２００９年６月１５日（月）


　午前７時。インデックスさんの『さくま式スゴログ』の原稿を清書。
　この連載も２６回目。
　３年目に入っている。

　単行本にまとまったらいいなとおもって始めたんだけど、本当に出版
不況なのか、まったく話が来ない。
　たまに売り込むが、いい返事はない。
　自分ではまだフリーライターのつもりでいるので、本の話が来なくな
るのは淋しいかぎりだ。

　けっこうおもしろそうな本になると思うんだけどなあ…。

　午前１１時３０分。嫁、娘と、近所のお蕎麦屋さん「松永」へ。





　私と嫁は、鶏そば。





　娘は、ざるそば。

　しばらくしたら、カメラマンの齊藤清貴くんが入って来た。

「あれ？　東京にいるの？」
「先週から、３回もばったりだ！」
「会い出すと、会うもんだね！」
「今度のテツandトモのレコーディング、無理なんでしょ？」
「うん。Ｕ字工事の撮影なんだよ」
「ごめんね、ごめんね〜だ」

　午後０時３５分。ひとりで原宿駅から、山手線に乗車。

　午後１時。駒込駅で、下車。
　あれ？　私の知っているはるか昔の駒込駅とずいぶん違うぞ。
　北口なのか。
　ここから降りるのは、初めてかも。





　駒込さつき商店街を抜けて、霜降橋へ。
　霜降（しもふり）橋とは、おいしそうな、いや、美しい名前だ。
　昭和の初めまで付近を流れていた谷田川に架かる橋に、霜が降ったこ
とからついたそうだ。





　しもふり商店街へ。
　いかにも下町っぽい商店街だ。

 



日野市・中島広勝
……………………
　さくま先生こんばんは。

・桃鉄The Tokyo
　池上が登場するとの事で他の新物件駅が楽しみですが、駒込にある霜
降銀座のメロンパンクラブさんを加えてほしいです。
　メロンパン専門店というのは珍しいので。

　…というメールが来たので、やって来た。
　日野市の中島広勝くんが、わざわざ駒込まで来ているので、非常に気
になった。
　商店街が終わりかけたところに、お店があった。
　小さくて、かわいいお店だ。

 



「メロンパンクラブ」。
　チョコメロンパンに、メープルメロンパンに、イチゴメロンパンに、
抹茶メロンパンなど…。
　ふつうのメロンパンの１．５倍くらいの大きさ。

 



　お店はまだ始めて、１年半ぐらいだそうだ。

　メロンパンのラスクもあった。

　いくつか買って、プレーン味を、食べながら歩く。
　メロンの網の目の部分っていえばいいのかな。
　でこぼこした部分が、硬いクッキーっぽくて、なかがふわふわなので
おいしい。

　ほかのメロンパンも食べたいけど、メロンパンはカロリー高いから、
調子に乗って食べてはいけない（自己暗示）。

　午後１時３０分。歩き疲れて来た。
　よろよろと、駒込駅の南口へ。
　すでに万歩計が、４０００歩を越えている。
　３０００歩でへばる足が、４０００歩を越えて、へばるようになって
来た。めざせ！５０００歩でへばれ！

　あっ！　駅の向こうに、アクタガワチョコレートの看板が！
　私はアクタガワチョコレートの名前を知っているのに、思い出せない。
　駄菓子屋で昔、見たような気がする。

 



　後でWikipediaで調べたら、日本で初めてドロップを製造し、日本で３
番目（１番目は風月堂、２番目は森永商店＝現在の森永製菓）にチョコレ
ートの製造を始めた企業なんだって。
　それで記憶の片隅にあったのか。
　私はコイン型のチョコレートが大好きだったから、あのチョコレート
のメーカーとして暗記していたのだろう。

　駒込駅から、ＪＲ山手線に乗車。

 



　まだお昼過ぎ。
　嫁がいないのだから、このままおとなくしく帰る私ではない。
　嫁がいたら絶対反対されるであろう甘いものを求めて、老人は荒野を
めざすのであった。

　しまった！　へばっていたので、日暮里駅のアナウンスで「常磐線に
お乗換えの方は…」で、条件反射で降りてしまった。
　私が降りるべきは、西日暮里駅だったのだ。

　午後１時５５分。仕方なく、日暮里駅から、ＪＲ常磐線快速水戸行き
に乗車。

　北千住駅で乗り換えて、鈍行のＪＲ常磐線へ。
　え〜〜〜、快速のホームは地上で、鈍行のホームは、地下なの？
　もう万歩計が、６０００歩越えてるよー。

　午後２時１５分。綾瀬駅で、下車。
　綾瀬駅に来たのは、３０年ぶりかなあ…。

 



　サンケイ・スポーツの盛り場ガイドの取材で来た。
　毎週、サンケイ新聞の人に言われて、盛り場のイラスト・ルポを連載
した。
　この日記を読んでいる人なら、気づいているとおもうけど、私はお酒
を一滴も飲めないのに、盛り場ガイドをしていたわけだ。
　でも飲めなくても、何軒も取材していれば、どういうお店がいいお店
で、どういうお店が悪いかよくわかるものだ。
　なかには「いくらお金出せばいいんだい？」と言われたけど、お金だ
けはもらわないようにした。
　もらうと、そういう生活に馴れてしまって、一生この手の職業から抜
け出せなくなってしまうとおもったからだ。
　悪の道は、心地いいからね。

