11月1日(火)

 気仙沼は気温は低いが、快晴。

 午前9時。私、嫁、土居ちゃん(土居孝幸)の3人で、昨日行った気仙沼港の海鮮
市場「海の市」へもう一度。

 水揚げされて間もない魚がトロ箱に入れられ、積みあがっている。  ブリとか、武将のような面構えだ。

「海の市」の一角にあるお店へ。  昨日ここを訪れたときに、「明日必ず食べに来ますよ!」とお店の人に予告した 「斉吉(さいきち)魚問屋」だ。  お店の人も妙な3人組(私たち)のことを覚えていた。

 豪華ふかひれ海鮮丼、2720円を注文。  2720円は、値段高いとおもうだろうけど、こんなに豪華なおいしいものが乗っ ているんだよ! ・フカヒレ。 ・づけまぐろ。 ・ボタン海老。 ・ホタテ。 ・いくら。 ・タコ。 ・生うに。

・ふのりの味噌汁。  東京で食べたら、安くても5000円はする。  しかもここは魚市場に隣接している施設だから、魚はほんとに新鮮。  あいかわらず、グルメ評論家的表現が苦手な3人は、ひたすら「うまい! うまい!  いやあ、うまい! うまい! うまい! いやあ、うまい!」をくりかえしながら、 ぺろりと平らげて、ふう!とため息をつく。  もう食べ終わっちゃってさみしいという表現だ。

<おすすめのお店> 海鮮市場「海の市」 住所:宮城県気仙沼市魚市場前7-13 電話:0226-24-5755 営業時間:9:00〜16:00 定休日:不定。 おすすめ:斉吉魚問屋。

 食後、昨日売り切れていた「ふかひれパン」を見に行く。  ハハハ! ほんとにパンが、フカヒレの形をしている。  パンのなかにも、フカヒレが入っているんだって!  意外とこのパン、しっとりしていて、うまい!  フカヒレという名前がなくても、おいしいよ。  あっ! かすかにフカヒレ入っているのがわかる。  どうも地方でおいしいパン屋さんに出会うことが多いんだけど、パン屋さんのため にだけここまで旅行しに来るのは難しいよなあ。  でも、昨日の日本一の焼き魚のお店「福よし」のおかげで、もう一度このパンを食 べる日が来るかも。

 気仙沼名物のふかひれラーメンや、ふかひれスープ、ふかひれ粥を、自宅に送る。

 午前10時。この時間から気仙沼駅から電車に乗ろうにも、1時間近く電車はない ので、海鮮市場の前からタクシーに乗る。  この辺から、嫁の携帯電話に、サクマニアのみなさんから、『桃太郎電鉄JAPAN』 始めました!というメールが、ジャカスカ入ってくる。  そうだよ。きょうから『桃太郎電鉄JAPAN』の配信開始なんだよ。  ダメじゃない。そんな大事な時期にのんびりこんなところにいて。  これも仕事なんですよー!  11月3日くらいに、まとめて掲載しよう。  車は国道284号線を走る。  大船渡線と平行に走る道路だ。  電車からの車窓と、タクシーからの景色はずいぶんと違う。  タクシーのほうが青空が大きく見えるせいで、山が高く見える。

 やたらと「室根山」という文字を見る。  標高900メートル近い、この地方でいちばん高い山で、まわりに高い山がないこ とから、このあたりのランドマークになっているようだ。  昔は鬼首山と呼ばれていたそうで、坂上田村麻呂の鬼退治伝説が伝わるそうだ。  悪路王あたりの話かな。  私は鎌倉時代以前が、あまりくわしくない。  千厩(せんまや)町を通る。  千厩町といえば、名馬の産地であの源義経の愛馬「大夫黒(たゆうぐろ)」が、この 千厩産として有名だ。  源頼朝が鎌倉で挙兵した際、奥州平泉にいた源義経が、藤原秀衡公からこの馬を贈 られ、この名馬に乗って、はせ参じた。  それどころか、あの源義経の名を不動にした「ひよどり越の逆落とし」の際にもこ の名馬に乗っていたそうだ。

 一ノ関に近づくと、本当に源義経の正しい歴史がいっぱい残っている。  あのまま源義経が、鎌倉の源頼朝のところに行かず、藤原氏のもとにずっといた ら、日本の歴史はどういう風に変わっていたのだろうか。  午前11時。道の駅「かわさき」へ。  看板に道の駅「かわさき(川の灯り)」とある。 「川の灯り」って何だ?  道の駅のお店の人に聞くと、この建物の上に灯りがついていて、この建物のすぐ脇 に北上川が流れているので「川の灯り」という愛称がついているそうだ。  でもただしくは「川と灯り」だよね。

