１月６日（火）

　ＳＭＡＰの『世界に一つだけの花』が、オリコンの１位に返り咲き？
　やっぱり『紅白歌合戦』の威力はすごいんだなあ。
　そういえば、京都の家の近所の「ＪＵＪＩＹＡ」では、元旦から紅白歌合戦のコー
ナーが作ってあったもんなあ。
　すでに２００万枚売れている曲が、再び１位だからね。
　購買層というのは、開拓しようと思えば、いくらでも開拓できるということだ。
　午前８時。昨夜、ＤＶＤレコーダーで録画しておいた毎日放送『桃の陣！西日本オ
ニ退治道中記』を見る。
　午前２時０５分からの放送では、さすがにプチ老人の私は、京都にいても夜更かし
して見ることができない。

　昨夜の放送は、下関の回だ。
　オープニングで、私が陣内智則くん、こずえ鈴ちゃん、野性爆弾の後ろで、釣り糸
をたれているやつだ。
　放送で見たら、私は遠くに小さく映っていると思ったら、けっこう近くで映ってい
たので、びっくり。
　いつも遠いので、表情までは映らないだろうと、陣内智則くんのギャグに笑ってし
まったんだけど、一瞬笑っている顔が映っていた。
　ヒッチコック監督のような出演の仕方すら、ちゃんと出来ていないなあ！

　午前１０時。近所の「タリーズ」で、ラテ・コーヒーと、ピーナッツ・サンド半切
れだけ食べる。あとはロケ地でお昼御飯を食べる予定なので、空腹を満たす程度にと
どまる。
　せっかく大台を割った体重を、もったいないから維持したい。
　無理だとは思うけど…。

　午前１１時。京都駅新幹線中央口へ。
　東京から、土居ちゃん（土居孝幸）が到着。
「さくまサン！　あけましておめでとうございます！」
「あっ、そっか。おめでとうございますか！」
　
 　午前１１時１０分。東京から、読売広告の岩崎誠と、編集プロダクション・プロ
スペック社長の江口貴博くんが、到着。
「あけましておめでとうございます！」
「あけましておめでとうございます！」
「あけましておめでとうございます！」

　４人揃ったところで、駅構内の喫茶店で、コーヒー。

　午前１１時５０分。京都駅から、ＪＲ奈良線に乗車。
「さくまサンの日記が、ずっと更新されていないと、日常生活のテンポがくるっちゃ
うなあ！」と、土居ちゃん。
「真理子さん、ニュージーランドだから、日記更新できないんですよね！」
「そうなんだよ。自分自身では、いまも毎日書いてるから、変な感じだよ！　うちの
ホームページ見て、何で更新されてないんだって思ってる！」

　午前１１時３１分。ＪＲ奈良駅へ。
　駅の裏の三井ガーデンホテルへ。
　ここで『桃の陣！西日本オニ退治道中記』のロケ隊が、すでに到着して、昼食のバ
イキングを食べているはず。
　たしか、３Ｆとかいっていたような…、あっ、バッファロー吾郎のふたりに、陣内
智則くんがいた！





「あけましておめでとうございます！」
「あけましておめでとうございます！」
「あけましておめでとうございます！」
　いいねえ。みんなで「あけましておめでとうございます！」って言い合うのは。
　毎日放送の中井保さんや、制作会社ブリッジのみなさんにもご挨拶。
　きょうのゲスト・三田あいりチャンともご挨拶。





　あのプロミスのＣＭで「姫！」と呼ばれていた子だ。
　なんと！　三田あいりチャンも、大の『桃太郎電鉄』ファン。
　いきなり、『桃太郎電鉄１２〜西日本編もありまっせー！』を９９年クリアした！
と言われる。全国編も西日本編も９９年クリアしたそうだ。
　出身は東京？　地方出身の人は、郷土愛からマニアになってくれる場合が多いんだ
けど、東京出身の芸能人で桃鉄ファンは珍しいほうだ。

「この続きは、ロケバスのなかで…」と中井保さんにいわれて、私たちはバイキング
を食べる。
　ちょっと私たちは到着が遅れたので、みなさん、もうお昼ご飯を食べ終わっていた
のだ。午後１時に、出発なので、まだ時間はあるんだけど、たしかに三田あいりチャ
ンの「桃鉄話」を聞いていたら、ロケバスが出発してしまうかもしれない。

　土居ちゃんが、バイキングなので、あいかわらず、脂っこいものばかり、たくさん
お皿に乗せていた。





「さくまサン！　マンゴープリンがおいしいですよ！　いかがですか！」と、江口貴
博くん。
「やだ！　江口貴博くんがおいしいという食べ物、太るもん！」
　う〜ん。このメンバーに囲まれながら、ダイエットを続けるのは、ハリケーンボン
ビーを喰らうよりも、つらいかもしれない。