　でもこのときの仕事が後に、『桃太郎電鉄』の地方取材に役立つよう
になるわけだから、若いときは仕事を選ばずに、何でもやってみること
だとおもう。

　駅前の警備員の人に「南花畑っていうところに行きたいんですけど、
歩いて行けるような距離ですか？」と、聞く。
「えっ？　南花畑（みなみはなはた）？」
「はなはた？　花畑（はなばたけ）って読むんじゃないんだ？」
「うん。南花畑（みなみはなはた）。歩いて行く？　そりゃあ、無理だ
なあ！　遠いよ〜〜〜」
「わかりました。ありがとうございます！」

　午後２時３０分。南花畑広小路の交差点へ。
　嫁がいないときに単独で来るようなお店は、バウムクーヘンのお店に
決まっている。

　ここに「日本一やわらかいバウムクーヘン」という触れ込みのバウム
クーヘンのお店があるという情報を入手してから、もう５〜６年になる。
　私の「行きたい帳」のなかでも、最古参のメモとして残っていた。
　でも、きょう、ついに本懐を遂げる日が来た。

　祝日も、日・祝とちゃんと調べた。

　すべては、ぬかりなし！

　おお！　元祖・長崎バウムクーヘンの文字も見えた。

　やった！　た…、た…た…た…、都合により、本日お休み…？

 



　そ…、そ…、そんな…♪時代もあ〜ったねと〜。

　へなへなへな〜〜〜！

　そして私は、途方に暮れる…。

　しかも、どうもこのお店、午前１０時、午後２時、午後４時の３回しか
バウムクーヘンを販売しないそうだ。
　午前１０時で売り切れてしまうことあるらしいし、このタイム販売でも
ひとり一袋しか買えないらしい。
　それはちょっと出し惜しみシステムというより、陰険販売じゃない？
　まあ、わざわざここまで来て買えなかった私憤だけどさ。





　えっ？　タイム販売は、特価品のバウムクーヘン？
　特価品に行列が出来るわけか。
　うーん。もう一度来るべきかなあ…。
　最寄り駅が、つくばエクスプレスの六町駅なんだよおおお…。





　というわけで、午後３時。つくばエクスプレスの六町駅まで歩く。

　よろよろ…。へなへな…。

　よろよろ…。へなへな…。

　まわりは、ビニールハウスや畑だらけだよ。
　どの家も新しい。
　急に出来たニュータウンのムード満点。





　まさかきょう家を出たときに、つくばエクスプレスに乗って帰ること
になるとは思ってもみなかった。

　よろよろ…。へなへな…。

　よろよろ…。へなへな…。





　午後２時４５分。つくばエクスプレスの六町駅から、北千住駅へ。

　北千住駅から、千代田線に乗り換える。
　表参道まで、２９分なので、我が家から北千住は意外と近い。
　ふう〜〜〜！　地下鉄はみんな上りのエスカレーターばかりで、下り
のエスカレーターがほとんどない。
　おまけに階段を下りた場所に改札口がなく、改札口まで長い通路を歩
かないといけない場合が多い。
　通路には、ポスターもない。

　午後３時１５分。代々木上原行きに乗車。

　午後３時４６分。明治神宮前駅で下車。
　ふい〜〜〜！　ＧＡＰのところにエレベーターがあったことを思い出
して、副都心線のほうに向かうと、また下り階段。
　もうきょうは下り階段を何回下りたんだ！？

　よろよろ…。へなへな…。

　よろよろ…。へなへな…。

　ああ！　もう１万歩は目の前。

　午後４時。よろよろと、喫茶店「らぴす」サンにたどり着く。
　戦場の兵士が「み、み、水を…」と絞るような声で「アイスコーヒー
を…」と、つぶやく。
　万歩計が、１万歩を越えていた…。

　あれだけ歩いて、戦利品はメロンパンだけ。
　悲しき戦闘兵である…。

　午後４時３０分。帰宅。
　疲れすぎて、仮眠したいのに、眠れない…。

　ブレーレイに録画した『未来開運堂』など見る。
　眠れない…。

　午後６時。きょうのお昼に、カメラマンの齊藤清貴くんと話していて
「一凛（いちりん）」がおいしいという話題になって、もうずいぶん行
っていないことを思い出して、嫁と「一凛（いちりん）」へ。

 



　きょうは、鱧（はも）づくしに近い料理だそうだ。

 
 
 



　梅肉じゃなくて、辛子酢味噌のたれで食べる趣向がおいしかった。
　でも、よけいおいしい梅肉で食べられる鱧（はも）のお店に行きたく
なる。
　鱧（はも）は、やっぱり京都だよなあ…。
　京都に行く用事ないなあ…。
　今月、来月は、テスト・プレイ月間だから、日々の１日１日が、非常
に重要だ。

 
 
 



　雨が音を立てて降って来た。

 



　午後８時３０分。雨がやんだところで、すかさず帰る。
　家に着いて、しばらくしたら、外で雨音。

　今夜は、きょう電車に乗っているときに出たアイデアをまとめる。
　アイデアの備蓄は怠りなく…。




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