1月23日(金) 午前8時。身体が重い。 まだ伊香保温泉の帰りに、雪の新潟に行った疲れが残っている。 でも、うふふのふ…。 まんまと1日目の伊香保温泉の日記に対して、すぎやまこういち先生の奥様から 「残念でしたね」と、メールをいただき、2日目の雪の新潟に対して「悔しい!」 と、もう1通メールをいただいた。 2通に分かれてのメールは、私にとっては最上級の喜びなり。 でも、ちょっとへばり過ぎ。 2月の「札幌雪まつり」は、断念する公算が強くなってしまった。 午前11時30分。嫁と、新宿伊勢丹7Fの「Chaya」へ。 自然食で有名なお店。ランチプレートの「白いんげん豆とカリフラワー、五穀米のリゾット」を注文。 「五穀米」というだけで、健康な気分になってくる。 その昔、池田隼人首相だったっけ。 「貧乏人は麦を食え!」と発言したのは。 でもいま、麦飯を食べようとすると、ふつうの米の飯より、値段が高くなってしま ったりする。 江戸時代、農民がお米の代わりに、稗(ひえ)や粟(あわ)を食べていたけど、い まやそれが自然食と呼ばれ、高級食だ。
う〜ん。どうも私は、自然食が苦手だ。 リゾットは、米軍がイラクで食べていた簡易食料っぽく思えてしまう。 午後12時30分。NTTドコモで、携帯電話の機種変更。 今度は、SONYのSO505iSだ。 予測辞書機能があるかぎり、携帯電話では、SONYからほかのメーカーに浮気す る気がしない。 井沢どんすけが先日、この携帯に買い換えたばかりだ。 「夢のように便利!」と言っていた。 本当に、SONYの携帯電話は、メールが苦手なお父さん向けだ。 「携帯の色はどれにしますか?」 嫌がらせで、井沢どんすけとおなじ赤色にしてやろうと思ったのだが、赤のメタリ ックが派手すぎるので、ブラックにした。 だいたい、井沢どんすけにメタリック・レッド自体、似合わないと思うのだが。 井沢どんすけに会った人は、ぜひ「携帯見せて!」と誘っておきながら、爆笑してい ただきたい。 電話番号とメールアドレスの移行も、いまや10分間ですむようになったんだね。 長期低迷したり、沈滞する産業が多いなか、携帯電話の分野だけが、かつてのファミ コン・ブームのように、隆盛を誇り、日進月歩を続けている。 ああ! これが井沢どんすけがクルッ!と画面を回転させていた機能か。 あれ? 画面をこの回転させるときに「シャキーーーン!」という音が入っている ぞ。 これは恥ずかしい。 窓口の人に「この音を消えるようにしてください!」という。 買ってから、取り扱い説明書を読んでも、探せない危険性がある。 井沢どんすけのも、音がしていなかった気がする。 あいつは、無類の恥ずかしがりだからな。 さっさと外したのだろう。 午後1時。「ビック・カメラ」で、DVDレコーダー「DIGA」の入荷状況を聞 くも、あいかわらず、入荷未定。次第に本気で買いたいのか、入荷未定がいつまで続 くのか確かめたいだけなのか、自分でもわからなくなってきた。 あわわわのわ! 嫁が、私の新しい携帯電話用に、テスト・メールを送ったようだ。 え〜と、どうやればメールが読めるのか、わからんぞ。 何だ! このぐるぐる回るジョグ・ダイヤルは! ダイヤル電話への回帰か? 新しい携帯に慣れるまで、時間がかかりそうだ。 もちろん、説明書など読む気もない。 あれは日本語ではない。 午後1時30分。「カメラのさくらや」で、ICレコーダーを購入。 東芝の何という機種だか、忘れた。 先に嫁に覚えてもらって、あとでやり方を聞くにかぎる。 最近記憶力が落ちてきているので、いいアイデアが出ても、すぐメモらないと忘れ てしまう。でも頻繁な移動中にメモをすることが難儀なので、ICレコーダーにキー ワードを入れておけば便利だと思うのだ。 その前に、私がICレコーダーをつかいこなせるかのほうが、不安なのだが…。 嫁がレジで、支払いをしてくれている間に、私は携帯ストラップを見る。 「あれ? さくまサン!」 「えっ? あっ! 塚田くん!」
