6月7日(月) 午前7時。熊本はいい天気だよー! 昨日の豪雨はどこ行ったんだよー! 雨の予報はどうなった! まあ、雨よりはいいや。 ホテルのLANケーブルが快適なので、朝から『桃太郎電鉄M(仮)』のマップ作 り。 午前9時。嫁と、熊本城へ。 鹿児島に行ったら、桜島を拝み、熊本に来たら熊本城を拝んでから帰るべきでしょ う。 頬当(ほほあて)門から、登城。不思議な名前だ、頬当(ほほあて)門。 誰かをここで待ちわびて、頬に手を当てていたのだろうか。 「頬当(ほほあて)」というのは、兜の頬の部分に付ける防具のことだそうだ。 兜の前面という意味と、熊本城本丸の正面の門であるため、頬当門と名づけられた とか。 あぢぢ…。 早くも暑い。 セミが鳴いていても、おかしくないような暑さだ。 熊本城は、2007年築城400年を迎える。 加藤清正が、隈本城を、熊本城に改めたのが、1607年。 関が原の戦いから7年目だ。 その後、西郷隆盛の西南の役などで、歴史の舞台に登場したこともある。 雄大にして、美しいという点で、私は熊本城はナンバーワン・キャッスル(日本一 のお城)だと思っている。
その熊本城が、2007年の400年に向けて、復元整備工事を行っている。 すでに西出丸一帯の建造物、飯田丸五階櫓南大手門などの復元に着手しているそう だ。
しかも寄付金ひとり1万円を払うと、一口城主となって、お城のなかに名前が永久 に残るというではないか。 はっはっは! 私はこういうのが大好きでね。 全国各地に名前を残して、さくまにあのみなさんが、私の死後、さくまラリーカー ドのスタンプ旅が出来るようにしておこうと思っているのだ。 たくさん漢字の名前のなかに、ぽつんと平仮名で「さくまあきら」とあると見つけ やすいでしょ。 いまのところ、東大阪市の司馬遼太郎記念館ぐらいにしかないけどね。 昨年のお正月、京都の車折神社の柵に書いたやつは、2年後に消えてしまう。
お城の広場にある売店で、一口城主の申し込み場所を聞く。 「えっ? どこやろ?」 「どこ?」 売店の人がわからない。 「入り口で奥って聞いてきたんですけど…」 どうも、さっき入ってきた「頬当(ほほあて)門」らしいのだが、私たちはその頬 当門で「奥で…」と聞いてきたのだ。 けっきょく、係りの人が来てくれることになった。 「すまんとですねー!」 いかにも警備員さん風の人が、わざわざ高校受験の合格証明書が入ったような封筒 を携えて来てくれた。申込用紙を持ってきてくれたのだ。 売店で、申込用紙に記入する。 「こんな素晴らしいお城を復元するんだから、この売店でも一口城主を募集すればい いのに…」 「いやあ、人様のお金をお預かりするわけですから、正式なお城の職に就いている人 がやらんといかんのですよ。でも人が少のうて!」 「だったら天守閣の受付にあったら、もっと申し込むと思いますよ!」 「あそこの人たちも、シルバー雇用ででしてね。お願いできんとですよ!」 「もったいないですねー!」 やっぱりお役所仕事っていうのは、巨大戦艦のように動かすのが大変なんだねー。 それでもすでに、寄付金は7億円も集まっているそうだ。
宇土櫓(うとろ)のほうの売店で、いきなり団子を蒸しているので、食べる。 いきなり団子は、サツマイモを小麦粉で包んで、蒸したもの。 「いきなり団子」という名前は、ふいにお客さんが訪ねてきたときに、10分間くら い蒸すだけで出すことができるという意味で、ついた名前だそうだ。
