5月1日(金)

 午前10時すぎ。中尾淳が来る。 『パラサイト・イヴ』をやる。  さすがにポリゴンはすごいが、いいかげんポリゴン特有の歩き方 って変だと思わない? 妙に気になってしまう。ポリゴンはやっぱ り人間を表現するのは難しいようだ。  お昼。北野天満宮のそばの「おひるや豆魂」に行く。  おぼろ豆腐が美味しい、穴場中の穴場。出来立てのおぼろ豆腐が あったかくて、ほかでは絶対味わえない。  食後、京都の喫茶店を梯子しながら『桃太郎電鉄』のアイデア出 しをする。かなりいいアイデアが出て満足。  夜、先斗(ぽんと)町で、お好み焼きを食べる。ネギ焼きに、モ ダン焼き。これを食べると、関西に来た気がする。  食後、中尾淳と、喫茶店でしばらく会話して、別れる。  きょうは地味ながら、充実した一日だった。




5月2日(土)

 ちっとも風邪が治らない。もう1週間以上になるんじゃないかな。  午前10時30分すぎ。中尾淳到着。  しばらくゲームをやる。  タカラの『闘神伝』のカードゲーム。けっこうおもしろい。SE がもっと多ければ、おもしろさが倍増したように思う。 『ダムダム・ストンプランド』。斬新なゲームはとっつきづらい。 史上初の影踏みゲームというコンセプトはすごくいいのになあ。 昭和初期の下町を舞台にすればよかったのに。  お昼。平安神宮そばの「グリル小宝(こだから)」で、オムライ スを食べる。  このあと、中尾淳と別れ、私はマンションに戻る。  中尾淳は、名古屋へ。  午後から豪雨になるという天気予報なので、用心する。  昨日まで出た『桃太郎電鉄』のアイデアをフロッピーにまとめる 作業。けっこう手間がかかる。  夜6時。京都駅に、最上谷(もがみや)一家を迎えにいく。  最上谷(もがみや)は、高校時代のひとつ下の後輩。物理部の後 輩だ。私のことをよく知る人は、この物理部という言葉だけで大笑 いする。物理は最も苦手な科目で、実に当時物理部にもかかわらず、 物理のテストで赤点を取るという珍プレーを記録している。  隣りの席にすわっていた男が、物理部で、部員10人を切ると、 廃部になってしまうというので、私が友だちを連れて、入部しただ けである。それがのちに20年来の友人となる、この最上谷という 男が物理部に入部してくるのだから、人生何があるのかわからない ものだ。  今回その最上谷が珍しく家族で京都旅行だというので、だったら いっしょに飯を食おうということになった。  子ども2人は、うちの娘とよく遊んでいるので、うちの娘がいな くて、ちょっと残念そう。かなり楽しみにしていたそうだ。  さて、私と最上谷が京都で会えるなんていうのは、そろそろお互 い年で、最後かもしれないので、うちのグルメ・バカ娘ランキング 第1位の「M」に行く。  まったく仕事に関係ない人間と食事するのは、ひさしぶりだ。  子ども2人もこのお店の味に、大満足。  私も、最上谷夫婦も大満足。  美味しいものをいっしょに食べる、これがいちばんいいな。 「本当にこういう美味しいものを食べると、美味しいという言葉以 外見つからないわねえ」という、最上谷の嫁さんの言葉は、名言だ と思う。 「来月はうちの家族を連れてまた来ます」と言って、「M」を出る。  私はマンションに戻って、仕事の続き。  ベイスターズは、雨で中止。2連勝のあとだから、このままずっと 休みでもいいぞ。満足、満足。




5月3日(日)

 どうにも風邪が直らない。どうしたんだ、ベンザブロック!  あと3錠で無くなってしまうぞ。  というわけで、朝遅く起きて、最上谷家族とは、お昼から合流す ることにした。よく眠れる。  午前11時すぎ。携帯に電話すると、金閣寺から竜安寺へ向かっ たところというので、竜安寺へ向かう。  タクシーで、着いたら携帯で電話して、そのまま家族を乗せて、 「しょうざん」に行く。こういう時携帯電話があると本当に便利だ。 「しょうざん」は、京都市内の北のはずれのほうにある、ガイドブ ックに載っていない穴場だ。秋は紅葉がきれいで、いまだと新緑の 山がきれいだ。東京ドームよりも大きい場所なのだが、これが個人 の持ち物というから驚きだ。「しょうざん」は「松山」と書いて、 松の山だと思っていたのだが、松山さん家だという。  昔の金持ちは規模が違うなあ。  器とかバッグでいいデザインのものを置いてあるのも、ここの魅 力のひとつだ。プールもいくつかあり、ボウリング場も、さらに結 婚式場もある。ひさびさに来たら、「ノルマンディー・ファーム」 という大きな建物が建造中だった。  これが全部個人の持ち物だ。  ここで食事をして、最上谷家族は、梅小路へ機関車を見に行く。  私はマンションに戻って、仕事。  と思ったら、私の携帯電話がない!  ふだん嫁の携帯はフル回転だが、私の携帯番号をしっている人自 体5人もいない。たまに嫁がいなくて、携帯をつかうとこれだ! タクシーに置き忘れたようだ。「しょうざん」で食べた場所に電話 したけど届いていないという。  このあと、タクシー会社から電話があって、見つかったので届け てくれるという。親切なことだ。ワンメーター分のお金だけいただ きますという。これまた親切だ。  仕事をしたり、本を読んだりする。  永六輔さんの『商人』(岩波新書)を読む。 『職人』『芸人』と続いた三部作の最後。名著だ。  つくづく私の物の考え方が永六輔さんの著作物に影響されている のかがわかった。   午後5時すぎ。最上谷家族から電話が入る。  梅小路のあと、東本願寺へ行き、いま新京極を歩いているという。  落ち合って、三条寺町の「かに道楽」で食事する。  子どもに「おじちゃん、おじちゃん」と呼ばれても、何の違和感 も感じない年齢になってしまった。そのうち「おじいちゃん」と呼 ばれても平気になってしまうのだろうなあ。こうして高校時代の後 輩の家族といっしょにご飯を食べている場面は不思議と思えば不思 議、幸せと思えば幸せなことだ。  食後、さっそくベイスターズ・ダイヤルに電話。  対中日戦、4対0と快勝。これは最高に気分がいい。  今回『桃太郎電鉄』九州編のMAP第1稿が完成したのは大きい。  明日はもう東京だ。旅はいつも帰る頃に、早いなあと思うものだ。  ちっとも風邪が治らない。もう1週間以上になるんじゃないかな。




5月4日(月)

 とうとう風邪が直らないまま京都最終日だ。  午前11時。最上谷家族と南禅寺で待ち合わせ。  最上谷家族は、清水寺を見てまわったという。  京都に来て、湯豆腐を食べて帰らないくらいもったいないものは ないので、聴松院へ行く。  ここの隣りの「奥丹」が、湯豆腐の美味しさでは、日本一だとい うのだが、聴松院のほうが、小堀遠州の庭園の美しい聴松院のほう が観光客には、お得だと思う。湯豆腐も美味しいし。  運良くきょうは、池にせりだした縁台で食べることができた。  天気も最高によくなって、暑いくらいだ。  池をのぞけば、鯉が泳いで、新緑と葉影が何とも言えず、最上谷 家族は大喜び。  食後、葛切りの「鍵善良房」へ行こうと思って、タクシーに乗っ たら、さすがにゴールデン・ウィークの大渋滞。渋滞の少ない京都 は、渋滞となると、完全に動けなくなるくらいのすごさになってし まうので、「鍵善良房」をあきらめる。  最上谷家族は一家揃って、漬け物マニアだというので、錦市場に 行くことにした。ずらりと並んだ漬け物に、幼稚園の男の子が興奮 する。まてまて、美味しいお漬け物のお店はもっとあとのほうにあ るからガマンしなさいと止める。  錦市場で買い物するなら、大丸デパート寄りの「打田(うちだ)」 というお漬け物屋さんの周辺に限る。お総菜もいいものがあるし、 何と言っても私が京都のお土産イチオシの佃煮「おやじ泣かせ」が、 この「打田」の前のお店で売っている。カツオに梅肉が入ったやつ で、土居ちゃんも必ずこれを買って帰る逸品だ。  案の定、最上谷家族は「おやじ泣かせ」を試食して、気に入り、 5袋も買って行った。  さらに「打田」でも、ざるで何品も買っていた。本当にお漬け物 が好きな家族だ。  というところで、いよいよ最上谷家族ともお別れ。私はちょうど 最上谷家族の1時間あとののぞみに乗る。  ということで、一度マンションに戻り、荷物を持って、京都駅へ 向かう。伊勢丹で「タレント美術館」というイベントを見るつもり で行ったら、超満員で、チケットを買うのにも、長蛇の列。これを 待ってたら新幹線が出てしまうのであきらめる。  このタレント美術館の構想は、私も思いついていて、実現できな いものかと思っていただけに、見て見たかった。それにしても世の 中には頭のいい人がたくさんいて、私よりも先に思いついたあげく、 実行する人がいるものだ。もっとアンテナを敏感にしないとな。  午後5時すぎ。東京着。  家で、娘がカレーライスを作って待っていてくれた。  初めて作ったカレーだそうだ。京都にいると、薄味になれて、お 好み焼きとか、カレーとか、濃い味のものがほしくなるので、ちょ うどいい時だった。  ベイスターズはデーゲームで負けたようだが、まあ、いいや。  楽しい京都旅行をすごせたから。  あとは鍼灸師の弓削くんが来るのを、待つばかりだ。




5月5日(火)

 まだ身体がだるい。  『GB桃太郎電鉄』の原稿を書く。  漫画家、またはゲーム『ポポロクロイス物語』のデザイナーであ る、田森庸介さんに電話する。田森庸介さんも1ヶ月前に、私とお なじ脳内出血で倒れたそうだ。聞いたら、奇跡的に軽く、手もちゃ んと動くそうだ。ずいぶんと私よりも良好だ。とはいえ、まだ階段 を降りるのが怖いところは私とおなじ。同病連合作りましょうかと いう話になる。  それにしても学生時代からの知り合いの最新情報が、いつも入院 の話というのは、けっこうこたえる。私が先鞭だから、偉そうなこ と言えないんだけどね。  午後、新宿へ買い物にでかける。伊勢丹、カメラのさくらやOA 館などを覗いて、足が疲れてきたので、帰る。  どうにも身体がだるいので、少し寝る。  夜、テレビで横浜対巨人戦を見る。  いかんなあ。エラーばっかりだ。  『チョコバナナ』のストーリー漫画投稿作品がたまっているので、 電話で打ち合わせをする。  こんにょサン、岩岡目々さん、坂本芳江さん。  さすがに3件連続は疲れた。  いずれも16巻用の原稿なのだが、どれも必ず載るよと確約でき ないのが、つらいけど、うれしい。とにかくみんながいま急成長し ているので、いまおもしろいと思った漫画を、次に届いた作品があ っさり抜いて行く。  とにかく添削が追いつかない。  うれしい悲鳴なのだが、家族だけで相手をするには、人数が多す ぎる。ここが踏ん張りどころだ。いつかこの時期はきっと伝説にな るぞ。いまのうちに『チョコバナナ』買っておいたほうが絶対いい よ。あとでプレミアつくよ。  




5月6日(水)

 何だかさらに風邪が悪化したような気がする。  午前3時に目が覚めて、また眠れなくなってしまった。  午前8時すぎにやっと眠れる。  午前11時すぎ。青山のほうへ食事しに行くが、身体がふらふら する。なかなか美味しいフランス料理のお店を見つけた。名前が横 文字なので、また忘れた。鼻水たらしながらの食事はなさけない。  午後2時。大阪コミニュケーションアート専門学校の小林さんが 打ち合わせに来る。 5月16日、大阪校でやる特別講義の打ち合わせ。  夕方、『チョコバナナ』15巻の文字校正。  漫画の写植も届く。11本の漫画は壮観な眺めだ。気分がいい。  夜、焼き肉の「第一神宮」に行く。風邪のときは、ここのにんにく 焼きで直すのだ。  帰宅後、テレビで横浜対巨人戦を見る。きょうも負けている。 ※さくま嫁:昼食のレストラン『駄々』(DaDa)。 横浜ベイスターズも7対6で逆転したようです。大喜び!




