2010年6月9日(水)


 昨夜、『竜馬がゆく』(司馬遼太郎・文春文庫)7巻を読み過ぎたあ!
 思案橋界隈の話題満載で、どの辺のあたりの話なのかわかって、目が
くっきり冴え渡ってしまった。ひー。

 午前10時。嫁と、グラバー園まで歩く。

 ホテルから歩いてすぐの場所だ。
 まるで家の近所を散歩している気分だ。
 もちろん、グラバー園は何回来たか忘れたほど来ている。
 でもいつも車で、グラバー園の入り口まで登ってたので、グラバー園
までの坂の両側がお土産屋さんでいっぱいなのは、初めて知った。

 坂の中腹で、びわジュースを飲む。  長崎に来たら、びわですよ。『桃鉄』の作者としては。  うまい。びわ、大好き!

 グラバー園おなじみのエスカレーターを登って行く。  このエスカレーターがないと、これだけの坂だ。観光客は相当減るだ ろうなあ。

 中腹の受付で、「長崎さるくパスポート」に入場スタンプを押しても らう。ホテルでもらったパスポートだ。入場無料になったり、割引サー ビスになっている。  受付を抜けると、またエスカレーター。  足の部分が金属板ではなく、ゴム製なので、エスカレーターではなく 動く歩道だ。

 毎回グラバー園に来て、いつも覚えているのは、このぼよよんぼよよ んと、ゴムがうねる登って行く動く歩道だ。  頂上まで登って、そのまま洋館に入る。  いままでこの洋館をグラバー邸と思っていたけど、旧三菱第2ドック ハウスという建物だった。

 きょうは特別展で、岩崎弥太郎を取り上げていた。  ついNHK『龍馬伝』で鳥かごを背負っている岩崎弥太郎を思い出し て、偉くなってヒゲを生やして、恰幅の良くなった岩崎弥太郎の写真を 見ると、笑ってしまう。

 高所恐怖症の私でも、湾が一望できて気持ちのいい場所だ。

 グラバー園は、グラバー邸と呼ばれることも多いけど、ただしくは、 南山手町の斜面にある西洋館が立ち並ぶ公園のこと。  旧グラバー住宅、旧リンガー住宅、旧オルト住宅、旧ウォーカー住宅 などが保存されている。

 紫陽花がきれいだ。  グラバー園は花のきれいな場所と聞いていたが、いままで花がきれい と思ったことなかった。  きょう初めてきれいだと感じた。  長崎の紫陽花は、ピンク色が多い。  私はてっきり紫陽花は、水色しかないのだと思っていた。

 暑い…。  私が取材で来ているのだから、少々の暑さは覚悟していたけど、暑す ぎるよー。まだ午前中なのに、もうハンドタオルが、びっしょり。  きょう東京は雨なんだって。  私が東京からいなくなったせいじゃないぞ!  旧グラバー住宅を見る。  明治維新の志士たちをかくまった隠し部屋があった。  昨日、『竜馬がゆく』(司馬遼太郎・文春文庫)で読んだばかりだ。  本を読みながら、長崎を歩く。  こういう旅を一度やりたかったんだ。