メディア・ワークスの塚田正晃くんだ。 ばったり病だ! 「何してるんですか?」 「携帯電話を買い換えて、ICレコーダーっていうのを買って、あと何だっけ?何か を買おうと思ってるんだけど、よくわからないんですよ!」 しばらく立ち話で、近況報告。 塚田正晃くんは『マルカツ・スーパーファミコン』の編集者だった頃によく会った 人だ。 その後も、『電撃スーパーファミコン』に移っても、交友は続いている。 この日記でも、何年かに一度は登場している。 でもずいぶん間が空いてしまったかな? お互いに「そのうち、ゆっくり会いましょう」といって、別れる。 午後2時30分。伊勢丹に戻って、今夜の買出し。 きょうは伊香保温泉の「まいたけセンター」で買った舞茸(まいたけ)が家に届く ので、舞茸(まいたけ)鍋をしようと思う。 舞茸だけでは淋しいし、日本一の黒豚男・柴尾英令くんが来る予定なので、鹿児島 産の黒豚も購入。ちんげん菜も買う。 午後3時。喫茶店「らぴす」サンに寄ってから、帰宅。 午後4時。土居ちゃん(土居孝幸)、柴尾英令くんが到着。 『桃太郎電鉄U(仮)』の打ち合わせ。 まずは、土居ちゃんのイラスト・チェックから! 「おお! 土居ちゃん! けっこうイラストのスピードが上がって来てるじゃないか!」 「だって、札幌の連中が、ドット絵に起こすスピードが早すぎるんだもん! もう描 くものがありません!って、メールがすぐ来る!」 「はっはっは! そりゃ、急ぐしかないなっ!」 午後5時。読売広告の岩崎誠が到着。 今年の『桃太郎電鉄U(仮)』の宣伝に関する会議。
この話題は、きょうのこの日記の最後に書く。 午後6時。岩崎誠が、舞茸鍋を前にして、泣く泣く次の仕事にでかける。 残った、私、嫁、土居ちゃん、柴尾英令くんの4人で、まいたけ鍋、開始!
柴尾英令くんが、ジャックと豆の木の大男が食事するかのように、鹿児島産の黒豚 をもしゃもしゃ、もぐもぐと、ほっぺたをいっぱいに膨らませて食べる。 「おいしいなあ! これなら、ボクはいくらでも食べられますよ!」 黒豚は、万が一のことを考えて、6人前買っておいた。 私、嫁、土居ちゃんが一人前見当食べて、柴尾英令くんが3人前ほど食べた。 万が一になった。 群馬産の舞茸(まいたけ)は、やっぱりおいしいねえ。 歯ごたえがいい。 水沢うどんの麺に似ているので、思い出した桑名の歌行燈の麺を伊勢丹で買ってき たので、入れて食べる。 この麺はやっぱり、おいしいや。 午後8時。食後も、『桃太郎電鉄U(仮)』で土居ちゃんが描く絵の打ち合わせ。 各キャラのイメージを、私と柴尾英令くんが伝える 午後9時。柴尾英令くんに成沢大輔くんから、お酒のお誘いが来たので、散会。 私は、昨日の新潟に行った日の日記の清書。 さて、きょうの会議のシリアスな話題をここに書き記しておく。 きょうだけの話ではない。 仕事に関する真面目な話なので、興味のない人は読まないほうがいいかもしれない。 そのへんは自由に。 『桃太郎電鉄』シリーズは、2001年の『桃太郎電鉄X(ばってん)〜九州編もあ るばい〜』の不本意なゲーム制作から、2002年に、私は「最後の聖戦!」と呼ん で、『桃太郎電鉄3カ年計画』を打ち出した。 1年目は、柴尾英令くんを加え、札幌開発チームとのやり取りに対して、掲示板を うまく活用することで、いまや業界他社がうらやむほどの早い作品の完成スピード。 