6月27日(金)


 午前6時。ホテルの窓から、日向灘が広がる。
 サーフィンに興じる人たちが数人、あまり高くない波と格闘している。
 今回の九州取材旅行で、いちばんいい天気。
 いよいよ晴れ男、全開!
 仕事仲間の土居ちゃん(土居孝幸)が加わったせいだろう。

 実はこの青島パームビーチホテル、宮崎から車で30分以上かかる遠 いホテルだった。  インターネットで見て、目の前が海で気持ちよさそうなので、距離を 考えずに、予約してしまった。  景色いいので、よかったけどね。

 午前10時。2階のロビーで、嫁、土居ちゃんと集合。

 午前11時。宮崎県庁にほど近い「一平」へ。  お店の看板からして「レタス巻き 一平」の文字が躍っている。

 ここは宮崎の人には、当然のソウルフードであるレタス巻き、発祥の お店だ。  「レタス巻き」誕生のきっかけは昭和41年。  お店のご主人が、仲の良い作曲家・平尾昌晃さんと「おいしい野菜を つかって、ヘルシーなお寿司は作れないものか」と、始めたのが、この レタス巻き。  とはいえ、簡単に出来たわけではなく、すし飯にレタスとエビを入れ、 マヨネーズもからめて、太巻き風にするまでに、かなり試行錯誤した。  結果、今日外国人のみなさんがよく食べるカリフォルニア・ロールに 近いものになるのだから、おもしろい。  カリフォルニア・ロールのほうが、このレタス巻きにヒントを得たよ うな気がする。  ネタケースのなかに、高く積み上げられたムキエビを見るだけで、そ の苦労と人気のほどがわかる。

「ちょっとだけ、お醤油をつけて食べてください」

「ふむふむ。エビがぷりぷりで、うまいな!」 「レタスとエビが合うね!」 「海苔もおいしい!」 「マヨネーズが入っているから、デブ御用達の食べ物だな、これは」

 食べ終えてから、お店の人に、以前『桃鉄』の音楽を担当してもらっ ていた宮路一昭くんが、このお店の人と知り合いであることを明かす。  食べる前にいうと、歓待されすぎちゃうからね。  ここのご主人が、宮路一昭くんの妹さんとと仲がいいので、宮路一昭 くんもよく知っているんだそうだ。  宮路一昭くんは、宮崎県都城の出身。  午前11時45分。宮崎駅へ。

 昨日、けっきょくなんじゃこら大福を食べていない嫁に、駅で売って いるなんじゃこら大福を買う。  電車のなかで、無理やり食べさせようとおもっている。  あのなんじゃこら大福のおいしさは、絶対言葉で言い尽くせないから ね。  午後0時3分。宮崎駅から、にちりん14号別府行きに乗車。

 車中、土居ちゃんと、『桃太郎電鉄20周年』の打ち合わせ。  まだ2〜3点、土居ちゃんが描かないといけない絵が残っている。  嫁が「なんじゃこら大福、おいしい!」と叫んだ。 「えっ? 1個食べたんだ!?」 「うん!」

 珍しい。嫁は、けっこう小さな和菓子でも、半分しか食べないことが 多いのに、野球のボールのようなあの大きさの大福を、ぺろりと食べる なんて、衝撃的なことだ。  あのおいしさは、本当に言葉にできない。  あれはたぶん、イチゴや栗もおいしいけど、餡子の部分がおいしいん だとおもうなあ…。  午後0時48分。日向市駅で、下車。  日向駅だと、千葉県の総武本線にある駅の名前になってしまう。  JRは、先に名前をつけたほうが優先の原理があるから、日向市駅と いう苦しい名前になったのだろう。

 駅舎が、高架駅にもかかわらず、日向杉がふんだんにつかわれていて、 一風変わった駅だ。  駅に「まちの駅」が、隣接されているのも不思議。 「日向特産品センター」みたいな名前でよかったのでは?

 はまぐり碁石、ひょっとこ祭りのひょっとこ最中などが特産品。  ここでも、ひょっとこ祭りと東国原英夫県知事をコラボさせて、東国 原英夫県知事の顔のお面「そのまんまひょっとこ面」を売っていた。  あまり似ていない。  しかも、1100円は、高い! 材質がいいのかな?

