2010年10月28日(木) 午前4時。目が覚めたので、部屋付きの温泉に入る。 もちろん、宍道湖は真っ暗 対岸の明かりが美しい。 温泉に入って、二度寝。ZZZ…。午前9時。1階で、土居ちゃん(土居孝幸)と待ち合わせ。 「雨ですねー!」 「ほんと、山陰は雨が多いよ」 「さくまサンは、今回、北陸、山陰と、雨の多いところばかり回って来 たんですね」 「そうだよ。さすがの晴れ男も、乱打戦だった」 「きょうはこれから、どうします?」 「いくつか候補をあげていたけど、かなり予定を変更する」 「もう歩けない?」 「その通り。昨日の1万2000歩で、足が重い!」 「雨ですしね!」 午前10時。旅館「なにわ一水」をチェック・アウト。 今回、どのホテル、旅館も当たりだった。 タクシーを呼んでもらって、松江駅を通ってもらう。 話し好きでいい人そうなので、さらに、安来市まで行ってもらう。
午前10時30分。和鋼(わこう)博物館へ。
日本刀を作るときの「たたら製鉄」などについて、その歴史と解説を してくれる博物館。 『もものけ姫』のたたら製鉄のシーンなども、この博物館の展示物を参 考にしている。
この安来市近辺では、良質な砂鉄が採れたので、日本刀を作る技術も 栄えた。 「鉄ができるまで」の過程を見ると、何でこんな面倒な過程を経てまで、 鋼(はがね)を作ったものだと、驚くよりもあきれかえる。 砂鉄を採って、運んで、洗って、重い砂鉄を沈殿させて、ここから砂 鉄を焼こうと思う前に、私だったらもうやめちゃうよ。 ここから砂鉄を焼くのに10トン以上の炭が必要で、その先も窯で、 陶器を焼くように三昼夜、約70時間におよぶ過酷な作業が待っている。 いったい誰が最初に、三昼夜、約70時間焼くといいことに気づいた んだろうね? そこに気づくまでに、どれだけの人が、3時間焼いたくらいであきら めて失敗したことか。 受験勉強のときの自分たちのふがいなさを叱られているような気分に なるよね。はっはっは! 午前11時30分。まだ雨は降り続く。 安来(やすぎ)駅へ。
どじょうすいの踊りの「安来節」で、有名な安来だ。 「安来」を「やすき」と読む人が多いと思うけど、正しくは「やすぎ」 と、濁る。
安来節の踊り自体が、実はどじょうすくいから来ているのではなく、 さっき見て来た「たたら製鉄」の砂鉄を採るときの動作を模したもの なのだそうだ。 ただそのうち、砂鉄を採るというところから「土壌」という言葉が、 「ドジョウ」になったという説がある。 ほかにも「安来(やすき)」と、濁らない名前が間違って広まってし まったのは、精度の高い砂鉄、つまり濁りのない砂鉄を望んだので、や すぎと濁らず、やすきと呼ぶことが増えたらしい。
タクシーの運転手さんは「やすぎ」が当たり前で、「やすき」と呼ぶ ことのほうがほうが不思議のようだ。 何はともあれ、「安来(やすぎ)」が、正しい名前のようなので、今 後も『桃鉄』では、「やすぎ」と表記して行く。 安来駅のお土産品売り場も、安来節のグッズというか、どじょうすく い関係のグッズが多い。 山中鹿之助も多い。 『桃太郎電鉄2010』の歴史ヒーローとしておなじみの山中鹿之助の出身 地だ。 先週のリプレイで、山中鹿之助はお役御免にしようかと思ったけど、 デビキラーさえ完成してしまえば有能なので、残すかな?と思っている。
ゲゲゲの鬼太郎関係のグッズも多い。 タクシーの運転手さんの解説によると、『ゲゲゲの女房』の水木しげ るサンの奥さんの出身地が、安来市だというので、奥さんの実家にたく さんの観光客が押し寄せているそうだ。 ここから、安来道に入り、米子自動車道に入る。 なおも、雨は続く。
午後12時30分。蒜山(ひるぜん)インターで降りて、道の駅「風 の家」へ。
蒜山高原の乳製品が多い。 蒜山牛乳や、蒜山ヨーグルトなどは、東京の高級スーパーでも売って いる。 ミルクパン、バウムクーヘンなどを買う。 そこそこ取材して、次を急ぐ。 蒜山といえば、この間の「B−1ぐらんぷり」で、ひるぜん焼そばが 準優勝に輝いた。
なので、人家の少ない町にも、あちこちに「ひるぜん焼そば」ののぼ りが立っている。 いまさらながら「B−1ぐらんぷり」の影響力を思い知らされる。 午後12時45分。蒜山高原の「いち福」へ。
ひるぜん焼そばの元祖『ますや食堂』のレシピを唯一引き継ぐ店と書 いてあったので、ここにしてみた。 本来は焼き肉屋だけど「現在お昼の焼き肉をお休みさせていただきま す」の貼り紙があった。 「ひるぜん焼きそばのテイクアウトはしておりません」の貼り紙も。 すべては降って湧いたひるぜん焼きそばのブームのせいだ。 店内は満席で、前にひと組だけ待っていた。 ひるぜん焼きそばを食べる。 運転手さんもいっしょ。運転手さんの経歴が非常におもしろかったん だけど、それはまた別の話。 運転手さんの知識が、朝からずっと役に立っている。 ひるぜん焼きそばの特徴は、味噌味。 秘伝の味噌だれをつかっている。 でも、そんなに濃い味噌味ではない。 意外と、あっさりしている。 太麺は、つるんとした味で、そんなにこしは強くない。 運転手さんに言わせると、以前ほかのお店で食べたひるぜん焼そばは、 もう少し麺にこしがあったそうだ。 茹ですぎだったのかな? ほかにも、かしわ肉、大量のキャベツをつかうなどの特徴がある。