5月7日(木)

 ダメだ。まだ風邪が直らない。薬を飲んでるあいだは、鼻水が止 まるんだけど、薬が切れると、だら〜と、情けなくなる。  午前11時。アニメ・プロデューサーの落合茂一さんが来る。  来年立ち上げるアニメ番組を、私の企画立案で、チョコバナナの 投稿者の絵で何かできないかという夢のような話を持って来てくれ た。こういう話は、スポンサーが最終決定権を持っているので、ほ とんど話は流れてしまうものなのだが、落合さんが『チョコバナナ』 で話を持って来てくれたことに感激。『チョコバナナ』をずっとや ってきた甲斐があるというものだ。  今は無理でも、5年後、10年後、『チョコバナナ』の投稿者が 漫画家になって、本当にアニメになる時が来たらうれしいね。  ちなみに落合さんは『たすけて!福助!!』を気に入っていた。 やっぱりなあ。『たすけて!福助!!』は業界の人に圧倒的に人気が ある。何かあるよなあ、あの子には。誰の漫画が将来いちばん早く アニメになるかトトカルチョをやりたいぐらいだ。いまでも候補者 多いからなあ。これからまだ増えるだろうし。    野沢ちゃんが来て、『チョコバナナ』15巻の校正。 漫画の写 植チェックをしたのだが、我田引水なのはわかっているけど、漫画 おもしろいよ! 早くみんなに『チョコバナナ』15巻を読んでほ しいものだ…って言っておきながら、発売日の頃には16巻を見て ほしいと思ってるんだろうなあ。というくらい『チョコバナナ』の 漫画はすごい勢いで進歩している。もっと多くの人に『チョコバナ ナ』を見てもらいたいなあ。  午後5時。文化放送に行く。  5月30日に『エーベルナイツ』という番組の公開録音に出演す るので、その打ち合わせと、番組を見学した。 『エーベルナイツ』のメイン・パーソナリティは、三石琴乃さん。 ほかに豊口めぐみサン、元ずうとるびの今村良樹さん、読売広告の スタッフ岩崎まで、番組に出ている。きょうのゲストは、白鳥由里 ちゃん。白鳥由里ちゃんは、私の昼飯友だち・ひろたたけしが、衛 星放送で『さるとびゆりちゃん』という番組を製作していたので、 初対面の気がしなかった。  さらに、おたっきい佐々木さんという、アニメ好きな人ならよく 知ってる人ともご挨拶。実は5月11日(月)午後7時からの『ア ニゲーマスター』という彼の番組に生出演することになっている。 月曜日までに風邪直さないとなあ。  午後7時すぎ。ひさしぶりに四谷のラーメン屋「こうや」に行く。 ここのワンタンメンは、お勧め。ラーメン通にも人気のある店。そ ういえば退院後、ここに来るのは初めてだ。もう3年ぐらいになる のかあ。  携帯電話で、ベイスターズ・ダイヤルに電話。  3対0でリードしている。いいぞ、いいぞ。そういえば昨日はテ レビ中継を見終わった段階では負けてたのに、あの後まさかあんな 大逆転をするなんて!   帰宅後『チョコバナナ』の校正の続き。  テレビが気になるので、ちゃんと校正できたかなあ。15巻に誤 植があったら、この日私が横浜対巨人戦をテレビで見ていたからだ と思い出してくれ!  おお! 進藤がまたホームランを!  あっ、テレビ中継が終わる! 昨日の逆は嫌だぞ〜!




5月8日(金)

 少し風邪が引いた。でもまだ急に立ち上がると、頭がクラクラッ となる。  午前中、ひさしぶりに池袋東武百貨店13Fの「みさき亭」へ、 まぐろの小鉢丼を食べに行く。  食後、丸井のイン・ザ・ルームという家具専門館へ行く。  ゆっくり家具でも見たかったのだが、時間がないので、お茶を飲 んであわただしく自宅へ向かう。  午後2時をちょっと過ぎてしまった。いかん! 自宅の前に約束 の人たちがみんな集まっている。ハドソンの梶野くん、中川くん、 『チョコバナナ』の営業の牧野、『チョコバナナ』投稿者の藤川か つらサン。  午後2時30分。週刊少年サンデーの石川くんたちが来る。  年末発売の桃太郎シリーズのタイアップ企画の打ち合わせ。 『桃太郎電鉄』のゲームボーイ版の発売日が決まる。7月31日だ そうだ。タイトルは『桃太郎電鉄jr(ジュニア)』。ジュニアだ から「jr」。大文字で書くと「JR」になる。けっこう笑えるタ イトルでしょ? サブタイトルは「全国ラーメンめぐりの旅」。 『桃太郎電鉄7』がベースになっているけど、新しい遊び方の入っ たおもしろいゲームだよ。  午後3時30分。宮路一昭くんが来る。『桃太郎伝説』の音楽の 打ち合わせ。  午後4時。藤川かつらサンを石川くんに紹介する。持ち込みの仕 方を教わる。  税理士の赤根くんが来る。決算の打ち合わせ。  午後5時。ようやく藤川かつらサンと、漫画の打ち合わせ。  ところが『たすけて!福助!!』の第4話は、ボツ! つまらない からではなく、キャラにちょっとしたブレが生じて来ているので、 基本ラインをしっかりさせようということで描き直し。  5日間で絵コンテ16ページを描いてこいと厳しい指導。週刊連 載を持つには、これでも遅いわけだからやってみようということに なった。さて、次回はどうかな?  夜、藤川かつらサン、嫁、娘の4人で、原宿のふるさとプラザで 食事。  午後10時。鍼灸師の弓削くんが来る。




5月9日(土)

 まだ風邪が直らない。仕事がどんどんたまっていってしまうなあ。  午前中、表参道のベーグルサンドの美味しいお店に行く。  お店の前のビルに、X─JAPANのhideがプロデュースしたお 店がある。きょうも何人かのファンがぼうっと座っていた。  食後、裏通りを散歩しながら、家に帰る。表参道から原宿にかけ ては、住宅街にぽつんと不思議なお店が出来ては、消えて行くので 歩いていて飽きることがない。お寺も多い。知らないお寺に入ると 旅行したような気分になるのはなぜだろう。  帰宅後、娘がやる『ファイヤーエンブレム』を横で見る。  私が投げてしまった第4章を、娘はクリアして、第5章に突入し ていた。もう私よりすっかりゲーム好きだ。  ゲームを見ながら、アニメの企画を考える。  ゲーム内容とは、まったく違うアイデアが出るから不思議なもの だ。けっこうおもしろくなりそうな、アイデアだぞ。  夜、娘とふたりで新しいお店にチャレンジ。  西麻布の「たぬき」というお店。ガイドブックにご飯の美味しい お店とある。なるほど釜で焚いたご飯が出てくるので美味しい。た だおかずが、焼き魚とお刺身が中心なので、わざわざタクシー飛ば して行くほどではない。歩いて5分以内なら、毎日来るだろうな。  食後、私と娘が大のごひいきである、ケーキが美味しい「ドゥリ エール」に寄る。娘の一押しは、ミルフィーユ。  帰る途中、ベイスターズ・ダイヤルに電話すると、わがベイスタ ーズは、けっきょく延長14回負けてしまったそうだ。ものすごい 追い上げ方をしたんだけどなあ。まあ、粘り強くなってきたから、 これからが楽しみだ。




5月10日(日)

 風邪はもう少しになってきた。  こんな時こそおとなしくしてればいいのだが、きょうは甲府へ行 くことになっていた。  午前10時発のスーパーあずさ5号で甲府へ向かう。  車中、『桃太郎伝説』のギャグ・キャラのアイデアを考える。  いつものことながら、電車のなかだと、すぐアイデアが出る。  午前11時30分すぎ、甲府駅着。  午後12時。『チョコバナナ』投稿者の神谷栄和くんと待ち合わ せ。初対面だ。山梨大学の大学院で、工業用ロボットを作ったりし ているそうだ。  そのまま北口の小作に行く。ほうとう鍋を食べるのだ。この店は 私がほうとう鍋を好きになったきっかけのお店。もう20年以上前 のことだ。20年以上の前のお店は、店内もちっとも変わらずその ままであった。  メニューはちょっと増えていて「小豆ほうとう」という、ちょっ と怪しいほうとう料理が増えていた。うちの娘がチャレンジすると いう。嫁、私、神谷栄和くんは「かぼちゃほうとう」を注文する。  はたして小豆ほうとうは、おしるこのようだが粉っぽくて、ファ ミリーレストランのメニューにありがちな味だった。  食後、駅の方に戻って、神谷栄和くんの『宇宙人ショック5』の 原稿を見る。パート5ということは、もう40ページになる。  今後の漫画の描き方をいろいろ指導する。『チョコバナナ』の漫 画投稿者たちは、お互いががんばっているのが、何よりの上達法に なっているので、こまかいことを言わなくていいから楽だ。  午後3時。神谷栄和くんと別れて、わが家族は、昇仙峡へ。


「日本一の渓谷」というキャッチフレーズが、誇大広告ではないく らい雄大な景色だ。山水画を見ているようだ。  昇仙峡というのは、区分でいうと、秩父・多摩国立公園に属して いて、甲府と埼玉県秩父が近いことを知らない人は多い。  午後3時30分すぎ。影絵美術館着。  影絵というのは、どうも私には安っぽい芸術に思えてしまうのは なぜなんだろう。子どもの頃からの疑問なのだ。それを確かめたく て来たのだが、その考えは変わらなかった。  美術館を出て、仙が滝という滝壺に向かう。  途中、水晶を売るお店が並ぶ。古い観光地の匂いがぷんぷんして 嫌な気分になってくる。化粧が濃くて、細い眉のおばちゃんが声を かけてくる。どうして古い観光地の売店の人たちは、胡散臭いのだ ろう。売っているのも、水晶の量り売りとかあって、やっぱり胡散 臭い。縁日で買ったひよこを連想させる胡散臭さだ。  時間がまったく動いていない場所だ。  午後5時すぎ。臨時列車かいじで、新宿に戻る。  たいして歩いていないと思ったのだが、ことのほか疲れた。  でもやっぱり旅はいい。名前だけ昔から知っているけど、行った ことのない場所はすべて行ってみたい。  昇仙峡をひとつ塗りつぶせた。




5月11日(月)

 ま〜だ、風邪ぎみ。毎日寒暖の差が激しすぎるよ。  きょうは寒い。寒すぎる。  午前中、表参道のバンブーで、ローストポークのゴマパン・サン ドイッチを食べる。ここのゴマパンが美味しいのだ。  食後、キディランドで、新製品チェック。  携帯のストラップに新製品が多いなあ。  いまどの娯楽産業も、携帯電話に押されて、不況だという噂は本 当かもしれないなあ。携帯電話よりも楽しい娯楽を作らなきゃ。  午後、昨日電車のなかでアイデア出しした『桃太郎伝説』のギャ グ・キャラをまとめる。  夕方、娘のピアノが終わるのを待って、文化放送へ。  午後7時、『おたっきい佐々木のアニゲマスター』に生出演。  おたっきい佐々木さんにとっては、月刊OUTが、青春そのもの だったらしい。小学校の頃読んでいたというのは、ちょっとショッ クだったけど、最近月刊OUTの読者だった人が、業界に来て、大 成して、その人に呼ばれるというケースが多い。  私の存在は、ほとんど懐かしの歌手と変わらなくなってきたなあ。  でも月刊OUTは、私にとっても業界での青春の日々だから、O UTの話をするのは楽しい。  そのうち『ジャンプ放送局』の読者が、業界に来るようになるん だろうなあ。     放送終了後、娘が文化放送のそばのミスター・ドーナッツの飲茶 セットが食べたいというので、寄る。たまにはこういう夜の食事も いい。おかゆセットを食べる。  帰宅後『チョコバナナ』投稿者・天街由佳子さんに電話して、投 稿作品の打ち合わせ。 




5月12日(火)

