８月４日（水）

　午前８時。『桃太郎電鉄ＵＳＡ』のチューニングに手を入れる。
　２日間のテスト・プレイで、大幅な手直しはほとんどなく、貧乏神の悪行の確率を、
６４分の３にするか、６４分の５にするかの微妙なチューニングの段階に入っている。
　まさにゲーム完成近しの様相だ。

　午前１１時。嫁と、新宿の「王ろじ」に行くも、本日定休日。
　むーーん。悔しいなあ。
　２連続で振られた。
　この店のとんかつサンドが食べたい！

「ラーメン大八軒」へ。
　池袋えるびすの姉妹店。
　私も嫁も、和風つけそばを注文。

 



　つけそばって、おつゆがすぐ薄くなってしまうとおいしくない。
　ここのは、おつゆが多くて、濃いのがいいね。
　これは、うまいよ！
　また食べたい味だ。

　午後１２時３０分。築地のハドソンへ。
　本日、３日連続テスト・プレイの最終日。
　きょうは、『桃太郎電鉄』最強者決定戦。
　メンバーは、以下の通り。

・柴尾英令くん（曽我ひとみサン似）。
・読売広告の岩崎誠（阪神カラー）。
・ソネット勤務の柿添尚弘（東京生まれの沖縄顔）。





　本来なら、「最強者決定戦」なのでライターの友清哲くんの登場が予定されていた
のだが、仕事の都合でキャンセル。
　代役として、華の無い勝ち方をすることで、定評のある柿添尚弘の登板となった。
口癖は「ほうほうほう…！」

　間抜けなのは、この「最強者対決」に井沢どんすけを誘ったら、その気になって出
場すると言い出したことだ！
「えへえへえへっ！　最強者戦、いいじゃないですか！　出たいですよ！」
「自分は出るのにふさわしくないという、ためらいはないのいか？」
「えへえへえへっ！　ないですねえ！」

　しかし、井沢どんすけは、夏休みを一週間まちがえ、スケジュールが立て込み、出
場不可能になってしまった。
　小学生じゃないんだから、夏休みを間違えるなよな！

「Team Kawada」の川田忠之くん、込山勉くん、小坂晃弘くんの３人が、きょうも後
ろから見て、変更点が出れば、その場ですぐ札幌に連絡して、直しを入れる





　午後１時。テスト・プレイ、スタート。
　最強者決定戦にふさわしく、昨日の爆笑トリオ・高田直幸さん、田村雄二くん、日
高和彦くんの１４年目のデータを引き継いで、スタートすることにした。
　ガラガラポン！で、選んだら、岩崎誠が貧乏神付きを引く。
「え〜〜〜！　ボクが貧乏神なの〜？」
「はいはい！」
「しかも、北の僻地イエローナイフにひとりきりじゃない！」
「はいはい！」
「ひどいよ〜〜〜！」
「はいはい！　さあ、始めましょう！」

　けっきょく、岩崎誠が貧乏神付き、プラス。
　柿添尚弘はマイナス。
　柴尾英令くん、ちょいプラス。
　この陣容で、スタート。

　のっけから、柴尾英令くんがつきまくり。
　目的地の近くで、もう１度サイコロ振ってもいいイベントが発生して、サイコロを
振ると「あれ？　入っちゃった！」というラッキー運が全開！

　２〜３年間、柴尾英令くんは順調に目的地に入って、独走態勢に入る。

　しかし、テキサス州の西をちんたらぽんたら、「ほうほうほう…！」と貧乏神と楽
しそうに歩いていた柿添尚弘の貧乏神が、突如としてハリケーンボンビーに、
変〜〜〜身！
「ぎゃあああ！　やめろー！」と、近くにいた柴尾英令くん。
　柿添尚弘は、別名：巻き添えクン！というくらいで、ハリケーンボンビーで他人を
巻き添えにするのを趣味としているのだ。
「ほうほうほう…。それじゃ、柴尾英令さんのところにでも行きましょうかね！」
「ひええええっ！　来るなー！」

　このハリケーンボンビーの登場を機に、岩崎誠と柿添尚弘が結託して、柴尾英令く
ん崩しに走る！
　どっこいズの石川キンテツがよく「結託しましょう！」といいながら、無為無策に
過ぎていくのと違って、最強者決定戦だけに、阿吽の呼吸で、卑劣なカードをつかい
まくり、ぎりぎり、ぎりぎりと柴尾英令くんを締め上げる。
「１位を狙うのは、当然のことですよねー！」
「当然でしょう。ほうほうほう…！」

