11月8日(木) 午前6時。全日空ホテルで、今回の旅シリーズの日記の下書き。 密度の濃い旅だったから、書いても書いても、ちっとも進まない。 ハプニング満載で、いろんな人に会ったしねー。 午前9時30分。ホテルを、チェックアウト。 きょうもいい天気だ。 嫁と、ホテルの前にある「坂の上の雲ミュージアム」へ。![]()
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今年の3月の末に松山に来たときは、まだオープンしていなかったの で、今回撮影時間の合い間を縫ってでも来るつもりだった。 昨日、ロケの撮影が早く終わったので、そのまま京都に帰ることも可 能だったのに、もう1泊したのは、このミュ−ジアムに寄るため。 だから、期待が大きすぎたのかなあ…。 でもねー。尊敬する司馬遼太郎さんの作品『坂の上の雲』の名前のつ いたミュージアムだからねー。 ただ行って来ましたと、スルーするのもねー。 ちょっと「?」が、いっぱい点滅しちゃったよ。 司馬遼太郎さんの生原稿ひとつ展示されていない。 登場人物たちの遺品ひとつない。 あるわけないよね。 前半の主役・正岡子規の遺品は、「子規記念博物館」のほうにいっぱ いあるし、秋山好古・真之兄弟の遺品は、「秋山兄弟生誕地」のほうに ある。 いずれの記念館も非常に充実している。 だから「坂の上の雲ミュージアム」を作ると言っても、何を展示する んだろうなあとおもっていた。 来ているお客さんも展示されたパネルを見ながら「これは、明治時代 の松山の景色ですかね? あれ、銀座? あらまー」と、困っていたよ。 このミュージアムを建築したのは、あの安藤忠雄さん。 表参道ヒルズを建てた人だ。 大阪の司馬遼太郎記念館も、この人の建築。 表参道ヒルズとおなじように、安藤忠雄さん得意のコンクリートの打 ちっぱなしの回廊式だ。 『坂の上の雲』だからと、なだらかな坂になっているところも、表参道 ヒルズとおなじ。 きついことを書く。 はっきりいって、このミュージアムには、人をもてなす気持ちが、こ れっぽちもない。 エレベーターに乗っても、こんな表示。 4 3 2 出口 1 関係者用 B1関係者用 B2関係者用
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「関係者用」の文字は、お客さんに疎外感を与えるよ。 ワンフロア程度ならよかったのにねー。 展示物の中身が薄いだけに、安藤忠雄さん得意のコンクリートの打ち っぱなしが、よけい冷たく、寒々としたものに感じる。 建築家は箱のほうを作るのであって、中身(展示品)までは、監修し ないから、安藤忠雄さんの責任じゃないんだけどね。 最近の博物館や、記念館は、どこもていねいに作ってあって、上映さ れるビデオも凝ったものが多いだけに、この建物を30億円もかけて作 る必要がどこにあったんだろう。 再来年あたりに、NHKで13回に渡って『坂の上の雲』をドラマ・ スペシャルで放送する。 そうなったら、松山を訪れる人も急増するから、いまのうちに手を打 たないと、とんでもないことになるよ。 これでも、必死に気持ちを抑えて書いている。 松山は、観光に力が入っていて、「ぎやまんの庭」なんか、最高によ かったし、新しい温泉旅館が、続々建っている。 登り調子のときに、このミュージアムはちょっと水を差すような気が してならない。 グッズ売り場も全然、品物が少ない。 バンダナなんて誰が買うのだろうか? それだったら、司馬遼太郎先生の横顔の絵が入ったものとか売ってい てくれたほうが私はうれしかったよ。 この辺で、気持ちを抑えよう。 午前10時。「坂の上の雲ミュージアム」の裏にある「萬翠荘」と 、 「愚陀仏庵」を見る。
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「愚陀仏(ぐだぶつ)庵」は、夏目漱石と正岡子規が、一時期同居して いた下宿だ。 「愚陀仏庵」は、「子規記念博物館」のほうにも、レプリカが展示されて いる。「坂の上の雲ミュージアム」にも、展示すればよかったのに。
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「萬翠荘」の前から、タクシーに乗る。
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「坂の上の雲ミュージアムに行ってきたんですよ」 「何もなかったでしょ!」 「はっはっは! 何もなかった!」 「みなさん、そうおっしゃいます!」 「運転手さんのその言葉が、坂の上の雲ミュージアムに対して、いちば ん的を射た言葉だとおもいますよ!」 この運転手さんから、とびきり素晴らしい場所の情報をもらった。 それはもうちょっと後で。 午前11時。昨日、ロケ中に土居ちゃんと行った「道後ぎやまんの庭」 へ。 昨日見る時間がなかった「ぎやまんミュージアム」のほうへ。
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あの有名な道後温泉本館には、実はたくさんのぎやまん硝子が、取り 入れられているそうだ。 とくに、てっぺんの振鷺閣(しんろかく)の部分には、赤いぎやまん ガラスが取り付けられているんだって。 そのぎやまんを、モチーフにして、江戸時代のびいどろや、ぎやまん。 明治大正期に至るまでの約300点のガラス工芸品を集めた美術館にし たのが、この「ぎやまんミュージアム」だ。 ぎやまんのことは詳しくないけど、森林浴のように、こういう工芸品 を見ているだけで、経験値が溜まっていくような気がする。
