１０月３０日（土）

　新潟中越地震から、１週間。
　ようやく余震の数が減ってきた。
　一時帰宅の話題や、ガスの栓が開いたというニュースを見ると、ホッとする。
　やっぱり、あの地震は震度７だったんだってね。
　震度７でも、６でもどっちでもいいよ。
　あの怖さは、味わったものにしか想像できない。

　午前８時。『桃鉄研究所』のコメント書き。
　脱力するカードに、けっこうおもしろいネタが多い。

　午前１１時３０分。小雨。
　嫁と、近所の「アフタヌーンティー」へ。





　焼きそばパンに、包み焼きハンバーグ、野菜スープに、キャラメルティー。
　妙に、焼きそばパン、旨し。

　午後１２時。帰宅。
『桃鉄研究所』のコメント書きの続き。

　午後１時３０分。井沢どんすけ、到着。
　きょうは井沢どんすけに、最近買ったゲームを立て続けにプレイしてもらう。
　まだ私は手が不自由なので、アクション性を必要とするゲームは、井沢どんすけにや
ってもらうのだ。
　しかも、井沢どんすけのゲームに対する厳しい意見を、『桃太郎電鉄』シリーズに取
り入れて行かないといけない。

　なにしろ、井沢どんすけは、辛口テスト・プレイヤーなので、つまらないゲームは、
わずか３０分以内に「しんどいです！」のコールがかかってしまう。
　用意したゲームは、８本。
　はたして、井沢どんすけに３０分以上やってもらえるゲームは、何本？

　１本目！
　いきなり井沢どんすけ、苦渋の顔色。
　ゲームのやり方の説明が長すぎる。
「え〜〜〜！　こんなにいっぱいの説明、覚えられないっすよ！」
　最初に説明がまったくない、不親切なゲームが多かった昔に比べてれば、最近はどの
ゲームも親切になったとおもうのだが、今度は、過剰親切だ。
「井沢どんすけに３０分以上やってもらえるゲームは、何本？」と、さっき書いたけど、
説明だけで、２５分間のゲームがあった。
「早く戦いたいっすよ！」
「一度戦ってから、あれこれ説明してほしい！」
　もちろん、井沢どんすけはこのゲームを２５分後から、５分でやめた。
　３０分以上プレイしたゲームと、認定してよいものか。

　２本目、３本目…。

「ええ！　パラメータの振り分けっつったって、どんなゲームかまだ知らないのに分け
られないよー！」

「説明キャラがしゃべりすぎ！　ゲームに集中できないから、黙っていてほしいですよ！」

「え？　ええ〜？　いま、オレ、何やってんだ？」

「井沢どんすけ、勝ったじゃないか！」
「いえ。××××は、ＣＯＭです！　えへえへえへっ！」
「ゴメン！」

「井沢どんすけ！　もうおまえ、この説明メッセージを読んでいないだろ！」
「いえ。雰囲気だけはつかんでますよ！」
「メッセージ飛ばしてるじゃないか！」
「えへえへえへっ！」

「戦闘の場面に、いちいち説明キャラが出てきて、えんえんしゃべるのやめてくれ！
　早く戦わせろ！」

「どうやらお金を増やすゲームみたいっすよ、これ！」
「で、お金増やして、どうするんだ？」
「それがわからないんですよ！」
「まいったね！」

「バトルやってるんですけど、どれも楽勝で勝っちゃうんですよ。いいんですかねー！」 

「それはまずいよ！　キャラには強弱がないと！」

「もう全然わっかんないよー！　目的を教えてくれー！　ひーーー！」

　井沢どんすけにとって、茨の道が続く。

　ようやく井沢どんすけのお眼鏡にかなったゲームが登場。
『もじぴったん』だ。

「これ、頭つかうからおもしろいっすよ！」
「へ〜！　３文字繋がると高得点になるのか！」
「人名や、英語まではいっているんだ、すごいなあ！」
「さくまサン！　『くそ』でも、ＯＫでしたよ！」

「井沢どんすけ！　エッチな単語も入れてみろよ！」
「その余裕無いっすよ！」
「余裕があったら、入れるんだ！」
「えへえへえへっ！」





「井沢どんすけ！　『もじぴったん』がおもしろいのわかったけど、いつやめるんだ！
　もう１時間遊んでるぞ！」
「やばい！　ずっとやっちゃいそー！」
「次のゲームやってくれ！」

　その後も、井沢どんすけにとって、茨の道が続く。

「井沢どんすけ！　○ボタン押して、音声飛ばさずにもう少し、メッセージを私に読ま
せてくれよ！」
「どうせここは各自、意気込みを語っているだけですから！」
「出ました！　井沢どんすけのゲーム斬り！」

「いちいちバトルになるの、かったるいなー！」
　ゲーム侍・井沢どんすけのチェックがだんだん厳しくなってくる。

「これは、絵のクオリティ高くて、いいすねー！」
「『ラクガキ王国２』か！　前に井沢どんすけ、やったよな！」
「ええ！　鎌倉でやりました」
「やっぱりパート２以上じゃないと、ダメなのかね〜？」
「そうですよね」
「文章が読みやすくて、やさしい言葉遣いだなあ！」
「でも前より、ラクガキの描き方が難しいっすね」
「立体で描きたいって要望が多かったのかな」
「井沢どんすけ！　頭悪そうな絵だぞ、それ！」
「えへえへえへっ！　そうですよね。立体は難しい！」
「それって、スライムじゃない？」
「えへえへえへっ！　描きやすいもんですから！」
「できそこないのスライムだ！」





