１２月２７日（月）

　いたたたっ。痛い、痛い…。
　どうにもひねった腰が痛くて、かがむこともできなくなってきた。

　午前７時。温泉にざぶりんこ。
　温泉に入ると、腰の調子は一時的によくなるんだけどなあ…。

　午前８時。『特ダネ』を耳で聞きながら、ぐっすり。
　お風呂に入ったあとの１時間の睡眠は、８時間分ぐらい気持ちいい。
　ああ！　ぬくぬくと、熱海を離れられない。
　でも、困ったことが起きた。
　近くに東京三菱銀行がない。
　熱海に無いことは想定していたが、小田原、沼津にもないとは。
　横浜まで行かないといけない。
　でも、今夜は新横浜まで行くから、いまからでかけると、１日じゅう横浜で時間を
潰さないといけない。

　午前１０時３０分。いいことを思いついた！
　嫁と、家の前でタクシーに飛び乗って、３分で熱海駅へ！
　たったひとつしかない新幹線自動券売機に並ぶ。
　前の家族が、いちいち一人分ずつ買っているのをイライラしながら待つ。
　おまけに、腰がどんどん痛くなってきた。
　乗車時間まで、３分しかない。
　通路を小走りすると、腰に激痛が走る。

　午前１０時４４分。新幹線ひかり２６７号新大阪行きに乗車。
　間に合った！　ふい〜〜〜！
　この新幹線は、熱海にも停車する便利なひかり号だ。
　１日２本しかない。
　熱海から京都に向かうときによくつかっているやつだ。
　静岡駅まで、わずか２５分で着く。
　東がダメなら、西があるさ。
　静岡に向かうことをおもいついた。

　しかし、腰の痛みは最高潮で、すっくと立ち上がることができず、よろよろ、よろ
よろと音がするかのように、ゆっくりイスを立つしかできない。

　午前１１時９分。静岡駅で下車。
　静岡駅前に、東京三菱銀行がある。
　しかし、なぜか私と嫁の足は、再び東に向かって進むのだ。

　午前１１時４５分。旧・清水市、来春からは清水区になる清水駅へ。





　めざすは、「末廣（すえひろ）寿司」。
　熱海購入のきっかけのひとつは、この「末廣寿司」が近いこともあった。
　実際に熱海に来たら、けっこう遠いことに気づいた。

　でもせっかく静岡まで来たのだから、この絶品のマグロが食べられる末廣寿司にぜ
ひ寄りたかった。
　花より団子。銀行より中トロ。

 



　だいたい２年に一度くらいしかこのお店には来れないのに、ご主人が私たちのこと
を覚えていてくれた。
　有名なお店は、こういうお客さんの心を繋ぎとめるのが上手だ。
　さすが遠くから、このお寿司屋さんめざして食べに来る人が多いお店だ。
　でもこれだけ評判がいいお店は嫉妬も買うのだろう。
　このお店でお寿司を食べたら、ひとり１０万円取られたという噂がけっこう一人歩
きしている。
　そんなことは、まったくない。
　静岡あたりでは確かに値段が高いけど、東京銀座のお寿司屋さんより、はるかに安
い。
　人気が出れば、根も葉もない嘘を作られるのは、必然なのかな。

　真っ先に、絶品のトロから。
　ネタが大きい。
　くちのなかで、溶けるようだ。
　ああ！　おいしいお寿司は、温泉につかっているとおなじくらい、幸せイオンが出
ているような気がする。
　私にとっては、佐々木様のフォークを生で見に行くようなものだ。
　このお店のトロは、伝家の宝刀だ。

  
  
  



　トロ以外も、もちろんおいしい。
　三河湾のタイラ貝とか、ヒラメとか、ネタが大きくて、お腹がいっぱいになるのが
悔しい。


＜絶賛のお店＞
「末廣寿司 」
住所：静岡県清水区江尻東２の５の２８
電話番号：0543-66-6083
営業時間：１１：３０〜
定休日：調べ忘れた！


　午後１２時５０分。清水駅へ。
　このあと静岡に行って、東京三菱銀行に行くつもりなのだが、私は腰が痛くて、つ
いに高円寺の整体のお兄ちゃんに電話を入れた。
　高円寺の整体のお兄ちゃん・梅津実くんは、月曜日と火曜日、網代の別荘ですごす
ことが多い。
　休日なのだから治療を頼むのは申し訳ないんだけど、快諾してくれた。
　ありがたいことだ。
　予定変更。嫁に静岡に行ってもらって、私は清水駅から、網代に向かうことにした。

　午後１２時５８分。東海道本線熱海行きに乗車。
　車中、『十津川警部「オキナワ」』（西村京太郎・カッパノベルス）を読み終える。

　午後２時２分。熱海駅に到着。

　午後２時１４分。伊豆急下田行きに乗り換える。

　午後２時２６分。網代駅で下車。
　改札口で、清水駅からの乗り越し料金を払う。
　嫁と別行動で、私はまだ左手が不自由なので、ポケットから千円札の束を取り出し
て広げて、千円札を払おうとしたら、駅員さんが「あの〜、もうしわけないんですけ
ど、できればそっちの旧札のほうの千円札で払っていただけますか？」
「え？」
「うちの自動券売機、新札つかえないんですよ」
「はっはっは！　いいですよ」
　なんとも素朴でいいなあ。