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グッズ売り場で、孫たちが喜びそうなガラス細工を買ったのは、言う までもない。
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午前11時30分。ロープウェイ通りの「桃李花」へ。 中華料理のお店のような名前だけど、日本料理のお店。
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私は、秋山好古家雑煮セット。 嫁は、ほうたれ丼。 秋山好古家雑煮セットは、司馬遼太郎さんの『坂の上の雲』に登場す る秋山兄弟のお兄さんの家に伝わるお雑煮を再現したものだそうだ。 こういう食べ物が、「坂の上の雲ミュージアム」でも食べられたら、 よかったのにね…と、まだまだミュージアムに対して、ぐじぐじ…。
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嫁の「ほうたれ丼」は、イワシの丸干しのことを伊予地方では、「ほ うたれ」というらしい。 このイワシが美味しくて、頬が垂れるという意味で、「ほうたれ」と 呼ぶそうだ。
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最初はそのまま食べて、2杯目は、出汁をかけて御茶漬けのように食 べる方式。 お雑煮もおいしかったけど、こっちのほうがわざわざ松山まで来て、 食べる甲斐のある食べ物だなあ…。 次に松山に来たら、きっとこのお店で「ほうたれ丼」を食べるとおも う。『桃太郎電鉄』の物件名でもおかしくない名前だよね。
<おすすめのお店> 「桃李花(とうりか)」 住所:愛媛県松山市一番町2丁目7-3 伊予鉄会館裏 電話:089-932-3213 営業時間:11:30〜14:00 17:30〜21:30 定休日:日曜日・祝祭日(予約営業あり) おすすめ:秋山好古家雑煮セット、ほうたれ丼。
午後0時。「桃李花」の斜め前にあるのが、「霧の森菓子工房」。 せっかくなので、昨日のロケのお礼を言って、もう少し霧の森大福を 送らせてもらう。 ついでに、霧の森大福を2個と、ほうじ茶生チョコを買う。 どんだけ、私は甘いものが好きなんだ!?
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そういえば、毎回「桃鉄の旅」のロケ中に、スタッフ間で流行する言 葉が生まれる。 今回のは、テツandトモのトモくんが高校生に聞いた言葉が流行した。 それは、これ! 「高松って、何がおいしいの?」 「うどんだけ!」 「う、どんだけ〜〜〜!」 IKKOさんの「どんだけ〜〜〜」のもじりだ。
<おすすめのお店> 「霧の森菓子工房」松山店 住所:愛媛県松山市大街道3-3-1 電話:089-934-5567 FAX:089-934-5567 営業時間:10:00〜19:00 アクセス:いよてつ・大街道電停から徒歩1分。 定休日:月曜(祝日の場合は営業)・12/31〜1/3
午後0時30分。「伊丹十三記念館」へ。 『マルサの女』の映画監督・伊丹十三さんの記念館だ。 この記念館のことを、タクシーの運転手さんに聞いた。 今年の5月15日、伊丹十三さんの誕生日にオープンしたばかりだ そうだ。 「坂の上の雲ミュージアム」から乗った運転手さんに教えてもらわなけ れば来れなかっただけに、ものすごく後悔するところだったよ。
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私は、伊丹十三さんの映画も、エッセイも大好きで…。 『桃太郎電鉄』にマルサカードを登場させたくらいだから、私が伊丹十 三さんを好きなのはみんなのほうが知っているか! ハハハ! いやあ、「坂の上の雲ミュージアム」の後のせいか、この記念館の素 晴らしさったらない。 杉板を焼いた黒塗りの壁のシックな記念館からして、おしゃれで木の ぬくもりを感じる温かさ。 記念館の前には、カーマニアだった伊丹十三さんが最後に乗っていた ベントレーが飾ってあった。
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この記念館を設計した中村好文は「下手なものを作ったら、あの世に 行ったときに、伊丹十三さんに怒られるから!」と、「簡単で、面白く、 伊丹十三らしい」記念館を設計したそうだ。 まさに、その言葉通りの記念館だ。 記念館に入ると、伊丹十三さんの写真があって「やあ、いらっしゃい」 の言葉が書かれている。
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この言葉で一気に、伊丹十三ワールドに吸い込まれる。 伊丹十三さんの「十三」にちなんで、こまかく13の世界に分けられた 展示物は、緻密で楽しく、愛情にあふれたものばかり。 伊丹十三さんの子供の頃の写真から、小学生のときに描いた野菜の絵。 イラストレーターとしても有名になった人だけに、子どもの頃から、 桁外れに上手い。 ほかにも、愛用のバイオリン。ギター。レコード・コレクション…。
