10月31日(火)

 スカイ・パーフェクTV「サイコロまかせ〜桃鉄の旅」の撮影2日目。

 午前4時。旅先の眠りは浅くて、つらい。
 でも昨日の仕事を何とか終えた安堵感のほうが大きい。
 この番組、てっきりテツandトモのふたりが司会で、私は毎日放送『桃の陣』のよ
うなご意見番程度の役どころだと思っていたのだが、なんと司会陣であった。

 でもよく考えれば、テツandトモが主役なら、私は東京にいてビデオレターだけで
出演すればすむ。
 NHKの朝のドラマがズブの素人をつかって、脇をベテランで固めるようなものだ。
テツandトモのふたりがいなかったことを考えると恐ろしい。

 午前8時。青森ワシントンホテルを出発。
 ロケバスに全員が乗り切れないので、レンタカーとロケバスの2台での旅。
 青森県観光推進課の中村義人さんがきょう1日付き合ってくださる。
 いつも青森県観光推進課のみなさんにお世話になりっぱなしである。

 みんなが一様に「いい天気だなー!」と喜ぶ。 「晴れ男がいるから!」とも。  私のせいのようである。はっはっは!  たしか昨日の天気予報では、午後から雨だったような気がするのだが…。  今回のテレビ制作会社・オフィス・キッチンのスタッフにはふたりも雨男がいるら しいが、見事な晴天である。 「さくまサンの晴れ男は、相当強いと思いますよ!」と言われる。  まあ、晴れたほうがいいけど、どうせならもっとほかの超能力を身につけたいよ!  おっ! いつもの五所川原に向かう道とは違う道を走っている。  国道280号線、通称・松前街道を北上しているな、これは!  要するに、青森湾を♪津軽海峡冬景色〜〜〜、ごらん、あれが竜飛岬〜の方向に進 んでいる。  右手に海が見えて、気持ちいい。  蟹田駅あたりを左折して、やまなみラインへ。  紅葉が美しい。  でもこのあたりの紅葉はそろそろ終わりらしい。

 午前9時30分。道の駅「十三湖高原トーサムグリーンパーク」で、トイレ休憩。

 さっそく道の駅のお店の人たちが、テツandトモを見つけて大騒ぎ!

 きょうもしっかり「何でだろう〜」を歌って相手をしてあげるテツandトモは本当 にえらい!  絵を描いたり、小説を書いたり、作曲をしている人が、何で自分の作品がヒットし ないんだろう?と思う悩んでいる人は、一度テツandトモが町の人と出会っていると ころを見てみるといい!  自分に何が足りないか、一目瞭然にわかるはずだ。  わからないなら、本当にその仕事に向いていないから辞めたほうがいい。

 今回の旅では、テツandトモのふたりから、私と土居ちゃんに足りないものをいっ ぱい学んで帰ろうと思っている。  午前9時45分。十三湖の「ドライブイン和歌山」へ。  今年二度目の「ドライブイン和歌山」だ。

 十三湖は、日本海に面する海水と川の水が入り混じった汽水湖。  ほとんど1.5mくらいの深さしかない湖なので、しじみが育ちやすいのだそうだ。  ここは中世の頃、日本有数というか日本一栄えた十三湊(とさみなと)という伝説 が残っている。  安倍氏・安東氏という有力豪族がしのぎを削っていたが、ある日突然襲った津波で すべてが消えてしまったという。  この話を始めると、歴史学者やマニアが口角泡を飛ばして議論を始めるので、ここ では触れない。 『桃太郎電鉄』は、あくまでも、“うんち”のゲームである。ハハハ! 「ドライブイン和歌山」で、しじみラーメンの撮影。

 みんなしじみラーメンのおいしさと、しじみの大きさにびっくりする。  アシスタントの成田志織さんは、青森県出身なので、「おいしい」という言葉の方 言を「わンや、うめ〜!」と教えてもらって、、みんなで「わンや、うめ〜!」と叫 ぶ。

 それにしてもこの番組、私が旅の取材で見つけたおいしいお店を紹介していく番組 なので、演技で「おいしい!」を表現しなくてすむので助かる。  だいたい私と土居ちゃんにそんな演技が出来るわけない。  旅行専門のレポーターさんたちは、ほんとに特殊能力の持ち主だと思う。

 お店のご主人が、しじみのバター焼きまで作ってくれた。

<おすすめのお店> 民宿ドライブイン「和歌山」 住所:青森県北津軽郡市浦村大字十三133-22 電話:0173-62-2357 営業時間:11:00〜18:00 定休日:無休。 おすすめ:しじみラーメン

 午後0時。五所川原駅へ。  昨年から何度目の五所川原だろう。  撮影の準備を始めていると、五所川原市役所の菊池課長の顔が見えるではないか!  「桃太郎電鉄立ちねぷた」で何度もお世話になっているけど、親戚のおじさんに 会ったような気分。

 駅前でオープニングの撮影。  いろいろ撮影の順番は前後するけど、映画だって最初から順序良く撮影していくわ けではないからね。  むしろ、スカイ・パーフェクTV旅チャンネル「サイコロまかせ〜桃鉄の旅」を見 る直前にこの日記を読んでから見るとおもしろいと思う。  ほう! こうやってテレビ番組は作られるのかというメイキング映像を見るような 気分になれると思う。

