赤坂の「砂場」は安くていいよ、などと言ってるうちに、足が青
山「穂積」に向いていることが判明する。
 やっぱり「おそばなら、今はこのお店だよ!」という話になって、「穂積」で、
手打ちそばランチ。
 期せずして「穂積」で、ご飯を食べることが出来た。
 なかむら治彦くん、ナイス話題だ!

 午後1時。昼食の予定だった「ルナ・アンジェロ」で珈琲。
 なかむら治彦くんと、連載の打ち合わせ。
 思いきりマニアックな連載にしてくれとお願いする。
 雨が降り始めた。

 午後2時。帰宅。
『さくま式人生ゲーム2(仮)』の仕様書の続き。
 根を詰めすぎて、酸欠状態になる。
 嫁に仕様書のプリント・アウトを頼んで、少しベッドに横たわる。
 疲れた〜。

 午後5時。放送作家の福本岳史くんが来る。
 プリント・アウトした原稿を元に、『さくま式人生ゲーム2(仮)』の打ち合わ
せ。
 予想より、かなり完成原稿も多いことがわかって、ほっと胸を撫で下ろす。
 何より結婚相手のイラストがほぼ完成しているのと、えの子イベントの完成が大
きい!
 これから先はアイデアを増やせば増やすほどおもしろくなる軌道上に乗れたよう
な気がするのだ。この精神的安定は、物を死に物狂いで作った者にしかわからない
安堵感だ。

 午後7時。嫁、私、福本岳史くんの3人で、麻布十番の「紅虎(べにとら)餃子
房」に行く。
 先日、お昼に見つけた、鉄鍋に入った棒状の餃子のお店。
 夜なので、通常の中華料理もある。
 チンジャオロースー、牛バラのあんかけ鍋、梅風味の餃子といった変わった食べ
物を食べる。
 どれもかなり美味しい。
 何品も頼んで、ちょっとずつ食べたい私と嫁は、ちょっと食べては、福本岳史く
んが、残りを豪快に食べてくれるので、うれしい!
 若者はやっぱり大食いじゃないとね〜。
 〆は、その店の最終評価が下る、杏仁豆腐を注文。
 おっ。これは!
 これは今までに無い味だ。けっこういける。
 洋菓子のブラマンジュみたいな味だ。
 めでたく「また来てもいいお店」に認定!

 中途半端な降り方をしていた雨が、次第に音を立てて降り始めた。
 食後にちょっと珈琲を飲んだが、早めに帰ることに。

 午後9時。帰宅。
 ひさしぶりに『さくま式人生ゲーム2(仮)』に対して、気持ちが優位に立った
ので、きょうはのんびりするぞ〜!
 わずかな時間だけど…。
 いつもより倍の時間かけて、ゆっくりお風呂につかるぞ〜。
 たまってる本を読むぞ〜。
 う〜ん。そんなにたくさんのことはできないな〜。


-(c)1999/SAKUMA-