2月10日(火)

 午前10時30分。嫁と、東京駅へ。
 また温泉かいって?
 いや。日帰り小旅行ですたい。

 ただ、まったく時刻表を調べに出てきてしまった。
 それがあとあと随所で響いた。

 午前11時。東京駅から、ガーラ湯沢行きたにがわ439号に乗車。

 東京駅の地下で買った「資生堂パーラー」のカレーボールをつまんで、空腹を少し だけ満たす。

 車中、『100億稼ぐ仕事術』(堀江貴文・ソフトバンク・パブリッシング)を読 む。  一昨日、浅草キッドの水道橋博士の日記を読んだらこんなことが書いてあった。 ……………………………………………… 今、株式市場で話題沸騰の『エッジ』、 (近々に社名改め、『ライブドア』に) の社長、堀江貴文社長、現在、31歳である。 既に、ウィークリーリッチマンには登場済みなのだが、 実はこの人、今、最もホットな男なのだ。 (中略) まるで、ゲームの「桃太郎電鉄」の高額物件を買い漁る社長だ、 実際、「一日に100億単位で株価総額が上下するから、 株価が下がると、なんか自分にキングボンビーが ついたような感覚になりますよ」と社長も言っていたほどだ。 そして、どうやら、本当に桃太郎電鉄プレイヤーのようで、 「桃鉄11までなら自信ありますよ!」とのこと。 しかも、グルメなので、 さっそく、さくまさん紹介要員にリストアップする。 ………………………………………………  水道橋博士がシグナルを送っているのだから、予習しなければ。  堀江貴文さんは、『ド・ナイト』に出てくる水道橋博士が「資産1兆円の男」と名 づけた社長さんだ。 「資産1兆円の男」なら、昨日の私のテスト・プレイの総資産のほうが多かったぞ! と、ボケる場面ではない。  向こうは、『リアル桃太郎電鉄』だ。 『ド・ナイト』の社長さんというと、どうしても関口会長のように「ガッハッハッ!」 と豪快に笑って、歩くたびに、指輪がカチャカチャ音がするような人を想像してしま う。  私は、水道橋博士のような猛獣使いの名人ではないので、成金っぽい人は見る分に はじゅうぶんおもしろいんだけど、会うのは得意ではない。  ましてや本の題名が『100億稼ぐ仕事術』だ。  人の話を聞かない肥満体の脂ギッシュな人を想像してしまった。  ところが、本を読んだら、びっくり。  何たる生真面目さだ。  拍子抜けするくらいの常識人だ。  まったくホラも吹かないし、いい意味での臆病者だ。  どんなことを言っているかというと、こんな感じ。 ………………………………………………  会議は必要最小限のメンバーで行うべきである。  10名を超えるあたりから、会議でまったく発言もせず、積極的に議論に参加しな いメンバーが出てくるからである。  10名を超えると、瞬時に把握することは不可能であり、会議に参加していないこ とを見逃してしまう。  商売柄、ビジネス誌の取材を受ける機会が多いのだが、8時間睡眠を取るようにし ている、と話すと、大抵は驚かれる。 「忙しいですよね。徹夜も多いでしょう?」と当然のように徹夜の話をされるので、 むしろこちらの方が驚きである。  徹夜をしてしまうと、次の日は仕事にならない。  どんなに短くとも3〜4時間は寝ないといけない。  そして、できれば昼寝をした方がよい。  集中力を高める効果があるそうだ。  商売で失敗するのは、基本を押さえていなかったり、景気が良くなって基本を忘れ てしまった場合が多い。最初はしっかり基本を押さえている人も、好事魔多しという か、お金が集まるといい気分になってしまう。そうならないためには、「常に基本を 押さえる」ということを呪文のように唱えるしかない。 ………………………………………………  ちょっと驚きでしょ?  本の題名の『100億稼ぐ仕事術』を期待して読んだ人は、がっくり来てしまうか もしれない。  でも、がっくりする人はすでに、お金が集まったら、いい気分になってしまう人だ。 「地道」は、最大の防御であり、攻撃だと思う。  おっと。もう高崎に着いてしまう。  午前11時57分。高崎駅で下車。  ありゃ? 乗り換えの…電車は…、あれ? 午後12時31分まで無いの?  ええっ? 34分待ち? あはは…。  時刻表を調べずに来た弊害が、もう出た。早いな。  駅員さんに聞いて確かめても、34分後であった。  おだやかに事務的に教えてくれたということは、高崎では30分に1本の電車など 常識なのだろう。  お土産屋さんでヒマをつぶす。

