4月6日(火)


 午前10時30分。我が家の朝は、グルメ・バカ娘の「腹、減った〜」で始まる。
 グルメ・バカ娘がお腹をすかすと大変で、すぐさま食べられるところに行きたがる。
 というわけで、イノダ・コーヒ本店。
 昨年の食べに行った回数ランキング1位に輝いたのは、どうもグルメ・バカ娘の「腹減
った、待ちきれない」現象が、大きく貢献しているようだ。
 グルメ・バカ娘はいつもイノダ・コーヒ本店では、フルーツサンドを食べる。
 ところがお店に着いたとたん、テーブルの上の「新発売! 牛ヒレステーキサンド」の
写真を見逃すわけがなかった!
「これ絶対美味しいよ!」
 この牛ヒレステーキサンドは、2日前、すでに実姉と、戸田圭祐の3人で食べて美味し
かったことはわかっている。
 どうしてこのグルメ・バカ娘は、写真を見ただけで、美味しいとわかるんだろう?
 本当は、ここでコーヒーだけを飲むつもりが、グルメ・バカ娘は牛ヒレステーキサンド
を頼み、私のフルーツサンドをつまみ、嫁のナポリタンを半分食べた。恐るべき胃袋だ。

 午前11時30分。すぎやまこういち先生がイノダ・コーヒ本店にいらっしゃる。昨日
の夜、名古屋での仕事を終えて、京都に着いたそうである。
 運良く今回もおなじ時期に京都で会えることになった。
 しかし、外は急に雨が降り出して、そのうち雷まで鳴り出した。
 これでは、とてもどこにも行けない。
 といっても実は我が家はまったくきょうの予定が決まっていなかった。
 午後12時。すぎやまこういち先生の奥様に、傘を持ってきていただく。
 しばらくイノダ・コーヒ本店でコーヒーを飲んでいると、かなり外が明るくなって来た。

 午後1時。とりあえず、全員で最初からの予定であった、おそば屋さん「有喜屋(うき
や)」へ向かう。
 納豆と卵をかきまぜて、ポタージュ・スープのようになったおそば、有喜(うき)そば
を食べる。日本そばといいうよりも、欧風料理と言われたほうが、納得がいくおそば。
 でも1週間京都にいたら、必ず一度は食べたくなる味だ。

 午後1時30分。店の外に出ると、雨がやんでいた。
 すぎやまこういち先生はどこかで桜の写真を撮りたいとおっしゃるので、お供するとと
もに、桜マニアの実姉から仕入れた、南禅寺の桜がきれいだったという情報の下、南禅寺
に向かう。

