12月6日(月) 午前8時。きょうも『桃太郎電鉄TOKYO』の手直し原稿を書き続ける。 まるで最終追い込みのような仕事っぷりだけど、配信開始はまだまだ来年の早くて も2月か3月。 まず先に、私は安心がほしい。 納得の行くレベルまで引き上げないと安心できない性質(たち)だ。 すべてはCOMキャラの動き次第だ。 COMキャラが安定すれば、明日からでも配信できる。 午前中、まったくイスから離れることなく、『桃太郎電鉄TOKYO』の手直し原稿を 書き続ける。 なにしろ、イベントの全メッセージを書き直している。 午後12時30分。外出していた嫁から電話があるまで、すっかり時間を忘れてい た。 嫁と、新宿の「航海屋ラーメン」へ。 ワンタンメン。午後1時。新宿伊勢丹デパートへ向かおうとしたら、テアトル新宿で、『ザ・ゴー ルデンカップス ワンモアタイム』の映画を上映しているではないか。 私が11月21日の日記で読んで感動した本の映画化だ。 これは見ないといけない。 嫁はこのあと別件で用事があるので、ひとりで見に行く。
ザ・ゴールデンカップスというのは、沢田研二さん、萩原健一さんたちがバンドを やっていたグループサウンズ全盛期にデビューしたバンドだ。 でも、グループサウンズ史上、最大の不良バンドで、とにかくひどかった。 コンサートはすっぽかす。 ステージが始まっても、メンバーが欠けている。 ヴォーカルはタバコを吸いながら歌い、ベースは、アンプの上に腰掛けて演奏する。 ライブになると、そのときのヒット曲は1曲も演奏せずに、ブルースとリズム&ブ ルースばかり歌っていた。 とにかく当時の枠から、まったくはみ出たバンドだった。 そのくせ、日本のバンドが束になってかかっても、まったく太刀打ちできない腕の 持ち主たちであった。 若い頃っていうのは、どうしてもこういう荒くれ者たちのバンドに憧れてしまうも のだ。 私ももちろん、ザ・ゴールデンカップスが格別大好きだった。 よく私さくまあきらは、極めつけのメジャーな部分と、どマイナーな部分の2種類 を持っていると人にいわれている。 昔を知る人なら、『ジャンプ放送局』が表の顔で、『月刊OUT』で連載していた 『私立さくま学園』が裏の顔ということになる。 その裏の顔のさくまあきらが大好きなのが、このザ・ゴールデンカップスであり、 ザ・ハプニングスフォーであり、五つの赤い風船だ。 表の顔は、もちろん、『花の首飾り』、『亜麻色の髪の乙女』、『思い出の渚』で すよ。 自分でも不思議なんだけど、表も裏もおなじように好きなんだね。 とにかく、ポスターを見ただけで、どんな内容の映画なのかも知らずに入ってしま った。 午後1時30分。『ザ・ゴールデンカップス ワンモアタイム』の上映開始。 おおっ! いきなり「サイドA」と来たか。 レコード時代のA面、B面だ。 この間買った本とおなじドキュメンタリー構成だ。 当時のニュースもいっしょに流れるので、まつ毛の長い女の子たちが、ディスコで 踊っていたり、ベトナム戦争の映像などが入っていて、おもしろい。 ひとりひとりメンバーの当時の話が現代の顔で語られる。 みんな今もあいかわらず、不良そうな顔なのに、呆れる。 ベースのルイズルイス加部さんなんて、ヒゲをたくえて、ウサマ・ビンラディンみ たいな顔になっちゃってる。 情報としては知っていたけど、私がいちばん好きだったケネス伊東さんが、すでに 亡くなっているのが、ぽっかり穴が開いたようだ。 この人に、いちばんこのグループのことを語ってほしかったなあ。 インタビューに登場するザ・ゴールデンカップスを好きだったアーティストたちの 豪華さがすごい。 いまの若い人たちには、このバンドのすごさの一端がわかるかもしれない。 豪華なゲスト・コメンテーターたちを敬称略で紹介する。 ビートたけし、井上孝之、内田裕也、矢野顕子、横山剣、CHAR、萩原健一、鈴 木ヒロミツ、ジョー山中、土屋昌巳(一風堂)、樋口晶之(グルースクリエイション)、 ムッシュかまやつ、忌野清志郎…。 ザ・ゴールデンカップスの中期から後期のメンバーだった、ミッキー吉野(ゴダイ ゴ)、柳ジョージ、林恵文、アイ高野、ジョン山崎、スティーブ・フォックス(ゴザ イゴ)といった人たちも登場する。 サイドBは、どうやら昨年、一夜限りで開かれた再結成ライブのようだ。 さすがにドラムスにサポートメンバーを入れたりしているけど、ほとんどのメンバー が現役バリバリで演奏しているものだから、全然なつかしバンドではない。 上手いなんてもんじゃない。 いまだにエディ藩のギターは、すすり泣いていた。 最後まで昔のように、ブルースを歌い、R&Bを演奏しまくって終わった。 もちろん、彼らの最大のヒット曲である『長い髪の少女』の演奏シーンは入ってい なかった。当日も演奏しなかったのか、映画には収録しなかっただけなのか、どちら もあり得そうだ。 それにしても、50歳過ぎて、全員不良のまんまなんだもん。 同世代としては、うらやましくもあり、真似ていたらいまごろ、どこかをほっつき 歩く人になっていたとおもう。 ひょっとすると、彼らの生き方は、ザ・ビートルズになることよりも難しいかもし れない。 だから、30数年経って、ようやくこんな映画が作られたのだろう。 午後4時。帰宅。 映画館で、大人買いしてきたザ・ゴールデンカップスのCDを聴きながら、『桃太 郎電鉄TOKYO』の手直し原稿。 午後6時。嫁と、近所の「アフタヌーンティー」へ。 私は、豆腐バーガーに、スパムバーガー、コーンスープ、キャラメルティ。 嫁は、豆腐バーガーに、コーンスープ。 食後、嫁は日高和彦くんのボクシングの試合を見に、後楽園ホールへ。 日高和彦くんが殴りあうのを見ることができない臆病者の私は、家に戻って、『桃 太郎電鉄TOKYO』の手直し原稿。 午後8時30分。嫁からメールで、日高和彦くんが勝ったとの報告。 本当に日高和彦くんって、強いんだなあ! またあの雄たけびをやっているんだろうか。
今夜も、ひたすら『桃太郎電鉄TOKYO』の手直し原稿に、テスト・プレイ。
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