４月４日（日）

　午前７時。早朝『ドラゴンクエストＶ』！
　主人公のレベルも、２０に達した。

　本当に申し分のないゲームだけど、個人的に、私は馬車システムが嫌いだ。
　モンスターを倒したときに、ファンファーレが鳴って、誰がレベルアップしたのか
な？と思うと、馬車のなかで何もしていないキャラがレベルアップするのが、イヤな
のだ。
　まるで昔、私が会社を経営していたとき、私だけが働いて、社員が全然働かなかっ
たことを思い出すからだ。
　せめて、馬車のなかから、ホイミをかけてくれるとか、マヌーサをとなえてくれる
といった協力をしてくれるなら、馬車のなかにいるキャラに、取得した経験値の１割
くらいならおすそ分けしてもいいと思うんだけど。
　のうのうとしているやつが、いい思いをするのは、すかん。

　それにしても、仲間と話す機能はお見事！
　洞窟のなかで悩んだときなど「まだ見ていない階があるんじゃないか？」とか「抜
け道があるのかも」といった言い方で助け舟を出してくれる。
　昔、私もこれをやろうと思ったけど、あまりにもメッセージの量が膨大になるので
やめたことがある。
　ＲＰＧで、謎解きに詰まって、町で話も全部聞いたのに、手がかりがないときって、
そのゲームをやめるいちばんの原因になる。
　うまいねえ、こういう対策が。
　売れるゲームは、プレイヤーの気持ちをよく考えている。
　きめ細かい演出だ。

　午前１０時。う〜〜〜、外が寒い。
　昨日から何度くらい温度が下がったの？
　１０度やそこらじゃないよね、この寒さ。

　天気予報も雨。
　東京地方は、まだ降っていないけど、いまにも降り出しそう。
　昨日のギャラード投手ショックが醒めやまないので、きょう試合があったほうがい
いのか、ないほうがいいのか、自分でも気持ちの整理がつかない。。
　いずれにしても、いいことがなさそうな気分に満ちている。
　負け根性、どっぷり中だ！

　午後１２時。嫁と、外苑前の「ガージェリーハウス」へ。
　ぽつぽつ雨が降り出した。

 



　私は、仙台牛のカレー。
　嫁は、ベーグルプレート。

 



　そういえば、昨日アリtoキリギリスの石井正則くんから届いた携帯写メールは、こ
れ↓





「親分、てーへんだ！　てーへんだ！」でおなじみの八五郎役を演じる『銭形平次』
は、いよいよ４月１２日（月）夜、７時から、テレビ朝日系列でスタートするそうだ。
相方の石塚義之くんも出演するから、ディーガで録画しなきゃ！
　みんなも見てね！

　石井正則くんは９００iを買ったのか！
　あいかわらず、新しいもの好きだなあ！
　画質がいいらしいけど、この↑写真の顔だと、画質のよさがわからない。

「ガージェリーハウス」は、銀座「煙事（えんじ）」の姉妹店なので、どの料理も抜
群においしい！　でも、料理が出るが遅いのも「煙事（えんじ）」譲り。
　午後１時３０分に、神宮球場に行かないといけない。
　１時間半あれば楽勝だと思っていたのに、けっこうハラハラもの。

　それより、すでに小雨が霧雨に…。
　試合あるのかなあ…。
　なくてもいいけどなあ…。
　２連敗のあと、試合途中で降雨中止になったら、今年いっぱい尾を引くダメージに
なってしまうぞ！

　午後１時３０分。神宮球場へ。
　放送作家の清正まなつチャンも到着。
　きょうはこのメンバーで、横浜ベイスターズの応援。

　雨はもちろんイヤだけど、この寒さはちょっと血圧に難のある私として、ちょっと
ただならぬ寒さだ。
　風が骨までしみる。

「４点差がついたら、帰るぞ！」
「えっ？　勝ってたら？」
「そんなの負けてるときに決まっているじゃないか！」
「どうしてそう悲観的なの？」
「そ、そんなの横浜ベイスターズのファンだったら、ごく自然な負け根性だよねー、
清正まなつチャン？」
「そうですよ！　４点差つけられたら間違いなく追いつけない！　４点差をつけて
リードしたら、いつ逆転されるか心配で仕方ありませんよね！」