 午前11時30分。丸山の史跡料亭「花月(かげつ)」へ。

 今回いちばん来たかった場所。  この料亭に予約して、逆算して旅程を決めた。  ここは、江戸時代、引田(ひけた)屋と言って、幕末、明治時代、多 くの歴史の舞台として登場した。 『日本永代蔵』の作者・井原西鶴は、大阪の人たちが、この丸山界隈で お金を使いすぎるのを皮肉って「長崎に丸山という所なくば、上方の金 銀、無事に帰宅すべし」と書いている。  この「花月(かげつ)」に、坂本竜馬が刀傷をつけたといわれる床柱 が残っている。  長崎のほとんど有名な史跡は、ほとんど見ている。  でもこの「花月」だけ訪れたことがなかったのだ。  一度、間違えて「一力」という料亭に行ったことがある。 「一力」も、坂本竜馬、高杉晋作、井上聞多なども足繁く通った料亭だ。  私は、ショッカーO野くん、山本耕一と行った。  でも「一力」には、床柱の刀傷がない。  床柱の刀傷が、本当に坂本竜馬のものかどうかなんて、あてにはなら ない。坂本竜馬が長崎に来る頃には、つねにピストルを携帯していて、 もともと生涯一度も人を切ったことがないという坂本竜馬が、こんな場 所で、刀を振り回すとも思えない。  だからまあ、そのうち行けばいいや程度に思っていた。  ところが今年に入って、ケンドーコバヤシくんが何度もテレビで、宮 川大輔くんとここに来たという話をするのだよ。  ケンコバが来てるのに、私が来てないのは、悔しいじゃない?  そう思って、ずっとこのところ機会を窺っていたのだ。  幸い、天王山の井沢どんすけテスト・プレイが終了し、今週だけぽっ かり人と会う仕事が入っていない。  善は急げだ!  最初に、卓袱(しっぽく)料理を食べる部屋に案内される。  あれ? 私と嫁の2人なのに、個室に案内された。  タイル貼りの床に和風の天井、中国の様式を取り入れた窓の部屋だ。  一番値段の高いコースを注文したわけではないだけに、ラッキー。

 卓袱料理というのは、朱塗りの円卓にたくさんの料理が並ぶ長崎のお もてなし料理だ。  これから続々、登場するんだろうなあと思っていると、部屋付きの女 優の黒木瞳さんに似たきれいな方が、料理が出来るまで、史跡を見学し ませんか?と言ってくれた。  おお! 刀傷を見に行けるわけだ。 「花月」の階段は急だ。

 さっきの仲居さんが「エレベーターでどうぞ!」と言ってくれる。  私の半身不随は、けっこう目立たなくなって来ている。  でも立派なお店は、私の身体が不自由なのを見抜いて対処してくれる。  身体が不自由なことまで、いいお店のバロメータになるのって、ちょ っとおもしろい。  2階の宴会場へ。

 床柱の刀傷を見る。  まあ、刀傷だ。

 新選組の屯所の刀傷や、寺田屋の刀傷なんかも見て来ているので、あ まり驚かなくなっている。  スタンプラリーの最後に、スタンプ押した程度かな。  でも、誰かに自慢しないと、せっかく長崎まで来て悔しい。ハハハ!  私の知り合いのなかで、一番の竜馬かぶれは、元・パナソニックTナ ビの高田直幸さんだ。  高田直幸さんは、2年に一度は長崎まで来る竜馬かぶれであり、長崎 かぶれだ。  でも、「花月」にはまだ来ていないはずだ。  でも高田直幸さん! このお店、2人以上からの予約だから、早く彼 女作らないとこのお店来れないですよー。  男2人で来てもいいけど。ハハハ!  刀傷以外にも、歴史的資料を展示している場所があって、こっちのほ うが興味深かったかも。  松尾芭蕉の弟子の向井去来の俳句や、『日本外史』の頼山陽の書、坂 本竜馬の書などが展示されている。

 部屋に戻る。  卓袱料理が始まる。 「御鰭(おひれ)をどうぞ」  おお、卓袱料理の決まり文句、「御鰭(おひれ)をどうぞ」だ。  鯛の胸鰭(むなびれ)が入っ た吸い物を御鰭(おひれ)という。  これが「お客様お一人様に対して、鯛一尾をまるまる使っておもてな しさせていただきます」という宣言の意味が込められているのだ。 「話に尾ひれがつく」という言葉は、この「御鰭(おひれ)をどうぞ」 から来ているという説があるけど、おもてなしの意味で、大げさに広め てしまうってことかな?

 とにかく、御鰭(おひれ)のお吸い物。  やさしい味だ。  うまい。

 次から次へと出て来る料理のおいしいこと。

 豚の角煮も、上品で、いつもお土産に買う角煮とはちょっと格が違う なあ。お土産用の角煮まんじゅうも、味が濃くて、大好きなんだけどね。  紫豆の蜜煮の大きいこと。  こんな大きいの初めて見た。

 最後のほうに出た、スープをご飯にかけて食べる趣向の料理がおいし かった。 「汁汁(じゅうじゅう)まんま」っていうの? 「じゅじゅまんま」?  ずいぶんかわいい名前だなあ。 「汁汁まんま屋」。『桃鉄』に登場させたくなる名前だ。

