１月１４日（水）

　午前１０時。嫁と、「イノダコーヒ本店」へ。
　私は、ハムサンドにコーヒー。
　嫁は、イタリアンにコーヒー。

 



　明日私は東京に戻ってしまうので、きょう「イノダコーヒ」に行っておかないとい
けない。これはもう儀式だ。

　ボンネットや屋根に、雪を乗せた自動車を見かける。
　京都の宝ヶ池のあたりでは、雪が積もっているそうだ。





　午前１０時３０分。ヤサカタクシーの宮本さんが「イノダコーヒ本店」まで迎えに
来てくれて、出町柳の「柳月堂」へ。
　おお！　送り火の大文字山が、雪景色だ。
　きれいだなあ…。





　前に一度、この「柳月堂」のくるみパンを「お笑い芸人桃鉄テスト・プレイ大会」
のときに持って行ったら、バッファロー吾郎の木村明浩くんが、非常に気に入ってく
れた。
　その後、木村明浩くんは、京阪電車に乗って、わざわざ出町柳まで、ここのパンを
求めて買いに来たものの、お店を探せずに帰ってしまったそうだ。
　あれだけ駅のすぐ近くなのに、お店を探せないで帰るところが、木村明浩くんっぽ
くて笑えるんだけどね。

　きょうは、『桃の陣！西日本オニ退治道中記』の最終回の収録をするので、このお
店のくるみパンを差し入れすることにした。
　受けを狙って、くるみパンを５０個近く買う。
　５０個といっても、パンだから、安い。
　芸能人が、おはぎを２００個差し入れたとか、お寿司を３００人前差し入れしたと
いった豪快な話題に比べれば、かわいいものだ。

　木村明浩くんの奥さん！
　私は、「木村くんの奥さんに！」といって、別の袋にパンを入れて、木村明浩くん
に持たせたんですが、木村明浩くんはちゃんと家まで持って帰ったでしょうか？　
　ちょっと心配なので、ここに書いてみました。

　午後１２時３０分。大阪へ。
　毎日放送の向かい側の「玉姫殿」へ。
　きょうは、ここのひと部屋をつかって、収録する。





　ほどなく、東京から、土居ちゃん（土居孝幸）、柴尾英令くん、読売広告の岩崎誠、
小池玲子さんたちが到着。
　はっはっは！　夏のニュージーランド帰りの柴尾英令くんが、笑っちゃうくらい黒
い！　顔がズルむけで、気持ち悪いぞ！





　午後１時。近くの「すかいらーく」で、食事。
　私は、コーヒーにチョコレートケーキにしたのに、脇から土居ちゃんが「さくまサ
ン！　ボクがこの焼き大福春巻き風を注文するから、半分食べませんか？」と、悪魔
のささやき。
「土居ちゃん！　それカロリー高そうだから、私は我慢して、こっちのチョコレート
ケーキにしたんだから、誘わないでよ〜！」
「でも、おいしそうだよ！」
「そんなの見たら、わかるよ〜！」





　けっきょく、土居ちゃんの悪魔のささやきに引っかかる。
　うまい！　これは、うまい！
　オ〜、ウマイ、ゴッドだ！
　お好み焼きの「あんこ巻き」みたいなおいしさだ。

　午後２時。「玉姫殿」の５Ｆのエジンバラの間で、『桃の陣！西日本オニ退治道中
記』の最終回の収録。
　先週の『桃の陣！西日本オニ退治道中記』の視聴率が、驚異の４．５％を記録した
ことはすでに伝えたけど、今週もまた午前２時過ぎの放送開始という悪条件にもかか
わらず、３．５％を記録した。
　この喜びは、テレビの仕事をした人間にしかわかないと思うけど、ゴールデン・タ
イムに換算すると、２３％に相当する。
　すごいとしか言い様がない。

 



　さて、この番組は『桃太郎電鉄１２〜西日本編もありまっせー！』の『西日本編』
をベースに作られていて、陣内智則くん＋アイドル組の桃太郎チームと、お笑い芸人
たちの鬼チームが、西日本の２府１４県を奪い合う構成の国盗りゲームになっている。
　でも、最初から３ヶ月の放送予定だったので、この対決シリーズ、決着がついてい
ない県が、８県も残ってしまった。
　この８県対決を、なんと、この最終回３０分拡大版で、一挙に決着をつけてしまう
らしいのだ。
　こういう思い切りのよさは、関西の番組ならではだ！