 先日、高崎で買っておいしかったバウムクーヘンをまた買おうとして、嫁に止めら れる。やっぱりダメか。あはは…。  5番線のホームまで降りる。  う〜〜〜、日影の部分に立つと、寒いね〜!  お日様が出ている場所に立つと、けっこう暖かい。  あれ? 次の電車は水上行きで、次の電車は伊勢崎行き?  何でおなじホームなのに、反対方向の電車が停車するんだ?  あっ! ひょっとして!  アナウンスが流れた。 「今度の伊勢崎行き両毛(りょうも)線は、ホームの11〜18番までに停車します!」  そうか。やっぱり。 ←伊勢崎方面                水上方面→    →→→→→→→→電車 電車←←←←←←←←    ←←←←←←←←電車 電車→→→→→→→→    ―――――――――――――――――――――          (こっちはホーム)  1本のホームで、折り返し運転させているんだ。  頭のいい使い方だねえ。  それより、もっと驚いたのは、電車が入線してくると、またアナウンスがあって 「停車後、車内の掃除を行いますので、乗車はしばらくお待ちください」と流れると、 乗客が全員降りたあと、ドアも閉まらないのに、誰もワッ!と席を取りに飛び込んで 行かない!

 これが大阪なら、絶対掃除する人を押しのけてでも、座席を奪いに行くと思う。  大阪のおばちゃんなら、絶対押しのける。  高崎の人たちは、えらい。  午後12時31分。伊勢崎行き両毛線に乗車。  しばらく市街地を走ったあと、畑が増えた。  遠くに、赤城山が見える。  頭の上が少しだけ白い。

 赤城山というのは、群馬のほとんどから見えるようだ。  富士山のように、すっくと聳え立つ山ではなく、九州の阿蘇山のように、連山に なっていて、なだらかに美しい。  群馬の人にとって、赤城山は特別なキーワードなんだろうなあ。  午後1時。電車は伊勢崎(いせざき)駅で、終点。

 うすうすわかってはいたけど、この電車、きょうの目的地である桐生(きりゅう) 駅まで行かない。  しかも次の電車は、また30分後というではないか。  せっかちな私は、これ以上のロスタイムは待てない。

 伊勢崎駅から、タクシーで、桐生(きりゅう)をめざす。  その土地のことを聞くには、地元の運転手さんに限る。  きょうの運転手さんもやっぱり、赤城山のことを話題にすると、密かにうれしそう にしゃべる。 「ここから見える赤城山がきれいなんですよ!」  いいねえ。この旅情。  どこまでも赤城山がついてくる。 「桐生うどんを食べに来たんですか? このあたりは小麦の生産が多いからね!日本 一の生産量なんですよ!」  群馬といえば、「かかあ殿下と、からっ風」といわれるけど、からっ風がうどんの 麺を乾燥させるのに、適しているそうだ。  桐生は、最近うどんの街として、かなり有名になってきている。  近郊の町も含めると、桐生を中心に130軒ぐらいのうどん屋があるそうだ。「桐 生うどん会」という団体もある。  お目当てのお店が、わからなくなってきた。  私が持っていたお店のデータと、嫁が持っていたデータの住所が違うのだ。  お店の名前はおなじ。  変だなあ。  嫁に電話してもらって、聞いてもらう。  午後2時。げっ! ここが桐生うどんで有名な「川野(かわの)屋本店」?  まるで四国高松の讃岐うどん屋さんのような、風情がありすぎるお店だぞ。

 表現が回りくどくなっていつことを察してくれ。  ありゃ。お店のおじいちゃんが出てきてしまった。  逃げられない!  さっき電話したから、車が止まったんで、迎えに来たのだろう。 「駐車場は…、こっち…」  あ、おじいちゃん、私たちが自家用車で来たと思ったんだ。  親切じゃないか。  お店に入る。  うひゃあ! お店のなかも、讃岐うどんの製麺所みたいだ。

 高松だと、こういうお店があたりまえだから、覚悟できているけど、何の知識もな しに来ると、ちょっとたじろく。  お店で、うどんを食べている女性がいきなり、「ここのうどんは、おいしいわよ〜!」 という。えっ? お店の人なのかな?  いや。どうもただのお客さんのようだ。  お店のおじいちゃんが「もごもご…、もごもご…、ひも、もごもご…」と言ってい たけど、よく聞き取れない。  またお店にいた女性が「カレーうどんもおいしいわよ」という。 「カレーうどんか、いいなあ!」 「どこから来たの?」 「東京からです」 「わざわざ東京から、食べに来たの? すごいわねえ!」 「このお店は、ひも川がおいしいのよ!」 「あっ! おじいちゃんがさき、もごもご言ってたのは、ひも川のことだ!」  あわてて、嫁が、厨房のほうに「カレーうどんと、ひも川!」と注文しに行ったが、 時すでに遅し。  さっさと、おじいちゃんは、ひもかわうどんを作り始めていた。 「注文の多い料理店」は、宮沢賢治だが、ここは「注文を決めてしまう料理店」だ。  でも、このおじいちゃん、屈託がなくて、勝手に注文を決められてしまっても、愛 嬌があるので、嫌味に感じない。  四国高松の「池上製麺所」の瑠美子ばあちゃんに通じるものがある。

