2月23日(月)

 昨夜は、苦しかった。
 ああ、もうちょっとで眠りにつけると思った瞬間に、ゴホッゴホッと咳き込んで目
が覚めてしまう。
 イソジンののどフレッシュを喉に吹き付けて、またしばらくして、眠りにつけると
思った瞬間に、ゴホッゴホッと咳き込んで目が覚めてしまう。
 一晩中、このくりかえしだ。

 午前8時。それがどういうわけか、何度目かのうとうと…のあとに、すうーーーッ
と、喉の腫れが引いた。
 まるで、台風の目に入ったかのようだ。

 この晴れ間のうちに、仕事をせねばと、あわてて『桃太郎電鉄U(仮)』の仕様書
作り。
 ここ2〜3日、私にしてはまったく仕事をしていないに等しいだけに、大忙しだ。

 午後12時。嫁と、表参道の「ZEN」へ。
 このお店は、以前行ったときは、まだ開店直後で、内装もまだ間に合っていないく
らいあたふたしていた。
 味のほうも、まだ試行錯誤で、どういう味にしたいのかという方向性がなく、凡庸
な味だったので、たぶんイニシャルの「Z」でしか、紹介していなかったと思う。
 その後、このお店がどう落ち着いたのかを確かめたかった。

 私は、温泉玉子のサラダに、豚のしょうが焼き。
 嫁は、山芋揚げサラダに、鯛のアラレあんかけ。

 ふうん。以前行ったのが、2001年の8月だから、もう2年半になるのか。  さすがに料理の味が定着するもんなんだな。  かなりおいしい。  しかも食べ終わっびっくりした。  伝票には、1100円と書いてあったので、ちょっと値段高いな、でも表参道だか らこのくらいの値段するのかなあ?と思ったら、なんと!  ふたりで、1100円。  ひとり、550円だったのだ。  それは安過ぎるじゃないの!  それにしては、お昼12時に行列ができていないのはなぜなんだ?  このおいしさで550円なら、長蛇の列ができてもおかしくないのに!  たぶん、内装のせいだな。  いかにも新進気鋭のデザイナーさんが、デザインを優先した内装にした感じのお店 だから、気をつけないと、すぐ頭をぶつける。  そういえば、開店当初に来たときは、お客さんのほとんどの人が、頭をぶつけてい た。私もそうだ。  味がよくても、頭をぶつけるお店は好かれないってことなんだろうなあ。  これだけ格段に味がよくなったのに、もったいないことだ。  午後1時30分。帰宅の前に喫茶店「らぴす」サンにピットイン。  午後2時。蔵人総合研究所の赤根豊くん、遠山孝司くんが来る。  会社経営の決算報告。  私はふむふむ、そうかいなといいながら、赤根豊くんに「ここに名前を書いてくだ さい!」といわれて、本名の「佐久間晃」という文字を、手書きで書き込む。  もはや私が「佐久間晃」という文字を書くのは、赤根豊くんが来たときか、病院に 行ったときだけである。 「さくまあきら」のほうが、圧倒的に書く回数が多いので、たまに「佐久間晃」と書 くと、妙に照れくさい。  午後5時30分。渋谷の喫茶店で、脚本家の富田祐弘さん、旭通DKの杉沢義文さ んと、待ち合わせ。  午後6時。そのまま居酒屋「九州」へ。

 富田祐弘さんといえば、『セーラームーン』の脚本家で知られる、アニメ業界の巨 匠だ。  実は古いお付き合いで、昔一度だけ仕事をしたことがある。 『ゲンジ通信あげだま』という作品で、今にして思えば、豪華な布陣で、共同原作が、 富田祐弘さん、私さくまあきら、広井王子くんの3人だったのだ。  しかもビックリマン世代にとっては、超有名な反後四郎さんもいっしょだった。  ちょっと驚きのメンバーでしょ?  そんな富田祐弘さんと、企画が決まるか決まらないかは別として、ちょっとおもし ろい話を立ち上げようとしている。  きょうはその話し合い。 「仕事上のお付き合いがないと、出版社のパーティ以外で会うことがなくなっちゃい ますよね」と、富田祐弘さんもおっしゃっていたけど、どうもゲーム業界というのは、 孤島でずっと仕事をしている感じで、各業界の第一線で活躍している人と話すチャン スが少なくなってしまう。  だから、きょう突然杉沢義文さんが「渋谷で富田祐弘さんと打ち合わせするんで、 もしよかったら」と言ってくれたので、駆けつけた。

 しかし、思ったね。  大人のほうが、会話が楽だってことを。  この業界を生き抜いてきた人たちのほうが、話題が豊富だから、たとえ話をすると きに、「こういうたとえをしても大丈夫かな?」と、一度検索する手間が省ける。  若い人たちのほうが、返って気をつかう。  年寄り相手なら、プロ野球にたとえて会話すれば、間違いなく会話は弾むもんだけ ど、若い子と話すときは、まず「プロ野球って、どのくらい好き?」と聞かないとい けない。大半が、プロ野球通ではないからだ。  じゃあ、「サッカーは?」と聞くと、あまり見ないといわれてしまう。  じゃあ、「歴史とかは?」と聞けば、ちょっとだけならといわれる。たぶん、 ちょっとだけではなく、皆無なんだろうけど。  じゃあ、「音楽は?」と聞くと、これが好きなものがまちまちなので、こっちのほ うが浜崎あゆみ、倉木麻衣、宇多田ヒカルについて、くわしかったりして、私のほう が説明をしなければいけなくなる。  私の場合、平気で倉木麻衣のビデオ・クリップ集を買うような大人気ない大人なの で、世代のギャップは感じないんだけど、いまの若い人たちは、趣味が多岐に渡りす ぎて、共通の話題が少ないんだね?  富田祐弘さんの草野球チームの名前が、ザ・ビートルズの『ペーパー・バック・ラ イター』から取って、ライターズにしたというように、ザ・ビートルズは、私たちの 世代の共通語なのだ。  でもいまの若い人たちは、ケミストリーは聴くけど、浜崎あゆみは聴きませんにな ってしまう。  若い人たちに連帯感がないといわれるのも、環境的に無理な気がする。  そんなわけで、おじさんたちは、共通言語で、語り合い、あっという間に楽しく時 間が過ぎて行ってしまって、気がつけば午後11時30分になってしまっていたので ある。  午前0時。帰宅。  何だか急に古い知り合いに会いたくなってきた。

 
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