9月14日(水) 午前6時30分。『朝ズバッ』で起床。 眠い…。 午前8時。嫁と、「イノダコーヒ本店」へ。 朝から、暑いねー。クラブハウスサンドに、コーヒー。 午前8時30分。ヤサカタクシーの宮本さんが迎えに来てくれて、いざ出発。 きょうはこれから、大阪と奈良のほぼ県境にある大阪芸術大学に行く。 大阪芸術大学は、私の師匠、『子連れ狼』の原作者・小池一夫さんが学科長を務め ている大学だ。 小池一夫師匠の教え子たちが、変わりばんこにゲスト講師として呼ばれて、、すで に高橋留美子さん、堀井雄二くん、原哲夫くん、板垣恵介くんといった人たちが、こ の大学を訪れている。 この大学に来るにあたって、みなさん交通の不便を真っ先に話題にするので、事前 に大学までの経路を調べたら、ほんとに遠い。 「乗り換え案内」を見たら…。 8:05発 京都 JR東海道本線(快速) 8:37着 大阪 徒歩 8:43発 梅田(大阪市営) 大阪市営地下鉄御堂筋線(普通) 9:00発 天王寺 徒歩 9:04発 大阪阿部野橋 近鉄南大阪線(準急) 古市(大阪) 近鉄長野線(準急) 9:30着 喜志 正味1時間半(大学までだと2時間)なのだから、たいして遠くないのだが、この 乗り換えの数はいったい何なんだ!? これはみなさん、尻込みするはずだ。 とおもっていたら、サクマニアの枚方市・あすやんクンからちょっと前にメールが 届いた。 何とあすやんクンは、この大学の卒業生だったのだ。 そのあすやんクンから、「ほんとに遠いですよ。ヤサカタクシーの宮本さんに頼ん で、京都から行ったほうがいいですよ」といわれた。 私もひょっとしたら、そうかもしれないとおもっていたので、宮本さんにお願いし た。 すると、早い、早い。 阪神高速道路から、阪和自動車道で、あっという間。 正味1時間10分ぐらいで着いてしまった。 午前10時。大阪芸術大学へ。 大きなキャンパスだ。 山の斜面がすべて大学の敷地みたいだ。
ディズニーランド…よりは広くないか。 でも校舎から校舎に移る感覚は、ディズニーランドで新しいアトラクションに移る 感覚と似ている。 そのくらい大きい。 巨大なパイプオルガンのあるホールまであって、生徒たちがお昼ご飯を食べるとこ ろとしてつかっているなんて、何て贅沢なんだ。 場所が遠い分だけ、設備は抜群にいいね。
学部室に行って、たくさんの人とご挨拶に、戸惑う。 ・大阪芸術大学大学院事務室地味長の新原祐二さん。 ・大阪芸術大学教務部教務課システム課課長の植村悦和さん。 ・大阪芸術大学キャラクター造形学科講師の林日出夫さん。 ・大阪芸術大学キャラクター造形学科学科長秘書の川辺佳展さん。 ・大阪芸術大学キャラクター造形学科の小池一夫師匠担当の山本由樹さん、 ・小池一夫書院副編集長の太田匡人さん。 うれしかったのは、漫画家のバロン吉元さんにお会いできたこと。 バロン吉元さんといえば、『漫画アクション』で連載した『柔侠伝』シリーズが名 作で、私たちの世代にとっては憧れの漫画家さんだ。
あの『湘南爆走族』の作者・吉田聡くんも、バロン吉元さんの大ファンで、かつて 私と吉田聡くんと、現在『ビッグコミック』編集長の奥山豊彦くんと3人で、 バロン吉元さんの漫画について語り明かしたほどだ。 まさかこういう場所で、お会いできるとはおもわなかった。 午前10時50分。長年の知り合いである菅本順一さんの紹介で、ゲスト講師とし て講義。 いつも専門学校で、50人、多くても100人ぐらいの前でしか話したことがない ので、300人を前にして、珍しく緊張してしまった。