 風邪は少し快方に向かっているようだ。  ひさびさに薬を飲むのをやめた。  でも外は寒い。  午前中、信濃町の明治記念館へ行く。  明治記念館の中庭は、なかなかの景観で、1000坪の芝生の緑 は雨上がりで美しい。結婚式の宣伝用写真を撮るチーム以外、人が まったくいないので、何だか得した気分。  明治記念館内の「キンケイ」というレストランのカレーライスが、 本に載っていて、美味しそうなので来たのが真相だが、元は憲法記 念館と呼ばれた場所で、皇室に関係した高札があったり、内装がい かにも高貴な感じがして、穴場などという言葉で言ってはいけない のだろうが、こんなにいい所だとは思わなかった。  しかもキンケイのビーフカレーが絶品。肉がやわらかい。前菜の コーンスープが上品で美味しい。これに野菜サラダもついて、なん と1500円。これは安すぎる。銀座なら4000円はするなあ。  広々とした庭園まで見れて、1500円はどういう計算ではじき 出されているのだろうかと心配になるくらいだ。  食後、神宮外苑を必死に歩いて、美容院まで歩く。  30分はさすがに遠いぞ。途中、日本青年館ホールでひと休み。  午後2時30分。帰宅。  すでに野沢ちゃんが来て『わるわ〜るど』の単行本の編集を進め ていた。  夜、西麻布の「六根」に初チャレンジ。おでんのお店というのが おもしろそうだった。さすが西麻布にある「おでん屋」は、全然違 う。ビルの地下を降りて、店内に入ると、さらに店内をぐるっとま わって、階段を降りて行く仕掛け。店内は高級バーのように薄暗い。  おでんといっても、関西風なので、生湯葉とかじゃがバター、ロ ールキャベツ、はりはり鍋などというものまである。このはりはり 鍋が、鴨の味がおつゆにしみ込んでいて、美味しいこと、美味しい こと。この鍋の出汁をつかった雑炊は、絶品。  おでん屋というよりも、おしゃれな日本料理屋といった感じだ。  ここは4000円からのコースがあるので、見た目より安く感じ るお店。絶対もう一度来るな、ここは。  グルメ・バカ娘も、最初店内が暗いので、眠いと駄々をこねてい たのだが、料理が来るや、目を輝かせて、もくもくと食べていた。 相当高いランクだ。  西麻布というと、つい最近も来たドゥリエールのケーキを食べな いと帰れない。ここのモンブランは本当に美味しい。  いい気分で帰って来て、あとは横浜ベイスターズが巨人に勝てば、 新しく美味しいお店を2件も見つけた最良の日になるのだが、そう はいかないのが人生。  4対1で負けたが、9回裏にがんばって1点入れたのは、えらい。 明日に繋がる反撃だ。  PHP新書の『明智光秀』を読む。




5月13日(水)

 風邪は直りかけてきたかな? ときどきまだ身体がふわふわする。  千駄ヶ谷駅までの坂を登るのがつらい。  千駄ヶ谷駅から吉祥寺へ。ひさしぶりに、おそばの「吉むら」に 行く。  ここのランチの、おそばと親子丼のセットは、笑いがこみ上げる くらい美味しい。杉並に住んでいた頃はしょっちゅう来てたけど、 駅から遠いのでなかなか来ることができない。  食後、いつものように井の頭公園入り口の武蔵野珈琲へ豆を買い に行く。  午後4時。タカラの高田さんと小沢くんが来る。  きょうは小沢くんが、あるゲームのデザイン・サポートを『チョ コバナナ』の投稿者にという、うれしい話を持って来てくれた。  こうやって、じわじわ『チョコバナナ』のメンバーを少しずつ世 に送り出して行きたい。  …と書いた時に、ベイスターズが巨人に逆転された。  う〜ん。横浜らしい逆転のされ方だなあ。  ピンチだからリリーフを出して、そのリリーフが打たれる。  どうも今シーズン、私が見てると勝てない。いやなジンクスが固 定されそうだ。




5月14日(木)

 午前中、『チョコバナナ』投稿者の藤川かつらサンが来る。 『たすけて!福助!!』の打ち合わせ。キャラをしっかり固定させよ うということで、このところずっと絵コンテで問題点を出している。  午後1時。ハドソンの浦さんが来る。 レッツ・ノートに『MAPファン3』をインストールしてもらう。 すごいソフトだよ、これは。明日から私はまた京都に行くのだが、 途中寄ってみようかなと思っている、大垣から墨俣町の近辺のMA Pが見れてしまう。日本全国どの駅の周辺図が表示できてしまうの だ。これはナビゲーター・システムがフロッピーに入っているよう なものだ。  午後2時、宮路一昭くんが来る。土居ちゃん(土居孝幸)も来る。  完成度80%ぐらいの『桃太郎電鉄Jr』を見る。  思った通り「すごろくの旅」がおもしろい。  音がすごくいいし、グラフィックもきれいなのに驚く。これなら まだまだゲームボーイには、可能性があると思う。値段も4000 円を切って発売するつもりだという。これはお買い得だ。  土居ちゃんは「ラーメンの旅」を楽しんでいる。  引き続き『桃太郎伝説』の打ち合わせ。  ギャグ・キャラはもっと増やせそうだというので、また明日から の電車のなかで考えなければ。  希望の都をひたすら大きくして、いろんなものをいっぱい入れて みようということになった。実写のえのクンの顔を入れてみるかと、 あいかわらずバカなアイデアが出る。  さらに『桃太郎電鉄』ローカル・ルール版のアイデアも考える。  プレイヤー全員に、貧乏神がついているローカル・ルールはおも しろいということになった。これだと、キングボンビーに変身した プレイヤーが、現状の貧乏神みたいになるから、想像しただけでお ぞましい。もしかすると4人全員キングボンビーを引き連れるとい うこともありえるかもしれない。キングボンビー3匹に狙われると いうのもスリリングでいい。もっとおもしろいのは、誰かの貧乏神 がミニボンビーになると、みんなで奪い合うという新しい局面が出 ていいことに気がついた。  こういった『桃太郎電鉄』のローカル・ルールのアイデアが浮か んだら、ぜひ『ほんのチョイ係』まで送ってほしい。  最近『ほんのチョイ係』のほうの書き込みが減って来ているので 新しい『ほんのチョイ係』を更新しようという意欲が出ないので、 反応がほしいぞ。  さて、私は明日から京都だ。大阪にも行く。  帰って来るのは、17日か18日ぐらいの予定。体調がいいと、 風に誘われてふらふらとどこかへ行きそうだ。




5月15日(金)

 午前10時56分発の新幹線のぞみで名古屋へ。  今回の旅のテーマは、荷物を持ってどこまで旅ができるか?  いままで左手・左足が不自由でも、旅行できていたのは、家族や 友人が荷物を持っていてくれたからで、まだ一度も荷物鞄を持って の旅をしたことがなかったのだ。   たまのひとり旅は実はノートパソコンの大きさの小さな鞄だけだ から、荷物と呼ぶにはほど遠い。  で、いきなり東京駅で、もうつらい!  スポーツ新聞と週刊文春を買って小脇にかかえると、もう大変。 ずるずる新聞と文春は、落ちていく。左手で女性が持つように、鞄 を腕に通して持ってみるが、握力がないので、1分ぐらいすると、 鞄もずり落ちて行く。  とりあえず新幹線に乗り込むが、もうこの時点で息が上がってい る。汗までかいて、胸が苦しくなってくる。  まだ旅は始まっていないよ〜。大丈夫かなあ。  車窓から景色を眺めながら、ずっと肩で息をしている光景はかな り怪しくて、危険だ。推理小説の列車のなかの死体みたいだなどと、 相変わらずくだらないことを考える。  12時30分すぎに、名古屋駅に着く。  こういう時に限って、指定席が1号車で、長い長いプラットホー ムを歩く。盲人用のイボイボが、左足の豆を痛くする。    駅構内で、さっそく薬局を探して、ユンケルを飲む。  12時52分。東海道本線に乗り、大垣に向かう。  大垣は28年前に夜行列車の終点として来て以来だ。しかも乗り 換えただけなので、降りたことはない。松尾芭蕉が『奥の細道』で、 最後に訪れたのが、この大垣なので来てみたかったのだ。  道すがら、例によって、ゲームのアイデアなどを考えるのだが、 体調が悪いので浮かばない。しかも『奥の細道』の勉強を始めて、 もう4年ぐらいになる。『奥の細道』をゲームにしようとずっと思 っているのだ。  電車は右手に、織田信長の居城として有名な清洲城を通り過ぎる。 お城の向こうに鳥山明邸が見える。そういえば最近鳥山くんの家に 行ってないなあ。  岐阜をすぎて、大垣が近づいて来た。どうやらユンケルが効いて きたようだ。けっこうユンケルにはいつも助けてもらっている。  大垣着。思ったより全然大きい町だ。  県庁所在地だと嘘をつかれたら、信じてしまうくらい大きい。商 店街も多いし、歓楽街もしっかりあるようだ。体調もよくなったし、 大きな町だなあと思いながら、歩いたのがまたいけない。  しかもいきなり駅前で、柿ようかんと、のし柿を買う。  グルメの師匠・すぎやまこういち先生から、先日ここの柿ようか んが美味しいよと聞いていた。私は果物のなかでも柿がいちばん好 きなので、柿にまつわる食べ物はすべて食べてみたいと思っている。  あとで食べたのだが、上手い! う〜ん、入院する前なら、1本 その場で食べてしまったであろう美味しさだ。とても危険なので、 『チョコバナナ』投稿者・中尾淳(旧・プチまる)に、恐れ多くも すぎやまこういち先生推奨の品ぞと下賜する。  しかし、ようかんは重い! 鞄は重さを増して、身体の不自由な 人間には、さらなる苦悩の素となった。  そういえば大垣には、水まんじゅうの美味しいお店があったはず だと思い出す。その店はすぐ先だった。  販売だけなのだが、無理を言って、店先で食べさせてもらった。 甘さがしつこくなくて、なるほど美味しい。直径5センチくらいな ので、ぺろりとひとくち。まさかこれが昼飯になるとは…。  お店の名前は「金蝶園」。町に支店が多くて、200メートルぐ らい歩くと、このお店の支店に出会う。  食後、大垣城に寄るが、荷物が重くて、とても石段を登る気力が ない。立て札だけ見て、退散。  ここから延々町を歩く。めざす場所は、大垣市役所の先の「奥の 細道・むすびの地記念館」だ。  石畳の多い町だ。石畳が私の足には、砂利道に次ぐ苦手道なのだ。  ふうっ。だんだん立ち止まる間隔が短くなって来ているぞ。これ は十分タクシーの距離じゃないかと思った時に「あと300メート ル」の表示が。ひ〜っ。いまの私に300メートルは、隣の駅まで 歩けと言われたに等しい。  そこで昼飯を食べて、体力を回復させようと思ったのだが、なか なか大垣ならではのお店がなく、水まんじゅうの看板ばかり目立つ。  もう水まんじゅうは食べたよ。お腹がいっぱいになる物を売って いるお店はないのか!  途中、工事現場の人が、旗を振って「どうぞお通りください!」 とやってるのだが、もう足が前に出ない。こういう時って、あたり にベンチがないんだ、これが。仕方なく足を引きずりながら歩く。  もうダメだ、そこの公園でへばろう! と思ったら、そこが「む すびの地記念館」だった。きれいな橋がかかっている。どうも川の 多い町だと思っていたが、大垣は「水の都」と呼ばれているそうだ。    死にものぐるいで来た記念館は、予想はしていたが、展示室が小 さい。  駅を降りて、松尾芭蕉の名前をあれだけ見かけるのだから、もう 少し展示は充実させてほしいものだ。芭蕉の記念館は全国どこでも 小さい傾向にある。深川の芭蕉記念館も知名度のわりに小さくて、 地味だ。  ここでまたつい、奥の細道の絵巻を買ってしまった。またまた鞄 は重くなる。ダメだ、このあとは全部タクシーにしよう。    タクシーで、墨俣(すのまた)へ。  墨俣と聞いてピンと来た人は、けっこう歴史好きの人だ。  豊臣秀吉が、たった1日で築いた「一夜城」として有名な墨俣城 があるのだ。豊臣秀吉が出世のきっかけになった城だ。本当は砦程 度のものしか築かなかったのだが、なぜか最近、お城となって、復 活してしまった。ちょっと強引だけど、歴史ファンにとっては何で もいい。見る場所が増えるのはうれしいことだ。長い距離歩いて、 石碑だけしかないのだけは勘弁願いたいものだ。  というわけで、タクシーで墨俣城へ。タクシーは楽だ。  しかし、きょうの旅は徹底して、私の無謀な旅をむち打ってくれ るようだ。  長良川のそばにそびえ立つ墨俣城へは、まず長い橋が。  さらにお城には、階段が付き物。最近階段はかなり得意になって きたはずなのだが、ここは拝観はスリッパでどうぞとある。スリッ パは不自由な足にとって、天敵なのだ。階段を1段上がるたびにス リッパは脱げてしまう。脱げるどころか階段を何段も落ちていく。  もうダメだ。登るのをやめるか。せっかくここまで来たのに。  ええい、スリッパ脱いでやる!  まったくほかに観光客がいないので、2階でスリッパ脱いで、鞄 もそこに置いて、登った。お城の展示物は、ほとんどNHKの大河 ドラマのポスターしかない。これだけ苦しんでポスターだけはない ぞと思ったら、砦を築くときの模型が展示してあった。これはいい。  数年前発見された古文書『武功夜話』を元にしているではないか。 秀吉おたくの私としては、大満足。こういう時疲れが吹き飛ぶはず なのだが、身体はとうに限界を越えている。  そろそろ京都に向かわないと。中尾淳と待ち合わせしているのだ。  こんなことなら最初から、中尾淳に鞄持ちのバイトをさせるべき だった。でも自分で鞄持って動けるようにならないと、ひとり旅が できなくなってしまう。今回の旅だって、京都に洋服は置いてある から、荷物は少ないのだ。  それにしても長良川のダムのように大きな水門に囲まれた墨俣城 は、歴史の資料に出てくるように、川の流れが早くて、城を築くの が大変だったことが、わかってうれしい。やっぱり歴史は現地を見 るに限る。また『太閤記』を読み直そう。  タクシーを呼ぶ。米原まで行くのだが、大垣から電車に乗る気力 がないので「直接米原まで」というと、運転手さんが「米原までだ と2万円近くかかるから、岐阜羽島にしたら」という。  岐阜羽島は、新幹線誕生以来、一度は降りてみたい場所だったか ら、こんなチャンスはない。旅は絶対タクシーの運転手さんに聞く のがいちばんだ。思わぬ名所旧跡を教えてもらえることも多い。  午後3時47分。岐阜羽島駅から一路、京都へ…のはずが、なん と! 自由席がまったくの満員!  ここまでついていないとは! きょうの旅はほとほとついていな い。仕方なく1号車と2号車の間のデッキに座り込む。指定席券を 買えばよかった。  なんとか次の米原駅で、ドアの前の席があいて座れた。このまま 博多まで座って、寝てようかと思ったほど疲れた。でも新幹線は新 大阪止まり。ままならぬ。  なんとか京都にたどりついて、転がるようにタクシーに乗り込む。  けっきょく昼飯は、水まんじゅうだけなので、腹も減った。  それより何より、早くマンションに着いて、ベッドの上に転がり たい!!!  午後5時30分。やった! ベッドだ! もう動けん! うう〜、 中尾淳を呼ばないといけない。ええい、面倒だなあ。6時になれば 来るのだからこのまま待っていればいいのだが、寝てしまいそうだ。 寝ると、来てもオートロックを開錠することができない。  腹が減った。携帯で中尾淳を呼び、祇園の「グリルたから船」で、 ハンバーグライスを食べる。昭和初期のレストランを思わすレトロ な味のお店として有名。たまに来たくなる。  食後、マンションに戻り、『桃太郎電鉄Jr』のテストプレイ。  中尾淳、相変わらずサイコロ運がよくて、正しいデータにならな い。困ったやつだ。  続いて『クレイマン・クレイマン』をやる。粘土アニメーション のゲーム。なかなか斬新。昔からリバーヒルソフトは、おもしろい ゲームをときどき発売する。  さて、明日は大阪の専門学校で特別抗議をするので、早く寝る… と思ったら、足の裏がじんじんして眠れない! 疲れすぎて眠れな い、あの状況になってしまった! 不覚。あっ、もう午前3時だ。 ああ、足が痛い。