　万年Ｂクラスのチームを応援すると、どの横浜ベイスターズ・ファンの辞書にも
「大丈夫！」という言葉は削除される。
　昨日、８回裏３−１でリードしているのに、３−４で逆転負けする惨劇を味わうと
何も信じられなくなるんだよ。
　昔からずっとこの調子なんだけどね。

　１回表。いきなり開幕２試合ノーヒットの村田修一選手が、スリーランホームラン！
「ああ！　清正まなつチャン！　どうしよう…！　どうしよう…！」
「途中、雨で中止というオチですかねー？」
「あり得るよなあ！」





　２回。横浜ベイスターズが、２点あげる！
「５−１だよ！　５−１！」
「リードすればするほど、雨でコールドゲームの不安が…」
「頼むよ、もう横浜ベイスターズの選手は、ぜんぶ初球から打って行ってくれ！早く
５回になって、試合が成立してほしい！」

　本当に、雨がじわりじわりと激しくなってきてるんだよ！

　それにしても寒い。
　ホカロンが、大学ノートくらいの大きさになった座布団用のホカロンというのを
売っていたので、これをまず敷いく。
　これだけでは足りないので、ホカロンをふたつお腹に入れて、首には、佐々木様の
ネーム入りタオルマフラーを巻いて、膝には、ベイスターズ・ブランケット。
　さらにビニール製のレインコートを着て、その上から冬用のコートを着て、ビニー
ル傘まで差す重装備なのに、歯の根が合わなくなるほど、寒い。

　ほとんど日本海の冬の荒海で、釣りをしているおじさん状態。
　しかも、横浜ベイスターズがリードしている。
　帰るに帰れない、微妙な状況。
　ふつう５−１とリードしたら、こんな天気だもの、安心して帰ってしまうだろうけ
ど、横浜ベイスターズ・ファンにとっては、５−１なんて、１−０で、１点リードく
らいの気分だ。
　ちっとも安全圏ではない。

　おお！　おお！　おお！
　どうしたんだ？　本当か？　本当か？
　４回、さらに３点追加！
　な、な、なんと、８−１！

　でも、ますます雨が激しくなってきた。





　ヤクルト側応援席から「中止！　中止！」のブーイングが始まる。
「頼む！　５回まで持ってくれ！　あと２イニングだ！」

　５回の表。
「鈴木尚典！　不振なのはわかるけど、きょうはヒット打たなくていいよ！　凡退し
て、早く試合を成立させてくれい！」
「全員、バントでアウトを命ず！」
「ああ！　いつも横浜ベイスターズの選手は、早打ちなのに、何でこんなに雨が激し
いのに、じっくりボールを見て行くんだ！　そういうことはふだんやれ！」
　うわあああ！　バックネット裏は、水がたまり始めた。
　やだ、やだ、やだ！
　試合成立まで、雨よやんでくれ！
　５回過ぎたら、ヤクルトの希望選手には帳簿上のヒットをもれなく２安打まで進呈
するから、きょうだけは勝たしてくれ！
　うちは来週から、苦手阪神が相手なんだから、本当に今シーズン０勝もあり得るん
だから！

　ああ！　こんなに試合内容でなく、ドキドキ、ハラハラする観戦は初めてだ。
　ますます雨が激しくなってきた。
　空は、真っ黒。
　さっき赤坂方面にあった晴れ間は、どこに消えてしまったんだ！

　ヤクルトは、すでに古田捕手を引っ込めている。
　勝つ気がないのは、わかった。
　頼む、５回まで持ってくれー！

　やった！　やった！　５回を抑えた！
　これで試合成立だ！
「寒い！　寒い！　寒い！　とりあえず、下に行って、風をよけよう！」
「う〜〜〜、寒い！　そうしよう！」

　１階の売店の前には、試合経過を見ることができる小さいテレビが設置してある。
　おなじことを考えている人はたくさんいるもので、テレビの前は黒山の人だかりだ。





「清正まなつチャン！　８−１だからさすがに勝てそうだよ！　うちの家に行って、
この続きは、スカイ・パーフェクＴＶで見ない？」
「ううっ…！」
「はっはっは！　清正まなつチャン！　真の横浜ベイスターズ・ファンだなあ！まだ
不安なんだ！」
「ゲームセットの声を聞くまでは、どうしても…」
「勝負は下駄をはくまでわからないというけど、横浜ベイスターズの場合、下駄をは
いても安心できないからね！」
「下駄をはいたとたん、鼻緒がぶちっ！と切れたりして！」

