１１月１７日（金）

　午前４時。やっぱり旅先は眠りが浅い。
　いつものように仕事を始めようと思ったけど、青森滞在も３日目。
　体力を温存しておかないといけないので、二度寝。

　札幌開発スタッフは、午前７時過ぎの電車で札幌に向かったはず。
　岩崎誠、土居ちゃん（土居孝幸）たちも午前中の飛行機で、東京に向かった。

　私と嫁は、まだ青森にいる。
　大きな仕事がひとつ残っているのだ。

　午前１０時３０分。私と嫁は、青森県観光推進課の斉藤直樹さんと待ち合わせて新
町の「千成（せんなり）」へ。

　３人とも、塩ワンタンメン。

　斉藤直樹さんがお店のおばちゃんに「あら、ひさしぶりねー！」と言われていた。
「そんなに来てなかったんだすか？」
「いえ。２週間ぶりぐらいで…」
「だったら、ひさしぶりではないじゃないですか！」
「ええ。でも以前は、毎日来てましたから。ハハハ！」
「いまは、まるかいラーメンに浮気してるわけだ」
「そうなんです！」

 



　あいかわらず絹のようななめらかなワンタンが実にうまい。
　鈴木やきそば、後藤やきそば、まるかいラーメンと、青森に来たときのランチの選
手層だけでも分厚くなって、ローテーションを組むのが大変だ。


＜おすすめのお店＞
「千成」
住所：青森市新町２丁目５−３
電話：017-722-4750
営業時間：10:00〜20:00
定休日：月2回土曜日（不定）
おすすめ：塩わんたんめん。


　食後、青森駅近くの喫茶店で、斉藤直樹さんときょうのお仕事の打ち合わせ。

　実は今回の青森のメイン・イベントはこの斉藤直樹さんとのお仕事のほうなのだ。
マグロだけを食べに来ただけではない。
　なんと青森県庁というか三村申吾青森県知事のお誘いで、県庁にて講演会を開くこ
とになったのだ。

「斉藤直樹さん、タウンミーティングみたいに、やらせの質問を用意してないんです
か？」
「はっはっは！　用意してないです！」
「あのタウンミーティングの話題は、八戸での出来事だから話題にするとまずいです
よね。すみません！」
「はっはっは！　本当に自分で質問を考えておいてと言ってあるので大丈夫です！」

　ゲーム専門学校での講演はいままで何回もやったことがあるけど、県庁という私の
人生において「県庁」自体、一生縁がないまま終わると思われた場所に、まさか講演
来るとは、本当に人生は小説よりも奇なり。
　しかも「県庁の星」の若手のみなさんの前で講演だ。
　いったいどういうことを話せばいいのやら。

　午後０時３０分。県庁に向かう。





　もはやこの法則を私でも信じるしかなくなって来たのだけど、県庁に向かったら、
さっきまで雨がしとしと降っていたのに、空がパッと明るくなって、陽射しが出てき
た。
　頼むから、「晴れ男」よりも、もっと有意義な超能力がほしい。

　県庁で、あちこちにご挨拶。
　正直言って、人生において初めて聞くような部署ばかりで、誰がどの人で役職名が
何だったかわからない。

　とりあえず、備忘録として名刺をいただいた方たちを書き記しておく。

・本多信雄さん、青森県商工労働部観光局長さん。
・小林正基さん、青森県商工労働部部長さん。
・伊藤盛一さん、青森県商工労働部次長さん。

　青森の人は、無口でおとなしいイメージがあるけど、みなさん明るいし、冗談ばか
りいう。

　午後１時３０分。県庁の５階のふだん何につかう部屋かわからないのだが、広い部
屋にて講演会、開始。
　５０人ほどの若い人たちが集まった。
「さくまあきら氏　県庁若手職員への講演会」とある。
　ちょっと気恥ずかしい。

 



　最初にそもそも昨年からの青森とのなれそめの話から。
　この日記を読んでいる人なら、斉藤直樹さんと読売広告で会ってから、八戸のサク
ランボ農園、青森三大ねぶた祭りを見せてもらったのをきっかけに、『桃太郎電鉄』
が五所川原立ちねぷた祭りに参加することになった経緯を知っていると思うけど、そ
のいきさつをまず話す。

　この後、質疑応答に。
『桃太郎電鉄』のゲーム作りについて話せばいいのかな？と思ったら、来ていた人の
年齢が３０〜３５歳ぐらいなので、なんと！　どんぴしゃの『ジャンプ放送局』世
代。
　こっちがあわてて頭を『ジャンプ放送局』に切り替えるのに手間取るほど。

　だって錯乱坊主とか、中粗根安拾とか、あるかりでんちとか、常連投稿者の名前が
ぽんぽん出てくるんだもん！
　これにはびっくりだよ。

　錯乱坊主本人が、いまもこの日記を読んでるはずだけど、まさか青森の県庁で「錯
乱坊主って、投稿仙人と呼ばれてましたよね？」と言われると思わなかったよ。
　私も「いまも彼は福岡県で、消防士をしていて３人（２人だったっけ？）の子ども
がいる」と説明したよ。