　さすがの柴尾英令くんも、つらい！

　♪ピンピンピン、ピンピンピン、ピンピンピン！
「柴尾英令さん、何かピンピン音がしてますよー！」
「悪かったなあ！　いま、キングボンビーに物件を捨てられてるんだよ！」

『桃太郎電鉄ＵＳＡ』には、まだ発表してはいけない３大別マップというのがあっ
て、そのひとつのマップでの攻防戦で、激しく順位が入れ替わる。

　そんなデッドヒートの戦いでも、柿添尚弘は華のない戦い方で、マイペース。
「あ。貧乏神直撃カードがあったんだ！　じゃあ、つかってみよう！　１位は誰かな？」
「俺じゃないよ！　俺じゃ！　岩崎誠さんだよ！」と、柴尾英令くん。
「違うでしょ、柴尾英令さんでしょ！」
「岩崎誠さんだよ！」
「あ、そう。じゃあ、おまかせにしますよ。ほうほうほう…！」
　ガガ〜〜〜ン！
　貧乏神は、柴尾英令くんのもとへ！
「ほうほうほう…！　選ばれちゃったんだから、しょうがないですよね！」

　柿添尚弘は、貧乏神がついていても、動じることなく、淡々とサイコロを振る。　
ときおり、何やら貧乏神と会話している。
「あ、そーくる？」
「ふーーーん！」
　小鳥としゃべれる少年というのが、ファンタジーの世界にはよく登場するのだが、
柿添尚弘は貧乏神と話せるのかもしれない。

　それにしても、柿添尚弘の手に貧乏神が渡ると、貧乏神がすぐハリケーンボンビー
に変身するのはなぜだ？
　巻き添えクンだからか？
「ほうほうほう…！　いまから、ハリケーンボンビーでぱりぱり（物件が）飛びます
から！」
「ほうほうほう…！　見事に回りに誰もいない。うーーーん。巻き添えにできないな
あ！」

　華のない男・柿添尚弘のプレイをちょっとだけ特集してみよう。

　まず、ぶっとびカードが鮮やかに決まったためしがない。
　きょうもフロリダあたりで、ぶっとびカードをつかって、飛んだのは、ひとマス
だった。

　柿添尚弘が、福袋カードをつかう。
　出てきたカードは、以下の通り。
・急行カード
・急行カード
・ブックマークカード
・ブックマークカード
・エアポートカード
・エアポートカード
・エアポートカード
　何て中途半端なカードの引きだ！


　カナダのトロントという比較的入りやすい目的地に、１年以上も入らない。
　小言爺（じじい）の岩崎誠が騒ぐ。
「たまにバシッと決めて目的地に入ってくださいよ〜！」
「ほうほうほう…！　入りたいもんですなあ！」
「何か、カード持ってないんですか？」
「なんもないんですよ。うーーーん！」
「そんなことじゃ、柴尾英令さんに入られちゃいますよ！」
「そういうこともあるかもしれませんね！」
「柿添尚弘が、バシバシ目的地に入っちゃったら、柿添尚弘じゃない！」
「それは、とても褒められたことではないですな。ほうほうほう…！」
　けっきょく、柴尾英令くんに入られた。

　でも、どういうわけか、柿添尚弘は強いのだ。
　テスト・プレイでも、２〜３回に一度は、優勝している。
　それも「桃鉄」の強い人との対決でだ。

　その後、柴尾英令くん、岩崎誠が、立て続けに華のあるプレイを見せる。

　なんと柴尾英令くんが、おいどんを２年以上引き連れて、２０億ドル近く手に入れ
て、再び独走態勢に入る。

　…と思いきや、岩崎誠が「これしかない！」とラスベガスのスロット・マシン駅で、
ＢＡＲ　ＢＡＲ　ＢＡＲの３つを並べて、２５億ドル獲得！





　しかし、岩崎誠が持っていたとりかえしカードが、とりかえしのつかないことにな
る！
「あああああ！　すっかり忘れてたあああああ！」

　この間も、黙々と話題に上らないプレイを続ける柿添尚弘であった。

　２９年目。
「じゃあ、この１年で終了ね！」
「いいっすよ！」
「よーーーし！」

　この時点で、１位は、柴尾英令くん。
　２位は、柿添尚弘。
　どういうわけか、やっぱり柿添尚弘は、２位にいるのだ。
　その差、２３億ドル。
　岩崎誠は、前年スロット・マシン駅で、２５億ドル入ったはずなのに、とりかえし
カードと、ビリリン・モンローの「ナイアガラ」攻撃で、２５億ドルを失っている。
　このまま、柴尾英令くんの逃げきりなるか！

