11月2日(日)


 昨夜、午前1時過ぎに、部屋の明かりを消したとたん、『桃太郎電鉄
CHU-SHIKOKU』の核になりそうなアイデアが浮かんだ。
 もぞもぞ起き出して、VAIOにメモする。
 因果な商売だ。

 午前9時30分。嫁と、京都駅へ。

 日帰り取材旅行にでかける。  もちろん、いい天気。  午前9時52分。京都駅から、東海道新幹線のぞみ9号博多行きに乗車。  午前10時56分。岡山駅で、下車。

 桃太郎通りの脇の商店街「スカイモール21」を歩く。 「誓文(せいもん)払い」の大きな横断幕があった。

 せいもん払いというのは、商売抜き、儲けを考えない商いをすること。  いわゆる出血大サービスだ。  大阪で生まれて、博多で流行した。

 午前11時15分。「味司 野村」へ。  岡山の県民食「デミかつ丼」発祥のお店だ。

 デミかつ丼は、通常のカツ丼は卵でとじているが、デミカツ 丼はカツにデミグラスソースがかかっている。  子膳という、デミ丼と、玉子とじのかつ丼の2種類が楽しめるメニュー があったので、これにしてみる。

 岡山県の県民食というから、B級な食べ物を期待した。  でもデミグラスソースが、模範的で、B級な感じがしない。  お店のほうでも、わざわざB級を狙ったわけではあるまい。  そういう意味では、以前岡山の「だて」で食べた「デミ丼」のほうが、 はるかに毒々しい、こってりーなデミグラスソースで、おいしく、『桃 太郎電鉄』向きの食べ物だった。  ちょっと下品な味を希望しすぎた。  その証拠に、玉子とじのかつ丼は非常においしかった。 「適度にまずくあってほしい」というこの客は、お店にとってあまり良 い客ではない。  食後、桃太郎通りを歩いて、岡山駅に向かう。  桃太郎のオブジェがけっこう多い。  マンホールも、桃太郎だ。

 そういえば、『桃太郎電鉄』は桃太郎の本拠地である岡山とコラボす ることが少ない。 「桃−1グランプリ」が軌道に乗って、毎年開催されるようなら、かつ て大失敗した、素人さんを集めてやる「ジャパンカップ」を、岡山で開 催したいとおもった。

 午後0時5分。岡山駅から、やくも11号出雲行きに乗車。

 トイレが昔のアパートのようだ。

 列車はのどかな山陽路を進む。  倉敷、総社を通って、高梁川沿いに北上を始めると、景色が一気に野 山になる。小説家の誰だったか、このあたりは空よりも山のほうが多い と語った景色だ。

 午後0時41分。備中高梁駅で下車。  かつての城下町なので、町自体は多いが、見事なまでにシャッター商 店街だ。

 駅の近くの観光案内所へ。 「吹屋(ふきや)まで行きたいんですが、どのぐらいかかりますか?」 「バスで1時間ぐらいですね!」 「タクシーだと?」 「やっぱり1時間ぐらいですね」 「ひえ〜! バスの半分ぐらいの時間で行けるとおもった」  それでも、吹屋町をめざす。  近年「吹屋ふるさと村」という名前を冠して、馬籠(まごめ)・妻籠 (つまご)のような町おこしをしようとしている。

 ところどころ、道を舗装したり、道を広げようとしているけど、基本 的に道が狭い。 「これから行くところが映画『八つ墓村』のロケ地になったときは、ぎ ょうさん観光客が来たんですが、そんときは、まだ道が狭くてねー」 「たしかに、狭いですねー」 「これでもずいぶん広くなったんですよー。いまごろ道を作り始めても どうなんですかねえ」 「大型観光バスが来れないじゃないですか!」  映画『八つ墓村』がヒットしたのは、昭和52年。  確かにいまごろ道路を整備し始めてもねえ…。  午後1時30分。成羽(なりわ)町吹屋(ふきや)の「広兼邸」へ。

「うわ〜〜〜! 覚えてる! 覚えてる! 映画の『八つ墓村』で見た 家だ〜〜〜!」  あの「祟りじゃ〜〜〜! 祟りじゃ〜〜〜!」の流行語を思い出したよ。

 広兼邸は、銅山とローハ(ベンガラの原料)製造で栄えた楼門造りの 庄屋さんで、豪邸というより、城郭!  玄関までの道を登るだけで、ふくらはぎが痛くなり、へばる。  敷地は781坪。母屋だけで98坪。  土蔵に、みそ蔵に、番頭部屋、下男部屋、下女部屋、門番部屋まであ った。

 『八つ墓村』のモデルになった実話は「津山32人殺し」という猟奇 事件だっただけに、離れ屋敷の先の土蔵あたりには、不思議な冷気が流 れていて、なるほど平成8年の映画『八つ墓村』のロケに再びつかわれ たほどのお屋敷だとおもった。

 午後2時。ベンガラ館へ。

 ベンガラは、酸化第2鉄を主成分とする赤い顔料。  江戸時代、この吹屋で初めて生産されて、江戸時代、明治時代、大正 時代と吹屋の繁栄を続けた原動力になったそうだ。  昭和49年。4つあったベンガラ工場の最後が閉鎖された。

 現在ベンガラは、キャッシュカードの磁気の部分にもつかわれている というから、あと30年ぐらいベンガラを作り続けていたら、吹屋は江 戸時代からの大繁栄をさらに続けていたのかもしれない。