5月16日(土)


 午前8時起床。何で眠れなかったのに、早く目が覚めるんだ!
 ぎりぎり午前10時すぎまで寝ていてもいいのに。タイマーをセ
ットしておくと、その時間だけ眠れる機械が誕生してくれないもん
かなあ。
 でも入院前に比べると、寝不足でも体調はいい。これがうれしい。
本当に健康になったものだ。どうやら風邪も引いたようだし。でも
足はじんじん、いまもふくらはぎを誰かにつかまれたままのようだ。
 
 午前9時すぎ。中尾淳を呼んで、京都ホテルの朝粥定食を食べに
行く。ここは朝昼兼用のボリュームがあるので、夜までお腹がすか
なくていい。何度もこの日記に登場する場所だ。
 
 京阪電車で、三条駅から、北浜駅へ。北浜駅から長堀駅へ。だい
ぶ大阪の地下鉄にも詳しくなってきたぞ。
 午後1時。大阪コミュニケーションアート専門学校(OCA)に
着く。
 午後1時30分。CGアーティスト科、ゲームデザイナー科の生
徒さんたちに講義。みんな熱心なので驚く。この学校は廊下で会っ
ても、生徒がみんな挨拶をしてくるのがえらい。
 私の講義は相変わらず、友だちを作りましょうのワンパターンだ。
でも話すことはこれに始まり、これに尽きる。 友だちがいる人は、
人に気をつかう人なわけだし、そういうやさしさを持った人の作る
ゲームはやさしさにあふれた内容になるから売れる。風邪が吹けば、
桶屋がもうかるようなものだが、これしかない。
 講義は1時間30分をオーバー。その後も、質問がある子と、デ
ッサンを見てほしいという熱心な子たちが残り、追加講義。
 みんなデッサン力があるので、びっくりする。たいしたもんだ。
 横にすわっている中尾淳が冷や汗をかいている。中尾淳はデッサ
ン力ないからなあ。中尾淳の顔を見ると、中尾淳は目をそらす(笑)。

 その後も先生方と話してるうちに午後5時をすぎてしまった。

 ふたたび京阪電車で、京都に戻る。
 マンションでまたゲームをやる。『アジト』というゲームがおも
しろそうだ。でも中尾淳のやり方が、あまりにも無軌道なので、お
もしろさがもうひとつわからない。
 まだ足が痛いので、きょうこそ早く寝る…つもり。




5月17日(日)


 昨日寝る前にテレビを見ていると「気象情報」という、ニュース
速報が流れて、和歌山県・三重県に、大雨洪水警報が出ているとい
う。確かに京都のマンションも雨の音が、コンクリートを激しく打
っている。
 明けて、17日。どうせ雨だろうから、ゆっくり寝るぞと思った
が、雨の音がしない、外に出ると、カンカン照り。
 きょうは1日、読書にするつもりだった。

 さっそく中尾淳を呼び、京都駅へ。
 実は晴れたら、伊勢まで行くつもりだったのだ。
 午前11時15分。近鉄特急で伊勢へ。一度この路線で京都から
伊勢まで行ってみたかったんだ。京都駅から3つ目の駅というのが
豪快でいい。2時間で3駅なんて、まるでのぞみ新幹線のようだ。
 車中、『桃太郎伝説』のギャグ・キャラを考える。
 おもしろいのが続出する。ああ、早くみんなに教えたい。

 午後1時15分。近鉄伊勢駅着。えっ? ここが伊勢駅? この
ひなびたプラットホームは何だ? まるで鈍行しか止まらないよう
な駅じゃないか! おや? 跨線橋の向こうに線路があるぞ。何て
こった、JR線の伊勢駅もいっしょにあるのか。不思議な駅だなあ。
 こんなに近い同士なら、共同でひとつのきれいな駅に改築すれば
いいのに。
 伊勢駅からタクシーで、伊勢神宮の内宮(ないくう)へ。ずっと
内宮は「ないぐう」だと思っていたのだが、「ないくう」と濁らな
かったんだ。2度目3度目の旅っていうのは、いつも新しい発見が
あっていい。むしろ初めての旅のほうが得るものが少ない。

 もう伊勢には10回近く来てるな。
 前に来た時は、おはらい町が建設中で、おかげ横丁はまだ着工も
していなかった。これだけ一致団結して、町をリニューアルしたと
ころってないんじゃないのかなあ。空き地に忽然とでなく、前から
あるお土産屋街が、そろってデザインを統一して、まるで映画のセ
ットのようにお化粧したんだからすごい。
 これはもうお勧めスポット、赤丸急上昇だよ。
 何たって、伊勢は美味しい食べ物のお店は多いけど、見るものが 少なかった。伊勢神宮を知らない日本人はいないだろうけど、本音 で言えば、砂利道と鳥居しかみんな覚えていないと思う。    さて、以前来た時は、『桃太郎電鉄』の物件にもなった「てこね 寿司」の文字が目立ったのだが、今回はすっかりてこね寿司の文字 が減り、ここにもあそこにも「伊勢うどん」の垂れ幕が。  昨年暮れ発売の『桃太郎電鉄7』に、伊勢うどんを入れておいて よかった。それにしても多い。
 で、今回チャレンジのお店は、寶来(ほうらい)亭。  グルメの師匠・すぎやまこういち先生にいただいた現地限定販売 の本『伊勢のうまいもん』に載っていたお店だ。ここにある「松阪 肉あみ焼き牛丼・極上」という名前がひときわ目立っていたのだ。 「極上」という言葉は、すごく頬がゆるむ言葉だよなあ。  おはらい町の入り口近くにこの店はあった。  中尾淳と、この極上と、伊勢うどんを頼む。本当は2つずつ頼み たかったのだが、何しろ病気以来、体重を気にする生活。昔の旅の ように食べ放題だと、今度は遠い旅に出るはめになってしまう。  中尾淳は「極上」の肉に感激する。  「甘くて美味しいですよ!」  そうなのだ。伊勢は美味しい食べ物ばかりなのだが、どれも甘い のがキーワード。肉も甘いをもって良しとする。伊勢うどんも、た まり醤油に砂糖がからまって、甘い。伊勢はたくわんが名物で、非 常に美味しいのだが、これがまた甘い。伊勢最大のスター「赤福餅」 は、甘さの帝王だ。心ゆくまで甘い。さらに「生姜糖(しょうがと う)」というも名産だが、生姜まで甘くしてしまうのが、いかにも 伊勢らしい。  で、私はなるほど美味しいのだが、どうにもお肉は常日頃より、 美味しすぎる肉を食べ過ぎているので、せっかくの「極上」が、悲 しいかな「ごく普通」に思えてしまったのだ。これは完全に口が奢 っているよなあ。  中尾淳に言わせれば「極上」が、2100円という値段だけで、 もうすごいそうだ。う〜む。とてもうちのグルメ・バカ娘が大好き な京都・三嶋亭のお肉の値段をとても中尾淳に言えない。  いかんなあ。そこでみんなに聞きたい。  みんなにとって、ごちそうの値段っていくらからだろう。  中尾淳は、1000円を越えたら、ごちそうだという。でもファ ミリーレストランで夕飯食べると、カンタンに1000円超えない?  野沢ちゃんは、3000円からがごちそうだという。    そんなことを思いながら、おかげ横丁を見たり、おはらい町を見 たり。せっかくだからお伊勢様にお参りしようと思って、橋を渡っ たのだが、はるか向こうまでずっと砂利道。ダメだ。私の足の最大 の敵は砂利道なのだ。鳥居に向かって「すみません、また今度来ま す」といって、伊勢神宮をあとにした。  帰りは、宇治山田駅から名古屋へ。  名古屋に来たからには、エスカ地下街の「山本屋本店」に寄らな ければいけない。おなじみ「みそ煮込みうどん」を食べて帰るのだ。  あいかわらず美味しいなあ。  みそが八丁みそなのが美味しさの秘密なのだが、この固い麺が、 美味しさの決め手だと思うなあ。こりこりした歯触りは、ほかの麺 では味わえない。伊勢うどんのタレで、一度この麺を食べてみたい ものだ。  食後、駅で中尾淳と別れる。  新幹線の売店で『成功の心理法則』(成美文庫)を買う。樺旦純 (かんば・わたる)さんという人の本なのだが、これはものすごい 名著だ。『チョコバナナ』の投稿者全員に読ませたい本だ。  上昇したい人は、本屋さんで絶対探したほうがいい。これを読ん で、目からウロコが落ちない人は、間違いなくつまらい人生を送れ るというくらい、若者なら衝撃を受けるはずだ。   東京に着いて、タクシーのなかで、横浜ベイスターズが大逆転を 喰らったことを知る。5対0だったのに、何で5対7になるの?  横浜ファンを続けるのは本当につらい。




5月18日(月)


 昨日フジテレビの『あるある大辞典』を見て、おそばが食べたく
なって、恵比寿の「竹やぶ」に行く。
 本格派のそばなので、1枚の量が少ない。
 嫁とふたりで、3枚頼んだんだけど、まったくお腹がいっぱいに
ならない。これで1枚1000円以上なんだから、おそばって最近
値段高いよねえ。1枚2000円の本格派おそば屋さん増えたもん。