と、納得の行くいい作品作りができるまでになった。 改革は、大成功である。 2年目は、岩崎誠を加え、「貧乏神が去る像」を作り、テレビCMにテツandトモを 起用し、毎日放送『桃の陣!西日本オニ退治道中記』を放送することが出来た。数多 くの芸能人にも、発売前の『桃太郎電鉄12』を楽しんでもらった。 外から見れば、じゅうぶんすぎるほどの、充実ぶりだ。 しかし、どうにもハドソン宣伝部が、私たちのこの流れに乗ってくれないのだ。 1年目は、瀬戸内海放送『桃いろ』、スカイ・パーフェクTV『桃太郎電鉄ジャパ ンカップテレビ』や、「ジャパンカップ2002」の運営自体も、さまざまな不祥事・ トラブル続きで、当初目指していた効果が得られなかった。 大量の予算を費やしての胡散霧消は、もったいない。 2年目は、せっかくテツandトモを起用したのに、みなさん見ての通りのCM出向 量の少なさだ。 これまた大量の予算を費やしているのに、もったいない。 実は、ほかにも日記にも書けないような不祥事の連続なのだ。 『桃太郎電鉄』にとって、毎年夏休みの時期というのは、テスト・プレイの追い込み 時期で、まさにゴール寸前の死闘! 1分1秒を争う大事な時期だ。 この時期に、ハドソンは夏休みに入る。 別にハドソンが夏休みが取るのはかまわない。 問題は、その夏休みを私たちに伝えないことだ。 夏休みの日程がわからないから、テスト・プレイの日程を決めることができない。 毎年「早く夏休みの日程を早く教えてくれ!」といっているのに、教えてくれないの だ。 どうも、ハドソン宣伝部には、テスト・プレイの重要性がわかってもらえない。 毎年、鎌倉の家でテスト・プレイの回数が増えているのは、実はこのせいだったり する。 築地のハドソンの会議室ですむものを、わざわざ鎌倉まで行っている。 昨年など、とうとう岩崎誠の読売広告の会議室まで借りた。 私は、テスト・プレイの重要性をずっと説いてきたつもりなのだが、どうにもハド ソン宣伝部というところは、言葉が通じないようなのだ。 毎回、札幌から開発チームが大挙、わざわざ来てくれている。 なのに開発会議の席に、ハドソン宣伝部の人間がいる。 ゲーム内容についての会議なのだから、別に宣伝部が、ずっといる必要はない。 宣伝部の立場から、ゲームに対する要望を言ってもらえるなら、それは貴重な意見と して拝聴する。 でも、ずっと無言で、会議室にいられて、アイドルの話題になると、えんえん独演 会を始められるのは、たまったものではない! 「好き」の嫌いは、「無関心」! 「無関心」は「嫌い」の意思表示。 ゲームの感想ひとつ言ってもらえないハドソン宣伝部と仕事するのは、正直しんどい。 この手の話を書き始めると、単行本4〜5冊ぐらいになりそうだ。 映画化すれば『ロード・オブ・ザ・リング』の3部作よりも長くなる。 私がいままで日記に、こういう不祥事の数々は武士の情けで、書かないようにして きた。 書くこと自体、自分の価値を下げるようで、イヤだったのだ。 でも、今年は、『桃太郎電鉄3カ年計画』の最終年である。 今年またハドソンの宣伝部がダメなら、過去の不祥事もすべて発表して、『桃太郎 電鉄』の製作を終了する決意なのである。 今年ダメなら、私の血圧のほうが持たないのだ。 阪神星野元監督よりも、高い血圧のまま「桃太郎丸」の船長を続けて行くのには、 もう限界が来ている。 私は毎月、渡辺内科クリニックに行ったときに、血圧を記録している。 あの数値の増減は、見事なまでにハドソン宣伝部との揉め事に一致している。 