11月3日(金)

 午前6時。昨夜早く寝付けたので、けっこう寝た気がする。

 午前9時。JALシティホテルをチェックアウト。
 青森ワシントンホテルと比べると、一長一短。
 なかなかどちらがいいか悩む。
 当分、併用してしっくり来るほうにしてみようかと思っている。

 荷物は全部宅急便で東京に送って、いつも肩から提げているBREEのカバンと、
VAIOを入れたタリーズの手提げ袋だけの軽装姿に。
 VAIOを簡単に入れられる袋はけっこう探して試してみたんだけど、このタリー
ズの手提げ袋がいちばん楽で、手にしっくり来る。
 今回、袋のなかにエアーキャップも入れたので、衝撃対策もばっちり!

 午前9時45分。「青森県立郷土館」まで歩く。

 ここで「わが家にテレビがやってきた」という特別展をやっていたのを、青森県観 光推進課の斉藤直樹さんたちのブログ「まるごと青森」で知って、やってきた。

 東京オリンピック前後の昭和を展示してあって、まさに私が対象年齢に、どんぴし ゃの世代だ。  まず入り口付近に、パブリカ、ブルーバード、スバル360の3台が展示してあっ た。  パブリカもブルーバードも、私が所有して運転していたことのある車だ。  スバル360も高校時代の同級生・黒川くんが乗っていたので、私も何度も運転し たことがある。

 奥の展示室に入ると、電化製品が置いてあって、これがよかった。  電熱器、足つきのテレビ、電気ストーブ、電気掃除機などに混じって、電気ゆで玉 子機が展示してあった。

 私はこの電気ゆで玉子機を買ったことがある。  全然ちゃんと茹でられなくてね!  卵の殻が割れて、よく白味が噴き出したものだ。  昔は、いんちきっぽい製品が多かった。

『月光仮面』、『赤銅鈴之助』といった漫画の単行本、カルタ、めんこ、水写し絵と いったものまで展示してあった。

 石原裕次郎さんの時代のポスターもなつかしい。  ほかにも昭和30年代の青森の風景写真も展示してあって、地元の人には、じ〜ん と来るような写真なんだろうなあ…。

 こういう特別展もいいけど、どうせなら町ごと、なつかしい昭和の時代を再現して しまったら、どうだろう。  大分県宇佐市では、商店街が1軒ずつ、自慢の古い蓄音機とかをお店の前に展示し て、けっこう大型観光バスが来る町になっている。  あれをもっと大規模にやれば、その町にはおじいちゃん、おばあちゃんも必要にな ってくるから、シルバー雇用にもなる。  どこかでやらないかな。  この「わが家にテレビがやってきた」の特別展のところで、1枚のちらしを見つけ た。そこには「オールドカーコレクション展示館」と書かれているではないか! 「オールドカー」という単語は、私の眉毛がピクピクッと反応しちゃうよ。  ここから近いのだろうか? 「青森県立郷土館」の受付の女性に、ここから近いのか?を聞く。 「青森市の隣りの町なのですが…」  このあとアスパム近くの「まるかいラーメン」に行こうとおもっているけど、まだ 開店時間まで、1時間半もあるのでここに寄ってから、また戻ってくればいいと、タ クシーに乗って向かう。

「青森県立郷土館」 住所:青森市本町二丁目8-14 電話:017-777-1585 開館時間:午前9時 〜午後6時(5月1日〜11月5日)       ただし4月1日〜30日、11月6日〜3月31日は午後5時まで 休館日:年末年始(12月29日〜1月3日) ほかに館内整理日あり。

 車は、国道4号線を東に向かって走る。  街路樹の紅葉が美しい。  おっ! 合浦(がっぽ)公園の近くを通った。  桜を見に行ったなあ…。  快適なドライブ気分だが、ずいぶん遠い。  老齢な運転手さんに聞く。 「運転手さん! ひょっとして、浅虫温泉に向かってません?」 「そうですよ!」 「ええ〜〜〜っ!」  浅虫温泉は、青森駅から特急でひとつめの駅だよ。  オールドカーを見てから、青森に戻ってもまた浅虫温泉を通るぞ!