 食後、このお店の近くに「サクマ製菓」の本社があるようなので、
探し当てる。別に意味はない。昔から名前がおなじなので、よく話
題にされたから、一度会社のビルのひとつでも見ておこうというだ
けだ。年末発売の『さくま式人生ゲーム』のせいで、気になってい
ることは確か。
 かなり歩いて探し当てた「サクマ製菓」は、ごくありふれた古い
ビル。まあこんなもんだろうなとは思っていた。
 午後1時すぎ。野沢ちゃんが来て、『チョコバナナ』15巻の最 終校正。これで印刷所行きだ。  すぎやまこういち先生に、今回の旅の経過をFAXしたら、先生 から電話がかかってきてしまった。きょうはお仕事が入っていて、 いっしょに食事は無理とのこと。残念。  昨日までの旅の疲れがとれないので、少し横になろうとしたのだ が、いつのまにか『桃太郎伝説』の仕事をしてしまった。  少しだけ紹介。算数の鬼というギャグ・キャラで、スポーツの1 チームの人数を足し算したり、引き算したりするキャラ。たとえば 「サッカー + プロ野球」というと、11+9=20 20が答 えとなる。  この調子でレッツ・ノートに内蔵させた百科事典を調べて、問題 を作る。カバディの人数が12人なんて知らないよなあ。本当にレ ッツ・ノートは便利だ。便利なのは本体でなく、ソフトのほうなん だろうけどね。  夜、すぎやまこういち先生ときょういっしょに行きたかった、伊 勢丹デパートの正月屋吉兆に行く。  エビとイカの石焼きが美味しい!   今回京都でハンバーグとオムライスしか食べられなかったので、 モーレツに和食が食べたかったのだ。    帰宅後、サッカーの中田英寿選手の『中田語録』(文芸春秋刊) を読む。  中田選手のマスコミ批判は非常に正論だと思う。残念なのは、そ れを反省するマスコミがまったくいないこと。中田選手へのバッシ ングに猛進するのは恥ずかしいことだと思う。  現在中田選手は皮膚炎で苦しんでいるようだが、マスコミは待っ てましたとばかりイジメてしまうのかな? だったら悲しいね。




5月19日(火)


 午前中、伊勢丹デパートの「大江戸伝統の味と職人展」に行く。
 浅草染太郎のオムそばを食べる。染太郎の焼きそばは、有名で
麺が褐色なのが特徴。
 嫁に言わせると、浅草本店の味より一段落ちるというのだが、デ
パートの出店に、主力選手は投入しないだろう。私はこの程度でも
まあまあ美味しい。焼きそばは文化祭の模擬店のまずくて美味しい
「マズウマ」がいい。
 食後、忘れず、小倉アイスを食べる。
 最中の皮ではさんだ、小倉アイスは下町を代表する味だ。

 さらにロイヤルコペンハーゲンで紅茶を飲んで、新星堂で、LD
やCDを買う。
 午後2時すぎ。四谷の出版社・衆芸社に行く。
 午後3時すぎ、帰宅。嫁はえのクンのところへ『チョコバナナ』
15巻を入稿しに行く。

 私は買ってきたLD『コンタクト』を観る。ロバート・ゼメキス
監督、ジョディ・フォスター主演だ。
 前半がたるくて、眠くなる。
 後半いいセリフがバンバン出てくるだけに、もったいない。
 映画もまたお勧めがあったら、ぜひ教えてほしい。大体LDかビ
デオで買ってしまうので、あんまり内容バラさないでね。
『タイタニック』は、劇場で観たからOKね。みんなはどこのシー
ンがいちばん感動した? 私は弦楽四重奏の皆さんが最後まで演奏
するシーン。そうなるだろうと思っていても、やっぱり感動すると
いうのが、見た時の感想なんだけど、あれがあとで実話と聞いて、
なおさら感動してしまった。
 ちなみに『チョコバナナ』投稿者の藤川かつらサンは、すでにも
う3回も見たそうだ。

 夜はNHK衛星第1で、横浜VSヤクルト戦を、6時から放送す
るので、珍しく家でご飯を食べながら見る。すべての予定はベイス
ターズ中心のわが家だ。わが家ではなく、私個人だ。
 途中、3分間のニュースの時間にあっというまに逆転されたので、
逆上したが、その後再び逆転したので、平常心、平常心。

 テレビを見ながら、『桃太郎電鉄Jr』の手直し原稿を書く。
 そろそろハドソン本体で、デバックが始まるそうだから、完成間
近だ。そうそう、何日か前に、このゲームの値段をうっかり安く書
いてしまったようだ。それでも7月31日発売、3980円。安い。

 逆転に気をよくしながら、今回の旅で出た『桃太郎伝説』のアイ
デアをまとめる。

 勝利を確認してから、『チョコバナナ』投稿者の岩岡目々さんに
電話。絵コンテの打ち合わせ。ほかの投稿者の現在のレベルで比べ
ると、今回の作品はまず1位は取れないよと厳しくいうと、思った
通り「描き直します。負けたくないです!」 
 この負けず嫌いが、彼女をここまで這い上がらせたのだろう。
 しかし『チョコバナナ』には、彼女に負けず劣らず、負けん気の
強い投稿者が続々集まってきている。こっちはみんなの火に油を注
げばいいだけなので、楽でいい。
 
 6月2日からまたまた仕事の旅。寄り道のトリックを本で調べて
から寝る。今度は岐阜の稲葉山城(金華山)に行く予定。




5月20日(水)


 午前中、杉並区上井草の診療所に行く。
 血液検査の結果は、良好。ちょっと血圧が高い。う〜ん。仕事を
もっと減らさないと、これ以上血圧は下がらないなあ。
 さらに高円寺に行って、整体さん。
 あいかわらず痛い! きょうは特に痛かった。
 でもここの整体さんのおかげで、こんなに回復が早くなっている
のだから、文句が言えない。
 お昼。高円寺の薔薇亭で食事。ここのキャベツは美味しいし、量
が多い。しかもランチが500円。

 午後3時。『チョコバナナ』投稿者・藤川かつらサンが来る。
『たすけて!福助!!』の打ち合わせ。このところ福助のキャラがブ
レていたのだが、だいぶ持ち直して来た。もうちょい。

 午後3時30分。増田景子さんが『さくま式人生ゲーム』の最初
のロムを持って来た。まだ音やSEが入ってないけど、目玉のミニ
ゲーム30個が入った盤だ。

 う〜ん、ついにここまで来たかと、けっこう感慨深いものがある。
 なにしろこのゲームを考え始めたのが、去年の夏。「できるぞ!」
と思えるまでに至るのに、数ヶ月もかかっただけに、うれしい。
 出来もGOOD! 想像してたグラフィックより格段にいい。
『チョコバナナ』の投稿者たちが描いた絵も、ドットになると、は
るかにプロの絵に見えて、しっかりおさまっている。『チョコバナ
ナ』の読者が見たら、よろこぶだろうなあ。
 はせがわちず(旧・真魚)サンのペンギンなんて、本当に動きが
かわいい。おっ、しののこサンの妖怪も入ってるぞ。
 まだちゃんと遊べないヴァージョンなのだが、ずっと何度も何度
もやってしまった。見ていても楽しい。
 ああ! ちゃんとしたゲームになりそうだ。
 いや、この段階で安心してはいけない。何が起こるかわからない
のがゲーム業界。突然魔物が住み着く場合がある。
 でも、いよいよ『さくま式人生ゲーム』が本格的に動き出した。
これから忙しくなりそうだ。

 夜、昼飯友だちのひろたたけしに、この『さくま式人生ゲーム』
をプログラムしてくれている会社・パウさんの本山さんを紹介する
ことになっていたので、みんなで近所の「バスタ・パスタ」に行く。
 ひろたたけしも本山さんも、すごい食い道楽なので、会話が強烈。
 食べることに興味のない人が聞いたら、怒り出すような内容。
 ひさびさの食い道楽無法地帯となってしまった。
 ついつい話が止まらなくなって、うちの娘が「もう私は寝なきゃ
いけない時間なんだけど…」。げっ! 10時すぎてる!
 あわてて帰る。

 うひょ〜、ベイスターズは負けてる。まあいいや。『さくま式
人生ゲーム』の出来がよかったし、食い道楽が集まって、言いた
い放題が出来たから。




5月21日(木)


 午前中、青山3丁目界隈を散歩。
 日本料理の「喜楽土(きらど)」というお店のメニューがおもし
ろそうなので入る。なかなか器のセンスがよくて、いかにも青山に
ありがちな内装がおしゃれだ。
 私は、牛肉とろろ丼。嫁は、しまあじ丼。
 器のいいお店はやっぱり味もいい。また来よう。

 午後2時。野沢ちゃんが来て、コムナビ用の原稿のレイアウト。
『わるわ〜るど』の単行本のチェック。
 ユイ音楽工房の篠宮さん、ムサシノ広告の伊東正義以下、伊東組
の2人が来る。
 いろいろ今後の打ち合わせ。けっこうビッグでおもしろそうな企
画。それにしても早くも年末の仕事の打ち合わせだ。

 午後3時。土居ちゃんが来る。
 午後4時。土居ちゃんが『さくま式人生ゲーム』のテストプレイ
を始める。4時30分に帰らないと言いながら、けっきょく5時3
0分すぎまでやり続け、とうとう30個のミニゲーム全部に目を通
して行った。「おもしろい!」を連発していた。本当におもしろい
のだ。このままミニゲームが30個入ったパーティゲームとして売
ってもいいくらいだ。そこは贅沢にゲームの一部にするのだ。まだ
まだ大きなイベントがほかにも30個以上あるし、カードもみっち
り50枚もあるのだ。
 あわてて帰る土居ちゃん。

 夜、野沢ちゃんと家族だけで、原宿の「鳥良」へ。
 帰宅後、NHK衛星第1で、横浜VSヤクルト戦を見る。
 9回裏、谷繁のヒットで、さよなら勝ち。こりゃ最高の気分だ。
 気分がいいので『チョコバナナ』の投稿者の添削を始める。




5月22日(金)


 午前7時30分起床。

 昨日見た週刊文春の終わりのほうのグラビアに、桜えびの美味し
い季節だということが載っていた。写真の桜えびも透き通るような
ピンク色をしている。
 晴れたら行く。前から桜えびは食べたかった。物産展などでは食
べているけど、まだ本場の静岡県由比で食べていない。
 晴れた。娘を学校に行かせて、嫁と私は東京駅へ。
 午前9時45分のひかりで、まず静岡に向かう。
 最近のひかりは、熱海とか、浜松とか、以前なら停まらない駅に
も停まるようになって便利だ。というより、のぞみが、以前のひか
りの役目をして、最近のひかりは、こだまに位置に下がってきてし
まったという気がする。
 静岡駅から東海道本線で、由比駅へ。

↑ 東海道本線・由井駅
   駅前の観光案内図に、古い町並みがあるというので、向かう。  むむ。上り坂か。まだ体力があるからいいか。  何だか嫌な予感がするな。最近どうも地方で歩きすぎる傾向にあ る。きょうは嫁がいるから大丈夫だけど、見たいところがまだたく さんあるから、ペース配分しよう。  来た道を戻り、お目当ての桜えびの専門店へ向かう。  だんだん暑くなって来る。  最初のうちは、潮風が海のほうから吹いてきて、気持ちよかった のだが、だんだん汗が引かなくなってくる。  あれ〜? 遠いなあ。まあいいか。  途中、魚屋の張り紙に「すましあります」とある。  何だろう? おすまし(お吸い物)が、魚屋さんで売ってるわけ ないしなあ。娘がいたら「水すまし売ってるの?」とギャグを飛ば すところだ。 『桃太郎電鉄』の新物件になるかもしれないから、その魚屋さんに 入る。へ〜? そういう食べ物なんだ。では、ここでクイズ?  静岡県由比町ではおなじみの「すまし」の正体は?
A・鯨ベーコン B・シャケのくんせい C・イルカのヒレ
 さあ、しばらく答えを待ちましょうかね?   きょうは先がまだ長いので、さっさと答えを言おう。  答えは、Cのイルカのヒレ。変なもの売ってるよなあ。ちょっと 量が多かったのだが、買う。あとで家に帰って食べたんだけど…… …まずい。Aの鯨ベーコンのように脂っぽい。こういう風に、何度 も失敗しながら『桃太郎電鉄』の物件は決まって行くわけだよ。 う〜ん、ひさびさの大失敗だ。  さて、まだ目的地にたどりつかない。  足の豆が痛くなってくる。最近こればっかだ。  とうとう肩から下げた小さな鞄まで、嫁に持ってもらう。  途中、桜えびを食べさせてくれるお店がたくさんあるので、お目 当てのお店をやめて、そこらへんのお店に入るかと何度も迷う。    とにかく脳内出血で入院して以来、行けるところには全部行って おこうというのが、最大の課題になっているので、つい無理をして しまう。RPGで、もう残すところ、最終ボスだけになって、まだ 買ったことのない武器・防具を買いにまわっている場面なのだ、今 は。日本の名所で行ったことのない場所は、とにかく全部行って、 人生のゲームのほうを終わりたいのだ。    というわけで、汗だくになりながら、井筒屋さんに到着。  ひ〜、疲れた。腹も減った。  本陣定食というのを食べる。  桜えびのかき揚げ、桜えびの刺身、桜えびの佃煮、桜えびのお吸 い物、まぐろの刺身、生しらす、桜えび入りのご飯。お新香。  夜中にこの日記を読んでいる人、お腹がくうっと鳴りませんか? 美味しかったですよ。これでわずか2000円。物産展で食べた桜 えびの刺身よりは、小さいので、殻がやわらくて食べやすい。生し らすが美味しい! あまりにも美味しいので、帰りに魚屋さんで生 しらすを買って帰ったのだが、何時間もたってしまったので、すっ かり不味くなってしまった。やっぱり名物は現地で食え! これに 限るなあ。