　岩崎誠が、紙を握りしめて、興奮した顔で、「すごいですよ！　すごいですよ！」
と叫びながら、寄ってきた。
　いったいどうしたんだ？
「昨日の『桃陣（ももじん）！』の視聴率、なんと過去最高の４．１％を記録したん
ですよ！」
「ええ〜〜〜ッ！」
「昨日は、午前２時過ぎからのスタートなんですよ〜！　なのに、４．１％ってすご
過ぎませんか！？」
「素晴らしい！」
　まだ『王様のレストラン』の口調が残っている。

　わずか１５分の番組で、しかも放送開始時間が、固定していない番組なのに、４．１
％というのは、驚異的だよ。
　おまけに、この番組は、予定通り、１月いっぱいで終了するんだけど、なんと！　
２月に、３０分の特番を組むことになったのだ！
　特番を組まれるというのは、番組にとって、最高の栄誉だよ。
　うれしいなあ！　すごいなあ！
　ああ！　昨年「この番組作ってほしい！」と力説した甲斐がある。

　午後１時。ホテル前から、ロケバスに乗車。





　さっそく後部座席で、三田あいりチャン、私、土居ちゃんと並んで、三田あいりチ
ャンと『桃太郎電鉄』の話。
「必勝法をぜひ教えてほしいんですけど！」
　初対面なので、どのくらいのレベルなのかわからないけど、相当やり込んでいるよ
うなので、中級レベル向けの必勝法を伝授する。

「まず相手が、どのカードを持っているか、暗記するといいですよ！」
「目的地に入ることより、貧乏神がつかな位置に、自分を持って行くことを心がけた
ほうが…」
　妙に、私たちの前の座席で、左耳が大きくなっている男がいる。
　バッファロー吾郎の木村明浩くんだ！

「木村明浩くん！　君は絶賛連敗中！なんだから、耳をそばだてて聞かないように！」
「さくまサン！　そんなこと言わずに、ボクにも教えてくださいよ〜！」
「木村明浩くんの負けっぷりは芸術的だから、上手くならないでほしいよ！」
「でもね、でもね、でもね！　いまうちの嫁と『桃太郎電鉄１２』やっていて、もう
３０年目くらいになるんすけど、嫁に総資産１０００億円くらい負けてるんですよ！」
「１０００億円〜〜〜！？」
「どうしても逆転したいんですよ〜！　教えてくださいよ〜！」
「いまから？」
「いまから！」
「３０年目から？」
「３０年目から！」
「３０年目で、１０００億円の差は、さすがになあ！」

　こんな調子で、ロケバスのなかは、『桃太郎電鉄』の話だらけ。
　バスの前のほうでは、案の定、岩崎誠が陣内智則くんと、『桃太郎電鉄１２』の話
をしている。陣内智則くんは、昨日も『桃太郎電鉄１２』やっていて、今夜もまたや
る予定らしい。

　三田あいりチャンは本当にくわしくて、『桃太郎電鉄１１』と、『桃太郎電鉄１２』
では、スリの銀次の当たり年の出現法則が違うことを、攻略本を読まずに、そのから
くりに気づいていた。
　ほんとに、やりこんでいる！

「ゲームやっていて、ああ、こんなカードほしいなあ！　こんなカードがあったらい
いなあ！と思っているんですよ。きょうは、『桃鉄』を作った人が来るというので、
言おうと思ったのに、あ〜、思い出せない！」
「また、『桃太郎電鉄Ｕ（仮）』でも、芸能人限定、先行ロードショーをやるので、
ぜひ遊びに来てください！」

　午後１時１５分。猿沢（さるさわの）池へ。
　一昨年の９月に来た場所だ。
　あのとき、無数の亀がいたのに、まったくいない。
　あっ。そっか。亀は冬眠中か。

　ここでオープニング・シーンの撮影。
　きょうは、陣内智則くん、三田あいりチャン、バッファロー吾郎のふたりの後ろで、
私は土居ちゃんとふたりで、池を眺めている設定。

 



　きょうはロケは、特番は決まったけど、一応、最終回。
　１回目の鬼役が、バッファロー吾郎のふたりで、最終回も、バッファロー吾郎のふ
たり。何だかあっというまの３ヶ月だ。

　このあと、恒例、町行く人をつかまえての、陣内智則くん＋三田あいりチャン組と、
バッファロー吾郎との対決の撮影。
　きょうは、お題を出して、町の人に、五七五の俳句を作ってもらう。
　ところが、たとえば「梅雨」というお題で、「五月雨を　あつめて早し　最上川」
というのを町の人が考えたら、バッファロー吾郎くんたちが、混乱させる句を付け足
す。