実は、このいきなり団子。 『桃太郎電鉄X(ばってん)〜九州編もあるばい〜』の取材で阿蘇のほうに行ったと きに食べたことがあったのだ。 でも、そのとき冷えていて、おいしくなかったので、物件として登場させるのをや めてしまったことがある。 サツマイモは、やっぱり、ふかすとか、蒸すかしないと、そのおいしさを発揮でき ないよね。 きょう、ここで出来立てのいきなり団子、1個100円を食べて、おいしいことが わかったので、今後『桃太郎電鉄』シリーズに登場させることを決めた。 今回の熊本取材では、「太平燕(タイピーエン)」と、「いきなり団子」が収穫。 取材して、取材して、たったひとつか、ふたつの物件を救い上げられのがやっとだ。 そいう意味では、今回豊漁。
午前9時45分。ここ2日間歩いていて、ふくらはぎがパンパンなので、天守閣に は登らず、須戸口(すとぐち)門から、出る。 須戸口門は、戦闘用の最前線の門だったそうだ。 西郷隆盛も、ここで戦ったんだろうなあ。 市電通りに出る。
午前10時。ホテル日航熊本の2F「セリーナ」で、コーヒー。 三井ガーデンホテルもよかったけど、こっちのホテルのほうが、市電通りに面して いて動き回るのにいいね。 やっぱり商売の基本は、立地条件だねー。 LANケーブルも常設されているようだから、次に熊本に来たときは、こっちに泊 まってしまいそうだ。 午前10時30分。熊本駅へ。
午前10時51分。博多行きリレーつばめ4号に乗車。 列車に乗ったとたん、車窓からの景色がくもってきた。 雨の予報らしくなってきたかな。 昨日、私のいない東京は大雨だったみたいだね。 午後12時8分。博多駅に着く。 ありゃ。博多は涼しいじゃないの! 熊本の暑さが嘘のようだ。 そのままタクシーに乗って、福岡築港へ。 午後12時15分。福岡築港「大栄(だいえい)丸」の前で、柴尾英令くんと待ち 合わせ。
さすがに、霧雨になってきた。 ここからは取材というより、趣味の食い道楽ワールドに入るせいかな。 柴尾英令くんの登場には驚いた? 驚かないか。 ここは九州の福岡県だもんね。 この「大栄丸」は、長野駅の駅前書店「長谷川書店」の長谷川浩一郎さんが、年に 何回も訪れる場所と聞いて、一度は来てみなければ!とおもっていた場所だ。 長野の人が、年に何回も!というお店って、興味深々になるよね。 やっと来れたとおもったら、なんと! 昨日、長谷川浩一郎さんがこのお店に予約してくれたあげくに、おいしい料理は何 を食べたらいいかをチョイスしてくれたというではないか! 私は、長谷川浩一郎さんとなかよしの成沢大輔くんには、この「大栄丸」に行くこ とを伝えてあったんだけど、長谷川浩一郎さんには伝えてなかったのだ。 見事な食のダブルプレー、成立。 恐るべし、食い道楽の輪! いきなり、イカのお刺身が出てきた。 うまーーい! あまーーい! おいしー! えっ? あとで足の部分を天ぷらにしてくれる? こりゃまた、けっこう! いいね、いいね! 私は、イカが大好きだ。 前世はモンゴウイカだったんじゃないかと思えるほど、イカが好きだ。 イカを食べると、なつかしい気分になる。 イカを食べているときが、いちばん幸せ。 思わず顔がにやにや、ほろこんでしまうよ。
続いて、関サバ。 ひとつはお刺身で、ひとつは漬けになっていた。 この関サバの漬けがおいしくて、ご飯がほしくなる。
白いご飯を食べようとおもったら、メニューに「イカ丼」の文字が! ご飯も、イカ丼も、おなじお米ベースと、拡大解釈! イカ丼を注文する。 福岡のイカ丼は、イカの上に生卵が乗っているんだよ。お出汁もかかっていて。そ のお出汁で生卵を溶いてかき混ぜると、イカ丼以上に、醤油かけごはんの魅力も加わ るのよ! うまいなあ! うまいなあ! 食べすぎなのは、わかっているんだけど、うまいなあ!