　きょうのゲストは、若槻千夏ちゃん。
　年末・年始にテレビに出まくっていた、いま爆発的な人気のアイドルだ。
　この番組、東京でもなかなか出演してもらえないようなタレントさんを、何で毎回
ブッキングできるんだろう。
　これだけは、最後まで謎だ。

　若槻千夏ちゃんもまた、スーパー・ファミコン時代からの『桃太郎電鉄』ファンな
のだそうだ。へぇ〜〜〜と、驚いたんだけど、よく考えたら、若槻千夏ちゃんはいま、
１９歳。スーパー・ファミコンの作品というと、１０年前だから、子どもの頃からの
ファンということになる。
　う〜ん。もうすぐ生まれたときには、すでに『桃太郎電鉄』が発売されていたとい
う子に会いそうだ。
　
　さらに詳しく話を聞いたら、若槻千夏ちゃんのお父さんは、京王線の明大前の駅長
さんだったんだって。そうか。それなら、『桃太郎電鉄』をやりやすい環境だったん
だ。

　若槻千夏ちゃんに「富士山のあたりをクリックすると、ミニ・ゲームができるのあ
りましたよね！」といわれる。
「あれ？　そんなのあったけ？　ああ！　あった、あった！」
　私のほうが、ちゃんと覚えていない。
　１５年間で、１２作品も出ているゲームだ。
　移植作品まで含めたら…、はっはっは！　本数も覚えてない。
　若槻千夏ちゃんは、女風呂の場所まで、探し当てていた。
　それは間違いなく、やり込んでいる！
　う〜ん。こっちが、たじたじ。

　しかし、この番組に、できるだけ『桃太郎電鉄』を好きなタレントさんを呼んでほ
しいとお願いしていたんだけど、本当に最初から最後まで、『桃太郎電鉄』ファンの
タレントさんばかり集めてくれるとは思わなかった！
　私としては、ゲストの半分くらいが、『桃太郎電鉄』を１回か、２回はやったこと
あります程度でもじゅうぶんだったんだけどね。
　素晴らしい！

　きょうは、最終回なので、ハドソンの大里専務も東京から、到着。

 



　午後２時３０分。収録開始。
　きょうの桃太郎チームは、陣内智則くんと、若槻千夏ちゃん。
　対する鬼チームは、バッファロー吾郎のふたりに、ケンドーコバヤシくん、土肥ポ
ン太くん。
　鬼チームが４人。いつもの倍の人数だ。
　最終回なので、増やしたそうなんだけど、笑ったのは、バッファロー吾郎の木村明
浩くんの衣装！
　なんと、スーツ姿で来たのだ。
　ネクタイまでびっしり。





「どうしたの、木村明浩くん！」
「さくまサンが、この間、衣装に力を入れるといいとアドバイスしてくれたので、
きょうは、スーツを着てきました！」
「明るい洋服を着るといいよ！とは言ったけど、スーツとは…。はっはっは！」
　きょうは最終回、「残る８県対決！」を一挙に決着させるということで、毎日放送
の局アナウンサー大月さんまで動員。
　対決のスピードアップを図る。
　この大月アナウンサー、今年３０歳で、もろ『ジャンプ放送局』世代。
　私と土居ちゃんに会えて、感動なのだそうだ。
　聞けば、この番組の制作スタッフもみんな、３０歳前後なので、ほとんどの人が
『ジャンプ放送局』世代なのだそうだ。
『ジャンプ放送局』は、本当に私と土居ちゃんにとって財産だ。
　自己紹介抜きで、なかよくなれる。

　それにしても、「残る８県対決！」の勝負のおかしいこと、おかしいこと。
　大爆笑の連発だ！





　島根県といえば、出雲そば。
　出雲そばの麺を、桃太郎チーム、鬼チームが、箸で１本つまんで、長いほうが勝ち！
というばかばかしさ。
　これが、けっこうドキドキするから、おもしろい。