「運転手さん! 西平内(にしひらない)町っていうのは、浅虫温泉の手前あたりで すか?」 「いえ! 浅虫温泉の先です!」  だったら、青森県立郷土館の受付の女! 浅虫温泉の先と言えよ!  午前10時45分。西平内町の「オールドカーコレクション展示館」へ。

 自動車の整備工場のなかにある。  中古車販売のような気がする。  でも、500円の入場料を取るぞ。  とにかくお金を払ってなかに入る。  たくさんのオールドカーが無造作に置かれてあった。

 私はオールドカー・マニアなので、もはや相当古い車を見ても、驚かなくなってい る。でも一応、おさらいのためにこんな車が展示されていた。  ヒルマンミンクス、いすずべレル、いすずべレット、くろがねベイビー、カルマン ギア、コニー、トヨタ800、ジャガーXK120、ミゼット…なかなか見事な展示 物だ。  消防車まであるぞ。  オートバイも多い。

 でもこの並べ方といい、車のチョイスの仕方といい、これは個人が好きで集めたも のを展示しているだけのような気がしてきた。  館長らしきお父さんが出てきたので、聞くとその通りだった。 「ここにあるのは、何台くらいですか?」 「35台くらいかな?」 「ほかにもあるんですよね?」 「うん。この倍くらい!」 「これってお父さんが売るためでなく、ほしくて集めただけですか?」 「そうです!」  がび〜〜〜ん!  私もこういう博物館を作るのが、夢だっただけに先を越された! 「こういうの欲しいなあ!」とおもったことって絶対誰かがもうやってるんだねー!  このお父さん、偉大なる馬鹿だ!

 1台の古ぼけた軽自動車が目に入る。  私が知らない車種だ。  メーカーは? 「日本自動車工業」?  そんなメーカー知らないよ!

「このメーカーって、途中からたま自動車になったとか、トヨタに吸収されたといっ たことなかったんですか?」 「ない! 潰れた!」 「へえええっ! 知らなかったあ!」 「乗ってみます?」 「ええっ? いいんですか!」  断わるわけがない!  いかん! 顔がうれしすぎる〜!

 この軽自動車、日本自動車工業が売り出した「NJS53」という車種で、 スクーターの免許で乗れる小型車として、話題になったようだ。  1954年の発売だから、さすがの私も2歳だ。

「オールドカーコレクション展示館」 住所:青森県東郡平内町山口字小沢4-2 マルタケ自動車整備工場 電話:071-735-4935 携帯:090-7935-9809 展示日:土・日・祝のみ。 展示期間:4月〜11月まで。 展示時間:9:00〜17:00

 午前11時。運転手さんに浅虫温泉まで戻ってもらうことにする。  途中、「ほたて広場」というのがあったので、寄っていく。 「道の駅」のような場所。

 青森県は、ホタテの名産地として有名だけど、とくにこのあたりの夏泊半島のあた りでいちばんホタテが採れる。  ここは漁業組合が中心になって、昨年の4月にオープンさせたそうだ。  3連休なので、駐車場は車でいっぱい。

 オープン・テラスで、ほたてラーメン、ほたてカレーなど食べる。  大間のまぐろと、ほたてで、「紅白にぎり寿司」一皿500円というのも食べてみ たけど、「鮨処すずめ」の大間のまぐろを食べて奢ったくちの私に250円のまぐろ をおいしいとはいえない。  でも、ほたてラーメンと、ほたてカレーはおいしかったよ。  ほたて貝焼きも食べる。  こっちは3個、200円。安い!