うっひょー! アラの煮付けまで出てきてしまった。 これも大好きなんだよー! 甘いよー! たれが染み込んだレンコンが絶品なんだよー!
いやあ。おいしいなあ、困ったなあ! 私が30年近くごひいきにしてきた「河太郎」がピンチだよ! 「河太郎」と、まったくおなじメニューが出てしまって、こっちのほうが、はっきり いっておいしいよ! 値段も安い。 長谷川浩一郎さん、ありがとうございます! でも、罪作りですよー! こっちのほうが、おいしいよー! 博多駅からも、タクシーで10分ぐらいだったから、遠くないし。 困ったなあ! 今後、少人数のときは「大栄丸」で、大人数の場合は「河太郎」と位置づけような かなあ…。 でも、常連の長谷川浩一郎さんの口聞きがあるほうが、いい料理が出ることはわか ってるからなあ! このお店の登場回数が増えることだけは、間違いないだろう。
<私がもう百度行くためのメモ> 「大栄丸」 住所:福岡市博多区築港本町11-3 電話:092-272-0221 営業時間:平日 11:30〜14:0017:00〜23:30 日祝 12:00〜22:00 定休日:年中無休(年末年始を除く)
午後1時30分。「大栄丸」の近くのベイサイド・プレイスへ。 こっちにも「大栄丸」の支店がある。 ずいぶん近くにあるんだなあ。 どっちかが混んだときに、人数を割り振れるためかな。
1Fで、コーヒー。 きょうは柴尾英令くんと、嬉野(うれしの)温泉に行く。 柴尾英令くんに、これからの交通機関を検索してもらう。 バスで嬉野(うれしの)まで行くと、午後3時半のバスで、午後5過ぎに着くらし い。電車で行くと、武雄温泉から、嬉野温泉へ、わずか1時間半で行くというではな いか! 「柴尾英令くん、それで行こう! 電車のほうが、仕事しやすい!」 「でも、さくまサン! その電車、午後2時22分福岡発なんですよ!」 「2時22分? あと30分!?」 「そうなんですよ!」 「うーーーん! 行こうじゃないの!」 コーヒーを半分飲んだ時点で、私の脳内には『太陽にほえろ!』のテーマ・ミュー ジックが流れ始めた。♪チャッチャッチャーララン! チャッチャッチャーララン! チャララララッチャララララッ〜! タクシーに飛び乗って、車の屋根にサイレンを乗せる。 フォワ〜ン、フォワ〜ン、フォワ〜ン! キキキキキ〜〜〜ッ!…と、タクシーはUターンしなかった。 博多駅まで渋滞無く行けてしまったからだ。 驚くべきことに、発車10分前にキップを買うことができた。 もう5分時間があれば、松露饅頭の出来立てを買ったに違いない。 肥満開国主義の柴尾英令くんもいることだし。
午後2時22分。博多駅から、ハウステンボス15号に乗車。 車中、柴尾英令くんと『桃太郎電鉄M(仮)』のマップの打ち合わせ。 「ひえ〜〜〜! 予想はしていたけど、さくまサン、もうここまで作ってたんだー!」 「何でもいいから、叩き台になるものをひとつ作っておかないと、ぎりぎりで致命傷 だらけの作品になる場合が多いからね!」 「すっごいなあ! 長年の仕事でノウハウが貯まりまくっているんだ!」 「硝煙のなかを生きてきた男だからね!」 おいおい、車中で打ち合わせしているからって、私が電車に乗っているときだけ、 外で晴れるのはやめてくれ。 私が駅に着いたら、雨になるんじゃないだろうなあ!