↑ さくらえびづくし
 食後、江戸時代の由比正雪の乱で有名な、由比正雪の生家に行く。 今は紺屋さんになっている。デザインがいいので、手ぬぐいと巾着 袋を買う。  向かいには、本陣公園という広い場所があり、安藤(歌川)広重 の美術館があるので行く。  由比町は、東海道五十三次の宿場町として有名なので、こういう 大きな美術館を建てているのだ。  そろそろ浮世絵のお勉強を始めてもいいような気がするなあ。役 者絵や美人画にはあまり興味がないけど、風景画だと『桃太郎電鉄』 に通じる部分があるから遠くない。そういえば昔親戚のおじいちゃ んから、東海道五十三次のラベル・マッチをもらったことを思い出 す。美術館で広重の図録と、絵ハガキを買う。  さて、次は清水市の有名な美保の松原へ行くつもりなのだが、す でに体力がかなり消耗していて、電車とバスを乗り継いで行くと、 立ち往生しそうなので、タクシーに乗る。  運転手さんが「さった峠を通って、興津に抜けますか?」という。 「さった峠?」。聞いたことがない。  薩摩の「薩」と、土偏に垂直の垂直「土垂」? コンピュータに もこんな字ないぞ。  でも五十三次にも登場する有名な峠だという。  ならば行かねばなるまい。  しかしこの安易な選択が、またしても私を恐怖のどん底に陥れた のである。  最初はまあ、単なるみかん山を登り始めたなあという坂道だった のだが、行けども行けども登る。道幅はタクシーの幅+1メートル くらい。左側は見事に切り立った崖。海に競り出た高速道路のよう な国道が「さあ、落ちてらっしゃい!」とばかりに1本だけ走る。  テトラポットの山が痛そうだ。痛そうだという状況ではない。 「ふう!」。急な坂道が終わって、緊張を解くと、また急な坂道が。 「ひ〜〜〜〜〜」。私の細い悲鳴が、こだまはしない。知ってたら、 絶対こんなところ来ないよ。東海道五十三次なんて、箱根の山だけ 峻険で、あとは平野の連続とばかり思っていた。  これじゃ天然のジェットコースターじゃないか!  高所恐怖症に、この山道はつらすぎるぞ!  途中、展望台みたいなのがあって、嫁が確か「見晴らしがよさそ う…」とか、何とか(記憶があやふや)言ったら、運転手さん、 「寄りましょうか?」と、アクセルを離す。 「やめてくれ! 車が落ちるだろうが〜(もちろん声に出ない)」  今年の旅は、どうも坂道に祟られる。  6月2日の岐阜県金華山のドライブウェイは大丈夫だろうなと、 早くも心配になる。ロープウェイで登る所を、裏から登るんだぞ!  嫁が「びわがこんなに…」とか何とか言ってるが、返事が出来な いまま、何とか山越え終了。  昔の人は、みんなここを通ったのか。東海道はここしかないとい う。海沿いの道路は、近年海の上に作ったという。ひえ〜。昔の人 は偉いもんだなあ。日数かかるだけだと思ってた。毎回命がけの旅 だったんだなあ。参勤交代で財力も疲弊しただろうが、精神的にも 体力的にもこりゃ、相当まいっただろうなあ。  歴史も現地を見てみないと、わからんもんだ。  タクシーはようやく快適な道を走って、三保の松原に到着。  羽衣伝説で有名な、いわゆる白砂青松(はくさせいしょう)の景 勝地というやつなんだけど、古い観光地は、どうしても企業努力を 怠っている観光地独特のムードが漂っていていやだ。浜辺に出ると 貝殻ひとつない浜なのだが、土産物屋には貝殻セットが販売されて いる。水晶細工の置物も多い。  浜辺は、天気はいいのだが、視界が悪く、富士山が見えない。  富士山が見えないのに、とやかく言うのはよそう。

↑ 羽衣の松
 そのままタクシーで、静岡駅に向かう。  久能山の石垣いちごの段々のビニールハウスがきれいだ。  午後3時すぎ。静岡駅で1時間後の新幹線のキップを購入して、 静岡に来たら、必ず寄るところに向かう。  静岡駅北口ホテルアソシア2Fの静岡茶喫茶「ちくめい」だ。  ここは600円で、玉露+和菓子のセットがいただける。新茶や 抹茶のセットもある。玉露は自分で煎れる。  午後6時すぎ。自宅で伊勢うどんを食べながら、横浜VS阪神戦 をNHK衛星第1で観戦する。  日帰りにしては、充実の一日だった。  夜は、鍼灸師の弓削くんが来る。きょうは歩いたから、マッサー ジが痛いぞ。




5月23日(土)


 午前中、タクシーで品川駅へ。
 京浜急行の特急で、終点の三崎口駅をめざす。
 電車の座席がボックス式じゃなくて、ふつうの通勤電車のように
通路をはさんで向かい合ってる式なので、どうも旅行気分が出ない。
まあ、2日続けて日帰り旅行する家族はなかなかいないのだが。
 昨日、娘が突然「とろまん」が食べたいと言い出したのだ。
 とろまんというのは、魚のトロの肉まんのことで、前回嫁と、マ
グロで有名な三崎港で見つけた珍品なのだが、そのときマグロを食
べ過ぎて、とろまんを食べることができず、お土産で買って来なか
ったと、娘が怒っていた代物なのだ。もう半年以上たったのだがら、
忘れていたと思ったのだが、娘の食い物に対する執念は尋常ではな
い。完結するまでは絶対忘れない。

 というわけで、家族は京浜急行に乗っている。
 どうも路線によって、乗っていて疲れる電車というものがあるも
のだ。東京だと、小田急線とこの京浜急行だ。京都だと梅田行きの
阪急電車。だからいつも京阪電車で大阪に向かう。
 この京浜急行も品川駅から、わずか75分なのだが、どうも2時
間以上乗っているような気分になる。
 終点の三崎口駅の駅前が、バス以外何のお店も見あたらないで、
すごく淋しい所に来た気分にさせられる。
 タクシーがなかなか来なくて、20分以上待つ。その間バスも発
車しないところがいかにも駅前にお店が建たないような所だ。

 12時30分。以前行って、マグロの美味しかった「S」に行く。
いきなり長蛇の列で待たされる。娘の常套句「腹減った」の回数が
増える。私だって腹が減っている。マグロのために、朝は軽くしか
食べなかったのだ。
 けっきょくカウンターに座れず、テーブル席。お店は本当にお客
さんでごった返していて、観光地のドライブインみたいだ。
 大トロ、中トロ、めばちマグロの3種セットなどあって、マグロ
好きにはそそるメニューが並ぶ。
 もちろん食うことに命をかけているわが家族は、マグロをばんば
ん注文する。よく「さくまサンは、車、ベンツですか、ポルシェで
すか?」と聞かれるのだが、徒歩だ、実は車マニアだったのだが、
ある時から1500万円も出して、ポルシェに乗るくらいなら、そ
の分美味しいものを食べたほうがいいと、路線を変更した。まさか
路線を変更したとたん、その路線にぴったりすぎる家族が付いてく
るとは思っていなかったが…。

 で、腹をすかした家族は、マグロをぱくつくのだが、おや? 
 どうも美味しくない。以前よりかなり不味い。このお店が初めて
の娘は、早くも気に入らなかったときの兆候が出て、食べるスピー
ドが異様に遅くなっている。
 せっかく私があげたイクラを食べない!
 子どもは何と言っても、お店の名前で食べないからなあ。
 一流の料理人は、新しい料理を思いついた時、必ず小学生に最初
に食べさせるという。
 
 う〜ん。どうもきょうのお寿司は生臭い。
 去年来た時は美味しかったのにな。お寿司はカウンターで食べな
いと美味しくないという鉄則にはまったのかなあ。
 何とも答えが出ないまま、店を出る。
 美味しくないので、嫁の機嫌が悪い。
 レジのおばあちゃんがまったく足し算が出来なくて、何度も計算
をやり直していたそうだ。前のお客さんはとうとう自分で電卓を押
したそうだ。それはいかんよなあ。店を出た時も、20人ぐらいの
お客さんが待っていた。だからといって、計算のできないおばあち
ゃんまで戦力としてつかってはいかんよ。

 食後、娘が、水中観光船の旗を見て、乗りたいと言い出す。海底
散歩とあるが、要するに船の底をガラス張りにして、水中が見える
ようにしてあるだけで、潜水艦ではない。どうせいいかげんな船だ
とは思うのだが、話のタネにはいいので、乗ろうとするが、乗船券
は大人2000円。ところがきょうは1000円だという。サービ
スかと思ったら、きょうは海中の視界が悪いから、値段が安くなる
という。何じゃそれって、ほとんど見えないのを、最初から言い訳
してるだけなんじゃないのか? 
 またこの説明をするおばあちゃんの説明が、何を言っているのか、
さっぱりわけがわからない。
 もう面倒なので、乗るのをやめることにした。
 
 とにかくこの町は、マグロで立国しようとはしているのだけど、
人材の大半がおばあちゃんでは、将来性がない。町全体をもう少し
若々しくしてほしいものだ。どのお店もどうも淋しいムードが漂っ
ていて、歩いていても、すぐ帰りたくなる。
 商店街で「とろまん」を買い食いする。けっこう私には美味しか
ったのだが、グルメ・バカ娘は、大阪の豚まんのほうが美味しいと
いう。まったく食うことになると、妥協を許さない、かわいくない
ガキだ。まあ味のセンサーは娘のほうが精度が高いのだから、味は
いまいちなのだろう。

 再び京浜急行で、東京へ。
 何だかこのまま帰るのも、しゃくだから、まったく知識はないが、
品川の手前の青物横丁駅で降りてみる。この青物横丁駅という名前
はどうも以前から気になる名前だったのだ。変な名前だしね。
 しかし降りて、お店の人に聞いても、名物はないという。野菜市
場も今はないそうだ。
 品川寺という少し広いお寺があったので、寄ってみる。
 七福神の像やら、樹齢600年の銀杏(いちょう)やら、大きな
馬の彫像などがあって、おもしろい。ただ雑然と置かれているので、
どこにでもあるような地味なお寺になってしまっている。
 新撰組の土方歳三もよく泊まったらしいし、このへんをもっと整
理すれば、観光地としても…と思ってしまうのが、私の悪い癖だ。
 お寺なのだから、私ごときがとやかく言ってはいけない。
 
 さすがに、2日続けての日帰り旅行は疲れた。
 きょうは漁港に行っただけに、潮風で身体がべとべとする。
 
 きょうのベイスターズは、昨日に続き、甲子園で阪神が相手だ。
 もちろん帰りの電車のなかで、ベイスターズ・ダイヤルに電話し
て途中経過を聞いていたのだが、帰宅した時は、5対4と詰め寄ら
れていた。さっそくNHK衛星第1で、ベイスターズ戦を見る。
 よしよし、今年一押しの横山投手はなかなかがんばっているぞ。
 う〜ん。最後はやっぱり佐々木様が出て来てしまうのか。
 まあ、佐々木様が見られるのはうれしいからいいか。
 そろそろスカイ・パーフェクTVに加入して、ベイスターズ戦を
全戦見ることができるようにしないと。


 夜、つい最近開設した、私の弟子の原口一也のホームページの日
記を、嫁にプリントアウトしてもらって読む。おもしろい!
 まず「道楽仕事人日記」という名前が、私の日記の名前をもじっ
ていて、うれしい。師匠のマネをする弟子というのは、かわいいも
のだ。まだ若いので、観た映画の数や小説の数が多いので、うらや
ましい。
 原口一也は、『ジャンプ放送局』の昔の投稿者で、大学卒業後、
私の紹介でゲーム攻略本業界随一の会社・キャラメル・ママに入り、
エースとして活躍した。集英社発行の『FF』『ドラクエ』などは
みな原口がチーフだった。去年30歳を期に、独立。自分で事務所
を始めた。無類のプロレス好き。
 年末発売の『さくま式人生ゲーム』のプロレスラーの部分のメッ
セージは、原口が書いているので、お楽しみに。
 さくまにあとしては、ぜひ原口一也のホームページのほうも見て
ほしい。ときどき私が出て来て、おもしろいよ。
 というわけで、原口一也のURLは、以下の通り。URLって何
だ? アドレスとかいうのじゃないのか?
 あとは嫁にまかせよう!