『桃太郎電鉄』を中心に、ゲーム作家になったいきさつや、ゲーム作りについて話す。 生徒のみんなからも、たくさん『桃太郎電鉄』について質問してくれたので、非常 にうれしかった。 『桃太郎電鉄』には、悪行を働くキャラが多くて、お金をくれるようなキャラが少な いという意見は参考になった。 ちょうど『桃太郎電鉄16(仮)』を作り始めたところなので、助かる。 お金をくれるキャラというと、おいどんしかいないもんね。 また、これから発売される新機種のハードに対して、みんながあまり期待していな いという意見はけっこう貴重だったなあ。 午後12時。講義、終了。 このまますんなり京都まで戻っても、もったいないので、大きく寄り道して、『桃 太郎電鉄』の取材をして行くことにする。 午後1時30分。国道25号線の道の駅「針テラス」へ。 こんなに巨大な道の駅は見たことがない。 レストランは大きいし、スパのような温泉施設まであるし、東名高速の御殿場イン ターかとおもった。
気温34度。 暑いよー! 真夏ほど湿気が少ないから、少しはガマンできるけど、デブには30 度以上はきつい。 とはいえ売店に、牛揚げ天、牛串焼きといった魅力な文字を見つけると、暑さも忘 れて、吸い込まれるように、注文する。
牛串焼きは、伊賀牛。 伊賀上野が近いからだ。 嫁が、奇妙なところてんを固めたような「くずもちあいす」を興味本位で注文する。 でも、これがいちばんおいしかった。 葛をつかっているのは、葛の名産地・吉野が近いせいだろう。 きなこと黒蜜がかけてあって、ようかん一棹の3分の2くらいの大きさの葛はしっ かり冷えていて、不思議な食感。
午後2時30分。伊賀上野市内へ。
『桃太郎電鉄』でおなじみ、私の大好きな町、上野市だ。 ひさしぶりの伊賀上野だけど、これだけ駅前の景色がまったく変化しない町も珍し い。私が初めて来た30年前のまんまだ。 まずは、「桔梗屋織居(ききょうやおりい)」へ。 ここは、『桃太郎電鉄』の伊賀上野駅に登場する「手裏剣せいんべい」のモデルの 製造元だ。 正式名称は「手裏剣かたやき」。 伊賀上野名物の堅焼きせんべいと、手裏剣の形を合体させたもので、これが歯が欠 けそうになってこわいんだけど、味に深みがあっておいしい!
伊賀上野には、このほかにも、忍者せいべい、忍者まんじゅう、忍菓水ぐも、忍び の里まんじゅなど、忍者にちなんだお菓子がやたらと多い。 でも、形のおもしろさといい、味のよさといい、この「手裏剣かたやき」がいちば んだ。 「桔梗屋織居」では、ほかにも魅力的なお菓子を多数売っていたので、手当たり次第 買う。 夏季限定の水まんじゅうや、やっぱりだじゃれっぽい「いがむいたら栗」など。
<おすすめのお店> 「桔梗屋織居」 住所:三重県上野市東町2949 電話:0595-21-0123 営業時間:8:30〜19:30 定休日:無休。 おすすめ:水まんじゅう、手裏剣せんべい。
せっかく伊賀上野まで来たので、伊賀焼き物工房にも寄ってみたい。 インターネットで調べた場所を、宮本さんの車のカーナビで検索すると、市内から 何と13キロメートルも先にある。 「桔梗屋織居」でもらった観光マップだと、まるで上野城のすぐ脇にあるような表示 なのに!