午後5時25分。武雄(たけお)温泉駅で、下車。 雨が降ってるよー! さっきまで降ってなかったじゃないかあ! それにしても、武雄温泉駅って、こんな簡素でしょぼい駅だったっけ? とても特急列車が停車するとは思えない。 まるでプレハブ住宅のような…、あっ。ホームの隣りに高架線を工事中だ。
「ひょっとして、隣りの高架線は、新幹線用ですか?」 「いえ。ただの高架線です!」 駅員さんに聞いたら、長崎新幹線用の高架線ではなかった。 でも、せっかく高架線にするなら、新幹線が通れるような広さにしておけばいいの に。どうもいま見ても、単線用だぞ。 せめて、武雄温泉駅の部分だけでも、複線にしていれば、たくさん電車を通せるよ うになるのに。 武雄温泉駅は、駅前も淋しい。 何か大きな石像でも建てたほうがいいね。 びっくりするほど、何もない。
タクシーで、嬉野(うれしの)温泉まで行こうと、おもったけど、目の前にいまに も走り出しそうな、嬉野温泉行きのバスがエンジンをかけて停車しているので、乗り 込む。 おじいちゃん、おばあちゃんが数人乗っている、いかにも田舎のバスだ。 午後3時36分。嬉野温泉行きのバスが発車。 路線バスなので、のんびり走る。 おばあちゃんと、バスの運転手さんがなかよく話している。 乗客のほとんどの人を、この運転手さんは知ってるんだろうなあ。 田んぼの風景が美しい。 近くて低い山に水蒸気のような白い雲が乗っている。 午後4時10分。嬉野温泉バスセンター駅に到着。 昭和レトロ街かな?とおもえるようなバスセンターだ。 バスを待つベンチに、渥美清さんが座っていても不思議でない景色だ。 何かいいね、この風情。
午後4時30分。タクシーで、きょうの宿泊地「ハミルトン宇礼志野(うれし の)」に到着。 明治の洋館のような思ったより、小さなホテルだ。
「ハミルトン宇礼志野」の「宇礼志野(うれしの)」って、変な当て字のようだけ ど、もともとここに住んでいた豪族の名前が宇礼志野氏。 嬉野(うれしの)のほうが、当て字だったのか。
部屋から見える景色が、素晴らしい。 目の前に棚田が広がる。 水をたたえた水田がこれほどまでに美しいとは。 よくぞ日本に生まれけり。
午後6時。2階のレストランで、食事。 イタリア料理で、どの料理もおいしんだけど、いかんせん、博多の「大栄丸」で食 べ過ぎた。 会心の一撃のように食べ過ぎた。 「コックさんには、おいしいけど、お昼食べ過ぎたので、食べきれなくてすみません! といっておいてください」とお願いしたくらい、おいしかった。 海老とパスタの黄色い麺がおいしかった。
午後8時。私は身体が不自由なので、家族風呂へ。 雨のなかの露天風呂だ。 お湯に入っていても、肩に雨のしずくが落ちてくるっていうのもいいね。
でも、なんか温泉が薄い気がするなあ。 雨水で自然に薄まっているのいかな。 嫁の言によれば、一般風呂のお湯のほうが、とろりとしていて、肌触りがつるつる していたそうだ。 それとも、熱海の温泉購入で、泉質にうるさいやつになってしまったのかな。 人間、贅沢に慣れると、とめどなく冗長するもんだからね。 お風呂を出たあと、ホテルの人に「家族風呂は、温泉ですか?」と聞いた。 「温泉を入れてます!」の返事。 名探偵浅見光彦なら「温泉を」・「入れてます」と区切ってみて、その言い方を気 にするとおもう。 本当に温泉なら「温泉ですよ」と短く軽く答えるのではないだろうか。
まあ、温泉まで傘を差していく趣向は、楽しかったからいいんだけどね。 今回の旅行で、温泉はここだけなので、もっと堪能したかっただけ。 午後9時。このホテルには、LANケーブルがないので、インターネットを見るこ とができない。ちょこっとだけ仕事して、寝る。 やはり、温泉効果か、『TVタックル』を見ながら寝てしまった。 朝かな?と目覚めたら、午前2時。うーむ…。
バーラウンジ「ザ・ハミルトン」
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