おいしいけれど、B−1ぐらんぷりの準優勝になるほどの味なのかと いうと、ちょっと疑問。 ほかのB級グルメを食べた後に、この味噌だれが新鮮に感じたのかな? 私たちが、B−1ぐらんぷり準優勝のキャッチフレーズに過大なる期 待をし過ぎているのは、否めない。 準優勝を知らずに食べたら「おいしい!」と叫んだような気がする。 土居ちゃんが「もう1軒、行ってみる?」と言い出す。 「うーん。ちょっと苦しいなあ…」 「さくまサン、焼きそばが食べられて、牛乳ソフトクリームが食べられ るお店があるみたいだよ」 「ソフトクリーム? 仕事だから行くかあ! はっはっは!」 午後1時30分。珍しく土居ちゃんが、道案内するので変だなあと思 っていた。
「ほら、さくまサン! あそこの休暇村で、稲垣早希ちゃんが寝坊して、 バスに乗り遅れたんだよ」 「土居ちゃん、『ロケみつ』の番組内容をよく覚えてるなあ!」 「東京では、何ヶ月か遅れで放送しているから、けっこう最近この辺に 来たところを見たとおもう」 「東京では、夏前の放送だったとおもうよ。土居ちゃん、ただの『ロケ みつ』ファンになってない? さっきも津山ホルモンうどんは、蒜山か ら遠いの?って聞いていたのも、元ネタは『ロケみつ』だろ!」 「ぎくっ!」 午後1時45分。「ウッドパオ」へ。
「えっ? 焼きそばやってないの? オレの間違い?」と、土居ちゃん。 「土居ちゃ〜ん!」 「ごめん! せっかくだから、さくまサン、ソフトクリーム食べて行こ うよ!」 「それは断らないけどね!」
牛乳ソフトクリーム、旨し。 「さくまサン! このお土産品屋さんにも売ってるけど、蒜山に来てか ら、あちこちにトームテムポールみたいなものが立ってるね! 何だろ うね、あれ」 「何だろう? 私も気になっていた」 後で調べたら、蒜山に伝わるスイトンという妖怪だそうだ。
悪いことを企んだり、他人に迷惑をかたたりする者がいつろ、どこか らともなく「スィー」と飛んで来て、1本足で「ストン」と立ち、まっ ぷたつに引き裂いて食べてしまうという。 だから蒜山には悪人はいないという言い伝えがあるそうだ。 「どうします? さくまサン。ひるぜん焼そば、もう1軒行きます?」 「もうダメ! 歩けない!」 「さくまサン、北陸からずっと旅が続いているもんね!」 「しかも、連日、私にしては、歩きすぎた」 「これからどうします?」 「最寄りの駅に行って、階段を上り下りあいたりする気力も残っていな いから、このまま一気に、岡山駅まで行こう!」 「そうしましょう。運転手さんもいい人だし」 再び、米子自動車道に乗って、岡山駅をめざす。 擂鉢(すりち)山トンネルを抜けたら、朝からずっと雨だったのが、 嘘のように晴れている。 道も全然濡れていない。 山をひとつ越えると、天気はガラッと変わるもんだなあ。 そんなことを思いつつも、疲れ果てた私は、グーグー。 午後3時30分。岡山駅に、到着。
お土産品売り場で、『桃太郎電鉄きびだんご』を発見。 まだ売られていたんだ。よかった! 土居ちゃんもうれしいのか「記念に1個、買って行こう」と、購入。
午後4時14分。岡山駅から、東海道新幹線N700系のぞみ40号 東京行きに乗車。
よほど疲れていたのか、私は新幹線が走り出してすぐ、熟睡。 午後5時51分。新幹線は名古屋に到着。 ようやく私の目が覚めた。 「さくまサン! お弁当、食べる?」 「おっ、そんな時間か!」
土居ちゃんが岡山駅で買ってくれた蒜山おこわ弁当を食べる。 若い人には、量が少ないかもしれないけれど、私にはコンパクトで、 おいしい。 もち米と思ったら、もち麦だって。 もち麦なんて食べるの初めて。 少し体力が回復して来たので、最後にちょっとだけ、土居ちゃんと、 『桃太郎電鉄2012(仮)』のマップの打ち合わせ。 マップがほぼ、まとまって来た。 午後7時33分。終点、東京駅に到着。 ぴゅうううう…。 寒いね、東京は! 土居ちゃんと、駅構内で、別れる。 「次は、11月1日、4時に明治神宮のテツandトモのライブねー」 「それじゃ!」 午後8時。帰宅。 長いこと、家を留守にしていたから、部屋が寒い。 エアコンを点けても、10度はすぐ越えたけど、なかなか20度に近 づいてくれない。 お風呂入って、温まってから、寝ようっと。 土居ちゃんに笑わされ続けて、疲れた。ハハハ!
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