 デザートは、びわゼリー。  これもまた通常お土産屋さんで売っているのとは、レベルの違う味だ。

 最後は、卓袱料理の締めの定番、お汁粉。  何で卓袱料理の最後がお汁粉になるのか、理由忘れちゃったなあ…。

 坂本竜馬の刀傷が「花月」になかったとしても、卓袱料理屋さんとし て、十分おいしかった。  食後、思案橋方面に向かって歩く。  すぐ近くの公園に、坂本竜馬像があった。

 本当に、町じゅうが、竜馬づくしだ。  すごいね、やっぱり大河ドラマは。  あれ? もう思案橋に着いちゃった。 「花月」から歩いて、2〜3分だったよ。  地図だと、ずいぶん遠くのような気がしていた。

 午後1時30分。思案橋の「志らみず」へ。  明治20年創業の和菓子の老舗だ。  長崎で、明治20年創業と聞くと、そんなに古くないと思ってしまう のが恐ろしい。

 ここで、以前から長崎の郷土菓子として知られる「桃かすてら」を食 しに来た。  桃カステラは、桃の節句(3月3日)の頃になると、長崎じゅうの店 先に並ぶと言われるくらい長崎県内の和菓子店やケーキ店で製造・販売 されるそうだ。  なので、3月に来ないと食べられないものだと思っていたら、最近、 通年桃カステラを作るお店が増えて来ているというので来てみた。  私は、桃カステラセット。  嫁は、コーヒー。

 桃カステラ、でかいっ!  でも、これお店で売っている小さいほうなんだよ。  はっはっは! こりゃまいった!  カステラの上の部分、甘い!  恐ろしいまでに、甘い!  歯が浮くほど、甘い!  角砂糖10個をくちに含んだくらい甘い!  長崎では、女の子が初節句を迎えた家庭から知り合いや近所の人に配 るというし、最近は節句の時だけでなく、お宮参りや婚礼、出産祝い等 の時にも縁起物として広く贈答されているそうだ。  甘い物なら「どん!と来い!」の私だが、この甘さには、ちょっとた じろぐなあ…。  長崎の人たちは、すごい食べ物が好きなんだなあ…。  トルコライスの「つる茶ん」がある浜市アーケードを歩く。 「つる茶ん」の食べるミルクセーキ、食べたいなあ。  でも、なるべく新しいものを食べないとなあ。  何だかんだいって、仕事なのだ。  また今回、長崎の町をまるで住んでるかのようにすごすのもテーマに しているので、ゆっくりお店を見て回る。  骨董品屋さんで、湯河原の家の傘立てを買う。  長崎で、信楽焼の壺というのも、おつなものだ。  本屋さんで、なかにし礼さんの『長崎ぶらぶら節』を買おうとするも 在庫切れ。  大きな本屋さんなのだから、地元を描いた作品は、常備しててくれな きゃだ。 「いつもは置いているんでsyがあ…」  すまなそうな顔に免じて、許す。  ベルナード観光通に入る。

 午後3時。「まちなか龍馬館」へ。

 大河ドラマで取り上げられた町がよくやる便乗企画施設。

 いきなり5分間の「長崎龍馬の道」の映像を見させられる。  坂本竜馬が歩いた史跡を紹介するのだが、パッ、パッと映像が1秒も しないうちに切り替わって行くので、どこのことかさっぱりわからない。  長崎の人の地理にくわしい人たちだって、このめまぐるしい展開には ついて行けないとおもうぞ。  下手くそなRPGの最初の町のようだ。  説明ばかり多くて、どこに行ったらいいのか、何をしたらいいのかわ からなくなる。  映像終了後、坂本竜馬の時代の有名人の写真と説明が書かれたボード のある部屋に移動。  こっちのペースで、読み返せるので、こっちのほうがいい。  歩きすぎて、汗もかいているので、洋服を乾かしがてら、長崎の造船 業の発展の歴史のビデオを見る。  30分間の超大作。  途中で、何度も眠くなる。  永井尚志、杉山徳三郎、高取伊好といった歴史上の人々。  メモだけしておいて、そのうち調べてみよう。  しかし、蒸気機関というのはふしぎだ。  石炭や石油を燃やして動くというのは、何となく理解できるが、水を やかんで涌かせる蒸気で、船や汽車を動かそうと思いついた人はすごい とおもう。  やかんの湯気で、人が乗れるものを作れるとおもう発想が我が身にも ほしい。  かなり休んだので、再び歩く力がよみがえったかと期待したのだが、 ダメだった。  長崎のカステラのお店というと、福砂屋、文明堂、松翁堂が、御三家 だ。この御三家以外にも、実は何10軒と、小さなカステラ屋さんが、 独自のカステラを作っている。  今回その辺の独立系ともいうべき(ほかに言い方があると思うのだが) お店のカステラをいくつか食べてみたい。