 このあたりの農作物を中心に売っている。  おいおい! 8個入りの柿が、200円だよ!  何たる価格破壊!  柿マニアの私が買わないわけがない。  このあたりは、ホド芋と呼ばれるお芋が名産らしく、ほどいも蕎麦、ほどいも饅頭、 ほどいも何とかという名前の製品が多い。  土居ちゃんは、きょうもソフトクリームを買っては、私に食べさせようとする。  モンブラン・ソフトクリームというネーミングがお気に入りのようだ。  昨日も気仙沼の海鮮市場で、うれしそうにソフトクリームを食べていたが、北海道 の牛乳ソフトクリームであった。

 なぜ気仙沼名物ふかひれソフトクリームを食べない!  午前11時45分。一ノ関駅へ。  気仙沼からタクシーに乗ったおかげで、予定していたスケジュールが大きく短縮さ れたので、みどりの窓口で、新幹線のチケットを変更してもらう。

 午後12時12分。一ノ関駅から、東北新幹線Maxやまびこ47号盛岡行きに乗車。  盛岡までわずか、3駅40分ほどだ。  道の駅「かわさき」で買ってきた柿を食べる。  いいねー! 人の家の庭に生っていた柿をそのままもいで食べるようなおいしさだ。 甘いけど、野生っぽい。 「うっ! しぶっ!」 「どうした、土居ちゃん!」 「この柿、しぶいよ!」 「ええっ! 私のはじゅうぶん甘いけど…。あっ。ほんとにしぶい!」 「でしょ?」 「土居ちゃん、ハズレだ!」 「ハズれたなあ!」 「8個200円だから、こういうのありそうだよね」  その後、8個中7個甘かった。  土居ちゃんの柿だけ、ハズレ! はっはっは!  午後12時54分。盛岡駅で下車。  しばらく駅構内で、コーヒーを飲みながら、乗り換え待ち。  東北新幹線はすっかり新幹線はやて中心のダイヤになってしまったので、仙台、盛 岡以外の駅から新幹線はやてに乗ろうとすると、非常に連結が悪い。  新幹線はやてが、1時間に1本しかないせいだ。  これが30分に1本になったら、東北新幹線は非常に便利なんだけどなあ…。  午後1時26分。盛岡駅から、新幹線はやて11号八戸行きに乗車。  何か新幹線はやて号になったら、落ち着く。  どうも私はMaxやまびこの2階建て車両が苦手のようだ。  つくづく高所恐怖症で精神が塗り固められているようだ。  車中、土居ちゃんと再来年以降の『桃太郎電鉄』シリーズをどうするか話し合う。 来年の話ではなく、再来年ね。 「つねに3年先を見越して計画し、微調整せよ!」という言葉は誰が作ったか忘れた けど、その教えだけはずっと守って来ている。  PS2ですら、体力的に1年で作り上げるのが年々厳しくなっているのに、再来年 だとそろそろ「新ハードで作ってほしい」という話題も出てくるんだろうねという会 話。  できるかぎり、PS2でゲームを作り続けたいものだ。  つるつるテカテカのキングボンビーや桃太郎なんて見たくない。  午後2時4分。終点八戸駅に到着。  ここから在来線に乗り換え。  午後2時15分。八戸駅から、白鳥11号函館行きに乗り換え。 「函館行き」の文字だけで、最近函館に行ってないいなあ…と、そわそわしている。  車窓からの眺めに、紅葉が増えてきた。  特に黄色い木は、鮮やか。  それでもまだ紅葉のピークは遅れているようだ。

 ガタン、ゴトン。在来線特有のレール音は、旅気分満点でいいなあ。  一生懸命ひたむきに走っている。  午後3時17分。もう青森駅に到着だ。

 駅構内の「NEW DAYS」を2軒覗いて行くが、「新郷村の飲むヨーグルト」 が売っていない。  今回青森に来たら、絶対買えるものだとおもっていただけに、がっくり。  午後3時30分。ワシントンホテル青森にチェックイン。  荷物を置いて、外出しようとしたら、ロビーにハドソンの川田忠之くんがいた。 「うわああ、さくまサン! び、びっくりしましたあ! 午後6時に青森に到着って 聞いてたから、僕が一番乗りだとおもってましたあ」 「電車を速めたら、3時間も速く着いちゃったんだよ!」  午後4時。私、嫁、土居ちゃん、川田忠之くんの4人で、青森の観光物産館「アス パム」へ。私が青森に寄ったときには必ず寄るお土産を買う場所だ。