サラリーマンは、どんなに失敗しても、部署が変わるだけで、仕事を続けられる。 でも自由業の人間は、船が沈んで、荒海に放り出されるのだ。 寒い冬の海を、岸まで泳いで、助けを求めるか、船といっしょに沈むしかないのだ。 だからいま、ここにこの話題を書いた。 別に『桃太郎電鉄3カ年計画』の最終年がこのまま上手く行けばいいのだ。 でも、うまく行かなかったときに、この話題を書いておかないと、この日記を読ん でくれているみんなには、「何で突然、さくまサンは『桃鉄』を急にやめるなんて言 い出すんだろう?」としか思ってもらえないらだ。 実は、突然でもなく、ずっと3年前から、自爆装置の透明なカバーは開けて、なか のボタンの上に、私の指は乗ったまま来ている。 だから、みんなも今年、『桃太郎電鉄U(仮)』が最後まで上手く行ったら、いっ しょに「よかったね!」と思ってくれればいいし、ダメだったら、「ああ! あのと き、さくまサンが言っていたことは、こういうことだったのか!」と思ってくれれば いい。 結果は、ゲームの本数ではない。 ただ優勝(100万本)をめざせるチーム作りをしたいだけだ。 せっかく、ここまま札幌の開発チームと、さくまにあのみんなに「いままで気に なった部分がぜんぶ解消されて、すごい!」といってもらえるまでの作品を作れるよ うになったことは、ひとつの奇跡だと思う。 カズ坊(関口和之)、池毅さん、宮路一昭くん、辻邦博さんの音楽スタッフも最高 にいい関係で(私の片思いかもしれないが…)、仕事をしていただいている。 どっこいズ(井沢どんすけ、コイズミリュウジ、石川キンテツ)という不思議な一 団のおかげで、チューニングは格段によくなった。 そのほか、たくさんのみなさんのおかげで、『桃太郎電鉄』はじわじわと、理想系 に近づいている。 95%まで来ていると思う。 あと5%だ! こんな素晴らしいチームを消滅させてしまうのは、もったいない。 今後いっしょに仕事を続けて行くためにも、がんばりたい! 日記にこういう話題を書きたくないので、こういうまとまった話題は、きょうの1 回だけにしたいものだね。
●『桃太郎電鉄12〜西日本編もありまっせー!』は、絶賛発売中! ●井沢どんすけ渾身の一冊!公式ガイドブック『大金持ちになるための桃太郎電鉄12 西日本編もありまっせー!』(集英社)も、絶賛発売中! ●よゐこ有野晋哉くんとのCS対談番組が、来年1月24日(土)の深夜3時もしくは 4時から、フジテレビの地上波でダイジェストで放送されるそうです。 ●『桃太郎電鉄負けない戦術』(宝島社)、1月5日発売! ●テツandトモの『桃太郎電鉄12〜西日本編もありまっせー!』のテレビCM放映中 !のはず…。 ●都内JR駅に『桃太郎電鉄12〜西日本編もありまっせー!』の大きな駅貼りポスター 登場! 「見た!」の通報よろしく! ●〜桃鉄15周年記念特別番組〜 「桃の陣!」ー西日本オニ退治道中記ー GAORAでも見ることができるぞ! #9 ★1/23(金)14:45〜15:00 #10★1/24(土)9:30〜9:45 #11★1/30(金)14:45〜15:00 #12★1/31(土)9:15〜9:45 ●東京谷中・妙泉寺にて、「貧乏神が去る像」公開中! お寺だけでしか買えない「貧乏神が去る像」をぜひ! ●「貧乏が去る(猿)像・カラー版」はコナミスタイルでも購入できます! ●四国高松の鬼無駅ホームにて、土居孝幸オリジナル原画による『桃太郎電鉄』の宣伝 看板公開中! ●2月札幌雪まつりに、キングボンビー雪像登場決定! |
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