6月5日(土)


 京都のマンションで起床。
 昨日の愛知県岡崎城の寄り道旅行が疲れたのか、朝から眠い。
 無理せず、二度寝、三度寝で、小刻みにホイミ、ホイミ!
 元気回復!

 午前11時。京都駅。
 最古のさくまにあ・戸田圭祐と待ち合わせ。
 続いて、東京から税理士の赤根豊くんが到着。
 きょうはこの3人で、お城巡りの旅。

 午前11時30分。京都駅伊勢丹デパート11Fの「和久傳(わくでん)」で食事。
 初めて入るお店。京都の老舗和風料理の出店だ。
 カウンター席が、窓に向いていて、11Fの高さから京都市内が一望できる。素晴
らしい景観だ。
 茜膳(あかねぜん)3200円というランチがあったので、赤根豊くんにちなんで
食べる。
 じゅんさい、水ナス、レンコンといった野菜が中心のヘルシーな料理。はも茶漬け、
鯖寿司、そーめんなどを選択できる。
 京都駅の駅ビルにあるお店だけに、東京の行き帰りの時間調整に便利な店として、
キープだな。味も悪くない。
「茜膳だから、ボクが払います」と、赤根豊くんにごちそうになってしまう。

 お店を出たところで、最近京都のこの日記シリーズでは、すっかりおなじみになっ
てしまったタクシー運転手の宮本さんから電話が入る。
「今から会社を出ますが、予定通り午後1時でいいですか?」という確認。こっちは
食事がちょうど終わって、少し時間をつぶさなきゃと思っていただけに、渡りに船。
 今からお願いしますと、返事。
 宮本さんはちゃんとこうこともあるかもしれないと気をつかってくれるプロだ。い
っしょにいて、たびたび勉強になることが多い。