 お店の住所がふたつあったのは、51歳の息子さんがもう1軒のお店を始めたから なんだそうだ。 「いまから、息子が車まで迎えに来るんだよ」  そうか。このお店に電話したとき、しきりに「何時くらいに着く?」と聞かれてい たのは、このせいだったのか。  不定休で、好きなとき休むそうだ。  うん。誰も咎めないだろうなあ。このおじいちゃんなら!  店内には、手紙の桐生うどんのポスターがいっぱい貼ってある。

「ぜ〜んぶ、オレが書いたんだ!」 「へえ! 上手いじゃないですか!」 「字も、ホラも、恥も、ぜんぶ自分でかく。ウヒャヒャ…!」  記念仙人か、このおじいちゃん。  ひも川うどんが来た。  ずいぶん具が多いんだ。

 しめじ、えのき茸、ネギ、ほうれん草、大きな麩などが、たっぷり入っている。  桐生うどんの特徴は、しこしこ麺ということらしいんだけど、麺はどちらかという と、やわらかい。  口当たりが、なめらか。  それより、おつゆのおいしさは、絶品だ。  特筆すべきおいしさだ。 「おじいちゃん! おいしいよ!」 「そうか、そうか。ウヒャヒャ…!」 「カレーうどんも食べっか?」 「えっ? おじいちゃん、もうでかけるんでしょ?」 「息子が迎えに来るまで平気だ。ウヒャヒャ…!」 「じゃあ、お願いします!」 「息子のお店じゃ、700円だけど、うちじゃ、500円だ!」

 カレーうどんが、またおいしいんだよ。  やさしい味でね。  カレーうどんのまずいやつは、塩の濃さばかり際立ってしまうだけに、やさしい味 というのは、貴重だ。  桐生は昔、織物(おりもの)で栄えた町なので、その頃の話を聞く。 「昔は、3軒に1軒は、織物関係の店じゃった! ウヒャヒャ…!」 「へえ! 3軒に1軒!」 「あれ? あんた、そういうの知りたい人なの? だったら、本あげようか? 持っ て行ったらいい! ウヒャヒャ…!」 「おじいちゃん! これってお店の人が来たら、読むためのものじゃない! しかも 手作りだよ!」 「そうか! ウヒャヒャ…!」  おじいちゃんはお店に来た人が送ってきたお礼の手紙まで見せ始めるどころか、お 店に取材に来た人たちの名刺まで見せてくれた。  なかには勘のいい人なら、「有名企業がこのお店の味を狙っているな!」とわかっ てしまうような名刺まであった。  最後に名刺までくれた。  こっちも名刺を置いてきた。  4月過ぎるとメニューに入る冷やし中華が、おいしいらしい。  またもう一度来てみるかな。 <私がもう一度行くためのメモ> 「川野屋本店」 住所:桐生市仲町3-9-1 電話:0277-44-5630 営業時間:11:30-19:00 不定休 備考:ひも川うどん、冷やし中華。  食後、嫁が着物好きなので、「森秀(もりひで)織物参考館“紫(ゆかり)”」を めざして歩く。  桐生は、昔、織物で栄えただけあって、ところどころにその繁栄のあとを偲ばせる ような古い豪奢な建物があったりする。  昔は、人口も15万人だったそうだ。  しかし、広いね。桐生市は。  だいたい、桐生市って、3つも駅がある。  上毛電鉄の西桐生駅。  両毛電鉄の桐生駅。  東武伊勢崎線の桐生市駅。  どうも群馬県の鉄道事情は、わかりづらい。  県庁所在地の前橋市は、前橋駅に、新前橋駅、中央前橋駅、前橋大島駅と4つも駅 がある。

 もう少しすっきりすればいいのになあ!と思ったら、『桃太郎電鉄U(仮)』の仕 様書の複雑さに気づいた。  もうちょっとシンプルにしようっと。  いつでもどこでも仕事のことを考えている。

 午後3時。「森秀(もりひで)織物参考館“紫(ゆかり)”」へ。  桐生市は、広い!  へばった!