 欽ちゃんまんじゅうなんていうのも売っていた。  茨城ゴールデンゴールズが、日向でキャンプしたことにちなみ、作ら れたようだ。  歌人・若山牧水もこの町の出身のようだ。  1時30分。美々津(みみつ)の「回船問屋の町並み」へ。

 いままでいくつも古い町を訪ねてきたけど、ここはついに神武天皇 ゆかりの町だ。  神武天皇といったら、初代天皇で、紀元前711年生まれという時 代の人だよ。 『古事記』、『日本書紀』に登場するような人だけど、歴史学界では 神武天皇が実在したかについては否定的見解も強いらしい。

 何か途方もない場所に来てしまった。  ちなみに、昨日から宿泊している青島パームビーチホテルの近くの 有名な青島神社は、神武天皇のおじいちゃんの神社で、宇土神社は、 神武天皇の父親を祀っている神社だそうだ。  この辺の話になると、まったくわからない。  私がフリーライターになった35年ぐらい前は、先輩方から「天皇 関係のことは一切書くな!」と、きつく厳命されていたので、私は歴 史好きにもかかわらず、天皇関係のことに関して、非常に知識が乏し い。

 とにかく、神武天皇がこの美々津から、船に乗って、東征の船出を したことから、日本海軍発祥の地ということになっていて、石碑と、 大きな碇(いかり)が置いてあった。

「さくまサン、暑くなってきたよ!」 「土居ちゃん! 暑いのを私のせいにしないように!」 「さくまサン、晴れ男だから。青空まで出てきちゃったよ!」 「この美々津の町並みはずっと取材してみたいと思っていたから、よ けい晴れ男パワーが強いのかも!」

 かつて、「美々津千軒」と呼ばれたほど栄えた町並みを歩く。

 あれ? どの家の郵便受けにも、古代船のマークが描かれている。  これも神武天皇に由来しているのかな?  それにしても、ほとんどの家の郵便受けがおなじ形をしているのが 不思議。

「日向市歴史民族資料館」を見学する。  ここも昔の廻船問屋で、旧・河内屋という商人の家だ。

 古い写真などがあって、いかに昔、この美々津が栄えたが偲ばれる。  明治の廃藩置県の直後には、美々津県というのがあったぐらい、美 々津は有名な場所だったそうだ。

 あっ。あの郵便受けがここにあった。 「こ、これって、ここで買えるんですか?」 「買えますよ。3500円ですが…」 「3500円! 安すぎる!」 「ほとんど実費で作っているだけですから…」 「もっと高い値段で売ればいいのに…」  けっきょく、1個買って、東京に送った。  どの家でつかうのか考えてもいない。  何かいいデザインなのと、この町の人たちののどかな人の良さで、何 か思い出をひとつ残しておきたかったのだ。

 午後2時30分。「無料休憩所」へ。  無料休憩所といったって、この家も古い商人の旧・近藤家。

 暑いけど、ふすまと窓を開けっぱなしにしているので、風がよく通っ て気持ちいい。  だいたい、エアコンがない。  さすがに夏に来ると、きついかも。  美々津、いい町だねー。  静かで、古い家が残っていて、そのままガラス玉の工房になっていた りする。  こういう芸術家さんたちを集めて、古い家をアトリエとして開放した ら、また新たな宮崎の顔ができるんじゃないだろうか。

 美々津、気に入った。 『桃太郎電鉄KYUSHU』に登場させることが、決定した。  全員、アイスコーヒーに、お船出(ふなで)だんご。

 このお船出だんごには、神武天皇のエピソードが残っている。  いよいよ明日、神武天皇がこの美々津から、東征の旅に出るというと きに、里の人たちが天皇のために、お祝いのだんごを作る準備をしてお いた。  ところが、夜半になって海に吹く風が良好になったので、急に夜明け に船出することに予定変更になってしまったそうだ。  あわてた里の人たちは、急ごしらえの団子を作り、天皇に差し上げた のが、「つきいれ団子」というおだんごで、後にいま私たちが食べてい るお船出だんごという名前になったという。  おだんごだから、もっとみたらし団子のようなものだと思っていたの だが、どちらかというと、ういろうに近い味。  もちもちっとした素朴な味だ。  地元の人たちが、神武天皇に差し上げようとした「お祝いだんご」は、 もっと塩味のおだんごだったそうだ。  このおだんごも、いまもこ地方の家庭料理として残っているとか。  紀元前に作られたお菓子がいまもこの地方で作り続けられていること のほうがすごい。  もうひとつ、おもしろい話。  夜明けに急に、神武天皇が船出することになったので、里の人たちは あわてて家を回って「おきよ(起きろ)!」「おきよ(起きろ)!」と、 寝ている人々を起こして廻ったそうだ。  これがいまも続く「おきよ祭り」。  この町はいったい、何100年、いや何1000年、時間が止まって いるのだ。  いままで見てきた古い町並みや、小京都の町並みが吹き飛ぶような、 すさまじき町だ。

