２０１０年９月１０日（金） 午前７時。『桃太郎電鉄SHIZUOKA』の物件一覧表が最高潮！ 『シム・シティ』のように、想像上の町が、私のイメージのなかに出来 上がって行く。 早く静岡県に取材に行きたい！ 午前１０時。喫茶店「らぴす」サンで、カフェオレ。 東京の気温は、２９度。連日の猛暑日を味わっているので、３０度を 切るだけで相当涼しく感じてしまう。 午前１１時３０分。嫁と、六本木の「和ざん」へ。
『桃太郎電鉄』シリーズの来年以降のスケジュールをどう組むかを議論 する重大な会議。。 メンバーは、ハドソンの和気正則執行役員、三井啓介くん、私、嫁、 土居ちゃん（土居孝幸）、ビー・ブレーブの岩崎誠。 先日来、『桃太郎電鉄』は来年はお休みでもいいということになって いたのだが、ハドソンもお家事情があって、『桃太郎電鉄』が来年出な いとなると、かなりやばい状況にあるらしい。 「コンシューマーの『桃太郎電鉄』って、そんなに必要なんですか？」 「ケータイとは、売上高が全然違いますから…」 「ふーん。うちはケータイのほうが、収益率がいいし、早く作れるし、 新しい試みにチャレンジ出来て楽しいんですけどね」 「そこを何とかなりませんかねー。さくまサンの負担が大きいのは、 じゅうじゅう承知しているんですが…」 「何しろ、ケータイが年に２本で、いままたミニゲーム集を作成中で、 飛田雅宏くんの新プロジェクトもあるし、インデックスの樋口由美子さ んとのコラボもあるし、これだけでもう精一杯ですよ」 「わかっているだけに、私のくちからこれ以上作ってほしいと言いづら いのですが…」 「でもねー。正直、ＤＳ『桃鉄２０周年』のときも、別にパーティを開 いてほしいわけじゃないけど、記念式典があるわけでもなく、感謝しま すのひとこともなく、宣伝費も通常通りというのは、やっぱりハドソン という会社は、作り手を下請け業者にしか見ていないんですよ。 私の知り合いで、ハドソンで仕事した男は、『下請け業者なんだから もっと接待しろって！』って言われましたからねえ」 「それは本当に申し訳ないと思っています」 「そうやって、謝ってくれるのは、和気さんだけですよ。ほかの人は、 作るのが当然って顔ですからね。 しかもアレも出来ます、コレもも出来ますと、さんざん大風呂敷を広 げておいて、ひとっつもやらないで、挨拶も引き継ぎもなく去って行き ますからねー。 はっきり言って、昨年、和気さんが担当にならなかったら、さっさと 辞められてよかったくらいです」 「すみません！ 私の代で終わりだけは、ご勘弁を！」 「はっはっは！ そういう気持ちで接してくれるのは、和気さんだけで すよ」 「飛田雅宏くんも、新プロジェクトの話をしてくるしね」と、土居ちゃ ん。 きれい事をいうみたいになってしまうけど、『桃太郎伝説』、『桃太 郎電鉄』のために一生懸命になってくれた人は大事にしたい。 桃太郎シリーズの礎を作ってくれた飛田雅宏くん、浦敏治さん、和気 正則執行役員には、特別感謝している。 ２年連続で、京都でばったり会った角谷みかチャンは、桃太郎シリー ズのグラフィックの開祖みたいなものだ。 「和気さんとか、飛田雅宏くんとか、昔いっしょに仕事して苦労を分か ち合えた人の頼みだと断れないですからねー。 ただ私の頚椎椎間板ヘルニアの悪化とか、私がいまどのくらい体力が 落ちているのか、自分ではわからないんですよ。 だから来年も仕事したいと思っても、確約ができないんです」 「さくまサン、休めって言われても、休み方がわからないんでしょ？」 「そうなんだよ。一度、メモ帳も持たずに、熱海でボーッとすることに 挑戦したんだけど、ボーッとしてたら、『里見八犬伝』のイベントが浮 かんじゃったからね！」 「最高傑作が浮かんじゃったんだ！」 「メモ帳がないから、あわてて井沢どんすけに電話して、いまからいう アイデアを暗記しろ！って言いましたからね！」 「さくまサン、本当に休めないんだ！」 「休み方が、わからない！」 「まあ、とりあえず、時間もらって、いろいろ深く考えてから、返事を するってことでいいですかね？」と、土居ちゃん。 「土居ちゃん！ 君は絶〜〜〜対、考えない！」 「はっはっは！ バレたか。ボクはさくまサンの案に乗っかるだけだか らなあ！」
和気さんのほうからは、クリエイターとしてのやる気が出るような提 案をいくつかしてくれたので、前向きに検討するということで、散会す ることに。 和気さんなら言ったとおりのことをしてくれるので、信用できる。 「じゃあ、いろいろ考えて来ます！」と、土居ちゃん。 「だから土居ちゃん！ 君は絶〜〜〜対、考えない！」 「はっはっは！ そうだった！」
午後３時。六本木の喫茶店で、先日のテレビＣＭの絵コンテのその後 の進捗状況を聞く。 メンバーは、私、嫁、土居ちゃん、三井啓介くん、岩崎誠。 戦場カメラマンの渡部陽一さんのスケジュールも２日間押さえられた そうだ。 いまどき２日間も押さえられるようなスケジュールじゃない。 渡部陽一さんが、ビー・ブレーブの所属で、よかったあ！ 私は想像を絶するくらい嫌なやつにも会うけど、素晴らしい人とは、 長いお付き合いをしてもらうことが多い。 一生素晴らしい人とだけ仕事できるのが、最高の幸せだとおもう。 その夢の８０％くらいは叶っている私は、幸せ者だとおもう。 午後３時４５分。私と嫁は、東京駅へ。 午後４時３分。東京駅から、東海道新幹線ひかり479号岡山行きに乗車。