　和歌山県といえば、ミカン。
　ミカンの房にたまに、小さなのがついているときがあるでしょ？
　あれを、段ボール１箱から、探し出したほうが、先。
　選んだミカンは、ぜんぶ食べないと、次のミカンをむくことができない。
　なかなか無いもので、ものすごい量のミカンを食べていた。





　おもしろかったのは、広島県！
　広島県といえば、もみじ饅頭。
　相手チームの背中を平手打ちして、手の形（もみじ）が大きく残ったほうが、負け
という勝負。
　この勝負、若槻千夏ちゃんが裸になるわけがない。
　そう考えたバッファロー吾郎の木村明浩くんは、背中を叩かれる役を買って出る。
桃太郎チームは、陣内智則くんが裸になって、叩かれ役を演じるに違いない。
　ということは…、若槻千夏ちゃんが、木村明浩くんの背中を叩く（触る）。
　ケンドーコバヤシくんが、陣内智則くんの背中を叩く。
　こういう図式で、若槻千夏ちゃんが木村明浩くんの裸の背中を触ってくれる。「う
れしい！」という、さもしい野望を思いついたらしいのだ。

　ところが、若槻千夏ちゃんが、叩かれ役をやってもいいと言い出したから、木村明
浩くん、さあ大変！
「ええ〜〜〜！　昨日から風邪引いているのに、若槻千夏ちゃんに身体触ってもらえ
ると思って、立候補したのに〜！」と、うろたえる木村明浩くん。
　風邪を引いているのは、実話で、裸になった木村明浩くんの首には、熱冷まシート
が貼ってあった。
　そこまでして、叩かれ役を買って出なくてもよかったのに。

　えらいのは、若槻千夏ちゃん。
　背中を見せるなんてことは、売れっ子のアイドルなら絶対やらないのに、本当にＯ
Ｋしてしまった！
「こりゃあ、今週も視聴率ばっちりでっせー！」と、陣内智則くんが喜ぶ。





　こんな調子で、残り８県を対決していく。





　で、最終的に、国を多く盗ったほうが、勝ちではなく、２府１４件の西日本のう
ち、1ヶ所（県）に、福の神が潜んでいる県があるので、その県を当てろ！というの
が、最終ゴール。
　その福の神が潜んでいる県のヒントを出すのが、私の役目。

　たとえば、出雲そば対決に勝ったほうのチームに「その県は、海に面している」
「ひらがなで４文字」といったヒントのカードをあげる。

　鳥取県の対決では、土居ちゃんも登場。





　鳥取県といえば、鳥取砂丘のラクダ。
　ラクダの絵を描いて、上手いほうが勝ちという対決。
　絵のおもしろさといえば、またバッファロー吾郎の木村明浩くんが、爆笑イラスト
を描いたんだけど、若槻千夏ちゃんの絵も笑わせた。
　予想したより、みんな絵は上手かった。

　こんな調子で、いよいよ、最終対決。
　福の神が潜んでいる県は、どの県に！？

　結果は、思わぬ結末に。
　その意外な結末は、ぜひ１月２６日（月）の放送で！
　関西地区以外の人は、ぜひＧＡＯＲＡで！

　午後５時。収録、終了。
　きょうの出演者たちと、記念撮影。





　午後６時。天神橋６丁目の「とんかつの喜多呂（きたろ）」で、『桃の陣！西日本
オニ退治道中記』の打ち上げパーティ。
　ソースかつがむちゃくちゃおいしかったお店だ。
　とんかつ屋さんで打ち上げというのも、妙な話だと思ったら、このお店は、うどん
すきも名物で、わざわざ福井から、新鮮な魚を取り寄せるそうだ。
　というわけで、２階の宴会場で、うどんすき。
　ソースかつも食べたいので、おつまみ代わりにソースかつも作ってもらう。

　中井保さんが、できるだけたくさんの人を招待したかったというので、なんと４０
名以上の人が集まった。

　毎度おなじみ、野性爆弾の城野克弥（通称：ロッシー）くんも顔を出している。　
うちも、たまたまライターの友清哲くんが、きょう、明日、大阪で仕事で来ていたの
で、呼んでおいた。
　攻略本で、陣内智則くん、バッファロー吾郎、ケンドーコバヤシくんとは、面識が
あるからね。