「はっはっは！　井沢どんすけ、動いた！　おもしろい！」
「えへえへえへっ！　動いている！　動いてる！」
「動きがおもしろい！」
「あっ！　飛んだ！」
「やっぱり『ラクガキ王国２』、いいなあ！」
「バトルも前回より、シンプルになっていていいですよ！」

　午後６時。さて、大トリは『ペーパーマリオＲＰＧ』だ！
　わざと井沢どんすけには、最後にやらせようと取っておいたのだ。
　でないと、うっかり気に入ると、井沢どんすけは家に帰ってくれなくなる。
　以前もこんなことがあった。
「井沢どんすけ〜！　もうやめようよ！」
「このステージをクリアしたら、帰ります！」
「クリアしないじゃないか！」
「えへえへえへっ！」
「井沢どんすけ！　おまえ基本的にケチだから、タクシーで帰らないんだろ！　終電な
くなっちゃうぞ！」
「えへえへえへっ！　もうちょっとだけ！」
「井沢どんすけ〜！　うちの家族がお風呂に入れないよ！」
「あっ。いまクリアしました！」
「やった！」

「井沢どんすけ！　クリアしたら、帰るんじゃなかったっけ？」
「えへえへえへっ！　次の指令を受けてしまったもんで…」
「いいかげんにしなさい！」

　で、『ペーパーマリオＲＰＧ』！
「何てシナリオがわかりやすいんだ！」
「えへえへえへっ！　文字も見やすいですよねー！」
「とにかく絵がきれいだ！　明るい！」
「しゃべらないゲームは、快適ですよね！」
「はっはっは！　井沢どんすけは、しゃべるゲーム、嫌いだなあ！」
「意味があってしゃべるならいいんですけどね」
「『ときめきメモリアル』みたいなのなら、必要だけどな」
「早くボタンを押して、次に行かせてほしい！」

「はっはっは！」
「えへえへえへっ！」
「井沢どんすけ、このいっぱいキャラが集まってるシーン、おもしろいなあ！」
「ギャグがいいですよね！」
「ゴロツキタウンっていうネーミングが、世界観に合っているなあ！」
「えへえへえへっ！　いいですよねー！」

「うわ〜〜〜！　紙ヒコーキになるんだ！」
「飛べますよ！」
「やるなあ！　ゲームは、こういう夢をお客さんにあたえてくれないとなあ！」
「えへえへえへっ！　とにかくテンポがいいっすよ！」
「井沢どんすけは、テンポにうるさいからなあ！」
「えへえへえへっ！　入れない場所には『！』のマークが出るし！」
「３Ｄになってから、入れる場所と、入れない場所の区別つきづらくなったもんなあ！」 


「やっぱり、きょうは『ペーパーマリオＲＰＧ』が、最高か？」
「ＮＯ．１ですね！　いやあ、よく出来てるなあ！」

　けっきょく、井沢どんすけチェックをクリアしたのは、８本中、３本。
　井沢どんすけ永世スーパーテスト・プレイヤーの手厳しいお言葉。

「これじゃ、ゲームが売れないわけだ！」

　説明しすぎさえやめれば、おもしろそうなゲーム、けっこうあったんだけどなあ…。 

　井沢どんすけ先生、厳しいから。
　ほんとに、あと１回、テスト・プレイを増やして、いろんな人の意見を聞けば、いい
ようなものばかりだ。もったいない！

　午後７時。
「井沢どんすけ〜！　ひょっとして、『ペーパーマリオＲＰＧ』やめられなくなってい
ないかー？」
「えへえへえへっ！　やばいですね！」
「セーブして、次回続きをやってくれないか？　私も続きが見たいから！」
「えへえへえへっ！　買っちゃいそうですよ、これ！」


　午後７時３０分。嫁は、孫の顔を見に行っているので、井沢どんすけとふたりで、
新宿３丁目の「木曽路（きそじ）」へ。





　しゃぶしゃぶを食べながら、「井沢どんすけ〜！　うちの娘みたいに、電撃結婚＆
出産とかで、たまには私を驚かせてくれよ！」
「えへえへえへっ！　無理ですねー！」
「彼女いないのか？」
「いなっすよー！」
「本当か？　私を驚かそうとおもって、隠してるだけじゃないのか？」
「ほんとに、いないっすよー！」
「じゃあ、こういうのどうだ？　いま４０歳ぐらいの女性と結婚して、その女性の
２０歳の娘が、すぐ出産！　これなら井沢どんすけ、結婚と同時に、おじいちゃん！」
「えへえへえへっ！　えへえへえへっ！　おもしろすぎる！」
「３６歳にして、井沢じいちゃん！　私も負けた！」
「えへえへえへっ！　おもしろいだけないですか！」
「井沢どんすけ、笑ってもらうの好きじゃないか！」
「ほんとに、笑うだけでしょ！」

　午後９時。帰宅。
『桃鉄研究所』のコメント書き。
　気になるネーミングを見つけると、その場でアイデアを練り始めてしまうので、
いつものように遅々として、進まず。

　明日も雨かなあ…。
　取材にでかけようとおもっている。
　えっ？　わかってますよ。
　心配してくれてるんでしょ？　気をつけて行ってきます！
「絶対、大丈夫！」といえないのが、自然災害だけどね。