１０月２７日（月）

　午前８時。最近、毎日血圧を測るのが楽しくて仕方がない。
　今朝の血圧。１３１−９４。
　上が低いのに、下が高いのは、なぜだ。

「小池一夫塾」の講義のあと測ったら、１７１−９８だった。
　これが血圧計を買ってからの最高値。
　あんなに楽チンで、楽しく講義をやっているんだけど、やっぱり相当力が入っている
んだなあ！ということがわかる。

　私の弟子だった頃のエッセイストの永尾カルビに「さくまサンは、茶碗の茶渋を取る
のでも楽しそうですね！」といわれたことがあるけど、私はどんなときでも楽しく生き
ようと思っているのは、確か。
　どんなにつらいときでも、楽しいことをひとつでも探せば、楽しくなるものだ。
「楽しいことなんてないよ！」というのは、自分に対する格好付けなだけ。
　まあ、この特技も万年最下位の横浜ベイスターズを応援しているおかげだね。
　何か楽しさを見出せないとファンを続けられない。

　午前１１時。嫁の弟夫婦がやってくる。
　昨日の結婚式を終えて、ふたりとも晴れ晴れとしている。
　そりゃそうだよな。

　午後１２時。嫁と、東京駅へ。
　最近、新幹線が混んでおりますよ。
　のぞみが増発されたというのに。
　Ｄ席、Ｅ席というふたつ並んだ席が取りづらくなっている。

　午後１２時１３分。博多行きのぞみ１７号に乗車。
　車中、「江戸開府４００年記念弁当」を食べる。
　嫁は前回もこのお弁当を食べたことをコロッと忘れていたようだ。
　私は初めて。

 



　小さなおにぎりが、４個入っていて、何段階にもご飯の味を楽しめるのは、うれしい。
味噌風味のそばの実がおいしい。

　そういえば、さくまにあの馬場ダイくんから、メールが来ていた。


　さくまサン、こんにちは。
　馬場ダイです。

　今日から京都行かれてるんですよね。
　とすると、毎年恒例のマツタケですよね。
　私が慣れ親しんでいるシイタケではなくて”マツタケ”
　阪神の２軍守備走塁コーチは”ヨシタケ”

　今年はマツタケ様と、どのような会話をなさるんでしょう。
　日記を、日記を、日記を楽しみにしています。

　それでは、また。


　今回は、松茸ではない。
『桃の陣！西日本オニ退治道中記』のロケだ。
　ロケの前に、あるお店に行く。
　特に名を秘すお店だ。わっはっは。
　松茸は、来週！

　車中、もちろん移動オフィス。
　ＶＡＩＯを取り出して、お仕事。
　昨日、土居ちゃんがくれたベタなアメリカ土産がヒントで、「ショッカーＯ野ゲーム」
を思いついた。
　下書きを兼ねて、まずは執筆。
　あれよあれよというまに、ほぼ完成。
　あとはインターネットで資料を調べて、豆知識を加えれば出来上がりだ。

　車中、１００人中１５０人（数が合っていない）が「おまえ、沖縄生まれだろ！」と
断定するけど実は東京生まれの柿添尚弘（ソネット勤務）くんからメールが入る。
「今朝は、イノダコーヒに行きました！」
「お昼は、はふうでハンバーグです！」
　昨日から毛むくじゃら男・柿添尚弘くんは、京都に来ているのだ。
　本当は私もいっしょに、柿添尚弘くんとご飯を食べに行くはずだったんだけど、私が
昨日の結婚式のことを忘れていた。やっぱり結婚式が苦手のようだ。
　もちろん、柿添尚弘（本職はバレエダンサーですと、わかりづらいギャグを飛ばす男）
くんに「いいもんね。今夜は『特に名を秘すＭ』だもんね！」と、返信する。

　午後２時３４分。京都駅で下車。
　京都はまだ紅葉にはちょっと早いようだ。
　でもいい天気。

　午後３時。京都の隠れ家へ。

　午後３時３０分。ヤサカタクシーの宮本さんが「まだ柳月堂行ってまへんか？」と電
話をくれて、迎えに来てくれる。またしても本日お休みの日に、自家用車で来てくれた。

　柳月堂でくるみパンを買い、日曜大工のニックで、工具を買う。

　午後４時。嫁は、錦市場の近くに用事あり。
　宮本さんがわざわざ家まで来て、私のお膳を直してくれた。
　実は、テレビを見ながらＶＡＩＯをつかいたいので、最近ずっとベッドの上にお膳を
乗せて、その上にＶＡＩＯを乗せてキーボードを叩いているのだ。
　入院中の病人の食事みたいだけどね。
　その愛用のお膳の足の釘が抜けてしまったのだ。
　で、木ねじで固定しようということになって、工具を買ってきて直すのを、なんと宮
本さんがやってくれてしまったのだ。私はまだ左手が完全には治っていないので、日曜
大工がまったくダメなんでね。

