3月4日(木)

 ふげ〜っ! 調子に乗って仕事したもんだから、昨夜眠れなくなってしまったよ〜!
 ふひ〜〜〜ッ。

 眠れないものだから、『月刊文芸春秋』で、綿矢りさサンの『蹴りたい背中』を読
んでみたりもする。
 思ったより、オーソドックスな文体に、驚く。
 私のような50歳代が読んだら、意味がわからなかったり、嫌悪感をもよおすもの
を期待して、身構えて読んだせいかな。

 いずれにしても、小説の世界に新風が巻き起こることはいいことだ。
 この辺で、新しい血が入って来ないと、業界は活性化されず、小説自体が消滅して
しまう。
 おなじことは、ゲーム業界にもいえる。
 私なんぞ、2〜3年で、若手に駆逐されると思っていた。
 ここ10年近く、新人のゲーム作家と名乗る人に会っていない。

 午前10時30分。ヤサカタクシーの宮本さんが迎えに来てくれて、嫁と北大路の
住宅街へ。
 京都は、天気はいいものの、風が冷たい。

 2日前、祇園縄手で食べた和食の「せせらぎ すへら」で、デザートに「嘯月(し
ょうげつ)」の和菓子を食べることができたと書いたら、ソネット勤務の食い道楽ヒ
ゲもじゃ男・柿添尚弘が、反応してきた。

「ああ、嘯月のきんとんが食べたいぃぃぃ…」

 それでは、柿添尚弘を悔しがらせるために、「嘯月(しょうげつ)」に予約をして、
柿添尚弘の代わりに、私たちが食べてあげちゃいましょう!ということになった。
 ふだん、前日にお店に予約するなんてこと、絶対しないのに、「イケズ」をするた
めだと、けっこう一生懸命になれるものだ。

 でも、あれから「嘯月(しょうげつ)」のことを調べたら、「日本一の和菓子」と
いう単語で表現されることが多いこと、多いこと!
 あの明治維新の立役者・山県有朋などもよく通ったといわれる、老舗料亭「瓢(ひ
ょう)亭」のデザートにもつかわれているそうだ。
 本当にとんでもないお店のようだ。
 だから、本当は柿添尚弘を悔しがらせるより何より、私たちが食べたくなってしま
った。

 で、北大路というか、紫野の住宅街に来てみたんだけど、場所がわからない。
 本当に、ごくふつうの住宅街。
 何でこんな場所の和菓子屋さんが、日本一?
 店内で食べることもできなくて、販売だけなのに、日本一?
 予約販売だけで、いま何を売っているかを電話で聞いただけで、予約しないといけ
ないお店が、日本一?

 う〜む。わからない。
 ヤサカタクシーの宮本さんがお店に電話してくれる。
 電話の応対がやわらかそうだ。
 こんな住宅街で「日本一の和菓子」のお店なんていったら、つっけんどんなおばち
ゃんが出てきて「へ? 何ですの!」と、低音&慇懃な声で応対されるのでは?と、
ちょっと緊張していた。

「あっ、ここやったんかあ! ここ何回か、お客さん連れてきたことある」と、ヤサ
カタクシーの宮本さんが驚いた。
「ここが、和菓子屋さんやと思わんもん!」
 その通りだ。
 小学校の裏のまわりに文房具屋さんひとつない住宅街に、紛れ込むように、「嘯月
(しょうげつ)」はあった。骨董品屋くらいには思うが、お店とは思えない。

 嫁と、いっしょに入る。  ショウケースもなく、ふつうの家の玄関に入ってしまったような感じだ。  出てきた女性の応対も気さくだ。  予約しておいた、季節のきんとんを買う。  さっそく、車のなかで開けてみる。  うわ〜〜〜ッ!  きれいだ〜〜〜ッ!  まるで植物園に来たように、緑やピンクの花が咲いているようだ。

 和菓子のきんとんは、紅茶の葉を入れるとき茶漉しのようなものを、ひとつひとつ 盛り上げて行く繊細なお菓子なんだけど、その細さが通常の和菓子の何倍も細い。ま るで絹糸みたい。  とてもじゃないが、芸術品で、食べるのが怖い。  そんな気になるほど、美しい。  午前11時。北山通りをちょっと入ったところにあるうどん屋さん「しみず」へ。 昨年の京都グルメ探検のテーマだったカレーうどんは、この「しみず」のカレーうど んに出会ってから、対抗馬なし!  探検途中で、1位と認定してしまった。  それにしても、ここも住宅街のど真ん中にぽつんとあるうどん屋さん。 「嘯月(しょうげつ)」にしても、「しみず」にしても、味が良ければ、やっていけ てしまうのが、京都の懐の深さだ。

