４月１６日（金）

『鉄人２８号』の横山光輝さんの死去は、ショックだった。
　世間一般の評価では、手塚治虫さん、石ノ森章太郎さん、藤子不二雄さんが、ビッ
グ３だと思うけど、個人的には、このビッグ３のなかに入っておかしくない大作家だ
ったと思う。
　その作家の総単行本数を１００％としたら、手塚治虫さんの本を、私は約８０％買
っている。石ノ森章太郎さんの本は、約７０％、藤子不二雄さんの本は、約６０％買
っている。
　でも横山光輝さんの本は、９５％以上、ほぼ全巻買っていると思う。
　そのくらい好きな漫画家さんだった。

　子供の頃、憧れだった漫画家さんが、ひとり、ふたりと減っていくのは、私の青春
時代まで消しゴムで消されるようで、せつない。

　午前１１時３０分。嫁と、銀座へ。
　いなにわうどんの「寛文五年堂」の前で、ハドソン札幌開発スタッフ「Team
Kawada」の川田忠之くん、田中俊介くん、込山勉くん、小坂晃弘くんと待ち合わせ。
旭通ＤＫの杉沢義文さんも合流。
『桃太郎電鉄』に登場する物件を、東京で食べようシリーズだ。

　杉沢義文さんから、「きょう『矢場とん』でお昼しませんか？」というメールが、
昨日の昼過ぎに届いた。
　そのときは、１ヶ月前から「矢場とん」に行くと決めていたので、「きょうは、
『いなにわうどん』のお店に行きませんか？」と、誘ってみた。
　いなにわうどんは、ご存知『桃太郎電鉄』では、秋田駅の物件だ。

　杉沢義文さん自体、北海道旭川出身なので、苫小牧出身の川田忠之くん、江別市出
身の田中俊介くん、銭函出身の込山勉くんとは、話が合うと思ったのだ。
　小坂晃弘くんだけは、不思議な経歴で、和歌山県生まれで、新潟大学を卒業して、
札幌のハドソンに入社している。
　まるで『桃太郎電鉄』で、夢のまた夢カードを失敗したような経路である。
　源義経の逃避行コースのようでもある。
　世が世なら、小坂晃弘くんは、モンゴルに渡って、チンギスハンになっていたかも
しれない。

 
 



　私と嫁は、冷たい梅おかかうどん。





　冷たいうどんが、おいしい季節になってきたのは、うれしい。
　いなにわうどんは、細くて半透明なので、ハドソン札幌開発スタッフのみんなにと
っては、うどんに思えなかったようだ。
　でもみんなが「おいしい！」「おいしい！」といってくれたので、ひと安心。
　別に私が料理したわけではないんだけどね。

　午後１２時３０分。食後、銀座三原橋の喫茶店「ガルリ・カフェ」へ。
　このお店の和風モンブランは、絶品なので、みんなに紹介。

 



　私はドゥリエールのミルクレープがあったので、嫁に許可をもらう。
「さくまサン、奥さんにケーキ食べていいって聞くなんて、かわいすぎて、ゲーム監
督としての威厳が無くなりますよ」
「いや。私の場合、いくらでもケーキ食べられちゃうんで、嫁にセーブしてもらって
るだけなんだよ！」

　午後１時。築地のハドソンへ。
　札幌開発スタッフとの打ち合わせ３連戦、最終日。
　メンバーは、川田忠之くん、田中俊介くん、込山勉くん、小坂晃弘くん。
　私、嫁、土居ちゃん（土居孝幸）、柴尾英令くん。

 



　きょうの打ち合わせは、『桃太郎電鉄１４（仮）』。
　この作品は、本来私が書き進めていた『桃太郎電鉄１４（仮）』とは違う。
『桃太郎電鉄Ｇ（仮）』とでも名づけて、従来予定していた『桃太郎電鉄１４（仮）』
は、『桃太郎電鉄１５（仮）』としたほうがいいようだ。