 地元の人に人気の「岩永梅寿軒」へ。 「本日、カステラ、売り切れました」の貼り紙が出ていた。  しかも次のカステラの販売は、12日だって。  えー、きょうはまだ9日だよ。  あと3日待てだって? そりゃさすがに無理だ。  午後4時30分。眼鏡橋の近くの公園のベンチにへたり込む。

 歩数計を見れば、8440歩。  健康な人なら、1万歩くらい屁でもないのだろうが、私にとっては、 8000歩は相当ダメージが大きい。

 ふいー。川面を眺めながら、チリンチリンアイスを食べる。  アイスクリームというより、シャーベットに近いアイスクリンは、喉 の乾きもうるおしてくれて、おいしい。

 午後5時。きょうの出発点であるグラバー園まで戻る。  長崎ちゃんぽん発祥の地「四海(しかい)楼」へ。  私の「これから行きたい帳」のなかに、ここにちゃんぽんミュージア ムというメモがあったので来た。  石段を登った2階の一部にそれはあった。  このお店の今日に至るまでの歴史をちょろっと展示しただけで、入場 無料だし、大層なものではない。

 ただちゃんぽんは、豚肉、魚介類、野菜など10数種の具材をラード で炒め、豚骨と鶏がらで取ったスープを加えたもの。  少し太めの麺が特徴。 「四海楼」の初代店主陳平順さんが、明治時代、日本に訪れていた大勢 の中国人(当時は清国人)の留学生たちに、安くて栄養価の高い食事を 食べさせる為に考案したとされている。  5階の「四海楼」へ。  高さ的にちょっと心配だったけど、長崎湾が眺められて気持ちいい。

 私も嫁も、ふた付きの長崎ちゃんぽん。

 味の方は、うまい!  でも、癖になるような味ではない。  長崎に来たら、絶対これを食べねばならないというほどではない。  とはいえ、間違いなく、うまい!  スープ、麺、野菜、どれもうまい!  このようなおいしさを文章で伝えるのは難しいなあ。  毎日食べても飽きのこないおいしさといったところか。 「四海楼」からホテルのはすぐなので、歩いて帰るしかない。  暑い。少し風が出て来たけど、汗の勝ち。  ひーこら、ひーこら。  午後6時。ホテルモントレ長崎に戻る。  汗がひどいので、シャワーを浴びる。  案の定、眠くなって、1時間ほど寝る。  歩数計が、9600歩止まりだったので、近所のコンビニに行って、 無理やり1万歩にする。  ホテルのすぐ近くに、コンビニもあって、このホテルは本当に便利。  自分の家感覚でつかえるいいホテルだ。  いやあ、きょうはあちこち回ったので、後追い取材が多くて、インタ ーネットがフル回転。  おまけに、テレビを付けたらBS放送で、「横浜×ソフトバンク」戦 をやっているではないか。  ただいま5連敗中。  きょうぐらい勝ってくれるだろうと見るが、例によって、わざわざ同 点に追いついたあげくに、ペタジーニのさよならホームランを喰らって、 6連敗。  最下位のヤクルトまで、わずか2ゲーム差。  高田監督がずっと指揮を取ってくれればよかったのに。  振り向けば、最下位だ。  長崎まで来て、何で嫌な思いせにゃならぬ。  今夜も、『竜馬がゆく』(司馬遼太郎・文春文庫)7巻を読む。 *口蹄疫被害に対する義援金を募集しています<宮崎県> http://www.pref.miyazaki.lg.jp/contents/org/fukushi/fukushi/shakai_fukushi/html00165.html

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