 午後1時。五所川原「立佞武多(たちねぷた)の館」へ。  ここのお土産品売り場で、きょうもテツandトモのふたりが、お土産品探し合戦を 撮影開始。  嫁に頼んで、「立佞武多(たちねぷた)の館」の前のココア甘食のおいしいお店 「ブロート」に買いに行ってもらう。  食い通しの旅なのに、必ず買うものは個人的にも買っておきたい。  午後1時30分。テツandトモのふたりに、「立佞武多(たちねぷた)の館」のな かに入ってもらって、「桃太郎電鉄立ちねぷた」を見てもらう。

 なんと! あの22メートルの立佞武多(たちねぷた)が左右にあって、「桃太郎 電鉄立ちねぷた」が真ん中で偉そうにすっくと立っているではないか!

 ちょっと図々しいにも、ほどがあるぞ!  両脇に太刀持ちを従えた横綱みたいだぞ!  五所川原立ちねぷた祭りのときより、大きくなっている気がするぞ!  そんなわけないんだけど、本当に湯河原の家に入るのだろうか?  心配になって来た。  テツandトモのふたりが「桃太郎電鉄立ちねぷた」を自分のことのように感動して くれたのがうれしかった。  ほんとにいい人たちだよ。  午後1時45分。旅番組で、五所川原に来るなら、あのお店を紹介しないわけがな い。 「あげたいの店」へ。  このお店も今年何回目なんだ? はっはっは!

 今回の旅で、いちばんおいしいものは何ですか?とみんなに聞かれていたんだけ ど、私と土居ちゃんのイチ押しは、もちろんここ!  それだけ期待させていたのだから「おいしいですね」程度のリアクションになって もいいのに、みんな「おっいっしっいっ!」と「っ」が入る。

 しかもスタッフが代わる代わる私のところにやって来て「ほんと、おいしいです!」 と言いに来る。  うれしいけど、私が作ったわけではないのだ。  テツandトモのトモくんが、あげたい、カレーあげ、ハンバーグあげと3枚も食べ ていた。  番組のなかでは、テツandトモのふたりは、揚げ鯛を食べていないことになってい るけど、テツandトモのふたりに揚げ鯛を食べさせずに帰したくないよね!

 私も今回、初めてカレーあげを食べたんだけど、カレーパンのカレーがなかに入っ ているんだね。揚げ鯛とも、チョコあげともまったく違った味。  土居ちゃんは、全商品を制覇しているけど、私はまだ3種類だけ。  全商品制覇するまで通わなければ!

<おすすめのお店> 「あげたいの店」 住所:青森県五所川原市上平井町99 電話:0173-34-2064 営業時間:9:30〜18:00 定休日:第1・第3日曜

 午後2時30分。再び五所川原駅で、撮影。  見物人のなかに、テツandトモのふたりがよく知るテレビ業界の人のお兄さんとい う人が現れて「似てる!」とびっくりしていた。  こういう出会いも旅ならでは。  私、土居ちゃん、テツandトモ、アシスタントの成田志織さんとのコンビネーショ ンもだいぶテンポが出てきた。  テツandトモとは、『桃太郎電鉄12〜西日本編もありまっせー!』のCMから何 度も会っているけど、こういう形でがっちり仕事をするのは初めてだけに、うまくい くか心配だった。  土居ちゃんは蛭子能収(えびすよしかず)さんみたいな漫画家兼タレントをめざし ているからいいけど(嘘)、ロケ中に私たちがどんどん仲良くなっていく様がたぶん テレビ画面を通して伝わっていくと思う。

 けっきょく仕事っていうのは、スタッフ全員の仲のよさの度合いが、お客さんに結 果として伝わるだけのような気がする。  仲がいいということは、価値観がいっしょということだから、当然いい物になるに 決まっている。  意思統一が大切だ。

 午後3時。五所川原での撮影終了。  まだこの時間なのに、だいぶ外の空気が冷たくなってきた。  さすが北国だなあ…。  またロケバスに乗って、次の町をめざす。  番組ディレクターの筑根(つくね)勉くんが「いいなー、いいなー、青森の人たち いいなー、ほんといい人ばかりだなあ…」と、何度もつぶやいている。  今年の3月の撮影にいっしょに来たとき、筑根勉くん、平田雄大くんはすっかり青 森を気に入ってしまったけど、今回も青森びいきが加速している。  さぬきうどんのブームが来たように、青森ブームが来るのは時間の問題のような気 がする。  青森といえば、リンゴ。  そのなかでもいちばん生産量の多い板柳町を通る。  いままさにリンゴは旬の季節を迎えているので、リンゴがたわわに実っている。  真っ赤なリンゴや、ピンク色のリンゴもある。