 午後3時。「無料休憩所」で、タクシーを呼んで、宮崎に向かう。 「あの〜、運転手さん、途中で道の駅があったら、寄っていただけます か?」 「ええ〜〜〜…」 「ひょっとして、ない?」 「はい。さっき、道の駅・日向というのがあったと思うんですけど、宮 崎までは確かなかったと…」 「いいですよ。私もちょっと見た地図に、宮崎までの間に、道の駅が見 当たらないなあとおもったんですよ」 「大分県には、いっぱい道の駅があるんですけど、宮崎県は少なくて…」  今回、宮崎を旅行して、わかったことがひとつある。  私は東京生まれの東京育ちだ。  だから道路族の議員たちが、あれだけ国民から非難を浴びても、必死 に道路を作ろうとしている気持ちがよくわからなかった。  小泉元総理がいなくなったとたん、おとなしくしていた道路族が小泉 さんが潰した道路計画を次々に復活させて行くのにも、腹が立った。  そんなとき、東国原英夫県知事が、道路工事について聞かれて「まだ まだ道路は必要なんです!」と言っていたのが、奇異に感じた。  東国原英夫県知事は、いままでずっと庶民の目線から見た政治論を展 開していただけに、不思議だった。  でもね。今回、宮崎県中心の九州取材旅行を企画して、東国原英夫県 知事の言ってることが、本当にわかったよ。  宮崎には、道路が少なすぎる。  道路族の利権がどうのという前に、単純に道路が少ない。  電車もそう。  福岡、小倉から、ソニックという格好良くて、早い特急が走っている。  でも、別府または大分駅が、終着駅なんだよ。  そこから、にちりんという特急に乗り換えるんだけど、単線!  別府から宮崎まで、特急なのに3時間もかかってしまうんだよー。  きょうだって、宮崎から、日向市駅まで特急に乗って、美々津までは タクシーに乗った。  で、帰りは、タクシーを呼んだ。  宮崎までかかる時間に、ほとんど差がないからだ。  ローカル線の美々津駅まで歩いて行って、鈍行に乗って、宮崎まで帰 ろうとしたら、美々津の人に「駅まで歩いて、20分以上かかりますよ」 といわれた。  宮崎には、道路も、電車もない。  東国原英夫県知事がいうように、ほかの県に比べても、高速道路が圧 倒的に少ない。  以前、私は宮崎に来るのに、小倉から来ないで、福岡から長距離バス でやってきた。  明らかにこっちのほうが、距離は長いのだが、宮崎県の東側には高速 道路がないから、仕方がなかった。  東国原英夫県知事が「宮崎に、道路がほしい」は、正しい。  今回いちばん痛切に感じた。  個人的には、頼むから特急ソニックを宮崎まで走らせてほしい。  無理だと思うけど、鹿児島までの新幹線を宮崎まで伸ばしてあげてほ しい。  午後4時45分。宮崎市内へ。  一番街のアーケードまで戻る。

 偶然、ジャリパンを売っている「ミカエル堂」を発見!  今回、このパンも買いたかったのだ。  ジャリパンは、宮崎の人なら、誰もが知っていて、日本じゅうどこでも 売っていると勘違いしてるようなソウルフードだ。

 コッペパンに、砂糖をまぶしたクリームが塗ってあって、この砂糖が ジャリジャリいうので、いつしかジャリパンと呼ばれるようになったそ うだ。  学校の購買部でも売っているようなパンなので、宮崎県民にとっては、 なつかしの味。

 私や土居ちゃんなんかも、子どものころ、これに似たパンを食べてい たから、私たちにとっても、なつかしい味だ。  午後5時。季節料理の「かわの」へ。

 最近、宮崎牛が人気だ。  そのなかでも「幻の尾崎牛」が食べられるというので来てみた。 「尾崎」というのは地名ではなく、生産者の人の名前だそうだ。  懐石コースになっている。

 尾崎牛のにぎりから始まり、パイ包みに入ったシチュー風の尾崎牛と か、ちょっとずつ趣向をこらした料理が出てきた。

 もちろん、おいしかったんだけど、私のように下世話なオニクスキー は、お肉を何枚も何枚も食べて、喜びの「苦しい〜〜〜」を叫びたいほ うだ。  ちょっと味が上品すぎたかな。  でも、パイ包みは、絶品。

 午後7時30分。青島パームビーチホテルへ。  帰ってすぐ、大浴場のお風呂に入る。  広いお風呂で、気持ちいい。  朝や昼間に入ると、眼前に海が広がって見えて、さらに気持ちいいだ ろうなあ…。  ただこの後、パジャマを来て部屋まで戻るのが、ひと苦労。  いくらバスタオルで身体を拭いても、パジャマに汗がひっつくのが、 困る。ときどき右腕が、袖に入らなくて腕が吊ってしまうことがある。  最近、部屋付き露天風呂に慣れてしまっているせいで、面倒を感じて しまう。ゼータクだ。  人間の贅沢は、果てしない。  午後8時30分。部屋に戻って、日記の下書きを始める。  温泉で気持ちが緩んでいるので、文章にしまりがない。  さっさと寝よう…。

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