　６月、柿添尚弘がアカプルコに入って、貧乏神は柴尾英令くんの元に移る。
「これは試合の流れが変わるか？」
「変身しろ！　変身しろ！」

　なんと、貧乏神は間髪いれず、ハリケーンボンビーに変身！
「ひえええええええっ！」と、柴尾英令くんが叫ぶ。
「グレイト・ジョブ！
　これで、トップの行方がわからなくなったぞ！

　何しろ、トップを走っていた柴尾英令くんだ。
　ハリケーンボンビーが、３ヶ月連続で、「ドッドド　ドドード！　ドドード！　ド
ドー！」と回転すると、柴尾英令くんは、１０億ドル奪われていた。





　さすがに泣きが入る柴尾英令くん。
「も、もう、やめよ？」
「ね、もう、やめよ？」
「やめて…！」
　ハリケーンボンビーにささやきかける柴尾英令くん。

　ひゅーーーん！　ハリケーンボンビーが、貧乏神に戻った。
「ふううううっ！」
　ホッと一息つく、柴尾英令くん。

　しかし、次の月、柴尾英令くんの貧乏神は再び、ハリケーンボンビーに変身したの
であった！
「もう、やめよーよー！」　
　その柴尾英令くんに、ご丁寧にも、ふういんカードを喰らわせる柿添尚弘であった。
「そういうことをするか！」

　試合終了！

１位・柿添尚弘　２１億３７５８万ドル
２位・柴尾英令　１９億４３８０万ドル
３位・岩崎誠　　　２億３９８８万ドル

　またしても華のない勝ち方をする男、柿添尚弘が勝利してしまったのである。
　しかも、柴尾英令くんと僅差で、なんと三賞をぜんぶ手に入れて、地域王も手に入
れたことによる勝利だったのだ！
「何だよ！　三賞をひとつでも取っていれば、オレの勝ちだったのか！」と、悔しが
る、柴尾英令くん。

　それにしても、柿添尚弘。ヒーロー・インタビューの似合わない男である。

　午後７時３０分。青山１丁目のはまぐり料理のお店「青山八番」へ。
　メンバーは、私、嫁、柴尾英令くん、柿添尚弘、小坂晃弘くん、込山勉くん。
　柿添尚弘が、築地のハドソンから自転車に乗ってきて、笑わせる。





　都内の場合、どこへでも自転車で行くそうだ。
　私はタクシーで青山１丁目まで来たのだが「柿添尚弘は、青山１丁目まで１５分で
来れると言っていたけど、やっぱりタクシーの速度には勝てなかったようだな！」と
言って、タクシーを降りようとした脇を、柿添尚弘の自転車がすり抜けた。自転車に
乗っても華のない運転をする男である。

「青山八番」で、わんこ焼き焼きはまぐりを、もりもり食べる。
　下手すると、みんなで明日の朝まで、焼きはまぐりを食べられそうな勢いである。

 
 



　午後９時。帰宅。
　スカイ・パーフェクＴＶで「横浜ＶＳ中日」戦。
　帰り際、３−２で負けていたのに、９回表、横浜ベイスターズが同点に追いついて
いた。見るっきゃない！

　しかも、１０回表、１点とって、４−３とリード。
　あとは１０回裏、佐々木様が登場して、３人で片付けて…とおもったら、さすがの
佐々木様も、オールスター戦から登板したのが、たった１回、１８試合ぶりの登板間
隔では、針の穴を通すコントロールも狂ってしまった。
　押せ押せの首位・中日の機動力に翻弄させて、大リーグから帰国以来、初黒星。　
うーーーん。仕方ないなあ…。
　佐々木様が登板するチャンスがないくらい横浜ベイスターズは、負けていたからな
あ！　うーーーん。痛い１敗だ。
　また最下位の広島に肉薄してしまった。とほほ…。