◎原口和也のホームページ:http://www.stfpro.com/




5月24日(日)


 きょうはのんびり起きる。
 さすがに少し休養を取らないと、昔の私に戻ってしまう。
 何しろ、どんなに疲れていても、精神力で何とかしてしまってい
て、そのうち限界を越えてしまって、脳内出血になってしまったの
だから、無理をしないことを覚えないと。

 お昼。新宿の紀伊国屋書店に行く。
 ここの1Fに最近、旅専門のフロアが出来たので、よく利用する。
 きょうは、昭文社の『マップル県別情報版』の欠けてる本を補充
しに来た。旅行用の本は、今まで何千冊買ったかわからないんだけ
ど、昭文社の本がいちばん記事が充実している。
 とくに『旅・王・国』のグルメ情報は、当たる確率が高い。
 みんなも旅の本に載っているお店で食べて、とんでもない目に会
ったことないかな。私はいつもひどい目に会っていた。それが昭文
社の本と出会ってから、ハズレる率が減った。
 ということは『桃太郎電鉄』は、昭文社さんのおかげによること
が多いということになる。昭文社さんに感謝しなきゃ。
 なんだかんだ、旅の本を30冊ほど買う。

 2時に帰宅。きょうのベイスターズはデー・ゲームなのだが、ス
カイ・パーフェクTVの「スカイ・A」というのでやるという。昨
日スカイ・パーフェクTVに入らなきゃと思ったことが、早くも現
実化してしまった。う〜む。今から加入しても、きょう見られるわ
けでもないしなあ。
 すると、うちの嫁が、ケーブル・テレビで「スカイ・A」ならや
ってるわよという。ん? ど〜なってんだ? 
 なるほどケーブル・テレビ36チャンネルでやっている。
 何だかわかんねーなー。もう互換性があるんだか、何だかはっき
りしてくれよ。ギガ・テレビとか、スターチャンネルとか、どれが
どうなってるのかわかんないし、ディレクTVってのもあるんでし
ょ。パーフェクTVの名前を覚えたら、JスカイBのほうがいいっ
て言われて、加入するぞと決めたら、合併して、スカイ・パーフェ
クTVになったという。
 もう最初から、チャンネル数200ぐらいのテレビ発売して、ど
れにでも対応するやつにしてくれよ。ダメか、WOW・WOWとか
いうのもあったな。何でもいいからまずはベイスターズの試合を見
せてくれ。

 何だかわからないまま、横浜VS阪神戦を観戦。
『さくま式人生ゲーム』のテストプレイ結果を、テレビを見ながら、
まとめる。途中から優勢になったから、安心して見ていられる。
 佐々木様が3連投は少し気になるが、勝てば何でもいいや。まし
てや苦手の阪神に3連勝なんて珍しい。

 気分がいいから『桃太郎伝説』のギャグ・キャラの原稿書きも始
める。そういえば昔ベイスターズが勝つと、原稿のノリがいいから、
ずっと明け方まで原稿を書き続けたものだ。
 夜ご飯ができたと娘が迎えに来たので、やめる。
 
 食後、LDで『コン・エアー』を観る。
 ニコラス・ケイジはいい。ありがちなパターンの派手なアクショ
ン映画なんだけど、登場人物が多すぎて、外人の顔を覚えるのが苦
手な私には大変だった。でもおもしろかったのだから、相当出来は
いいのだろう。
 ニコラス・ケイジとブルース・ウイルスが競演したらおもしろい
だろうな。やりそうだけど。




5月25日(月)


 お昼、青山の日本料理店「K」に行く。
 新チャレンジなんだけど、ちょっといまいち。雰囲気も悪くはな
いのだが、味が凡庸。惜しい。
 食後、根津美術館のそばで、偶然入ったお店のモンブラン・ケー
キが美味しかった。
 きょうは、いまにも雨が降りそうで、湿気が多く、歩きづらいの
で、散歩は中止。タクシーで家に帰る。
 ああ、もうすぐ梅雨が来る。梅雨は歩きづらくなるのだ。

 そろそろ『桃太郎伝説』のギャグ・キャラを完成させないと。
 凝ったものだから、なかなか出来上がらない。
 まあ、『桃伝』は、ギャグが命だから、仕方がない。
 よく考えてみたら、RPGで敵キャラにギャグが入っているのも、
うちだけなら、メッセージ・ギャグでなく、全部特殊処理で、ギャ
グを入れてるのなんて、うちだけだもんなあ。誰も評価してくれな
いので、自分から言わないといけないのが、侘びしい。ははは。

 午後2時。レイアウターの野沢ちゃんが来て、『わるわ〜るど』
の単行本の打ち合わせ。
 宮路一昭くんも来て、こっちは『桃太郎伝説』の音楽の打ち合わ
せと『さくま式人生ゲーム』のテストプレイ。
 いつのまにか『桃伝』の曲の数がどんどん増えている。文句も言
わず続々作ってくる宮路一昭くんは、えらい。
『さくま式人生ゲーム』のほうは、宮路一昭くんに、バカ受け。
 みんな、このままミニゲームだけで、パーティゲームで売り出せ
ば?と必ず言うので、困っている。いい反響なんだけどね。私もこ
こまでミニゲームを豪華に作ってくれると思ってなかったからね。

 夕方、大関若乃花が、横綱に推挙されていた。
 やっぱり血縁関係の話題が入ると、ニュースの価値はぐ〜んとア
ップするもんだなあ。兄弟横綱かあ。いいなあ。私がまだ中学生の
頃、お父ちゃん(先代の貴乃花)は、杉並区では、有名な水泳選手
だったので、すごく身近な感じがする。
 松田聖子の結婚は、まあ、いいや。
 昔、芸能雑誌のライターをやってた頃なら、今頃かけずり回って
ただろうなあとは思った。編集部の騒然とした雰囲気が懐かしい。
あの頃は、山口百恵の結婚騒ぎだったけど。古い〜。

 夜、そろそろアワビが美味しい季節なので、先週ぐらいから、西
麻布の「分(わけ)とく山」にずっと予約をしていたのだが、いっ
ぱいらしくて、なかなか行くことができなかった。
 きょうようやく、午後7時30分ならOKというので、西麻布に
向かう。うちのグルメ・バカ娘は、万年腹減り病で、夕方4時をす
ぎる頃から「腹減った」を連発するので、午後7時30分からの食
事というのは、十分遅いのだ。
 午後7時30分。まだお客さんがいっぱいだという。
 しばらく西麻布界隈を散歩する。
 何度も店に電話するが、まだ客が帰らないという。
 午後8時をすぎる。
 娘は「何でもいいから食わせろ〜」と、うつろな目をする。
 バカ言え! おまえが何でもいいような食べ物をすいすい食べら
れるなら、いつもおまえを家に置いて行けるのだ!
 しかしもう西麻布を2周してしまったぞ。いつもならこんなに待
たせるお店なんぞ、二度と行かなくなる。だが、ここのアワビの磯
焼きは、どうしても我慢してしまう。
 なにしろ、ここのお店の人の礼儀がていねいなので、許してしま
う。味がよくても接客の悪いお店は絶対嫌だ。

 というわけで、分とく山(わけとくやま)。
 まずは、もずくとじゅんさいからスタート。途中で出たじゃこ飯
がいい。餅米だな、あれは。カレイのお刺身も美味しかった。はも
とレンコンではさんだあんきもを梅肉で食べる。
 はもと梅肉がお店で出ると、もう夏はすぐそこだ。
 そして、この店自慢の、アワビの磯焼き。きょうはとくに美味し
い。店の人に聞いたら、上に乗っている青海苔が旬のせいだという。
なるほど青海苔が抜群に美味しいのだ。もともと青海苔は大好きだ。
 かわいそうなのは、グルメ・バカ娘。
 小学6年生にして、ほとんど好き嫌いがないのだが、貝類がダメ
なので、こんなに美味しいアワビの磯焼きが、あいつにはもうひと
つなのだ。最後のほうでも、サザエと昆布の美味しいやつが出ても、
ギブアップしていた。珍しいほど、グルメ・バカ娘の完封負けであ
る。たまにはこういうことがないとね。

 帰宅したら、もう10時30分。ビデオで「ヘイ!ヘイ!ヘイ!」
を見たり、本を読んだりして、寝る。食べ過ぎて、ちょっと太った。




5月26日(火)


 お昼、新宿へ『エイリアン4』を観に行く。
 とにかく、おもしろい!
 絶対お勧め!
 ただクリエーターは、必ず粗探しをしないといけない種族だから
シナリオ・ミスを発見してしまうのがつらい。
 盛りだくさんにしすぎたせいで、どのキャラも悲しい設定になっ
てしまって、お客さんは誰に対して、どのように感情移入していい
かわからなくなる。
 ラスト・シーンは違う方法は、なかったのかなあ。
 私でもたぶんこうしてしまうのだろうけど。

 午後3時。家で、『桃太郎伝説』の原稿書き。
 ふっふっふ。おもしろいよ〜。
 おもしろいけど、ランダム・メッセージの数を多くしすぎて、墓
穴ボリボリだ。

 夜はおかゆに、伊勢丹で買ってきたお総菜を食べる。伊勢丹のお
総菜がいちばん美味しい。昨日食べ過ぎたので、こんにゃく中心の
おかずだ。ダイエットはここが肝心。

 食後、『メイキング・オブ・エイリアン4』のビデオを観る。
『エイリアン1〜3』をセットで買うと、メイキング・ビデオがつ
いてくるという上手い商売にまんまとはまる。
 もともとメイキング・ビデオ・マニアだ。たまに本編観てないの
に、メイキング・ビデオだけ買ってしまうくらいだ。
 それにしても映画の技術って、もうとても追いつけないようなレ
ベルまで行ってしまっている。ゲームは映画を追いかけないほうが
いいんじゃないかなあ。

 再び『桃太郎伝説』の原稿書き。
 
『チョコバナナ』投稿者の岩岡目々さんと、電話で打ち合わせ。
 まあ、とにかく絵コンテを何回ボツにしても、めげずに描いてく
るのだから、すごい子だよ。少しずつよくなっていくし。時間はか
かるかもしれないけれど、いつか大成してしまうんじゃないかな。
 描き続ける。簡単なようで、いちばん難しいことだよなあ。

 ベイスターズが、単独2位に浮上! 5連勝!
 浮き足立ちそうだ。そわそわ。  




5月27日(水)


 午前11時。『チョコバナナ』投稿者・今井一志、藤川かつらサ
ンが相次いで来る。漫画の打ち合わせ。

 午後2時。増田景子さんが来て、『さくま式人生ゲーム』のこま
かい打ち合わせ。

 午後5時。『チョコバナナ』投稿者のえんらえんらサンが来て、
絵コンテの打ち合わせ。
 きょうはほかにも、こんにょサン、ブリッジーくんの漫画が届い
て、一日チョコバナナDAYだ。どの作品もおもしろい。
 16巻用の候補作は一体何本あるんだろう。まだ15巻も発売に
なっていないというのに。全部載せたいけどなあ。16巻も分厚く
するつもりだけど、限界ってものがあるよなあ。

 夜、青山の広島風お好み焼き「たっちゃん」に行く。
 メンバーは、嫁、娘、増田景子さん、藤川かつらサン、えんらえ
んらサン。
 最近は女の子のほうが「食いっぷり」がいいねえ。「食いっぷり」
というと下品そうだけど、女の子のほうが自分から進んで「美味し
いです〜」という。
 男の子は「どうだ、美味しいか?」と聞くまで、ずっと黙って食
べる。で、答えは「ハイ」と小さな声。
 いつから男の子と女の子の性格は逆転してしまったのだろう。
『チョコバナナ』のすごさの秘密はここにあるような気がする。何
たって投稿者の8割強が、女の子なのだから。数少ない男よ、がん
ばれ!
 