車中、『桃太郎電鉄SHIZUOKA』の物件一覧表作り。 静岡県は、本当に茶畑だらけだよ。 やぶ北茶、川根茶、掛川茶、御前崎茶、天竜茶といっぱい種類がある。 静岡県の人たちは、お茶を一杯飲んだら、「○○○茶！」と当てられ る人がいるのだろうか？ 午後５時６分。静岡駅で、下車。 清水駅あたりで、巨大ガンダムが見えたけど、新幹線のなかから写メは 厳しい。
午後５時２７分。静岡駅から、東海道新幹線こだま669号新大阪行きに 乗り換える。
午後５時４１分。掛川駅で下車。 午後５時４８分。東海道本線浜松行きに乗車。 帰宅時間のせいで、乗客が多い。 午後５時５６分。掛川駅からふたつめの袋井駅で下車。 東海道五十三次のちょうど真ん中の宿場として、有名な場所だ。
午後６時１５分。「ど真ん中茶屋」というのがあって、袋井宿のグッ ズを売っている。 観光案内所も兼ねているようだ。 けっこう空き地があるから、このまま江戸時代の宿場町を再現したお店 を作れば、一大観光地として、栄えそうな雰囲気がある。
「ど真ん中茶屋」の先の居酒屋「どまん中」へ。 袋井市のみなさんは、よほど「ど真ん中」という言葉が好きなようだ。 「ど真ん中」は、東海道五十三次のど真ん中の意味もあるけど、日本の ど真ん中も意味しているそうだ。
実は、袋井市のＢ級グルメ・たまごふわふわを食べに来た。 わずか５３０円の料理を食べるために、わざわざ新幹線を２本乗り継 いで、さらに在来線に乗り換えてまで、食べに来たのかと言われれば、 それが仕事だからとしか言いようがない。
ふわふわたまごの起源は、江戸時代にまで遡る。 大阪の豪商・升屋平右衛門重芳が袋井宿の太田脇本陣に宿泊した際、 「玉子ふわふわ」が膳にのったと記されていて、そのたまごふわふわを 再現して、Ｂ級グルメとして売り出した。 最近、Ｂ−１グランプリでも、すっかり常連になっている。 商売柄、Ｂ−１グランプリに出場する食べ物は、すべて現地の空気と いっしょに食べないといけないと勝手に思っている。 なので、こうしてわざわざ袋井市まで、たまごふわふわを食べに来た のだ。 たまごふわふわは、ひとことでいうと、卵だし汁ホイップ。 沸騰しただし汁に、ホイップした卵を入れて、だし汁の蒸気で、ふん わり蒸し固めたもの。 ホイップされた卵は、メレンゲ風で、不思議な食感でおもしろい。
「このたまごふわふわは、何といっしょに食べるとおいしいんですか？」 「切り餅を焼いて、ふわふわに入れるのがおいしいね！」 「このスープのなかに入れちゃうんですか？」 「そうですよ！」 「このスープ、抜群においしかったから、それはおいしいだろうなあ！」 このたまごふわふわ、江戸時代は将軍家のもてなし料理と用いられ、 あの新選組の近藤勇が、この料理が大好きだったそうだ。 なので、たまごふわふわの販売業者は、グループ「新鮮組」を結成 して、たまごふわふわを全国区にしようと思っているらしい。 たまごふわふわのほかに、山芋ステーキを食べた。
これがまた、山芋のステーキを袋井市の町おこしにつかえばいいのに！ と思ったくらいおいしかった。 山芋は、袋井市の名物ではないようだ。 お店の人も、お店に来た人も、非常にフレンドリーでいいお店だった。 袋井市の名物は、クラウンメロンというのを教えてもらったし、とく に種取りメロンというのがおいしいと言われた。 む？ そういえば、以前掛川駅で買ったメロンが、種取りメロンだっ た。 ほかにも梅花飯（うめのはなめし）という江戸時代の食べ物もちょっ とした名物だそうだけど、予約制なので、きょうは食べられなかった。 ちょっと残念。 でもフレンドリーなお店の味は、やさしさにあふれていることを再確 認。もう一度このお店、来るような気がする。 午後７時４５分。掛川駅へ。 午後８時２分。掛川駅から、東海道新幹線こだま678号東京行きに乗車。 午後８時５７分。熱海駅で、下車。 午後９時３０分。湯河原の家へ。 明日は、湯河原の家のなかで、私が引っ越し。 私は脳内出血のせいで、箸より重いものが持てないお公家さんのよう な握力になってしまったので、明日東京から、岩崎禿太郎くんが手伝い に来てくれる。 井沢どんすけに引っ越しを頼んだけど、断られた。 断られた理由はわかっているけど、井沢どんすけが絶対書かないでく ださい！というので、本当は書いてほしいんじゃないかと思ってしまう のだが、いまごろこの日記の先を、びくびくしながら読んでいると思う ので許してやるか…。 本日、思いがけず、袋井まで取材に行けたので、『桃太郎電鉄SHIZUOKA』 の制作も、本格的になって来た気がして、うれしい。 どこまで仕事好きなんだ！？
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桃太郎電鉄2010 戦国・維新のヒーロー大集合! の巻
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