「さくまサン！　こんにちわ！」
「あっ！　江口貴博くん、来たんだ！」
「家でＴＶ見ていて、１回表に３点取って、ピッチャーが斉藤隆だから、ひょっとし
たら勝つかもしれないと思って、来たんです！」
「はっはっは！　ひょっとしたら勝つかもという気持ち、わかるなあ！」
「だからさっき来たばかりなんですよ！　試合成立おめでとうございます！」
「江口貴博くんさあ！　いま清正まなつチャンに、８−１なんだから、続きをうちで
見ようと言ったんだけどさ、イヤがるんだよ！」
「わかりますねー！　ボクも最後まで見て行こうと思ってます！」
「これだよ！　まさか江口貴博くん、中国生まれの奥さんも連れて来てるの？」「来
てますよ！」
「ええっ！　野球わからないんでしょ？」
「全然わからないですよ！」
「かわいそうに、奥さんに業を背負わせちゃって！」





　横浜ベイスターズ・ファンにしか通じない会話でしょ？
　本当に、８−１でも、心配なんだよー！
　けっきょく、私も残ることに。
　その代わり、この風をしのげる球場下の売店の前で、９回表終了まで待つことにし
た。





　私はコーンスープ、嫁はうどんを食べて、暖を取る。
　本当に風を引きそうなくらい寒い。
　横浜ベイスターズのひざ掛けは、もう雨のしずくで、びっしょり。

　９回表。横浜ベイスターズの攻撃終了。
「さあ！　年間シートの席まで戻って、最後の応援をしよう！」

　以前、８−１。
　この点差では、佐々木様の登板はない。
　ただでえ、足首の調子が悪いのだから、この悪コンディションで足をひねったりし
たら大変だ。
　内野席はもう雨でびしょり。
　とても座席まで戻れない。
　内野席入り口で、９回裏を見ることにした。
　ファウルボールが飛んだとき、笛を吹いて注意を促す係りの女の子が、雨に濡れて、
唇を震わせていた。

　木塚投手が、リリーフ。
　横浜ベイスターズ、今シーズン初勝利のために、木塚投手、すまん！
　本来なら、昨日のお詫びにギャラード投手が出てくるべきだが、彼には契約があ
る。外国人選手は、リードしている試合に１イニングのみとか、いろいろ規定するか
らね。

　
　横浜　　　3 2 0　 3 0 0　 0 0 0　│ 8
　ヤクルト　1 0 0 　0 0 0 　0 0 0　│1

　勝った！　勝った！　勝った！　勝った！
　寒い！　寒い！　寒い！　寒い！　寒い！

　勝った！　勝った！　勝った！　勝った！
　寒い！　寒い！　寒い！　寒い！　寒い！





　今シーズン、初勝利！

　どんな勝ち方でも、勝ちは勝ち！

　横浜ベイスターズ・ファンには、この１勝は大きいよ〜！

　午後５時。きょう勝つと思わなかったから、試合後の食事の場所なんて、考えても
いなかった。

　とにかく暖を取るために、私、嫁、江口貴博くん、奥さん、清正まなつチャンの５
人で、神宮球場からいちばん外苑前に近い「太陽海岸」へ。
　ピザ、スパゲティなど頼んで、まずはとにかく喜ぶ。
　よかった！　よかった！
　本当によかった！

　清正まなつチャン、あまりの喜びのせいで、次の仕事が午後６時から入っているこ
とを、すっかり忘れていて、ぎりぎりの時間で「お先に失礼します！」

　午後６時３０分。帰宅。
　冬物のコートも、雨でびっしょりだ。

　風邪を引かないようにしないとなあ！

　午後８時。ＮＨＫ『新選組！』。
　ますます波に乗ってきた。
　きょうの展開は、この番組の評価を上げるだろうなあ！

　今夜も、『ドラゴンクエストＶ』！
　天空のつるぎは、手に入れた。
　ラーの鏡も手に入れた。
　いま、そんなところにいる。