　午後５時３０分。宮本さんと、京都グランヴィアホテルの喫茶店へ。

　午後６時。ホテルのロビーで、毎日放送編成局の中井保さん夫妻と、読売広告の岩崎
誠と待ち合わせ。

「岩崎誠！　『京都Ｍ』に行っている場合じゃないんじゃない？」
「いえ。日本シリーズ自体は、第３戦のさよなら勝ちを、甲子園で見て満足しているの
で、きょうは『Ｍ』のほうが…」
「中井保さんが、岩崎誠のために、わざわざテレビとラジオをかついで来てくれたんだ
ぞ！」
「ほんまよ〜！　ほら〜！」と中井保さん。
「いやあ！　すいませーん！　でも本当に満足なんで…」
「そんなつもりじゃ負けちゃうぞ！」
「でもムーアが先発で、勝ちますから！」

　午後６時３０分。ヤサカタクシーの宮本さんの車で、特に名を秘す割烹料理のお店
「Ｍ」へ。
　しばらくして、嫁が到着。
　そのあと、サザンオールスターズのベーシスト＆ウクレレ伝道師・カズ坊（関口和之）
が到着。

「カズ坊（関口和之）！　さっきメールで午後５時半頃に京都に着きます！と書いてい
たけど、もっと早く来て、京都観光してから、『Ｍ』に来るという気はないのか！？」
「ううっ！」
「まさか明日もさっさと東京に帰っちゃうんじゃないだろうなあ！」
「うう…。午後５時までに、東京に戻っていないと…」
「また『Ｍ』のためにだけに、来たんかいっ！」
「へへへっ…！」
　こんなやつばっかり！　私のまわりはっ！

 
 
 



　関西一食い道楽の呼び声が高い中井保さん夫妻も、「Ｍ」の暴力的な料理の連発には
相当、満足のようだ。
　何より、中井さんたちの好きな食材が次々に出てきたようなのだ。
　おいしい料理屋さんでも、微妙にこっちの好みと違う料理が出ることは多い。
　グルメ評論家でも、うちの好みとばっちり合う人と、微妙にズレる人がいる。
　そういう意味では、中井さん夫妻の好みが「Ｍ」とばっちり合っているというので、
ひと安心。

 
 
 



　おまけに、中井保さんの奥さん・葉子さんは、うちの日記を最初から昨日までぜんぶ
熟読してくれているそうなので、食べ物の話が合う合う。
　解説せずに、「プティ・ポワン」とか「はふう」とか、店名をそのまま言える。
　浅草キッドの水道橋博士の奥さんといい、うちの嫁といい、女性のほうが、お店の名
前を覚えるのが得意なようだ。





　みんなが「おいしい！」「おいしい！」「何だこれーー！」を連発するので、「Ｍ」
のお父さんも調子に乗って、いつもより何品も、何品も料理を作って、私たちをこまら
せる。
　おいしいけど、苦しいんだ。

　途中で、中井保さんが「阪神ＶＳダイエー」戦の途中経過を見ては、がっくり。
「何や〜、６回で、６−１。あかんなあ！」
　岩崎誠は「聞こえません！　聞こえません！　おいしいものを食べているので、聞こ
えません！」と強がりを言っている。
　阪神がリードしたら、テーブルの上に出すつもりであったであろう中井保さんのテレ
ビは出番なし。

 
 
 



　最後は、いつものシーフードカレーと思いきや、なんと！
　カニチャーハン！　オムライス！　シーフードカレーの３連発！
　これには、まいった！
「ひとくちずつでも食べたらどうです？」と、ご主人の悪魔のような言葉。
　カニーチャーハンをひとくち、オムライスをひとくち、でもシーフードカレーはお代
わりしちゃったよー！

　阪神タイガースが負けて、私たちの宴も終了。

　午後９時３０分。中井保さん＆葉子夫妻、岩崎誠は、大阪へ。
　私、嫁、カズ坊（関口和之）は、ヤサカタクシーの宮本さんの車で、ホテルへ、京都
の家へ。
　おっとっと。うっかりカズ坊（関口和之）が泊まっているホテルの名前を書いてしま
うところだった。今夜この日記を読んだ人は誰でも、カズ坊（関口和之）を待ち伏せで
きてしまう。

　ヤサカタクシーの宮本さんによると、さっきまで京都四条河原町の交差点は、機動隊
の車がずらりと並んでいたそうだ。
　阪神が優勝したときの暴動に備えてだったそうだ。
　負けてしまったので、いなくなったそうだけど、よかったのか、悪かったのか、見て
みたかったことは確か。

　いやあ！　食べた！　食べた！
　暴力的に食べた！
　苦しい〜！