「川野屋本店」のおじいちゃんが、「車で送って行ってあげようか!」といってくれ たのを聞いておけばよかったと思うくらい広い。  でも桐生の商店街は、ぎりぎり生き抜いていた。  必死に郊外の大型スーパーと戦っているんだなあ!という雰囲気が感じられた。  入場料が700円と、ちと高い。  でも、解説付きだった。  この女性の解説がわかりやすくて、よかった。

 工場に入ると、天井がのこぎり屋根になっている。  社会科の地理の記号で、工場が三角形になっていたけど、あの形とおなじだ。「採 光を一定に保つために、北側に向かって窓があるんです」  織物の色を見間違えたりしないためだそうだ。  それどころか「音が乱反射して、織機(しょっき)の音をやわらげるためでもあっ たのです」  なるほどねえ。織機の音は大きいもんねえ。  昔の人は、頭がいいや。  しかし昔の織機の巨大さを見ると、桐生の全盛期のすごさがわかるような気がする。

アメリカ輸出用の布を織ったそうで、本当は3人がかりで動かす

 それにしても、織機は、初期のファミコン時代のドット絵のように、こまかくて、 大変そうだ。  10センチ織るのに、1週間かかったそうだ。

 それにしても、昔の織機の原理と、いまのコンピュータの原理がほとんどおなじと いうのが、おもしろいねえ。  最後の部屋で、いま稼働中の織機を見せてもらったけど、これはもうほとんどコン ピュータ制御。  まだまだ人が作る織物には勝てないらしいけど、コンピュータの進歩は日進月歩だ から、コンピュータの進化とともに、また織物産業が復興するような気がしてきた。

 桐生市は、現在パチンコ台の生産日本一で知られているけど、この織機の進化の途 中に、生まれたような気がしてならない。  この「織物参考館」は、小学生たちが藍染の体験ができるようにもしているらしい。  京都でも見たことのある藍染めの「藍甕(あいがめ)」を見せてもらった。

「藍甕(あいがめ)」は、生産性を増すために、日本酒を入れるそうだ。 「藍甕(あいがめ)は、日本酒を飲む」という言い方をする。  ほんとだ。日本酒の紙パックが3本くらい置いてあった。  ちょっとした豆知識だ。 「織物参考館」の見学でも歩いてしまったので、さすがに、ここから桐生駅まで歩く 気にならない。  タクシーで、桐生駅へ。  午後3時30分。JR桐生駅。

 きょうの鉄道旅は、意外と地味でしょ?  でもね。本当はここから、いつものようにサプライズ鉄道の旅をみんなにお見せし ようと思ったんだけどね。失敗した。  今度のときまで、ネタとしてとっておこうかな。  地元の人に仰天してもらおうか。  実はここから、わたらせ渓谷鉄道という電車に乗って、1時間半、そこからまた3 0分以上かけて、日光(にっこう)まで行くという離れ業を演じようと思ったのだ。  桐生近郊のみなさん、驚いた?  ところが、桐生駅に着いて、真っ先に窓口で「わたらせ渓谷鉄道の次の発車はいつ ですか?」と聞いたら、「たったいま発車したところだから、次は4時36分ですね!」  がび〜ん! 1時間後。  そりゃ無理だ。  時刻表をまったく調べずに来た弊害がどんどん出てきた。  仕方なく、両毛線に乗ることに。

 こっちの両毛線も、19分後の発車だ。  どうも電車に乗るときに、フォーミュラーカーがタイヤ交換しているみたいだ。ロ スタイムだらけ。  午後3時49分。小山(おやま)行きの両毛線に乗車。  対面式4人掛けのシートだ。  やっぱり鉄道の旅は、このシートにかぎるね。  ドアも半分しか開かない。  午後4時6分。足利(あしかが)駅で下車。

 いまや足利尊氏の足利氏発祥の地というよりも、経営破たんの足利銀行で有名にな ってしまった町だ。  とりあえず、足利学校を見に行く。  足利学校は、歴史の教科書に載っている日本最古の学校だ。  なにしろ、創建の時期が、奈良時代なのか、平安時代なのか、鎌倉時代なのか定か でないくらい古いんだそうだ。  安土桃山になる頃には、3000人くらいの学徒がいたそうで、あのフランシスコ ・ザビエルが「日本国中、最も大にして、最も有名な坂東の大学」と世界に紹介した そうだ。  おっ。足利学校に向かう道は「学校様通り」という名前がついているのか。  ちょっと笑っちゃうな。