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『マルサの女』という題名になる前のいくつかのタイトル候補が、手 書きでレタリングされているのが、展示してあって、感動。 こういう舞台裏を見るの大好き。 『二人引く一人』っていう、タイトル候補が妙に気になった。
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映画「お葬式」の復元セットや直筆絵コンテなど350点なども展示さ れていて、見ていて飽きない。 まだまだこの先、2階の収納庫も公開して行くそうだ。 もう一度来ないとなあ。 この記念館の館長は、もちろん奥さんで女優の宮本信子さん。 「伊丹は、中庭の木のところで、いまも眠っています」だったかな? 最近、いい言葉を聞いても、忘れちゃうのが困ったもんだなあ。 宮本信子さんの挨拶VTRが、さりげなくて、すごくよかったんだよ。 とにかく行って見て、聞いてみてよ。 記念館のなかのカフェに入る。 カフェの名前は「タンポポ」だよ。 わかる人には、びりびりわかる名前だよね? 十三饅頭、チョコケーキ、チーズケーキに、コーヒーを注文。 コーヒーの入れ方にもうるさかった伊丹十三さんだけに、絶対このカ フェのお菓子もおいしいだろうとおもって、全種類注文した。
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思ったとおり。 全部おいしかったけど、とくにチーズケーキが抜群においしかった。 このチーズケーキを売っていなかったのが、唯一の残念。 「売ってないんですか?」と、聞かれることが非常に多いそうだ。 このカフェから眺める中庭が、いい。 本当にいまも、伊丹十三さんがそこに座っていそうだよ。
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もっと、ここでゆっくりして行きたいけど、そろそろ帰らないといけ ない時間だ。 次に松山に来ることがあったら、絶対もう一度ここに来るぞ。 入り口の脇のグッズ売り場も充実していた。 エッセイ集、映画のDVD、全部売っている。 伊丹十三さんデザインのTシャツも。 気がつけば、2万円近く買っていた。 ファンは好きな人に関連するグッズなら、いくらでも買いたいもんな んだよ。その欲求をこの記念館は実に気持ちよく満たしてくれる。 ファンの度合いでいうなら、私は伊丹十三さんより、司馬遼太郎さん なのになあ…。 この記念館をオープンさせるときに、宮本信子さんは「女房として、 最後の大仕事」と語ったそうだ。 泣かせるねー。 収納庫が公開されることになったら、絶対もう一度来るぞ。 もしニュースをキャッチしたら、通報して。
「伊丹十三記念館」 住所:愛媛県松山市東石井1丁目6番10号 電話:089-969-1313 開館時間:10:00〜18:00(入館は17:30まで) 休館日:火曜(火曜が祝日の場合は翌日)
午後1時45分。全日空ホテルで、旅行カバンを受け取り、JR松山 駅へ。 最後の最後で、「伊丹十三記念館」という素晴らしいものを見せても らって、気分良く帰れる。
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午後2時16分。JR松山駅から、しおかぜ22号岡山行きに乗車。
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車中、VAIOを開いて仕事を始めるも、揺れが激しいので、車窓か らの景色を眺めながら、帰ることにする。 ポンジュースを飲みながら。 このところ何回か、松山に来たとき、ポンジュースを飲まずに帰った ので、たまには飲まなきゃとおもった。 どうしても飲みたかったわけではない。 予讃線は、つねに海が近くに見えるので、車窓を楽しむにはいい路線 だ。瀬戸大橋を渡る頃が、ちょうど夕陽のときで、海の光り方が芸術的。 この海の美しさが「今回のロケも楽しかったなあ!」と、思い出させ てくれた。
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午後4時57分。岡山駅で、新幹線に乗り換える。 午後5時17分。岡山駅から、東海道新幹線のぞみ72号東京行きに 乗車。 車中、駅弁で夕食。 私は、栗おこわ弁当。
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嫁は、豚トコTON弁当。
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午後6時24分。京都駅で下車。 午後7時。京都のマンションへ。 ベッドにひっくり返って、「中日×韓国」のアジアリーグの試合を見始 めたとおもったら、15分ぐらいで、熟睡。 旅の疲れが、ドッと出たようだ。 もうちょい、京都に滞在してから、帰る。
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