　もちろん青森の将来を真剣に考えている前途有望な人たちからの意見も聞けて非常
におもしろい討論会となった。
　新幹線推進課の人や、ＩＴ関係の人やもう一度会ってみたい人がたくさんいた。
　おかげで午後３時までの予定を、３０分オーバー。
　もっとしゃべり続けたかったけど、三村申吾青森県知事に会う時間が迫ってきた。

　午後３時３０分。再び、青森県商工労働部観光局長の本多信雄さんのところに行き、
歓談。
　実家が、鈴木やきそばの真ん前の「とど湯」さんなので、話もはずむ。

　午後３時５０分。このあと午後４時から、三村申吾青森県知事と会うために控え室
で待つ。
　そろそろじかんかな…と思ったら、三村申吾青森県知事のほうからわざわざ控え室
に私を迎えに来てくださって、恐縮しきり。
　こういう行動は異例らしい。

　そのまま、知事室へ。

　五所川原立ちねぷた祭りのお礼をいうのも忘れて、鈴木やきそば、後藤やきそばと
いった焼きそば談義と、弘前での三忠食堂でのニアミスの話など。
　最近の私のマイブームが焼きそばであることも伝えて、青森は焼きそば王国だか
ら、新幹線が青森まで延伸したときには、ぜひ「焼きそば横丁」を作ってほしいと要
請する。

 



　いまも毎月、三村申吾青森県知事とメールのやりとりをしているので、まだ県知事
と会ったのはきょうで３度目という気がしない。

　そういえば『Ｖジャンプ』に三村申吾青森県知事が写真入りで載ったことを非常に
喜んでいた。子どもに声をかけてもらえるようになったそうなのだ。
　井沢どんすけに、山下慎一郎、いいことしたねー。

　県知事との面会時間は１５分と決まっているのだが、きょうも５分オーバー。
　おまけに私たちがエレベーターに乗るところまで見送りに来てくださったので、ま
たまた恐縮しきり。





　このあと、再び、青森県商工労働部観光局長の本多信雄部長さんの部屋に戻って、
ひとしきり歓談。





　午後５時。ＪＡＬシティホテルにいったん戻る。
　もはや恒例なのだが、きょうのお仕事の全日程が終了したので、外は雨。

　午後６時。嫁と、堤町の「王味（わんみ）」へ。





　しばらくして、青森県観光推進課の小笠原裕課長さん、斉藤直樹さん、松尾義人くん、
中村義人さんが到着。
　きょうの講演会の打ち上げ。

 



　このお店は、青森県田子町産のにんにくをばっちりきかせた餃子で、しかもにんに
くが入った特製だれで味わう「にんにくONにんにく」の強烈な餃子。
　餃子好きにはすこぶるたまらないお店だ。





　でもきょうはもうひとつ目的が。
　このお店の焼きそばもまた抜群においしいという評判を聞きつけたのだ。
　きょうの講演会、三村申吾青森県知事との会話のなかで、何度も何度も焼きそばの
話題が出たので、このお店の焼きそばが無性に食べたくなった。





　焼きそばは、ピーマン、ニラ、玉ネギ、もやしなどの野菜中心の正統派の焼きそば。
　でも麺がつるつるで、のどごしの感触がよくて、これは鈴木やきそば、後藤やきそ
ばとは、まったく違ったおいしさの焼きそば。
　ちなみに、焼きそば、５２０円。餃子、４８０円。

　やっぱり間違いなく青森は、焼きそば王国だ。
　日本三大焼きそばが、富士宮、太田、横手なら、青森は『三銃士』のダルタニアン。
本当の主役だ。
　青森には、黒石市にも独特の焼きそば屋さんが、１５〜２０軒あるそうなので、ま
た何度か大森に来て、焼きそば王国であることを実証してみたい。

 




＜おすすめのお店＞
「王味（わんみ）」
住所：青森県青森市堤町１-10-8
電話：017（734）3380
営業時間：17:00〜翌１:20
定休日：日曜
おすすめ：餃子。


　午後７時３０分。ＪＡＬシティホテルに戻る。
　嫁は、所用あって青森空港から、東京へ向かう。

　飛行機に乗れない私は青森に残る。
　すごいねー。こんな時間からでも飛行機で東京まで戻れるんだから。
　つくづく飛行機に乗れない不便を感じるけど、怖いものは仕方がない。
　若い頃は何度もガマンして飛行機に乗ったけど、この年齢になるともう必死にガマ
ンするのはしんどい…。

　きょうはホテルでのんびりしてから、明日帰ることにする。
　それにしても、今年の青森の滞在日数が３０日間を越えた。
　１年のうち、１ヶ月いたことになる。
　ここまでの青森になるとは、私もびっくり。

　今夜は、『桃太郎電鉄ＤＳ（仮）』のテスト・プレイ。

　午後９時５７分。もう嫁から、羽田空港に着いたという携帯メールが入る。
　速いなあ…。
　私は半年かけて東北を一周した松尾芭蕉と速さを競うしかない。

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