『桃太郎電鉄Ｇ（仮）』は、ＰＳ２ではない。
　これがいま言える最大のヒントかな？

　そんなわけで、今後の開発予定は、以下の順番。
・『桃太郎電鉄Ｕ（仮）』
・『桃太郎電鉄Ｇ（仮）』
・『桃太郎電鉄１５（仮）』
・『桃太郎電鉄１６（仮）地方編』

　午後３時。予定では、明日、原宿のさくま家で『桃太郎電鉄Ｕ（仮）』のテスト・
プレイをする予定だった。
　ところが井沢どんすけが、ハドソンの受付に、小倉優子ちゃんのＰＯＰパネルが展
示してあるのをこの日記で見て、「テスト・プレイをハドソンでやらないなら、オレ
はテスト・プレイしてやらないぞ〜〜〜（濡れ衣）！」というので、井沢どんすけが
来ることになった。

　そろそろハドソンに到着する時間だろうと、みんなで井沢どんすけをエレベーター
前で、待ち伏せ。
　土居ちゃんがエレベーターが開いて、出てきた井沢どんすけをＰＯＰパネルの小倉
優子ちゃんが出迎えるという演出を試みたのだが、エレベーターが開いて出てきたの
は、ほかの人。
　あの土居ちゃんが「何でＰＯＰパネルを抱えて？」と思われただろうなあ！





　エレベーターから出てきた井沢どんすけ！
「うわっ！　えへえへえへっ！　何でみなさん勢ぞろいでいるんですか？」
「ほれ！　井沢どんすけ！　小倉優子ちゃんだ！」
「おお！　これが！　えへえへえへっ！　いいなあ！」
　タレントさんは大変なお仕事だ。
　こんな気色悪い色白の『桃太郎電鉄』が下手くそな、３６歳にしてお母さんに洋服
を見立ててもらっているという噂のファンの男に、ＰＯＰパネルに抱きつかれてしま
うのだから…。

 



　ほどなく読売広告の岩崎誠、小池玲子さん、ハドソンの前田一恵さんが来て、宣伝
関係の打ち合わせを少々。

　午後４時。『桃太郎電鉄Ｕ（仮）』のテスト・プレイ開始。
　第１試合は、井沢どんすけ、込山勉、小坂晃弘の３人で「桃鉄公式戦」。

　順調に、井沢どんすけはキングボンビー、ゲスト・ボンビーなどを喰らって、物件
も持っていないので、ハリケーンボンビーに会えず、最下位で終了。

「あれ？　何で、ボクが最下位なの？」と、井沢どんすけ。
「込山勉くんが、最後でゼロ駅に停まったためだよ！」
「おほっ！　おほっ！」
『桃太郎電鉄Ｕ（仮）』では、持ち金がゼロになるゼロ駅というのが、いくつかある。
最後の最後で、持ち金マイナスだった込山勉くんが、ゼロ駅で停まって、農林物件を
いくつか持っていたので、総資産プラスで終了したのだ。
　要するに、井沢どんすけは、持ち金マイナスで終了。

　引き続き、第２試合。
　メンバーは、井沢どんすけ、岩崎誠、柴尾英令くん、小坂晃弘くん。
『桃太郎電鉄Ｕ（仮）』では、役職名が、３文字のも選べるので、プレイヤー名は、
阪神ハゲのオーナー岩崎誠は「タイガーマスク」。
　井沢どんすけは「どんすけ新発売」に。

「どんすけ新発売！って、勝てそうもない名前だなあ！」
「えへえへえへっ！　やっぱりそうですよね！」
「何で、井沢どんすけ、毎回、毎回、役職名変えるの？」
「勝てなかった役職名は、縁起が悪いので…」
「勝てないってことじゃないか！」
「えへえへえへっ！　そういうことになりますかね…」

　第２試合も、井沢どんすけの貧乏神が、キングボンビーやゲスト・ボンビーに変身
して、「ぎゃあああ！」という悲鳴が何度も響く。
　でも見慣れた光景なので、もうみんな笑わず。
　ほかのプレイヤーが黄色のカード駅で、エンジェルカードを手に入れた程度のリア
クションだ。

　予想通り、井沢どんすけは最下位で、終了。
　小坂晃弘くんが勝利。
　柴尾英令くん、いきなり『桃太郎電鉄Ｕ（仮）』で、ひどいカードとして話題にな
るであろうレアなカードを２枚も手に入れて、試合らしい試合をさせてもらえずに、
轟沈。
　まだ『桃太郎電鉄Ｕ（仮）』の内容を公開できないので、いかに井沢どんすけが間
抜けなことをして、負けたのを書けないのが、もどかしい。