 午後2時。南禅寺に行く。
 石川五右衛門の「絶景かな、絶景かな」で有名な山門もまわりを中心に、桜が満開。
 雨上がりなだけに、よりいっそう桜がきれいだ。
 花の写真を撮るときに、スプレーで水をかけるみたいな効果かなとも思ったのだが、そ
んなことが無粋に思えるほど、美しい。
すぎやま先生ご夫妻と
 南禅寺の境内を散策して、琵琶湖疎水記念館に向かう通りを歩く。ここが桜マニアの実 姉が絶賛した通りだ。  水炊きの「とり安」の脇の通りといったほうが、わかりやすい。  なるほどきれいだ。  タクシーが行列していて、最初はその美しさも半減していたのだが、歩くうちに、タク シーがいなくなって、これはきれいだ!  しかもこの桜がそれぞれ大きな個人宅の庭に咲いているのだから、京都のふところの深 さを感じる。
 いわゆる元首相クラスの別荘といった感じの個人宅。  思わず東北の値段の安い農村に土地を買って、桜を植えたくなる。  そういう道楽もいいかな?  死してのちも、桜は残るって、けっこう夢があると思わない?  そんなことを考える年齢になってしまったようだ。   琵琶湖疎水記念館あたりの行きつけの陶器屋「あ花音(あかね)」さんに寄り、もうひ とつの陶器屋「かしく」でお茶を飲む。  ここで休んでいるうちに、かなり体力が回復する。  例によって「せっかくここまで来たのだから病」が発症する。    午後3時。南禅寺に戻り、境内の水路閣(すいろかく)と呼ばれる疎水の道を歩く。道 幅が1mぐらいしかない道で、右の眼下に南禅寺の境内が広がる。  学校の校舎の屋上からのぞき込むぐらいの高さに、この疎水の道はあるので、けっこう 怖い。  でもこの疎水の道を抜けて、都ホテルに向かう途中の場所が、隠れた桜の名所なのだ。  雨上がりで、水たまりが点在する道を、おっかなびっくり歩く。  桜の季節になると必ずここを通ることにしているので、すぎやまこういち先生ご夫妻を お連れしたのだが、雨上がりの水たまりは、かなりの誤算であった。  それでもこの疎水の道を抜けると、いつものインクラインと呼ばれる昔の運河の坂道が、 桜のトンネルになって、ずっと下の方まで続いているので、見事な美しさ!  よかった、よかった。これが見れないとね。  ここまで歩いて、さすがに疲れる。  ちょっと都ホテルに寄って、お茶を飲む元気もないし、さっきお茶を飲んだばかりだな あと思っていると、地下鉄蹴上(けあげ)駅に出くわす。  このまま地下鉄に乗れば、京都市役所駅まで行くので、乗ることに。マンションのすぐ そばに停まるのだ。  それにしても短い時間で、たくさんの桜の満開を見ることができて、充実、充実! 雨 上がりの桜がきれいなことも覚えた。  午後4時。京都市役所駅で降りる。御池地下街で私だけ失礼して、「ナチュラル・ボデ ィ」に寄り、たっぷりマッサージを1時間受ける。ここは足もマッサージしてくれるので、 いつも歩きすぎの私には非常に助かる。  午後5時30分。帰宅。  午後6時。東京青山の「穂積」のお兄ちゃんに教わった祇園の和風料理のお店「あじ花」 に行ってみる。  このお店は初挑戦。  意外と京都にしては、気さくなご主人のお店。  朝堀りのタケノコのお刺身をたくさん出してくれて、なかなかサービス満点。あなご寿 司、ゆりねまんじゅうといった料理も、けっこうな味。  ただ初めてのお店というのは、新連載の漫画のように、そのコマ割りのテンポに慣れる のに、ちょっと時間がかかる。この店の料理が出てくるテンポにこっちの身体が合うよう になったら、けっこういいお店なのではないかという評価。  2、3回来てみたら、意外とわが食い道楽家族に合うお店になるような気がする。  京都のすごいところは、何回か行くと、向こうもこちらの味覚にすり寄って来てくれる ことだ。この辺が一見(いちげん)さんお断りの町・京都のいいところだ。    午後9時。マンションで『古畑任三郎』を見る。  アリtoキリギリスの石井正則くんが、西園寺刑事役でレギュラー出演することになった ので、これから毎週見ようと思うのだ。  実は今まで『古畑任三郎』を見たことがなかった。  キムタクのパロディのほうは見てたけど。  準主役クラスと聞いていたけど、本当に石井くん、出ずっぱり!  やるなあ! 知ってる人ががんばっている姿を見るのはいいなあ。  そういえば『古畑任三郎』の前の時間の『踊るさんま御殿』のほうに、吉野紗香ちゃん が出ていた。  今回のTBSラジオ『有限会社 桃太郎商店』は、すごいメンバーでやってるんだなあ と改めて、実感。ひさびさに素人気分でうれしいぞ!  さて、残念ながら、もう明日は東京に帰らないといけない。  グルメ・バカ娘が、4月8日に中学校の入学式なのだ。  さすがに入学式を休むのはねえ。  もうちょっとで、平安神宮の桜が満開になるらしいんだけど。  まあ、『さくま式人生ゲーム2(仮)』のアイデアも出たから、帰るとするか。


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