・五月雨を
・古池や
・あつめて早し
・蛙飛び込む
・最上川

　こんな風になって、陣内智則くん＋三田あいりチャン組は、バッファロー吾郎くん
たちの混乱させようとする句を当てた上で、お題は「梅雨」であることを当てないと
いけない。

 



　１回目、２回目で、両組が１勝ずつして、３回目で決勝となった。
　この調子だと、ロケはすぐ終わってしまいそうだ。
　バッファロー吾郎のふたりを、夕食に誘いたいので、「このあと、スケジュール
入っている？」というのを聞きに、ちょっとロケの撮影隊に近づいたのが、いけな
かった。
「あっ！　ここに人がいましたよ！」
「このおっさんにしましょう！」
「どこから来たんですか？」
「お年は？」

　やられた。
　はっはっは。私が３人目の町の人にされてしまった。
「さくまサン！　最終回だから、いいですよね！」
　そういわれると、断れない。
　真面目に演じたらいいのか、ボケたほうがいいのか、定まらないまま、中途半端な
３人目の町の人として、演じることになった。
　その困惑ぶりは、ぜひ最終回で見てください。
　私よりも、バッファロー吾郎の木村明浩くんが、私に対してどういう態度を取って
いいか、混乱していた。

 



　午後３時３０分。本当にあっというまに、ロケは終了。
　撮影隊は、このあと大阪に戻って、陣内智則くんの撮影。
　けっきょく、バッファロー吾郎のふたりは、竹若元博（たけわかもとひろ）くんが、
このあと予定が入っているので、木村明浩くんだけ誘うことに。

　午後４時８分。ＪＲ奈良駅から、みやこ路快速に乗車。





　車中、木村明浩くんと、私がゲーム作家になる以前の話をする。
　木村明浩くんが知っている私は、『ジャンプ放送局』と、『桃太郎電鉄』だ。
　どうも木村明浩くんが大好きだったものばかり、私は仕事していたようだ。　
　タレントさんの単行本のゴーストライターをやっていたことを公表するのはご法度
なので、ここに書くことはできないけど、いろんなタレントさんの本を書いていたこ
とをいうと、買ったものばかりだったそうだ。
　『Ｄｒ．スランプ』の単行本のおまけページは、私がアイデアを出して、文章を書
いていたことも教える。
「ひえ〜〜〜！　あれや！　あれや！」

　午後４時５３分。京都駅に着く。
　ＪＲ京都駅２階のオープン・カフェで、大阪から野性爆弾の城野克弥（しろのかつ
や）くんの到着を待つ。

　なかなか来ない。
　来ないわけだ。
　城野克弥（通称：ロッシー）くんは、岩崎誠に「京都やったら、２０分くらいで行
けると思いますよ！」と言っていたのだ。
　木村明浩くんが「２０分て！　ロッシーの家は難波のほうやから、京都までやった
ら、１時間半くらいかかりますよ！」と、あわてる。
「新大阪ー京都間を新幹線でも、１２分だぞ！」
　城野克弥くんの時間に対するアバウトさには、定評があるようだ。
　いわゆる１６：００、１８：００を、午後５時とか、午後７時とか間違えてしまう
タイプらしい。

　午後５時３０分。お店のほうに、午後６時に予約を入れてしまったので、岩崎誠に
この場に残ってもらって、私、土居ちゃん、江口貴博くん、木村明浩くんの４人は先
に行くことに。

　午後６時。仏光寺通り油小路の「藤むら」へ。
　前に来たのは、２００２年の１月か。
　あの日は、土居ちゃん、柴尾英令くん、ヤサカタクシーの宮本さんと狂乱の一夜だ
った。まさに肉に酔いしれた。
　その主役は、焼きしゃぶである。
「焼きしゃぶって、何ですか！　何ですか！」
　毎日放送の中井保さんによって、「但馬屋」のお肉のおいしさに目覚めてしまった
木村明浩くんは、すでに頭のなかで、焼きしゃぶが夢のようにおいしいお肉として、
想像が膨らんでいるようだ。

「そういえば、木村明浩くんは、奥さんをお肉の但馬屋に連れて行った？」
「うっ、うぐっ！」
「ダメじゃないか！　木村明浩くん！」
「いや、その、あの、ええ！」
「木村明浩くんが、たまに奥さんを連れて行ってくれないと、今後こっちが誘いづら
くなるんだから、ちゃんとしてよ！」
「は…、は…、はい！」
「家庭の平和は、地球の平和だからね。これは中井保さんの名言だけど！」
「は…、は…、はい！」
「木村明浩くんの奥さん！　但馬屋に連れて行ってもらってくださいねえ！」

　岩崎誠から「いまからそっちに向かいまーす！」の電話を合図に、注文開始！
「え〜！　焼きしゃぶを、まず６人前！」
「特選上ロースを３人前！」
「上タン塩焼きを３人前！」
「カルビも３人前！」