　午後６時。新橋演舞場近くの「叶や」へ。
　メンバーは、私、嫁、土居ちゃん、柴尾英令くん、井沢どんすけ、田中俊介くん、
込山勉くん、小坂晃弘くん。

　新潟のへぎそばなどを食べながら、井沢どんすけが勝てないことを話題にする。
「えへえへえへっ！　全然勝てないんですよ。もう４連敗ぐらいなんですよ。何で勝
てないんでしょうね〜！」
「井沢さん、昨年から、つい１ヶ月前くらいまで、連戦連勝でしたよね？」
「えへえへえへっ！　そうなんだよー！」
「それは私が、井沢どんすけが勝てないようにチューニングしているからだよ」
「でも、さくまサンがチューニング変えても、プレイヤー全員にチャンスは均等です
よね？」
「井沢どんすけは、ラッキー運が桁外れにいいから、そういう運頼みのイベントや、
☆印カード売り場のメニューを変更していくと、勝てなくなるんだ」
「えへえへえへっ！　なぜなんだろう？　わからない！」





　午後７時。ハドソンに戻って、第３試合。
　ちょうどハドソンの廊下で、元『ジャンプ放送局』の投稿者だった、楠育雄（くす
いくお）くんに会った。
　当時「くすひのき」というペンネームで投稿していたので、その名を覚えている人
もいるだろう。
　楠育雄（くすいくお）くんは、ハドソンの関連会社の社員で、会議室とはおなじフ
ロアーなので、よく顔を合わせるのだ。
　初めてのプレイヤーのリアクションが見たいので、テスト・プレイに誘う。

　第３試合のメンバーは、井沢どんすけ、土居ちゃん、田中俊介くん、楠育雄（くす
いくお）くん。

「さすがに、このメンバーなら井沢どんすけでも勝てるだろう！」
「でも、田中俊介くんがいる！」
「あっ。それは田中俊介くんの圧勝だなあ！」
「うふふ…」





　見事なまでに、予想通り。
　田中俊介くんの圧勝。
　残るは、土居ちゃん、井沢どんすけ、楠育雄（くすいくお）くんの誰が最下位にな
るかの悲惨な戦い。

　あまりの凡戦に、柴尾英令くんが、こっくり、こっくり…。
　私も眠い…。
　岩崎誠がいたら、小言を連発しそうな覇気のない…というより、無為無策な戦いぶ
りである。

　最後の最後で、井沢どんすけがおそらく『桃太郎電鉄Ｕ（仮）』で話題になるであ
ろうカード「一頭地を抜くカード」を引き当てて、持ち金をプラスにして、土居ちゃ
んに勝つ。
　土居ちゃんには勝ったけど、楠育雄（くすいくお）くんには負けた。
　要するに、３位。
「井沢どんすけ！　初めて今回の『桃鉄』をやった楠育雄（くすいくお）くんに負け
るなよなあ！」
「えへえへえへっ！　おかしいなあ！」

　午後８時３０分。ついに第４試合。
　メンバーは、井沢どんすけ、土居ちゃん、込山勉くん、楠育雄（くすいくお）くん。
　ようやく土居ちゃんが本領を発揮して、さよならカードで、井沢どんすけを後退さ
せて、貧乏神になすりつけるようにしたり、重要な場面で、シャッフルカードをつか
ってみたりと、場を荒らす戦法の連続。

　デッドヒートには、程遠いけど、接戦になるも、楠育雄（くすいくお）くんが長時
間キングボンビーを喰らい過ぎたために、井沢どんすけは３位。

　早い話、本日井沢どんすけは、４戦０勝である。
「井沢どんすけ！　ありがとう！　発売決定は強固になるばかり！」





　午後１０時３０分。帰宅。
　いやあ、井沢どんすけがテスト・プレイに加わると、私にとっては真剣勝負なので、
疲れた、疲れた。
　きょうのプレイぶりを見て、いよいよ青マス、赤マス、黄色マスの配置換えに着手
だ。
　これで井沢どんすけは、さらに勝てなくなる予定。