車はどんどん山道を登って行く。 いったいどこまで行くんだろう? 途中で何度も「宮本さん、戻りましょうか?」といったほどだ。 午後3時。突然、人家が見えて、まとまった集落が見えた。 一瞬「これが平家の落人たちの里か!」というセリフが浮かんだくらい奇妙な気分 になった。 いかにも陶芸の里で、道端で無造作に陶器の安売りをやっていた。
「長谷(ながたに)園」へ。 お茶漬けの会社は「永谷園」。 字が違う。 「長谷(ながたに)園」は創業が、天保3年(1832)という気が遠くなるような 昔から、作陶を続けている長谷製陶株式会社の里だ。 嫁にいわせると、最近通販などでやたらと雑誌に載っている注目の企業のようだ。 私が勝手にインターネットで調べてやってきただけなのに、嫁が知っていようとは。 伊賀焼きの土鍋で作る料理も評判らしい。
それにしても、「小京都」を標榜する町が逃げ出しそうなくらい風情のある町、い や、町ではなく一区画だ。 宮本さんが「ああ! 新しく買ったデジカメを持ってくればとかった!」と何度も 悔やむほど、雰囲気がある場所ばかりだ。 とくに16連の登り窯は、見事だ。
展示室が3棟あって、当然ながら器を買うことができる。 作陶所も何ヶ所かあって、陶工さんたちが歩いていたり、休憩していたりする。 せっかくなので、何か買っていきたいとじっくり展示室を見て回ったんだけど、私 は伊賀焼き物が大好きなので、すでに購入済みだったりする。 おまけに気に入った器や、オブジェはすべて15万円以上。ちょっと買う気分にな れない値段だ。 コーヒーでも飲んで行くかと、コーヒーのお値段を見たら、400円。 東京では安いほうの料金だが、なんと! コーヒーカップ付きで、400円なんだよ! コーヒー飲んだあと、そのコーヒーカップを持ち帰れるお値段が、400円なんだ よー! びっくり! そういうシステムのお店にはいままで何回も出会っているけど、この400円 でもらえるコーヒーカップの出来がむちゃくちゃいいんだよ。 東京で買ったら、1500円以上するような代物。 しかも、ごていねいにビニール袋に、新聞紙、ストロー付き。 新聞紙で包んで帰ってくださいということだね。 さらに、アイスコーヒーを注文したあと、どこで飲んだらいいんだろう?と 展示室を見回すけど、テーブルがない。 「どの辺で、飲めばいいのですか?」 「向かいの大正館のほうで飲んでいただいても、けっこうです」 「あっちまで持って行けばいいんですね」 「出来上がりましたら、お持ちいたします」 至れり尽くせりではないか。
大正館というのは、大正時代、長谷園が事務所としてつかっていた場所で、この館 も、陶器のポストが置いてあったりして、雰囲気満点。
ありゃありゃ。 この大正館のほうで、セルフ・サービスでカップ付きコーヒーを飲んで行くと、 350円でコーヒーカップを持ち帰れるようだ。 さっきの400円よりも安い。 何という場所なんだ、ここは。 ほんとに異次元空間に迷い込んだような気分になってきた。
今度来るときは、かまどで炊くご飯を提供してくれる料理屋さんのほうにも寄って みようかな。 おもしろいところを見つけてしまった。
<おすすめのお店> 長谷園 住所:三重県伊賀市丸柱569 電話:0595-44-1511 営業時間 : 9:00〜17:00 休業日 : 不定
午後4時。再び、上野市内へ。 昔からまったく変わらないかわいい形の上野市駅の駅舎を眺める。