 でもさすがに今年4度目の青森県訪問だけに、もう「アスパム」で買うべきお土産 がない…というより、前回ここから東京に送ったりんごジュースをまだ飲みきってい ない。

 川田忠之くんが、ハドソンの大里取締役に連絡を取るが、電話が通じない。  今回の旅に参加するって言ってたのになあ…。  午後5時。ワシントンホテル青森に戻って、1Fの喫茶店へ。  読売広告の岩崎誠が到着。  岩崎誠は午前中に東京で仕事が入ってしまったために、飛行機で到着。  しばらくして、高橋名人が到着。 「高橋名人! 大里さんと連絡がつかないって!」 「えっ?」  がっくりうなだれる高橋名人。

「来る日間違えたんじゃないの?」 「電車で隣り合わせたお姉ちゃんと、そのままどこか行っちゃったとか…」 「最初から来る気なかったんじゃないの!」  みんな言いたい放題!  …と、そこへ大里取締役、到着。 「あれ? 大里さん、来たの?」 「何よ、来ますよ!」 「連絡つかないから、青森に来ると会社には報告しておいてどこかに行っちゃったの かとおもってた!」 「ひどいなあ! 青森のテレビ局のやつとさっきまで会ってたんですよ」 「ハハハ! そうだったんだ!」  午後7時。全員揃って、ホテル近くの料亭「百代(ももよ)」へ。  青森県観光推進課の斉藤直樹さん、松尾義人くん、中村義人さんと待ち合わせ。  このお店は、先日東京神楽坂の赤城神社における鶏肉シャモロックをつかった料理 の試食会のときに、わざわざ青森から来て料理長を務められた浪内通さんのお店。

 実は今回、斉藤直樹さんに大間(おおま)のマグロが食べられるお店があったら教 えてほしいとお願いしたら、このお店を紹介してくださった。  こっちは軽い気持ちで、青森でお寿司屋さん以外で、マグロが食べられたらうれし いな!程度だったんだけど、とんでもないマグロが私たちを待ち受けていた。  まず、マグロの色から見てよ!  こんなきれいなマグロをいっぺんに見るのは初めて。

 絶対うちの娘に「何でこんなマグロが食べられるなら、連れて行ってくれなかった の!」といわれそうなマグロだ。  知らなかったんだよ〜!  いやあ、江戸のお殿様でも、これだけ豪勢な料理を食べたことがないだろうという くらいのマグロずくしがスタート!  マグロだけじゃないんだよ。  いやあ! 完璧にノックアウトされちゃったよ。  おいしい。おいしすぎる!  連打、連打で、マウンド上で立ち尽くす横浜ベイスターズのへなちょこ投手の気分 だ。  いきなり長芋の千切り、生ウニ、生子このわた、いくら、アンコウといったお通し に、「うまい! うまい!」と連続ヒットを浴びる。

 次に出たかまとろの軍艦巻きには、バックスクリーンに叩き込まれる鮮やかなホー ムランを打たれる。  これ、もっと食べたい!  長芋や豆腐に豆板醤を混ぜたものらしいけど、この味はたまらん!  フジツボを食べる。  あの海の岩にこびりついているフジツボだ。  飛び出ている頭を取って、海老を食べるときのような体勢で食べる。  くちのなかに、海の香りと潮の匂いが広がる。  へえ! フジツボって、こういう味なんだ。

 土地のきのこをつかった土瓶蒸しには、軽くセンター前に持って行かれる。  青森県は、ほんとうにキノコ類がおいしい!

 ここでお店の美人女将さんが登場。  もう5失点くらいで、うつろな目になっている投手に気合を入れにくる監督のよう だ。  すかさず、大里さんが「おい、写真撮れ!」と叫んで、女将さんと並ぶ!  すばやい動きだ!  さすがオランダのスケベニンゲン生まれの(嘘)、大里さんだ。

 しばらく女将さんに青森の食材について教えてもらう。  もう今年何度くりかえし言ったかわからないけど、ほんとに青森の食材は素晴らし い。  しかし、ここから真打登場!  大間のマグロのお刺身! 「うぎゃあ!」 「うわ〜〜〜〜〜〜!」 「何これ〜〜〜!」  あちこちから悲鳴が上がる。

 マグロのハラスだよ!  マグロのホホの肉の炙り!  こんなおいしい食べ方は初めて!

