3月6日(土) 午前11時。京都のマンションの近くの「レッド・ラバー・ボール」で、ホットドッグ にコーヒー。 この店のホットドッグは美味しい。でもまた半分に切ってもらうのを忘れた。まだ左手 がつけないので、ナイフとフォークがつかえないのだ。おかげで、口のまわりをケチャッ プだらけにして、ホットドッグをほうばる。 食後、錦市場界隈をぶらぶらする。 散歩しながら、いつものように、ゲームのアイデア出し。 歩いているときが、一番仕事してるな、私は。 錦市場を歩くと、季節を知ることができる。そろそろ店先にタケノコが出始めた。春は 近いぞ。 三木鶏卵で、玉子ふりかけを買ったり、ふとん屋さんで、まいこ枕なる珍なるものを買 う。棒状の枕がふたつ繋がった枕で、テレビを見たりするのにつかうそうだ。名前が、舞 子さんの枕なので、模様がちりめん風で、とっても野暮ったい。まあ、人に見られるもの ではないからいいや。あとでつかったら、すごく快適。 午後2時。京都駅へ向かう。 きょうはこれから東京に帰る。どうせだから、午後3時10分の500系のぞみ号にし よう。 タクシーが、京都駅について、降りたとたん、忘れ物をして来たことに気がつく! 携帯電話だ! 何でまたよりによって、降りたとたん思い出すんだ〜! 携帯電話は 本当によく忘れる。軽いからわかんないよね〜。 仕方なく、また京都のマンションに戻る。 再び、京都駅へ。 もちろん500系のぞみ号は、出たあと。 悔しいから、今回グルメ・バカ娘と京都に着いたとき、美味しかった、ゴマ風味のババ ロアを食ってやろうと思って、ホテル・グランヴィア京都の「ル・タン」へ。ふっふっふ。 悔しいことがあったときは、甘い物にかぎるねえ…おろ? おや? 何だかグルメ・バ カ娘と食べたときより、美味しくないぞ? まさか、またグルメ・バカ娘と食べたときだ け、美味しいのか? そんなのイヤだぞ! でもそうとしか思えんなあ。 釈然としないぞ。それ以前に、憂さ晴らしにならなかったじゃないか! 午後4時10分。のぞみ号に乗る。 いつものように、ゲームのアイデア出し。 う〜む。どういうわけか、やっぱり新幹線のなかが一番アイデアが出るなあ。これは昔 からそうだ。なぜなんだろう? ひかり号でも、こだま号でも、アイデアが出る。 きょうも湯水のように、アイデアが出て、いつも持ってるアイデア・ノートがいっぱい になって、書くところが無くなってしまったぐらいだ。 20年ぐらい前に、雑誌の連載で、冗談半分に、新幹線が好きだ!ということを言って から、どうも私の人生には、新幹線がついてまわる。良い方でついてまわるから、いいん だけど、不思議だねえ。 重宝なラッキー・ジンクスである。 ジンクスって、悪い時だけにつかう言葉だったな。いいジンクスのときって、何て言う んだ? 午後6時24分。東京駅着。 タクシーで六本木へ行く。 きょうはこれから、恒例・青春の音楽シリーズのコンサートを見に行くのだ。きょうの アーティストは、ハーマンズ・ハーミッツ。 チケットは嫁の分まで買ってあったのだが、嫁はグルメ・バカ娘を連れて、インターネ ット仲間のオフ会に行ってるので、とうとう私ひとりで見ることに。 どうせメンバーの平均年齢が60歳以上なので、嫁が来ても、まったく知ってる曲など あるわけがない。 昨年のザ・スプートニクスの大失敗(あまりにもひどい演奏)がいまだ後遺症になって いるので、わざわざ京都からこのコンサートのために戻ってくるのは、けっこう勇気が必 要だった。 何しろ、京都でひとり合宿を始めて、3日目。 やっとエンジンがかかって来たところで、戻るのは、何だかもったいなかった。 午後7時前。コンサート会場の前にある、うどん屋さん「松兵衛」で、月見うどんを 食べる。関西風でけっこう美味しい。また来てもいいな、このお店。 午後7時。