JR関西本線の駅が、伊賀上野駅で、近鉄伊賀線の町の中心地の駅のほうが、上野 市駅。 上野駅を名乗れないのは当然ながら、東京の上野駅があるため。 でもこの伊賀上野にある上野城のお殿様は、藤堂高虎といって、江戸時代東京の上 野に江戸屋敷を構えた場所を、「上野」と名づけたのだから、本来ならこっちの上野 市駅のほうが、上野駅を名乗ってもよかったはずだ。 でも上野市自体が、蒸気機関車が町の真ん中を通るのはけしからん!と、JR関西 本線の伊賀上野駅のほうに線路を追いやったくらいなのだから、仕方がないことでは ある。 昔は、蒸気機関車が町中に通るのを嫌がって、滅んだ町がやたらと多い。 東海道五十次の宿場町など、この典型だ。
午後4時30分。伊賀上野に来たときの楽しみのひとつは、何といっても「すき焼 きの金谷(かなや)」で、お肉を食べること。 「金谷」は、1928年創業の老舗。 もうすぐ100年だ。
このお店に来れること自体が、幸せの象徴だ。 財力がないと来れないということもあるが、健康でないと、なかなか伊賀上野まで は来れない。だから「金谷」に来れる幸せというのは、私にとっては格別だ。 仙台牛の「大胡椒」、近江牛の「三嶋亭」、伊賀牛の「金谷」は、私の和牛ベスト 3、同率首位だ。 靴を脱いで、2階の個室へ。 古い建物なので、風情たっぷり。 個室の数も多い。 このお店はお肉もおいしいけど、接客がいい。 仲居さんのお肉を出すタイミングが絶妙。 でしゃばらず、愛想が悪いでなく、そのタイミングは名人芸だ。 網焼きにするか、すき焼きにするか、さんざん悩んだあげくに、両方注文すること にした。はっはっは!
伊賀牛は、ほんのり甘くて、やわらかいのに、噛み応えもあるのだよ。 「おじいさんは山に木を切りに、おばあさんは、川に洗濯に行った」ので、おじいさ ん(私)は、井沢どんすけに伊賀牛を写メールして、おばあさん(嫁)は、清正まな つチャンに写メールするのであった。 まなつチャンの「伊賀牛は乗っ取れますか?」には、大笑い。 伊賀上野といえば、『桃太郎電鉄』では忍者のっとりクンだ。 実は、伊賀上野に着いたあたりで、アリtoキリギリスの石井正則くんが、香港の ディズニーランドから、写メールを送ってきてくれたので、「伊賀上野から嫌がらせ」 と、お肉の写真を送った。 でもメールは届いたけど画像は届かなかったようだ。 それにしても香港からの写メールが携帯電話でとどく時代ってすごいねー。 お腹が破裂する寸前まで食べて、「苦しー!」。
<おすすめのお店> 「すき焼きの金谷」 住所:三重県上野市農人町434 電話:0595-21-0105 営業時間 : 11:00〜19:30分 定休日: 月(定休日が祝日の場合は翌日休)
午後6時。雨がぽつぽつ降り出したとおもったら、夕立が降って、やむ寸前だった ようだ。 あいかわらず、「金谷」で仕事を忘れて、伊賀牛に舌鼓を打っている間だけ、雨が 降るというのは、おもわず笑ってしまうな。 伊賀上野を出発して、一路京都へ向かう。 信楽(しがらき)を通って、国道422号線をひた走る。 まだ6時を過ぎたばかりというのに、真っ暗な道だ。 伊賀上野に来ると、この「真っ暗な夜」のイメージが強い。 やっぱり忍者の里だもんね。 私は疲れが出て、熟睡。 石山から、大津に出て、名神高速道路で、京都東へ。 午後8時。京都のマンションに到着。 今回もまた宮本さんの安全運転のおかげで、無駄なく、快適な旅。 スカイ・パーフェクTVの「横浜VS中日」戦で、横浜ベイスターズ勝利の瞬間に も間に合った。 ほんとに三浦投手のときしか、横浜ベイスターズは勝てないなあ。 でも横浜ベイスターズが中日に勝ったために、阪神タイガースに優勝マジック13 が点灯。 今年も横浜ベイスターズは、優勝チームに貢献だ。 読売広告の岩崎誠も、もう「優勝」の2文字をくちにしていることだろう。 ぐはっ。 体重が…。 ちょっと、くちに出せないくらい増加してしまった。 やばい。緊急事態だ。 体重調整に入らないと! 肥満は、万病のもと。
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