１０月２１日（木）

　台風２３号が去ったものの、東京は曇り空。
　台風一過の青空を見ることができない。
　小雨さえパラついている。

　昨夜、台風のせいで、わが家のセコムのシステムが壊れて、セコムさんが午前３時
過ぎに、家まで安全確認に来たらしい。
　嫁が対応してくれたので、私はセコムさんが来たのも知らず寝ていた。
　どうやら電話回線が台風で切れてしまったようだ。
　嫁も起きずに寝ていたら、セコムの人たちに「トラブル発生！」とばかりに、家に
入り込まれていたわけだ。
　私は、のんきじゃのー！
　一昨日から、おじいちゃんなので、耳が遠い。
　おかげで、嫁は寝不足気味。
　このように、密かにわが家は台風の被害を受け続けているが、飛騨高山の宮川の氾
濫など見ていると、とても被害のうちに入らない。

　午前１１時。嫁と、東京駅丸の内の「オアゾ」へ。

 



　９月１４日にオープンしたばかりの丸の内の新名所だ。
　老舗書店の丸善が中心で、丸の内ホテル、飲食店、雑貨店などがたくさん入ってい
る複合施設ビル。
　もちろん飲食店目当てなんだけど、カレーうどんの「古奈屋（こなや）」以外、あ
まりピンとくるお店がない。
　しかも「古奈屋（こなや）」もあちこち進出してしまって、希少価値は減少してい
る。まだ一度も食べたことがなくて、勤務先が近いという人には、絶対お勧めのお店
だけどね。

　老舗書店の丸善は、ハヤシライス発祥のお店でもある。
　その元祖・早矢仕（ハヤシ）ライスが食べられるカフェは、４Ｆにある。
　ここのお店の味は知っているので、きょうはほかのお店で食べてみたい。

　というわけで、地下１階のお粥のお店「屏南（ピンナン）」へ。
　わんたん＋お粥＋肉まんのセット。

 



　どれも、そこそこおいしいけど、「絶対もう一度食べに来たい！」とおもわせるだ
けの決め球に欠ける。

　食後、１〜４Ｆまである老舗書店の丸善のフロアを歩く。
　広いとは聞いていたけど、本当に広い。
　本の数、約１２０万冊！だそうだ。
　歩いているだけで、膝が笑い出した。

 



　レジカウンターが、たくさんあって、ＪＲの「みどりの窓口」のように、フォーク
並びなのがいい。
　私と嫁は初めて入る書店だと、手当たり次第に本を買ってしまう悪い癖があるのだ
が、きょうも気がつけば、１万５０００円ほどの買い物になっていた。
　でも、１万円越えると無料配送のサービスがあるので、狙い通り。
　これだけの本を抱えて、１日歩けるわけがない。





　それにしても、へばった。
　自宅に帰って、寝たいくらいだ。
　きょうは、大変な打ち合わせが待っている。

　午後１時。築地のハドソンへ。
　きょうは、『桃太郎電鉄Ｍ（仮）』の打ち合わせ。
　メンバーは、札幌開発スタッフの川田忠之くん、田中俊介くん、込山勉くん、小坂
晃弘くん。モバイル担当の三井啓介くん。
　私、嫁、土居ちゃん（土居孝幸）、柴尾英令くん。

 



　まず、『桃太郎電鉄Ｍ（仮）』の正式タイトルが、『桃太郎電鉄TOKYO』に決まった。
携帯電話用オリジナル作品なので、ちょっと年齢層の高いタイトルにしてみた。
『TOKYO』と、半角文字なのは、８文字以内でないと、携帯コンテンツに表示できない
ため。
　ほかにもいろいろタイトルを考えたけど、携帯のようにただでさえ文字が小さいハー
ドなのに『桃太郎電鉄』という画数の多い文字のあとに、漢字を持ってこれない。

・『桃太郎電鉄首都圏』
・『桃太郎電鉄東京編』
・『桃太郎電鉄都内版』

　これでは、中国のコンテンツのようだ。
　というわけで、クレームがつかないかぎり、『桃太郎電鉄TOKYO』で行くつもり。

　それより、きょうの会議の目玉であるイベント全体のスリム化が大事業。
　まあ、私が調子こいて、スーパーファミコン・クラスのつもりで、好き勝手に仕様
書を書いてしまったものだから、さあ大変。
　あれもこれもカットするために、カットの優先順位を決めることになった。

　キングボンビー、貧乏神、ミニボンビーを外すわけにはいかない。
　リトルデビルカード、デビルカード、キングデビルカードの表示は、１種類で共有
かなあ。
　なつかしいねえ。デビルカードをいくつも飛ばせないなんて、ファミコン時代のＲ
ＰＧで、パーティが４人並ぶと、チカチカ点滅させるみたいだ。
　でも、こういう縛りがあるほうが、私は作っていて、楽しい。
　あちこち、ばっさり削りながら、ボリュームたっぷりの内容にするのは、ファミコ
ン時代のゲーム・デザイナーならお手の物だからね。
　ひさしぶりに、昔の技術を披露できる。
　おかげで、キングボンビーの悪行イベントを、ひとつカットしないといけないため
に、新しい悪行を入れることになった。これはお客さんにとって、うれしいことでし
ょ？　こういう作り方ができるのだ。