 がんばれと言えば、わがベイスターズは首位広島と対戦中。
「たっちゃん」にいる時から、ラジオで他球場の途中経過で、横浜…、
広島…という声が聞こえて、気になって仕方がない。
 確か、1回表に鈴木尚典が本塁打を打ったような…。
 お店からベイスターズ・ダイヤルに電話するが、お話中がずっと
続いて、繋がらない! ええい、イライラする!
 早く、帰ろう!
 帰宅後、今度はフリーダイヤルのほうのベイスターズ試合速報を
聞く。こっちのほうのダイヤルは、携帯電話では繋がらないのだ。
 ひ〜! 逆転されて3対2! やば〜い!
 一応、えんらえんらサンが『さくま式人生ゲーム』のテストプレ
イをして、興奮しているのが、うれしいのだが、私にはベイスター
ズの行方が…。
 午後9時。藤川かつらサンと、えんらえんらサンが帰る。
 ベイスターズ・ダイヤルに電話。
 8回裏、依然として、3対2のまま。う〜ん、広島は小林幹英だ
し、こりゃ無理だなあと、うなだれると、嫁が「同点よ!」という。
何を言うんだ! 私の前で、ベイスターズのことで嘘をつくと、嫁
でも許さんということを知っておろうが!
 見ると、何とインターネットで途中経過が表示されているではな
いか! どうしてインターネットはこんなに情報が早いんだ!
 しかしこれは身体に悪い。ベイスターズは表の攻撃。表で0で終
わると、あとはさよなら負けか、次の表まで進めるかのふたつにひ
とつしかないではないか。う〜ん、見たくないけど…やっぱり見た
い! とりあえず、風呂に入ろう。
 えっ! 勝った? やった! ついに広島に1ゲーム差だ!
 うひょひょひょひょ! ローズ様がいないのに、みんなよくがん
ばっているぞ! 
 う〜ん、スポーツ番組をはしごだ!




5月28日(木)


 午前中、『桃太郎伝説』のギャグ・キャラの原稿第1稿が完成す
る! ふうっ! 疲れた〜! ひさびさに根を詰めてしまったぞ。

 午後2時。イースの蝦名さん、北川さんが来る。
 私が監修のゲーム『DK』は、どうやら年末まで発売がズレこみ
そうだ。う〜ん。十分もう発売OKな気がするんだけどなあ。
 嫁は、Macを蝦名さんにチェックしてもらう。
 私は、初めて蝦名さんに、レッツ・ノートを自慢する。
 しかし、すぐ「ナントカと、ナントカも入っていて、すごいです
ね〜」と言われ、私がレッツ・ノートを、百科事典と駅すぱーとと
してしかつかっていないのがバレる。
 そういえば、まだレッツ・ノートで、文章ひとつ打ったことがな
かった。ははははは。
 蝦名さんと北川さんが『さくま式人生ゲーム』をテストプレイし
てくれた。またミニゲームだけで発売したら?と言われる。
 う〜ん。みんなそういうなあ。すごろくの部分がないと『人生ゲ
ーム』じゃなくなってしまうのだよ〜。
 それでも北川さんがずっとミニゲームにはまってくれたのは、う
れしい。お寿司のミニゲームが受けたのは、特にうれしい。何たっ
て『さくま式人生ゲーム』は、マイブーム炸裂のゲームだから、一
般性があるのか心配だったのだ。

 夜、蝦名さんたちと、新しいお店「ルナ・アンジェロ」にチャレ
ンジ。
 以前お気に入りだったお店が潰れて、そこに新しいお店が出来た
ので、行ってみた。パスタ中心のいかにも原宿風のお店だ。なかな
かの味。そのうち東京ウォーカーに登場しそうな気がする。

 このお店で、蝦名さんと新しいゲームの出し合いを始めたら、止
まらなくなってしまって、お店の人に許しを得て、4時間近く打ち
合わせしてしまった。うちの娘を途中で嫁に連れて帰ってもらった
ぐらいだから、真剣な会話。
 しかも内容はいよいよというか、ついにというか、野球ゲーム!
 この先は言わないよ〜! 斬新なアイデアだけに、越えないとい
けないハードルがたくさんあるからね。
 これが実現したらおもしろいぞ〜!
 う〜ん、もうちょっと浮かべば、GOサインなのに!
 ダメだ、続きをお互い練ろうということで、散会。

 帰宅すると、ベイスターズが完封負けしていた。
 う〜ん、野球ゲームの骨格がまとまれば勝ったのかなあと反省。
 関係ないけどねえ。実体のない仕事をする私たちは、すごく縁起
をかつぐものなのだ。
 でも昨日まで6連勝したんだから、満足、満足。




5月29日(金)


 午前中、赤坂のTBS側の「はやし」にチャレンジ。
 親子丼の美味しいお店と、ガイドブックにあった。
 ビルの4Fに、囲炉裏端(いろりばた)風の内装なので、ちょっ
とびっくりする。備長炭まで赤く燃えている。
 親子丼は、田舎風で、内装にはぴったりの味だ。
 でも私と嫁が好きな、玉子ふわふわタイプの親子丼ではないので、
お気に入りにまでは至らないが、この親子丼を好きな人はたくさん
いるだろうなということで紹介しておく。
 
 食後、虎屋のようかんの「虎屋」まで歩いて、抹茶と和菓子のセ
ットを食す。最近珈琲よりも、抹茶と和菓子のほうがホッとするよ
うになってきた。

 午後2時。税理士の赤根くんが来て、今後の会社経営について、
打ち合わせ。
 税金のことは、よくわからん。
『チョコバナナ』が節税に貢献しているというのが、うれしくない。
 いくらでも税金払ってあげるから、黒字になってほしいものだ。

 夜、嫁が外出したので、娘を連れて、新宿に行く。
 ゲームと、ビデオと、LDと、フィギュアを買って、王ろじで、
とんかつセットを食べて帰る。

 ベイスターズは雨で中止。
 あとは鍼灸師の弓削くんを待つだけ。




5月30日(土)


 午前中、紀伊国屋書店地下の博多うどん「まるてん」に行く。
 透き通るようなおつゆに、丸いさつまあげみたいなのがのってる
だけのシンプルなうどん。めんがやわらかそうで、けっこう腰があ
る。あまりお腹がすいてないときには、このうどんがオススメ。
 値段660円と、いかにも新宿料金。

 食後、紀伊国屋書店で本を探す。
『東海道中膝栗毛』をずっと探しているのだが、見つからない。
 紀伊国屋書店でもないとなると、今後が大変だ。
『東海道五十三次』の本は多いのになあ。きょうも『江戸・大正・
平成・東海道五十三次』という本を買う。
 ついでに『信長公記(しんちょうこうき)』を買う。
 織田信長の本として有名なのだが、なぜわざわざ「しんちょうこ
うき」と読むのだろう。「のぶながこうき」でいいのに。

 帰宅後、みんながおもしろいというし、弟子の原口一也が攻略本
を編集して、オススメだとプッシュするセガの『プロ野球チームを
つくろう』をやる。
 プロ野球団を経営するのかあ。
 リアルだなあ。
 もちろんベイスターズだぞ。
 ダメだ! 試合がリアルすぎる! パンチョ伊東さんのナレーシ
ョンまで入ってるから本当にテレビ中継を観ているような気になる。
しかもいきなり対ヤクルト戦、6対0で完封負け! ダメだよ、こ
んなの! 心臓に悪すぎる!
 ひさびさにおもしろいゲームだと思うけど、私には内容が切実す
ぎる。まいったなあ。

 午後2時。レイアウターの野沢ちゃんが来る。単行本『わるわ〜
るど』の入稿間際。

 夕方、忘れず横浜VS中日戦を、テレビで観る。
 一喜一憂しながら、なんとか3対0までこぎつけたところで、後
ろ髪を引かれながら、新宿へ。

 午後5時。朝日生命ホールで、文化放送『エーベル・ナイツ』の
公開録音にゲスト出演。
 出演は、三石琴乃さん、白鳥由里さん、平松晶子さん、豊口めぐ
みサン。みんな声優さんなので、かなり浮く。
 でもスタッフのなかのよさがにじみ出ている、いい番組だ。
 司会役で、放送作家の今村良樹さんが出ているのだが、彼は昔
SMAPとおなじぐらい人気のあったアイドル・グループのメンバ
ーだ。彼の司会がうまいので、楽しく出演できた。
 どうせだからと、うちの娘と、小学校の同級生もいっしょに連れ
て来た。娘の同級生がやたらアニメや、声優さんに詳しいので、い
ろいろ教えてもらう。
 その話のなかで、お兄ちゃんの学校に、週刊少年ジャンプ『ジャ
ンプ団』の井沢どんすけ(どんちゃん)が現れて、ゲームの企画書
を見せてくれたとか、ないとかという話題が出る。
何? 私のペットの井沢どんすけが? 先生か?????
 人前に出ると、アニメみたいにきれいに真っ赤っかになる、色白
の井沢どんすけか? 講義したのかな?
 う〜ん、こんなおもしろい話、もっと深い知りたい! なかなあ
あいつには連絡つかないしなあ。そのうち呼んで尋問しよう。 

 公開録音終了後、場所が近いので、おそばの美味しい「竹がみ」
に行く。
 お昼しか来たことがないので、前から一度食べてみたいと思って
いた「そば懐石料理」を食べる。
 鯛を甘く煮たやつとか、筑前煮みたいなのも出て、これが美味し
い。おそばはいつも通り美味しいし、天ぷらもいい、デザートの水
菓子が絶品! 杏仁豆腐の上に、めろんゼリーみたいなのがのって
いて、何ともいえない清涼感。上品な甘さに、みんなで「う〜〜〜
〜〜ん」とうめいてしまった。
 その「竹がみ」が、6月20日で閉店してしまうという。
 こんなに美味しいのに? 思わずお店に聞いたら、移転だという。
あ〜、よかった。きょう初めて「そば懐石」がこんな美味しいとわ
かったばかりで、もう食べられないなんて、食い道楽にとっては、
痛恨の一撃だからね。赤坂のほうに行くのか。
 行きますよ! 行きますよ!

 本を数冊読んで寝る。




5月31日(日)


 午前中、LDで『エアフォース・ワン』を観る。
 まいっちゃうねえ! 何でこんなおもしろいもんを外人さんは作
れてしまうんだろうねえ!
 映画を観る時は、必ず自分はシナリオ・ライターになって、先が
どうなるかを考えながら、観るようにしているんだけど、ことごと
く自分のアイデアより、数倍おもしろいシーンを観させられる。
 くやしいねえ!
 ハリソン・フォードは、いつも作品に恵まれるのか、どの作品も
彼が名作にしてしまうのか、わからない。名優だねえ! 痛さや苦
しさが伝わってくる俳優は名優ってことなんだろうな。
 それにしても、外国映画の悪役のセリフと行動って、みごとだな
あ。主人公より、何倍も頭がいいから、主人公が困難を克服した時、
よろこびが大きくなるんだろうなあ。
 まいった、まいった、がんばらなくっちゃ!
 
 お昼過ぎ。娘の運動会を見に行く。
 暑い! なんとか騎馬戦は観るが、とても見続けることができな
いので、私だけ帰って寝る。日光を浴びると、どうしてこんなによ
く眠れるのだろう? 何たって、ベイスターズのテレビ中継を観な
がら、寝てしまうなんて、よっぽどのことだ。
 おかげで4対3で、負けてしまった。

 娘が夕方帰って来たが、その場で寝始めて、全然起きない。運動
会で疲れたのだろう。

 夜、無理矢理娘を起こして、新宿の小田急へ行く。
 小田急14Fの「なだ万賓館」に初チャレンジ! …と思ったら、
10数年前に『うる星やつら』のプロデューサー落合茂一さんに連
れてきてもらったことのあるお店だった。
 昔は貧乏だったから「美味しい」ということは覚えているのだけ
ど、どこがどう美味しいのかは、さっぱり覚えていない。

 きょうは美味しさがくっきりわかったぞ。
 お刺身が新鮮だとか、蒸し物の出来をほかのお店と比較できるよ
うになった。神戸牛すきやきの茶碗蒸しが、珍しいメニューだとい
うことを自信もって言える。
 昔、落合さんと来た時は、全品珍しい食べ物だったのだろうなあ。
 家を出るまで「眠い!」を連発していた、グルメ・バカ娘は、も
うすっかり目がくっきりとなって、美味しそうに食べている。顔の
表情から、相当ランクが高いようだ。

 食後、『チョコバナナ』投稿者の天街由佳子さんに電話。
 天街由佳子さんは、ちょうど『桃太郎電鉄7/4コマ劇場』の原
稿を描いていたそうだ。おなじ『チョコバナナ』の投稿者のたつき
じゅんサンが『桃太郎電鉄7』の4コマを100本描いて来たとい
うと、メラメラ燃えていた。
 最近のチョコバナナ投稿者は、ほかの人がこのぐらい描いている
よ、というだけで、みんながんばるから楽だ。それにしてもひとく
ちに100本というのは、やればできるってもんじゃないから、た
いしたもんだよ。
『桃太郎電鉄7/4コマ劇場2』の準備をしないとな。
 
 今回の天街由佳子さんの作品は、けっこうよかったんだけど、あ
えてボツ。新人としてデビューするに足りる内容になるまではOK
しないようにしているのだ。天街由佳子さんはプロの漫画家さんを
めざしているんでね。
 それにしても『チョコバナナ』3年目にして、このレベルでボツ
にできるようになったのは、すごいことだ。
 3年後、10年後の『チョコバナナ』は本当にすごいことになっ
ているんだろうなあ。



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