 私も、嫁も、カレー肉うどんに、小ライス。  宮本さんは、カレーきつねうどん。  あぢぢ…。あぢぢ…。  カレーうどんのスープを飲んだら、熱いとわかってるのに、飲みたいよね! はっ はっは!  丼を置いて、お水を飲んで「ひ〜〜〜! 熱かったあ!」と目を大きくしたあとに、 テーブルの上に、まだスープの残っているカレーうどんを見ていると、また飲みたい 衝動にかられる。  あぢぢ…。あぢぢ…。  わかっちゃいるけど、あぢぢ…。あぢぢ…。  カレーうどんのスープのなかに、ご飯を入れて、食べたいなあ!  でも食べ過ぎになるし、塩分を無駄なく摂取してしまうからなあ!  午後12時。帰宅。  さっそく「嘯月(しょうげつ)」のきんとんを食べる。

 う、う、う、うまああああああああああっい!  まいったああああああああああっ!  見た目の繊細さ、そのものの味だ。  つぶあんが、一瞬、こしあんに思えたほど、さらさら。  京都に隠れ家を構えて、10数年。  まだこんな大物に出会っていなかったなんて!  京都1200年の歴史の重みが、ずしーーーん!だ。  たしかにこれは、日本一かもしれない。  しかし、この「嘯月(しょうげつ)」のきんとんを食べるのが楽しみと言ってのけ る柿添尚弘は、どこまで顔に似合わず、風流なんだろう?  ひょっとすると、おいしいお店の数では、私よりもたくさん知っているかもしれな い。しかもどのお店ともなかよくしている。  人懐こいかというと、100人に、「柿添尚弘って、どこの出身だと思います?」 と聞いたら、まず101人の人が「沖縄!」と答えるような男である(おいおい、人 数増えてる!)。誰も、東京生まれとは思わない。  柿添尚弘、不思議な男である。  う〜む。いつもなら、ここで<私がもう一度行くためのメモ>を書くところだけ ど、予約だけだから、書いてもなあ。  下手に、いたずら電話だけされても困るので、公表せず。  ちょっとした努力をして、探してください。  場所は、京都の人でもわかりづらい場所。  午後1時9分。京都駅から、のぞみ12号に乗車。  乗車と同時に、熟睡。  昨日、寝不足なので、名古屋を過ぎても、目が覚めず。  浜松の手前で、車内のけたたましい携帯音で目が覚める。YMOの『ライディーン』 だ。35〜5歳のバブル期サラリーマンだな!  目が覚めたので、読書。  午後3時30分。東京駅に着く。  20分前ほどから、東京は、サーーーッと雨が降ったらしい。  まだ微妙にぽつぽつと雨が降っている。  午後4時。帰宅。  家のなかが、冷蔵庫だあ!  エアコンつけて、嫁と喫茶店「らぴす」サンに避難。  午後4時30分。うーーーん。30分くらいじゃ、全然家が温まらない。  寒いよー! 東京って、こんなに寒かったかなあ!  午後5時30分。まだ寒いので、東京駅大丸地下の「ごちそうパラダイス」で買っ てきたお弁当を食べる。  ひさびさに「けやき弥」のお弁当だ。

 テレビのニュースを見ながら、仕事。  この時間のニュースって、各局けっこう暗い話題の特集が多いと思わない?  とくに大きなニュースがないとき、覚せい剤の密輸の話題とか、老人同士の殺害の 話題とか、5〜6分ですむものを、20〜30分くらいかけて検証することが多い。  もうちょっと日本列島の明るい話題を流してくれればいいのに。  食後、ゆるゆると『桃太郎電鉄U(仮)』の仕様書の直し。  京都にいたとき、再読し始めた『峠』(司馬遼太郎・新潮文庫)が止まらなくなっ てきた。今夜は下巻からだ。

 
さくまNEWS


携帯着メロ、はじめました!
インデックスさんの携帯向け着信メロディ配信サイト「えらべるJ-POP」で
さくまあきらがお勧めする「お父さんのためのJ-POP」を配信しています。
【i-mode】iメニュー>メニューリスト>着信メロディ/カラオケ>
J-POP/インディーズ>えらべるJ-POP>お父さんのためのJ-POP
【EZ】トップメニュー>音・画像をゲット>着信メロディ>総合>
えらべるJ-POP>お父さんのためのJ-POP
【Vodafone】ボーダフォンライブ!>メニューリスト>着信メロディ>
J-POP・洋楽>J-POP・インディーズ>えらべるJ-POP>お父さんのためのJ-POP

●『桃太郎電鉄12〜西日本編もありまっせー!』は、絶賛発売中!

●井沢どんすけ渾身の一冊!公式ガイドブック『大金持ちになるための桃太郎電鉄12
西日本編もありまっせー!』(集英社)も、絶賛発売中!

●『桃太郎電鉄負けない戦術』(宝島社)、絶賛発売中!

●東京谷中・妙泉寺にて、「貧乏神が去る像」公開中!
 お寺だけでしか買えない「貧乏神が去る像」をぜひ!

●「貧乏が去る(猿)像・カラー版」はコナミスタイルでも購入できます!

●四国高松の鬼無駅ホームにて、土居孝幸オリジナル原画による『桃太郎電鉄』の宣伝
看板公開中!



-(c)2003/SAKUMA-