「オールドカーコレクション展示館」のおかげで、いい取材が出来た。

<おすすめのお店> 「ほたて広場」 住所:青森県東津軽郡平内町大字土屋字鍵懸56 電話:017-752-3220 営業時間:9:00〜18:00 (11月〜3月は9:00〜17:00) 定休日:1月1日(元旦)

 午前11時30分。浅虫温泉駅へ。

 私たちが乗る予定の特急がここに来るまで、まだ1時間半ぐらいある。  せっかくだ。  少し浅虫温泉を歩いて行こう。  浅虫温泉に来たのは、30年ぶりぐらいだ。  あの頃とあまり景色は変わっていない。

 午前11時45分。日本旅館「海扇(かいせん)閣」1Fの喫茶店で、コーヒー。 コーヒーの値段、400円。  東京だと別段高い値段ではないが、「鈴木やきそば」の300円、「後藤やきそば」 の350円、「ラッキーピエロ」の315円という数字を見慣れた数日間だけに、 値段が高いと感じてしまった。  VAIOを広げて、プロアトラスで浅虫温泉付近の地図を見直す。  なるほど西平内駅は、浅虫温泉駅のひとつ先だった。  午後1時30分。お土産屋さんを覗いてから、浅虫温泉駅前の足湯へ。  全国どこでも、駅前の足湯は、お客さんでいっぱいだ。  ここ浅虫温泉の足湯もいっぱいだったけど、隅っこが空いていたので、ズボンをた くし上げて、足を入れる。

 アチチチチッ! こ、これは!  熱すぎるじゃないかあ!  熱海で熱いお湯になれているほうなのに、この熱さはいったい!  すると、ほかに足湯に浸かっていた人たちが、笑って「そっちはお湯が出るところ なんで、熱いんだ!」という。  えっ? どこ?  あっ! ほんとだ。  まさに私の足元に、お湯が出てくるパイプがあった。  そうか。どおりで、隅っこのここだけ空いていたのか!  お客さんがいっぱいなのに空いているのには理由があると気づくべきだった。  すぐみなさんが場所を開けてくれたので、比較的温度の低いほうで再び足をつける。  こっちでも、けっこう熱いぞ。  あとから、小さな子どもが来て、足湯をつかう。  3歳か、4歳ぐらいの子だ。  平気な顔をしている。  それより、おじいちゃんを呼んで「ジッジーも!」と足湯に浸かれと言っているの を見て、急速に孫姉禁断症状が悪化する。  しかし、きょうはすでに娘は家に来れないというメールが入っている。  旅先から帰って、孫姉に会えないのはさみしい。

 午後1時2分。青森駅で乗るはずだった白鳥18号に、浅虫温泉から乗車。

 車中、VAIOを広げて、日記の下書き。  今回は1日が長いので、当然文章も長くなる。  お店データも多い。  こりゃ大仕事だ。  午後1時52分。八戸駅に到着。  新幹線に乗り換える。  八戸まで来ると、東京はもうすぐだ!という気分になる。  午後2時4分。東北新幹線はやて18号、東京行きに乗車。  今回の旅は、いろいろ収穫が多かったなあ…。  何よりテツandトモの町の人に対する接し方の見事さは、『桃太郎電鉄』に欠けて いた何かが見えて来た気がする。  それと今回も、青森県観光推進課のみなさんに本当に助けられた。  函館「鮨金」のみなさんにも、助けられた。  旅もまた「人」次第だ。  仙台駅に着く。  はるか昔、東京から仙台駅まで、東北本線の特急で4時間かかった。  いまでは1時間41分である。

