1月24日(日)


 風邪は、なんとか鼻づまり程度に。助かった! きょうは、弟子筋にあたる漫画原作者・
石関秀行の結婚式に出席するので、なんとしてでも風邪を悪化させたくなかったのだ。
 しかも冠婚葬祭はまったく苦手で、まず結婚式などというものは、絶対出ない主義だった
のだが、石関秀行だと、どうにも出ないわけに行かない。もう4年目になるが、私が脳内出
血で倒れた時に、私をかつぎあげて、病院まで運んだ男が石関秀行なので、借りがある。
 おかげでまんまと、ただの出席だけではなく、立会人というとんでもない役をやらされる
ことになってしまった。そんな大変なことできるわけないぞ〜。

 午前8時から、嫁ですらまだ一度しか見たことがないという背広姿に。ネクタイをしない
生活がしたくて、この仕事を選んだぐらいだから、背広もほとんど着たことがない。早くも
緊張する。私が緊張する必要はないのに。
 昔、友人の結婚式に出て、ネクタイが苦しいのをガマンして倒れたことがあるので、つい
緊張してしまうのだ。

 午前9時。広尾のレストラン「ひらまつ」へ。
 有名なフランス料理のお店だ。
 さっそく結婚式のリハーサル。心配した立会人という重責は、新郎の手袋を受け取るのと、
立会人として、署名するだけということがわかって、ひと安心。
 
 午前10時。ほとんど『ドラゴンクエスト』の結婚式みたいな感じで正式に始まる。なか
なか荘厳で、いいものだ。賛美歌や、生演奏を聞いているうちに、結婚式の大事さが伝わっ
てくる。
 私は嫁と結婚式すらしていないのに、夫婦で立ち会い人なんだから、何やらふとどきな気
がする。
 緊張している石関秀行の顔を見ると、こっちまで緊張して、不自由な左手が固まってくる。
リラックス、リラックス。主役は、石関なんだから。
 新郎の樋口はるみサンは、堂々としたもの。
 美人で、気の小さい石関秀行をサポートするのには、うってつけのしっかり者だ。うちも
そうだけど。
幸せなふたり
 午前11時。披露宴。私の文筆業の師匠でもある、『子連れ狼』の原作者として有名な 小池一夫さんと、おなじテーブル席に。ひさしぶりに師匠とゆっくり話ができて、感激。  いつも小池一夫先生に会うと、大きなパワーをいただく。  きょうもいつものように「がんばらなきゃ!」と思う。  『チョコバナナ』投稿者も、よく私に会うと、パワーをもらうというけど、おそらくそれ は小池一夫先生から流れて来たパワーが伝わるのだと思う。  なんたって小池一夫門下といえば、高橋留美子を筆頭に、『北斗の拳』の原哲夫くん、 堀井雄二もそうだ。狩撫麻礼、工藤かずや、山本貴嗣、板垣恵介、『覚悟のすすめ』の山口 貴由、たかしげ宙、ほかにも150人ぐらいプロで活躍している人ばかりなのだ。  私が『チョコバナナ』をやっているのも、先生の教えを伝えて行きたいからという気持ち が大きい。  おなじテーブルには、もはやおなじみカプコンの岡本吉起くん。現在石関秀行は、岡本吉 起くんが社長の会社フラグシップにお世話になっていて、任天堂N64の『バイオハザード 2』のシナリオなどを担当している。
小池一夫さん、岡本吉起くん、さくまあきら
 披露宴は、話術の天才と呼ばれる、小池一夫さんのスピーチから始まり、みなさん話術の 巧みな方々ばかり。カプコンの岡本吉起くんも、あいかわらず会場を爆笑の渦に巻き込み、 湧かせまくる。本当に素晴らしい結婚式となった。  スピーチは絶対ダメだぞと言っておいて、よかったと胸をなでおろす。  さらに料理の美味しさが絶品。結婚式の料理というと、決まり切っていて、まずいという のが相場だけど、本当に美味しい。  石関が、レストラン「ひらまつ」でやるんだから、出席してくださいと、何度も言ってい たのが、よくわかる。  ちなみにメニューを紹介しておく。
・ウォッカ風味のクリームであえた野菜のジュレがけ  ・うずらタマゴのキャヴィア添え ・フォアグラと鴨の胸肉入り シュークルートのスープ ・鮃ときのこのグラタン オマール海老風味 ・和牛フィレ肉のブレゼ ・ビーツと馬鈴薯のデュシェッス添え レフォールソース ・いちごの冷製スープ ・ふたりがカットしたウェディングケーキ ・コーヒー 小菓子
 岡本吉起くんと、今度また別の機会を作って、ここに食べに来ようと約束したぐらい。家 からタクシーで10分もかからない場所なので、おそらく本当にまた来ることだろう。  午後2時。お開き。これだけ素晴らしい結婚式というのも、珍しいと、みんな口々にいう くらい、いい結婚式であった。  午後2時30分。帰宅。出席しただけなんだけど、疲れたので、少し休む。  夕方。NHKで、大相撲を見る。若乃花、優勝できなかったなあ。  千代大海強いや。ひさしぶりに北の湖みたいに、無敵の力士なりそうな気配。  午後6時。新宿伊勢丹。娘が明日社会科見学とかで、お弁当を作るためのおかずを買う。 お弁当になると、必ず自分で作って行く。  のり弁当を作るとおいうのに、加島屋のシャケを買えというところが、さすがグルメ・ バカ娘。  ほかにも新宿靖国通り界隈で、いろいろ買い物して、「王ろじ」で、とん丼(カツカレー) を食べて帰る。  午後8時。帰宅。新作『桃太郎電鉄』の仕様書作り。  師匠小池一夫さんからいただいたパワーで、がんばるぞ!

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