　午後２時３０分。整体のお兄ちゃんの家へ。
　もうしわけないので、静岡の末廣寿司で売っていたおいなりさんと、穴子まぶしを
お兄ちゃんに持ってきたつもりが、私はここで大きなミスをしてしまった。
　うちの夜食用に買ったおいなりさんをあげちゃったのだ。
　今頃驚いているとおもうけど、要するにお兄ちゃんにあげたお土産、おいなりさん
と、おいなりさんの包みをあげてしまったのだった！　ごめ〜〜〜ん！

「ふむふむ。左のほうに向かって、腰をひねったな…」
　バキッ、ボキッ。
「ふ〜！　いい音するなあ！」
　すごいよ。あいかわらず、一発で治っちゃったよ。
　まさに、ゴッドハンド。
　助かったあ！
　この腰のまま、年越できたかどうかわからなかったよ。
　
　午後３時３０分。整体のお兄ちゃんが、熱海まで送ってくれた。
　いっしょに熱海銀座の「ナチュラル」へ。
　嫁と待ち合わせ。
　静岡の東京三菱銀行は、１時間近くかかったそうだ。
　年末だもんね。

　きょうは、これから、サザンオールスターズのコンサートに行く。
　毎回、関口和之くんへの差し入れに悩むんだけど、今回は、「ナチュラル」の豆パ
ンで決まり！

　午後４時３０分。整体のお兄ちゃんに、熱海の温泉家まで送ってもらう。
　まずは、温泉に入る。
　整体のお兄ちゃんに聞いたんだけど、治療してもらったあとは、おとなしくしてい
ないといけないんだって！
　私か完全に間違えていた。
　いつも整体のお兄ちゃんに治療してもらったあとは、元気回復、ばりばり仕事をし
たり、旅行にでかけていた。
　本来は、旅行から帰ってきたあとに、治療して、おとなしくするのがいいんだそう
だ。私は全然わかってないね。

　午後５時３０分。嫁と、熱海駅へ。

　午後６時５分。新幹線こだま４７０号東京行きに乗車。

 



　車中、「ナチュラル」で買った野菜サンドで晩御飯。
　デニッシュパンをつかったサンドイッチが甘くて、おいしい。

　午後６時３３分。新横浜駅で下車。
　横浜アリーナまで歩く。
　今年のサザンオールスターズの年越しライブのタイトルは「暮れのサナカ」。

　午後７時。開演。
　すごいよねー。
　どの曲を歌っても、ＮＯ．１ヒット曲ばかりなんだから。
『フリフリ’65』、『マンピーのG★SPOT』、『彩〜Aja〜』、『君こそスターだ』、
『夢に消えたジュリア』、『ミス・ブランニューデイ』、『HOTEL PACIFIC』、『愛と
欲望の日々』、『匂艶THE NIGHT CLUB』、『みんなのうた』…。
　こんなにたくさんヒット曲が次々に歌われちゃうだよ。
　
　しかもこのなかには、『勝手にシンドバッド』も、『TSUNAMI』も、『チャコの海
岸物語』も『いとしのエリー』も入っていないんだよ。
　なのに満足感たっぷりの構成は奇跡的だ。

　桑田佳祐くんは、来年５０歳なのに、本当に元気。
　この世の中で、年取っても元気なシンガーは、ミック・ジャガーだとおもっていた
けど、桑田佳祐くんがいちばんの元気者だ。

　午後９時３０分。ライブ終了。
　案内されて、楽屋に挨拶。





　時間がないので、カズ坊（関口和之）に、「ナチュラル」の豆パンを渡して、すぐ
退散。
　ライブが終わっても、会場のグッズ売り場は、ディズニーランドのように、長蛇の
列が続く。





　午後１０時。新横浜駅から、新幹線こだま５３５号浜松行きに乗車。
　この時間の新幹線って、グリーン車以外、全席自由席なんだね。
　こんな時間の新幹線乗るの初めて。

　午後１０時２５分。熱海駅で下車。
　本当は、ライブのあと、原宿の家に帰ろうとおもっていたんだけど、熱海の家に帰
るほうが早いことに気づいてしまった。
　新横浜から東京駅まで、１７分。家まで、３０分。所要時間４７分。
　新横浜から熱海駅まで、２５分。家まで５分。所要時間３０分。
　熱海のほうが、近い。

　午後１０時３０分。熱海の家に戻る。





　まずすることは、やっぱり温泉に入る。
　サザンオールスターズ不滅の法則を分析しながら、温泉に浸かる。
　これだけ長いこと、第一線で活躍し続けるバンドって、ニッポンの音楽史上初めて
なんだよね。
　最新曲『愛と欲望の日々』は、５０枚目のシングル曲なんだよ。
　すごいね。

　明日は、さすがに東京に戻る。

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