いざ「Sweet basil」へ。スイート・バジルって、読むのかな? 六本木の 芋洗い坂を下がったところにあるコンサート会場というよりも、おしゃれなカフェバー といった感じ。 最初場所がわからなくて、この辺のお店で、昔、大瀧詠一さんにインタビューしたこと があるなあと、なつかしんでたら、そのお店の跡に建ったようだ、Sweet basilは。 開演ぎりぎりだったので、すぐコンサートは始まる。 実はハーマンズ・ハーミッツは、そんなにくわしいグループではない。1960年代に 買ったレコードも1枚ぐらいしかない。 だからよけい、期待はしていなかった。 でも! やっぱり当時の音楽は、何でも知っていたんだね〜! 1曲目から、曲名はわからないものの、知ってる曲の連続! あっ、この曲、いまでもたまに口ずさむことがある曲じゃないか! そうか、この曲、 このグループの曲だったのか! う〜〜〜! きょうのコンサートはいいぞ! ビートルズとおなじ時代に活躍したイギリスのグループなのだ、このハーマンズ・ハ ーミッツは。当時、外国のアーティストが、日本に来るなんてことは、ほとんどなかっ た。 だから今ハーマンズ・ハーミッツがこうして目の前にいること自体が不思議でならな い。自分がこの場にいることは、もっと不思議。 次から次へと、知ってる曲の連発に、つい鼻の奥のほうが、つ〜〜〜ん!となってく る。膝に電流が走る。 何でこうも、青春時代の曲っていうのは、心を揺さぶるんだろうねえ。 それにしても、雲の上の存在だった外国のアーティストたちが日本に来るのはいいん だけど、みんな庶民的になってしまうのは、うれしいけど、ちょっとイヤだね。まあ、 愛想がい人たちだから、こんなニッポンまでわざわざ来るんだろうけど。 何だか金持ちになった王様が、金に物を言わせて、自分の家で、コンサートを開いて、 演奏させているみたいだ。 ええい、きょうは素直に、楽しもう! 最後の最後で、子どもの頃にも、絶対この曲は一度生で聴いてみたいと思っていた曲 『ゼア・ア・カインド・オブ・ハッシュ』(あまりにも古すぎて、邦題を忘れてしまっ た。原題のほうを覚えてるところが、音楽少年だったことを思い出させる)をやってく れた! わ〜〜〜、ついに泣いちゃったよ〜。会場でも何人か、泣いてた! みんな髪の毛、真っ白か、ツルツル〜〜〜! 午後8時30分。コンサート終了。よかった〜! オールド・ミュージックは、わずか1時間30分で終わってしまうのもいいねえ。総 立ちもないし。 そしてお店の人が、なんとメンバーの希望で、このあとの午後9時30分からのコン サートも無料で見ていいというではないか! 見たい気は大いにしたのだが、ずっとこ の1週間京都ひとり合宿で疲れていたので、帰ることに。 ちゃんとベスト盤のCDを買って帰ったぞ! 午後9時。自宅に戻る。タクシーを降りたら、グルメ・バカ娘と嫁もちょうど家に着 いたところ。 2人はもっと遅く帰ると思っていたので、ちょっとびっくり。 グルメ・バカ娘もいっしょだったので、二次会に行かなかったそうだ。グルメ・バカ 娘は二次会に行きたかったようで、ブータレていた。 家に入ると、すぎやまこういち先生から、写真のメールが届いていた。くそ〜〜〜〜 〜! 昨日嫁からの電話で知ってはいたのだが、青山の和風料理屋「穂積」で、みんな が写真に写ってる〜。 すぎやまこういち先生ご夫妻に、嫁に、グルメ・バカ娘! プティ・ポアンの北岡ご 夫妻も写ってるぞ〜! 私を除いて、おなじみのメンバーが全員揃ってるではないか〜! くそ〜! みんなで楽しそうに食事をしていた頃、私は紀伊半島をさまよっていたと いうのに〜。 ハーマンズ・ハーミッツを聴きながら、寝るんだ!
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