 最近技術も、古い技術が生かされているのが、おもしろい。

 ちなみに、近江八幡の赤こんにゃくを、ベンガラこんにゃくという言 い方をするのは、こんにゃくがベンガラのような色をしているから。  それほど“ベンガラ”という言葉は、江戸時代からポピュラーだった のは、この吹屋のおかげなのだ。  この後、吉岡銅山笹畝(ささうね)坑道に寄る。

 吉岡(吹屋)銅山は、かつて日本三大銅山に数えられたほどで、住友 や三菱の所有となり、財閥の発展にも貢献したそうだ。  ここもまた昭和47年に閉山して、吹屋は次第に忘れ去られようとし ている。

 携帯電話から、レアメタルを取り出す技術も、銅山の精錬技術が役立 っているというから、本当に吹屋は、もう少し粘って、ベンガラも銅山 も続けていたら、とんでもない大都市になっていたとおもう。  午後2時30分。吹屋ふるさと村へ。

 町並みは300mぐらいしかないけれど、江戸時代に栄えた町並みを 保存、再現している。

 ベンガラで栄えた村だけに、家もベンガラ格子にしている。  この村の現在の住民は、100人ちょっとしかいないそうだ。  ベンガラ工場だけで、100人以上が働いていた勢いはさすがに感じ られない。

 郷土館、旧・片山家住宅などを見て回わり、吹屋小学校へ。  いまも現役でつかわれている100年以上の校舎だ。

 2007年の児童は、8人しかいない。

 明治32年に開校した小学校は、吹屋の絶頂期に建設されただけに、 いまの山村の小さな村の吹屋には、似つかわしくない豪華さがある。  備中高梁駅から乗せてもらったタクシーに再び乗せてもらって、再び 高梁に戻る。  吹屋には、もちろんタクシー会社がないからだ。

「吹屋は、どうでしたか?」 「惜しい町ですね。弁柄格子の古い町並みもきれいだし、町もそんなに 大きくないので、すぐ見て回れるのがいいですね。  でもその土地、特有のおいしい食べ物がないと、二度、三度と来たい 町にならないようにする。  昔、この土地の人が食べていたようなものを再現したら、おもしろい とおもうんですけどね」 「銅山で栄えた頃、魚とたくわんに麦飯のお弁当を持って、山に入った もんですが、そういうのでもええんですか?」 「それいいですよ! 吹屋銅山弁当になる。近江八幡の赤こんにゃくを 入れれば、弁柄こんにゃくにもなる」 「ええですね、それ!」  運転手さん、実際に商売で始めそうだ。

 午後3時30分。備中高梁駅に戻る。

 電車の発車時刻まで、しばらく時間があるので、町を歩く。 「SALE」の垂れ幕がいっぱいあるのに、シャッター商店街だ。

 午後4時5分。備中高梁駅から、やくも20号岡山行きに乗車。

 岡山まで、わずか35分なのに、うとうと…。  吹屋の町並みは小さいのに、広兼邸の玄関までの石段だけで思い切り へばった。  午後4時38分。終点岡山駅に到着。  新幹線に乗り換えた構内に、廣栄堂武田さんの「桃太郎電鉄きびだん ご」を発見!

 この場所に『桃太郎電鉄』のきびだんご商品が並ぶのが夢だったんだ。  とりあえず、意味無く2個買う。  午後4時49分。東海道新幹線のぞみ20号東京行きに乗車。  午後5時21分。新神戸駅で下車。

 ここからタクシーに乗って、新神戸トンネルを抜ける。  新神戸トンネル、第2新神戸トンネルの2本あって、六甲山をぶち抜く。  長いトンネルで、8.5kmあるそうだ。  午後6時。あっという間に、三田(さんだ)に出る。  ところが運転手さんが適当で、新三田駅までの道に迷う。 「料金メーター落としましたから…」というんだけど、こっちとしては 待ち合わせ時間が午後6時前後なんだから、なんとかしてほしい。  午後7時。新三田駅で、地元のタクシーに乗り換えて、「藤の坊さん だ山荘」へ。

 毎年恒例「まつたけの会」だ。 「遅れてすみませーん!」  すぎやまこういち先生ご夫妻も、新神戸からタクシーで来て、迷われ たそうだ。  大先輩を待たせるのは、非常に失礼。  私と嫁は、ここ2年間この時期は、青森に行くことが多く、お休みし ていた。  すぎやまこういち先生ご夫妻も、昨年は松茸の出来がよくないので来 なかったそうだ。  今年は、松茸の質はいいけど、量が少ないので、すぎやまこういち先 生ご夫妻、私と嫁の4人だけになった。  急に来ることになったせいもある。

 いやあ! 3年ぶりの松茸は、ずっしりと重く、みずみずしく、実に おいしい〜!  この「藤の坊」の松茸があまりにもおいしいので、日本料理の一品に 松茸がついて来るのは食べるけど、松茸がメインのお店に行こうという 気にならない。

 松茸オンパレードの後の三田牛がまた、うまいっ!  味にうるさい、うちの娘が「松茸を食べにいけないのは気にならない けど、この三田牛が食べられないのは、悔しい」というぐらいなのだ。

 午後11時。「藤の坊さんだ山荘」まで迎えに来てくれた個人タクシ ーの宮本さんの車に乗って、京都へ。  毎年「藤の坊さんだ山荘」に行くと、松茸のありがたさに慣れてしま って、よくないね。  何年かに一度ずつ行くのが理想だな…と思いつつも、きょうの松茸を 思い出すと、来年も行ってしまうかも。

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