　岩崎誠と、城野克弥くんが到着して、いざ、スタート！
　それ行け！　やれ行け！
　ジュー！　ジュー！　ジュー！　ジュー！
　ジュー！　ジュー！　ジュー！　ジュー！
　ジュー！　ジュー！　ジュー！　ジュー！





　それ行け！　やれ行け！
　ジュー！　ジュー！　ジュー！　ジュー！
　ジュー！　ジュー！　ジュー！　ジュー！
　ジュー！　ジュー！　ジュー！　ジュー！
　酒池肉肉肉林だ！

「うめえええええっ！」





「木村明浩くん！　奥さんが見たら、怒りそうなくらい、うれしそうな顔してるよ！」
「いやあ、ほんまにおいしいから…」
「だったら、奥さん連れて行ってあげなきゃ！」
「うっ、うぐっ！」

「木村明浩くん！　まずそうな顔をしてみたら？」
「できないっすよ！　いやあ、ほんま、うまいっすよ！　焼きしゃぶ、焼きしゃぶ！」

 



　木村明浩くんとは、真面目にギャグについて話もする。
　いまどきの若者にしては、珍しくアドバイスを聞きたがってくれるので、ついつい
こっちもいままで培ってきた秘伝中の秘伝を、伝授してしまう。
　こっちが一方的にアドバイスでは、ただの説教にしかならない。
　私は教えてほしい人には、話をするが、そうでない人には、数年前から、何も言わ
ないようにしている。
「馬を湖まで連れて行くことはできても、水を飲むかどうかは馬次第だ」
　この言葉を深く受け止めている。

「木村明浩くんは、人に好かれる性格だから、絶対大物になるよ！」と、私。
　岩崎誠も「木村明浩くんは、ドラマに出たら、いい役者になると思うなあ！」
「うん！　似合うな！」と、土居ちゃんも。
「でも、ギャグセンスは、竹若元博くんのほうがあるから…」と、私。
「さくまサン！　また、うちの相方をホメる！　ボクをホメてくださいよ！　ボクを！」
　かわいいでしょ、この性格。
　木村明浩くんの「愛されるパワー」は、すさまじいものがある。
　彼は、もっと、もっと、大物になるよ！
　洋服のセンスさえ、変えれば。

　岩崎誠のお正月の『桃太郎電鉄１２』話には笑った。
　いつも岩崎誠は、中学生の息子と、親戚の高校生の男の子とやっている。
　この親戚の男の子が、まだ挽回の余地があるのに、試合を投げ始めたから、小言親
父の本領発揮！
　説教を始めたらしい。
　岩崎誠は、無気力人間をとことん嫌うから、さあ、大変！
　高校生相手に、こんこんと「勝負を最後まで捨てない」ことの大切さを説いたそう
だ。気分は、星野元阪神監督のつもりで。

　私から見れば、岩崎誠は、星野元阪神監督というより、頑固一徹！　『巨人の星』
の星一徹だ！
　いや、話題が『桃太郎電鉄』だけに、今後、岩崎誠が『桃鉄』について、説教を始
めたときは、「星桃鉄」と呼んであげよう！

　午後８時３０分。江口貴博くんが、東京に戻らないといけない。
　最近、京都、奈良、大阪って、日帰り出張圏内になってしまったんだねえ。
　うちのチームは、出入り自由。
　現地集合、現地解散。
　食事できる人だけ、残る。
　食事は、遠慮せずに食べる。
　これがルールだ。
　遠慮すると、お肉を食べる量が減る山賊システムなので、江口貴博くんくんが帰京
したあとも「焼きしゃぶを、３人前！」と、盛大に注文する。

　ちなみに、この「藤むら」は、大阪の「但馬屋」並みに、値段が安くておいしい。
ちなみに、おいしそうだからといって、気楽に行くと、自爆するお店は、以下の通り。

・京都「三嶋（みしま）亭」
・仙台「大胡椒」
・代々木「代々木今半」
・松阪「和田金」
・松阪「牛銀」
・銀座「岡半」

　でも、どのお店でもいいから、１年か、２年に一度くらい食べてみてほしいなあ。
人生観変わるよ！

「桃鉄好き」の城野克弥くんは、今回もまた、あれこれ、『桃太郎電鉄１２』につい
て聞きたがる。
　さすが「陣内智則組」の桃鉄三銃士だ。
　もう「農林物件再開発」の出現確率のからくりに気づいていた。
　うほほほっ。あのイベントには、特殊な確率をもうひとつ噛ましているのだ。
　ふつうの人なら、気づかないのになあ。
　桃鉄三銃士は、やってる量が違うなあ…。





　午後１０時。帰宅。
　やっぱり体重は、７０キロの大台を越えていた。
　きょうから３日間、土居ちゃんたちといっしょだ。
　♪ダイエットは、３日後から〜。