「うままままっっっ!」 「く〜〜〜〜〜〜っ。うめえっ!」 「おいしいいいいっっっ!」  マグロの頬肉の唐揚げ!  マグロの頬肉のしょうが焼き!

「さくまサン! 井沢どんすけサンに写メール送るの忘れてません?」 「そんな男、知らん!」

 いやいやいやいや…。  これだけ食べても食べても、まだまだ未知のおいしい食べ物に出会えるんだねえ。 信じられないよ。

 最後は、この間の神楽坂赤城亭で、ことのほか私が気に入った、鶏肉シャモロック のスープで作った塩ラーメンをいただく。  このラーメン、東京でお店で出したら、絶対行列だよ!

 デザートは、蜜リンゴ。  たまにシロップに浸かったリンゴの瓶入りってあるけど、あのリンゴってちょっと ふにゃふにゃじゃない!

 この蜜リンゴは、シャキシャキの歯ごたえじゅうぶんの上に、蜜がたっぷりなんだ よ。すごい手間のかかった料理。  午後10時。ワシントンホテル青森に戻る。  ふいいいいっ! く、く、苦しい!  毎日、お腹が破裂寸前!  そういえば、「新郷村の飲むヨーグルト」の話題を書くのを忘れていた。  青森県観光推進課の斉藤直樹さんから、私がいくら探しても「NEW DAYS」 で「新郷村の飲むヨーグルト」が買えないという話について詳細を聞いたのだ。  サクマニアのみんなからも「NEW DAYS」に、新郷村の飲むヨーグルトが売っ ていないというメールはいっぱい来ていたしね。

白井市・にしやん。 ―――――――――  新郷村の飲むヨーグルトが「NEW DAYS」で見当たらないということで、お 昼休みに市ヶ谷、四ツ谷の駅を散歩ついでに見てまわりました。  ん〜。ないですね。別ブランド(宮崎産)のものが同じ¥157で売ってはいました が・・・。  同じ系統のものを2種類置くかな?と思いますので、取り扱いを止めたのではない でしょうか。

大和市・なべちゃんこなべ ――――――――――――  さくま先生、こんばんわ。「新郷村の飲むヨーグルト」はほんっとにどこの「NE W DAYS」でも見かけなくなりました。  高確率で置いていた横浜駅でもここ1ヶ月ほどは・・・。  で、私の推測なのですが、増産の話を新郷村に打診しているところから、その商談 が成立するまでの間、一旦製品を店舗に(わざと)置かない様にしているのではない でしょうか。  というのも、コンビニのような「売れる商品を数多く捌く」商売では、時として 「売れ残り」よりも「在庫切れ」の方が売上やその後のマーケティングに悪影響を及 ぼすことがあるからです。  売れ残った商品はさっさと処分をして他の商品に切り替えれば済みますが、売れ筋 の商品が長時間品切れのままだと、その時間の分だけ「売り損ない」が生じてしまい ます。  かといってその棚に数日だけ他の商品を置く、という訳には簡単に出来ませんし・ ・・。  新郷村の飲むヨーグルトのファンの私としては販売再開を首を長〜〜〜くして待っ ているのですが・・・。  何せ、通販で900ミリリットル入りを買うのでは、飲み切れない&家にいない時 間が圧倒的に長いので荷物を受け取れない、という問題が私の場合発生してしまうの で・・・。

 なべちゃんこなべクンの推理が近い。  本当に「新郷村の飲むヨーグルト」は、売れ行きがよかったんだって。  でも生産が間に合わなくて、10月に入ってからだったかな…ゴメン! あまりに もマグロがおいしくて、せっかく聞いた話をしっかり覚えられていない。  10月からいったん出荷をストップしたそうだ。  で、現在、工場を増やして、増産体制に入るようなんだけど、なにしろあの味だ。 あの味を維持するには、生産量を2倍にするのが、限界らしいのだ。  牛の数だって足らなくなってしまうだろうしね。  それでも、来年の1月から、また「NEW DAYS」で発売するそうです。  通販は引き続き受け付けているそうなので、また通販しないとな。  でも今月は、毎日どこにいるのかわからないんだよ。
 
さくまNEWS


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