 でもほとんどの人は、ロケバスのなかで、ぐっすり…。  午後4時。弘前駅へ。  五所川原から弘前に来ると、大都会に来たように思える。

 ちょうど中学生、高校生の下校時間にぶつかってしまったので、あっという間に黒 山の人だかり。  でも東京のひねくれた学生と違って、みんなお行儀がいい。

 それでもさすがに、ますます人が増えてきて撮影続行不能に。

 場所を弘前の中心部に移す。  ここからテツくん、トモくん、二手に分かれての撮影。

 午後5時。私、土居ちゃん、成田志織さんは、「戸田うちわ餅」店へ。  すっかり日が暮れてしまった。

 東京だと夜7〜8時ぐらいの暗さだけど、まだ夕方。  ここでは、テツandトモのトモくんだけ撮影。  私たちはロケバスのなかで待機。  道中、ロケバスのなかで、血液型の話をしたら、A型、B型まっぷたつで、O型、 AB型がひとりもいないことに、みんなでびっくりする。  しかも、B型全員が、喫煙者で、A型全員が、禁煙派!  さらに、A型がバスの前のほうに座り、B型がバスの後ろのほうに座っている。  要するに、固まっているのだ。

<おすすめのお店> 「戸田うちわ餅店」 住所:青森県弘前市銅屋町21 電話:0172(32)7698   営業時間:10:00〜18:00 定休日:月曜。 備考:うちわ餅

 午後6時15分。再び、弘前駅前へ。  また学生さんたちに囲まれるが、時間が押しているので、撮影開始!  お土産対決の結果発表だ。

 実はこのとき、みんなで「戸田うちわ餅店」の黒蜜の串餅を食べるシーンを撮影し たんだけど、私はお餅を食べた瞬間、インプラント手術の仮り歯が抜けてしまった!  幸い下の奥歯3連続の歯のほうだったので、抜けた歯が画面に写る心配はないけど、 私はしゃべりながら微妙に奥歯3本をくちのなかで隅っこのほうに追いやっていたの で誰にも気づかれなかった。  うっかりすると、奥歯を飲み込んでしまうからだ。  それにしても前歯の8連続の仮り歯のほうでなくてよかった!  平安時代の麻呂(まろ)のように前歯をお歯黒のように抜けた顔では、あと2日間 の撮影が続行不能になってしまう。  もちろん歯医者さんに行く時間なんてない!  午後7時。「三上牛乳直営販売所」へ。  すっかり夜の景色。  北国は夜の色が濃い。

 昨年の夏に、青森県観光推進課の斉藤直樹さんに連れてきてもらったソフトクリー ムのお店だ。  私は最近かなり健康のために、ソフトクリーム、アイスクリームを控えている ので、“公務”として、堂々とソフトクリームを食べられるチャ〜〜〜ンス!

 絶品のバニラソフトを食べたかったけど、まだ食べたことのなかったプリンのソフ トを食べる。これもいい味。  自然に笑みがこぼれる。

<おすすめのお店> 「三上牛乳直営販売所」 住所:青森県弘前市東和徳2-3 電話:0172-32-1056 営業時間:10:00〜20:00 定休日:無休。 おすすめ:濃(こく)プリン。バニラソフト。

 午後7時30分。「三忠食堂」へ。  このお店は、あの三村申吾青森県知事がお気に入りのお店で「このお店の名物は津 軽そばだけど、中華そば(ラーメン)がおいしいのでぜひ食べてください!」とメー ルをもらっている。  実は今年のゴールデン・ウィーク前、三村申吾青森県知事と知り合ってから、すっ かりメール友だちになってしまっているのであった。  私の人生は、どこまで不思議の道を進んで行くんだろう…。

 中華そば(ラーメン)は、とってもなつかしい味。  東京では最近、激辛や焼いた石をぶち込むような変り種のキワモノっぽいラーメン のお店が増えているので、こういうラーメンを食べるとホッとすることを忘れかけて いた。  青森の麺は、縮れ麺。  私は縮れ麺が大好きなので、このお店の中華そばは非常に性に合っている。  中華そばの脇に、そば餅がついていて、これが抜群においしかった。  でも、このおまけ、毎回変わるそうだ。  きょうはたまたま、このそば餅だったそうだが、このそば餅トッピングで別売りに すべきだ。単体でも売り出せると思う。

 そういえば、きょうもお昼ぐらいに三村申吾青森県知事が中華そば(ラーメン)を 食べにこの店に来てたんだって!  ニアミスだあ!

<おすすめのお店> 「三忠食堂」 住所:青森県弘前市和徳町164 電話:0172−32−0831 営業時間:11:00〜19:00 定休日:日曜日。 おすすめ:中華そば

 午後8時。きょうの撮影、終了! 「三忠食堂」のご主人、撮影終了後テツandトモだということに気づいたらしい。  その驚き方がおもしろかったようだけど、私はすでにロケバスに乗り込んでいたの で見れなくて残念!  一路、青森に向かって、暗い夜道をひた走る。  午後9時過ぎ、青森ワシントンホテルに到着。  またしても青森県観光推進課の斉藤直樹さんが待ち構えていて、挨拶だけでもと来 てくれた。  公務員なんだから、早く家に帰ってあげてくださいよー!  さすがに私はへばって来たので、ホテルの部屋に戻る。  ふい〜〜〜、何とか1日やり通した!
 
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