 午後12時30分。京都センチュリーホテル前に、3人がたどりつくと同時に、宮
本さんの車がすうーーっと、着く。まるで計ったようなので、一同「おーー!」と感
嘆する。
左から→赤根豊くん、さくま、宮本さん
   挨拶もそこそこに、車は、安土城めざして、出発。  安土城というのは、つい1ヶ月前に、足をへろへろにさせながら、よじ登って、4 日間足の痛みが取れなかった、あの安土城である。  今回「歴史の旅」初登場の赤根豊くんのごひいきは、織田信長なので、まずは信長 ファンの聖地である、安土城を訪れないわけにいかない。  どっちみち前回私は足がねろねろになって、実は安土城考古博物館に寄るのを忘れ てしまったのだ。  だからもう一回行ってもいいと思っていた。  でもまさか1ヶ月後という早い時期に来るとは思わなかった。  車は快適に、高速道路を走る。  午後1時30分。あっというまに、安土城跡に到着する。  あのとき私は、1時間かけてよじ登り、1時間かけて、命からがら杖をつかって戻 って来たことを、2人に講釈する。  そして、明日のことも考えて、途中の前田利家邸宅跡ぐらいまで行って帰って来る といいよとアドバイスする。  もちろん私と宮本さんは、下で待つことに。  私も宮本さんも、この山の恐ろしさを十分知っている。 「それでは行けるところまで行って来ます」と、ふたりは山を登り始める。
画像をクリックすると登山風景があります。
   午後1時42分。スタート!  ほう。さすがに、29歳と33歳の若者だなあ。  下から眺めていると、すいすい過酷な石段を登って行く。  ありゃりゃ。本当に早いなあ。  そんなに急ぐと、あとがつらいぞー! はっはっは。  帰って来たときの弱音を聞くのが楽しみになってしまうぞー!  あっというまにふたりが点になっていく。  午後2時。赤根豊くんからの携帯電話で「山頂に着きました」という連絡。嘘だろ 〜〜〜〜〜!  午後1時47分にスタートして、午後2時ぴったりに登頂ってことは、18分で登 ったってこと?  1時間近くかかって、死にものぐるいで登った私の立場はどうなるの〜〜〜〜〜?  そ、そ、そういえば、赤根豊くんは、税理士界のイチローと呼ばれるくらい、強靱 な肉体の持ち主だったのだ。さらに運動音痴そうな風貌の戸田圭祐は、学生時代ワン ダーフォーゲル部だった!  こいつは、まいった! 「それでは今から戻ります!」  ええっ! もう戻れるんだ?    そして、なんと! 午後2時11分。  2人は戻って来てしまった!  18分で登頂、11分で帰山。合計29分! 早すぎるよー!  しかもふたりとも、全然息が上がっていない!  とほほ…。  前回往復にほぼ2時間かけた私の面目は、丸つぶれである。  若いって、素晴らしいなあ。  午後2時30分。安土城考古博物館へ行く。  安土城の巨大模型なんかがあって、歴史好きな3人は、本物のお城を建てたいね〜 という話題に。  ひとり1000万円で、100人なら、10億円。  10億円でも、安土城なら、正門程度で終わりだな〜という悲しい結論に。住める わけでもないから、もったいないねーで、おしまいになる。そりゃそうだ!  安土城考古博物館の喫茶室にある「ヨーロッパで人気のコーヒー、インドモンスー ン」に一同反応を示し、4人でこのコーヒーを注文。  全員予想はしていたが、ありふれた博物館の薄いコーヒーの味なだけであった。  あまりの予想通りに、一同大笑いする。    引き続き、安土城の天守閣を展示している、信長の館に行く。  信長ファンの赤根豊くんは大喜び! 「こんなの見て、うれしいと思うのは、男だけでしょうねえ!」 「そうかもしれないねえ」  それにしても、信長の館のまわりは、何やらステージをこさえたりしていて、賑や かである。  聞くと、明日「信長祭り」というのがあるから「明日来ればよか ったのにねー!」と言われる。  明日は、名古屋の「桶狭間合戦祭り」に行くことになっている。  どちらも武者行列に、火縄銃の実演である。  3人とも大いに悩む。  この歴史好きの3人は、また明日もここに来たいと真剣に悩んでいるのである。そ れどころか、午前中ここに来て、午後から桶狭間に行けると、計算し始めているのだ。  計算が終わって、異口同音「さすがにやめましょう!」  そりゃ、あたりまえだーねー!  午後3時30分。安土城をあとにして、車は今回のメインである、長浜城に向かう。  琵琶湖のほとりをめぐる湖岸道路が快適。  ちょっと曇っているのが、残念だけど、琵琶湖の大きさは十分目を楽しませてくれ る。  赤根豊くんが、琵琶湖というのに、波があることに驚く。  誰でも琵琶湖の波を初めて見ると驚くものだ。  午後4時10分。彦根、米原を抜けて、長浜城に到着。  さすが、宮本さんだ。長浜城は午後4時30分までに入らないと、閉館になってし まうことを計算して、20分前に見事に到着させる。  こういうのを「大船に乗ったつもりで」というのだろうなあ。  宮本さんは、ただの運転手さんではなく、ツアーコンダクターの役割まで演じてく れる。
   長浜城は、現在私が一番好きなお城。  この4月にエレベーターも完成したので、ただでさえ評価の高いこのお城はきょう また一段とポイント・アップである。  ちなみに、私の好きなお城ベスト5は…。     1位・長浜城     2位・伊賀上野城     3位・小田原城     4位・熊本城     5位・掛川城  などと選考しているうちに、ひさしぶりに姫路城に行ってみたくなる。ランキング に入れないといけないはずなのだが、もう20年前に行って以来なので、ランク入り させられなかった。  また行きたいところがひとつ増えたぞ。  天守閣に登る。  戸田圭祐も赤根豊くんも、琵琶湖がお城の一部、庭のような景観に目を見張る。  これ、これ! これを2人に見せたかったのだ。  人生一度は大きいことをしてみたいと思っている人は、絶対このお城を訪れるべき だ。  豊臣秀吉出世城というキャッチフレーズがついているだけに、御利益もありそうだ よ。  それとこのお城の天守閣に登って、興奮しない人は、平穏な人生をめざしたほうが 幸せだと思う。  そんなことをいろいろ考えさせてくれる城だ。  私もこの城に来るたびに、そのときの境遇で印象の変わる城だ。  きょうの長浜城は、心地よい風だった。  順風ってことかな?    午後5時。長浜城をあとして、賤ヶ岳、小谷城跡などの近くを通り、高速道路に乗 って、京都をめざす。  午後6時30分。手慣れた宮本さんの運転で、ほとんど渋滞に巻き込まれることな く、すんなり京都に戻る。  午前11時に軽い和食を食べただけの3人は、滅法お腹が空いていたので、マンシ ョンにも戻らず、そのままお肉の「三嶋亭」へ。  おなじみグルメ・バカ娘のお肉屋さんランキング不動の1位に輝き続けるお店だ。  きょうはいつもグルメ・バカ娘がいると、オイル焼きを主張するので、ひさびさに すき焼きにする。  ここ10年ぐらい、ほとんどオイル焼きばかり食べていたので、新鮮。その前の 10数年間は、ずっとすき焼きだった。  えっ? そんなに長くこのお店に通ってるの?と思うかもしれないが、このお店は 創業明治6年である。まだ西郷隆盛さんが、西南の役で自刃する4年も前である。  この古びたお店を見るだけでも、京都に来たかいがあるはずである。値段が一番安 いお肉でもいいから、一度は訪れたいお店だ。  午後7時30分。近所でコーヒーを飲んで、マンションに戻る。  きょうもまたTVで、巨人対横浜ベイスターズ戦を見る。  4対11のところまで、テレビは中継していた。  いいぞ、いいぞ!   何たって、この試合は最下位決定戦だからね。情けねー!  といったところでまた明日。  たぶん明日は東京に帰って、また来週京都に戻るはず。  なんちゅー、強行軍なんだ!  いやいや信長や秀吉の行動力に比べたら、遅い、遅いのカメさんだ、ほいっ。

-(c)1999/SAKUMA-