 
 
 



　打ち上げパーティなので、私も乾杯の挨拶をさせられる。
「私は、３０年前、放送作家が最初の職業だったんですが、どの番組も視聴率が悪く
て、打ち上げパーティというものに出席するのは、生まれて初めてです！　ありがと
うございました！」と、挨拶する。

 
 
 



　本当に、こういう風に、打ち上げパーティができる番組なんて、少ないんだよ。　
でも、中井保さんのほうから「さくまサン！　きょうは、打ち上げパーティではなく
て、討ち入りパーティ！」と、訂正が入る。
　今年の秋に『桃陣（ももじん）２！』を、やるための討ち入りパーティだ！という
意味だ。
　もちろんだ！　ぜひこの制作スタッフ、出演者、作家さんたちで、また番組を作っ
てほしい。
　この制作スタッフって、本当に優秀なんだもん。
　わずか１５分間に、あの膨大な撮影時間を押し込める能力は、尋常ではない。
　それでいて、あのシーンも、カットされちゃったなあ！と思える部分が少ないのは、
感動的だよ。

　いやあ、番組のスタート時でも、高視聴率だったのに、最後に来て、さらに視聴率
が上がっての終了というのは、うれしいよ。
　柴尾英令くんが、小声で「ざまあみろ、って感じでしょ？」と私に話しかける。
「うん！」と、私はうなずく。

　私の場合、「うれしい」という言葉では語りつくせないものがある。
　一昨年のスカイ・パーフェクＴＶの、あれ？　何ていう番組名だったっけ？　はっ
はっは！　題名も忘れちゃったよ！
　私は、「罪を憎んで、人を憎まず」ではなくて、「罪を憎まず、人を憎む」ような
嫌な性格だからね。はっはっは！

　えっ？　『桃太郎電鉄ジャパンカップテレビ』？
　そんな題名だったっけ。
　浅草キッドのふたりがわざわざ司会をやってくれた『桃太郎電鉄』のフィーチュア
番組だ。

　あの番組は、ひどかった。
　製作スタッフが、本当に素人以下でね。
　人任せにした私もいけなかったんだけど、１回目の収録を見に行ったら、女の子た
ちが小さな台の上に乗って、お尻とお尻をぶつけ合う、ドン尻ゲームをやっていた。
　私が放送作家をめざしたとき、先輩方から「くれぐれも、アイデアに詰まっても台
本にドン尻ゲームを書いてしまうような安い作家になるなよ！」といわれたんだけど、
そのアイデアが、放送第１回目だったのだ。
　１回目から、煮詰まってる！

　先輩の放送作家がひとりでもこの番組を偶然にでも見てしまったら、どうしようと
思ったよ。
　幸いというか、本当は不幸にしてなんだけど、スカイ・パーフェクＴＶを見ている
人は、皆無に近くて、ホッとしたり、がっくりしたりしたものだ。

　とくに、もうしわけなかったのは、浅草キッドのふたりに対してだ。
「ああ！　こんな番組の司会を浅草キッドのにお願いするんじゃなかった！　これで
浅草キッドのふたりと二度と会えなくなっちゃう！」と、当時私は真剣に悩んだよ。
　去年、水道橋博士がうちに遊びに来てくれたときは、本当にうれしかったもん。
　そんな、どん底のような気持ちから、１年後。
　いまのこの光景は、想像すらしなかった。
　夢の世界にいるようだよ！

　この素晴らしい制作スタッフで、もう一度、仕事がしたいものだ。
　で、浅草キッドのふたりに、ゲストで出てもらいたい！
　それが、今年の目標かな？

　午後８時３０分。私と嫁は、京都に戻らないといけないので、ちょっと早めに帰し
てもらう。

　午後９時３０分。京都のマンションに気分よく戻る。
　別に私が『桃の陣！西日本オニ退治道中記』で何をしたってわけではないんだけど、
妙にうれしいんだよねえ。参加した感が非常に強いんだよねえ。
　またひとつ、いい仕事をした気分で、いっぱいなる。

　明日は、東京。
　その前に、ちょいと寄り道していく。
　いつものことか…。