 仙台まで来ると、東京まであとちょっとの気分になる。  ところが、福島あたりでVAIOのバッテリー充電がもうすぐ切れるという表示が 出た。  ええっ!? VAIOの充電は5時間でもOKでしょ!  あっ! 朝からずっとスリープで持ち歩いて、浅虫温泉の喫茶店でも仕事をしてし まったから、合計すればもうすぐ5時間になる。  ガッデーーーム!  気持ちを切り替えて、VAIOを閉まって、アイデアノートを引っ張り出して、ア イデア出しを始める。  宇都宮駅に着くころ、なんと! ゲスト・ボンビーのアイデアが浮かんだ!  これはめでたい!  たぶん、これはそのまま『桃太郎電鉄18(仮)』に登場させても大丈夫なくらい のアイデアなはずだ!  現在、『桃太郎電鉄18(仮)』に登場予定のゲスト・ボンビーを1体、2軍落ち させよう。この1体は今回の旅行中、土居ちゃんと打ち合わせしたときも、どうも しっくり来なかった。  VAIOのバッテリー残量がなくなったおかげで、いいアイデアが出た!  午後5時8分。終点、東京駅に着く。  何やら東京がなつかしい。  もう1週間以上も東京を離れていたような気分だ。  いつもなら、このまますんなり自宅に帰る予定だったけど、孫姉が来ないなら別に 何時に帰ってもいいので、嫁が行きたいと言っていた銀座の着物展示会について行く ことにする。  午後5時30分。銀座4丁目へ。  私は着物の趣味などないので、近くの「銀座ぶどうの木」で、アイデア出しをして 待つ。 「銀座ぶどうの木」は、日本最初のデザート専門店だ。  このお店、コーヒーのほかにデザートを最低1品注文しないといけないルールに なっている。  嫁が着物の展示会を見ている間、ここで待っている私に「デザートを食べなさい!」 と言っているようなものではないか! はっはっは!    クレーム・プリンと、コーヒーを注文。

 旅に疲れた身体に、プリンは最高のおいしさだ。はっはっは!  ちょうどいい具合に、新幹線のなかでゲスト・ボンビーのアイデアが出たので「鉄 は熱いうちに打て!」とばかりに、推敲する。  そのうち、もうひとつイベントのアイデアが出た。  これもまたプリンのおかげに違いない!  プリン、プリン! 君は私のエネルギー!

<おすすめのお店> 「銀座ぶどうの木」 住所:東京都中央区銀座5−8−5 電話:03-3574-9779 営業時間:平日11:00〜22:00 日祝11:00〜20:30 定休日:無休。 おすすめ:タルト・オ・ポンム。 備考:日本最初のデザート専門店。

 午後6時30分。嫁からメールが入ったので、喫茶店を出る。  なんと! 着物の展示会会場に、人形町の私の親戚の家である「紬の橋爪商店」の 佐々木さんが来ているというではないか!  佐々木さんだけでなく、ウェブ・デザイナーの菅沼真理さんまでいるではないか!  ばったりトライアングルだ!  午後7時。せっかくなので「紬の橋爪商店」の佐々木君枝さんと、うなぎの「竹葉 亭」へ。

 いろいろ佐々木君枝さんと話していると、やはり血筋なのか、寝つきが悪いとか、 飛行機が苦手だとか、人生に対する考え方まで、そっくりなので驚くやら、納得する やら。

<おすすめのお店> 「竹葉亭」銀座店 住所:東京都中央区銀座5-8-3 電話:03-3571-0677 16:30〜20:00 定休日:年末年始。 おすすめ:うなぎ料理の老舗。鯛茶漬け。

 午後8時。帰宅。  ベッドにひっくり返って、10分ぐらいでバタンキュー!  さすがに寝つきの悪い私でも、長旅のあとはすぐ眠れる。  30分ほど仮眠。  午後9時30分。きょうは来ないといっていた娘&孫がやって来た!  うれしいじゃないか!  旅行前に、風邪がほどくて心配された孫姉は、すっかり元気になっていた。  風邪でぐったりした孫姉を見てそのまま旅に出たので、心配していたのだ。  娘が、毎日携帯メールで経過は伝えてくれていたんだけどね。  かわいそうに、風邪の鼻水で鼻をこすりすぎて、鼻の下の皮がむけてしまって、 まるで加藤茶さんのちょびヒゲみたいになっていたのが痛々しかったけど、だいぶ回 復していた。 「ジッジー! ジッジー!」  お風呂に入るとき、何度も孫姉は私の顔を見ては「ジッジー!」と叫ぶ。  孫姉と、お風呂に入る。  今回の旅の最後に最高のご褒美が待っていた。  体重のほうも思ったより増えていなかった。  よかった、よかった!  きょうは、ぐっすり眠れそうだ。
 
さくまNEWS


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