 あれ? あれ?  足利学校の門をくぐって、受付を探そうとすると「本日は終了しました」の立て札 が立っている。

 何それ! まだ4時をちょっと過ぎたばかりだよ。  ぎゃ〜〜〜ん! 10月〜3月までは、午後4時までで、4月〜9月までは、午後 4時30分までなの!  ふつう、こういう施設って、午後5時まででしょう!  何てこったい!  中途半端に早いじゃないか!  どうにもならない。  もう1軒、「太平記館」というのが、近くにあったはずだ。  行ってみよう。  こっちは国宝じゃないから、午後5時まではやっているだろう。  む? む? むむむ?  今度は見当たらないぞ!  無いわけないだろう。  お土産屋はあったけど、現在改築中だ。  どこだよう…。  まさか、このお土産屋さんが…。  改築中の大工さんに聞いてみると、ここだというではないか!

 何でいまごろ?  あっ! ひょっとして!  来年の大河ドラマ『義経』を当て込んでの改築か?

 やられた。2打席連続三振…いや、わたらせ渓谷鉄道も入れたら、3打席連続三振 だ。  帰るしかない…。  このまま、無抵抗で帰るのも悔しい。  仮営業中のお土産屋さんで、タクシー会社の電話番号を聞いて、タクシーを呼ぶ。 「東武伊勢崎線の足利市駅まで行ってください!」  運転手さんに、足利学校が閉館で、太平記館が改築中だったことを話す。 「足利を嫌いにならないでくださいね! またふたりで足利に来てください!」  この運転手さん、いい人だ。  午後4時30分。足利市駅へ。

 たしか、ここから浅草行きのスペーシアみたいな特急が走っていたはずだ。  ががががび〜〜〜ん!  きょうはまったくバッド・タイミング!  たったいま、ジャスト・オン・タイムで、特急が発車したばかり。  どおりで、この駅に着いたとき、後ろから、猛ダッシュで走ってきた家族がいたわ けだ。  次は? 30分後? うん、もう驚かなくなった。    といっても、どこでヒマをつぶそうか。  おっ! 観光案内所がある。  あそこならパンフレットもあるし、もう一度足利に来るときの予習になる。  …と思ったのが、間違いだった。  閉まっていた。

 しかも営業時間は、午後3時30分までと書かれてあった!  なめとんかい!  観光してほしい気があるのか!  若い頃なら、大暴れするところだが、すでに歩き疲れている。  足利学校の営業時間で驚いたあとなので、「そうかも…」と思ってしまう自分がい た。  駅構内のコンビで、ヒマをつぶす。  午後5時5分。東武特急りょうもう34号に乗車。

 コンビニで買ったアーモンドラテアイスを食べたとたん、さっさと熟睡。  ああ、気持ちいい!

 午後6時23分。浅草駅に着く。  1号車だったので、櫛の先のように細くカーブしているホームを歩いて、改札口を 出る。

 午後6時45分。「浅草今半」オレンジ通り店で食事。  メニューに「百年牛丼、ステーキ丼の二重重ね」という魅力的な名前が飛び込んで きた。 「吉野家の牛丼は、明日で生産中止になっちゃうんだあ!」という会話をしていたば かりなので、「百年牛丼」というネーミングに魅かれる。

 しかし、牛丼のBSE騒ぎは、とうとう解決できなかったんだねえ!  イラクの復興支援もいいけど、牛丼の支援を優先してほしかった気もするなあ。  何だか今回のBSE騒ぎは、過剰に怯えすぎなだけのような気がする。 「びびってます」を理由に仕事をしないやつのようだ。    百年牛丼は、ステーキ丼よりもおいしかったよ。  でも、あくまでも「すき焼き丼」であって、吉野家の牛丼の代用品には、絶対なら ないよ。単品でも1500円だもん。  ただおいしいことは間違いない。  吉野家、松屋、なか卯の牛丼は、いつ復活するのかなあ。  マスコミって、消えてしまうものに対しては特集を組むけど、こういうものの復活 のときには、あっさり流して終わってしまうからなあ。  それと、人間の「牛丼を食べないことの慣れ」のほうが、経営者側から見ると、怖 いね。

 午後8時。帰宅。  今夜は、もちろん日記を書くので、精一杯でござる。 『桃太郎電鉄』の基本台帳に、桐生のことをあれこれメモしておかないと。  群馬県は、『桃太郎電鉄』シリーズで、一度も登場していない唯一の県として、有 名になってしまった。  じわじわ取材してまっせー!  とりあえず、桐生うどんは、おいしかった。

 
さくまNEWS


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