「込山勉くん！　キングボンビーが、サイコロ５個振るのって、携帯では無理なんだ
っけ？」
「うーーーん…！」
「あれ？　ダメだったっけ？」
「いえ…」
「だったら、何？」
「キングボンビーのその新しい悪行で、サイコロ５個は、ひどすぎるんじゃないかと
おもって…、できればサイコロ３個ぐらいにしていただければ…」
「何だよ！　もうキングボンビーを喰らうことを想像してるよ！　ダメじゃないか、
製作者として！」
「おほっ！　おほっ！　す、すみません！　でも３個でもひどいとおもうんですよね
え…、おほっ！　おほっ！」
「ダメ！　キングボンビーだから、最低でも３個！」
「おほっ！　おほっ！　ひどい…！」

　順調に打ち合わせが進んだので、『桃太郎電鉄Ｍ（仮）』の打ち合わせも。
　昨日、私は『桃太郎電鉄Ｍ（仮）』に登場する予定だったゲスト・ボンビーの仕様
を根底からひっくり返して、その場でネーミングまで変えてしまった。
　でもこのネーミングが、脱力するらしくて、誰かがこのゲスト・ボンビーの名前を
発すると、明け方の宴会で出たギャグのように、みんなが笑い出してしまう集団催眠
にかかってしまった。
　この現象は昨日一日ですむとおもわれたのだが、昨日より、きょうのほうが、ひど
い。

「○○○○ボンビーについてなんですが…」
「わっはっは！　○○○○ボンビー！　わっはっは！」
「○○○○！　ハハハ！」
　そんなに、おもしろいかなあ…。
　みんなの気持ちが乗っていないと、こういう悪乗りに近い現象は起きないから、こ
のままにしておくけど、今回のゲスト・ボンビーは、ネーミングで笑われるようなも
になるとは、作者である私にも想像のつかないことであった。
　さすがに『桃太郎電鉄ＵＳＡ』発売後までは、この奇妙なネーミングは発表できな
いので、お楽しみにね！

　午後６時３０分。川田忠之くんは、北斗七星で札幌に向かうため、上野へ。柴尾英
令くんは、別件で不参加のため、残った７人で、ひさびさに白金１丁目の「福わうち」
へ。

　このお店、非常においしいんだけど、繁華街にないので、食事をし終わったあとに、
喫茶店や本屋さんといった寄り道できる場所がない。
　だからもっと何回も行きたいんだけど、なかなか足が向かない。
　これが新宿とか渋谷、銀座にあったら、絶対毎月一度は行くお店になるに違いない。

　きょうも、絶品の胡麻鯖（ごまさば）、甘いワサビたっぷりのトロカツ、ゴマさば、
お刺身の盛り合わせ、名物料理の「社長納豆」を食べ、ひとくちイクラ寿司に、全員
「ふーーん！　ふーーん！」と鼻息で感嘆符！

  
  



　このひとくちイクラ寿司には、ちょっとノックアウトされちゃったなあ！
　最後は、いつものように、肉じゃがカレー。
　これがおいしいんだ。

  
  



　あまりのおいしさに、この肉ジャガカレー、レトルト食品になっていた。
　食べた後に、土居ちゃんも、込山勉くんも、うちもこのレトルト食品を、５個ずつ
買って帰ったのだから、そのおいしさがどのくらいなのかを想像してもらえるとおも
う。

　最後に、カレーで締めるというと、毎度京都で登場する「特に名を比す京都Ｍ（ま
す多）」っぽいでしょ？
　値段は全然こっちのほうが安いけど、暴力的で豪快なおいしさという点では、「ミ
ニます多」の称号を与えてもいいくらいだ。


＜お勧めのお店＞
「福わうち （ふくわうち ）」
住所：東京都港区白金1-28-2サーラ白金1F
電話：０３（５７３９）０２６４
営業時間：17:30〜2:00　土17:30〜0:00
定休日：日曜日
備考：肉じゃがカレーと、冬限定の胡麻鯖を忘れず注文すること！



　午後８時。帰宅。
　日本シリーズ「中日ＶＳ西武」戦は、すでに中日のワンサイドゲームで、ちょっと
おもしろさに欠ける。
「福わうち （ふくわうち ）」で、お腹いっぱいになったのと、２日間の密度の濃い
打ち合わせが終了したので、ベッドにひっくり返るや、うとうと…。

　今夜から、『桃太郎電鉄TOKYO』の大幅手直しの開始だ。
　ほぼ全面的にメッセージ書き直しに近い。
　こういう大鉈を振るうときは、ホイッ！といままでにないアイデアが出ることが多
いので、楽しみ！