10月18日(土)

 午前8時。『桃太郎電鉄14(仮)』の目的地を決める作業。
 目的地は、毎回新登場の駅が、登場することが多い。
『桃太郎電鉄』のゲーム作りの秘密は、この目的地の配置の仕方にあるので、きょうか
ら決め始めても、ゲーム製作中に10回くらい変えることがある。
 それほど、重要な仕事だ。
 MAP、物件、目的地。この3つが、『桃太郎電鉄』シリーズの肝だ。

 午後12時。京都に着いてから、うちの娘が「湯葉(ゆば)」を食べたいと言い続け
ているので、二条城の近くの創作ゆば料理の店「静家(せいけ)」へ。
 2階にも部屋があるようだけど、1階の9席のカウンター席が、メイン。

 創作ゆば料理というだけあって、ゆばずくし。  豆乳から始まって、ゆばのお刺身、汲み上げゆば、ゆばバターステーキ、ゆばの煮物 などが、次から次へと出てくる。

 最後は、鍋ににがりを入れて、レンゲで手早くかき回して、そのまま鍋にふたをして 待つ。お豆腐を作るのだ。  おぼろ豆腐のようになったものを、ご飯にかけて食べる。  これがおいしかった。  デザートは、豆腐プリン。  おいしいお店である。  でもおいしいんだけど、料理のひとつひとつ出てくるスピードが、あわただしい。カ ウンターに一列に並んで、どのお客さんもおなじスピードで、チャカチャカ料理を出さ れるので、チャップリンの『モダンタイムス』状態になってしまう。 お店の人たちは 料理を出すのに必死になっていて、緩急がない。  誰かひとりでも、どっしり構えていてくれるだけで、2倍おいしく感じたと思う。  せっかく料理はおいしいのに、お店の人全員にあっぷあっぷ状態が、感染してしまっ ている。  まだお店をオープンさせてから、間がないのだろうか。  料理っていうのは、不思議だねえ。  味がいいだけでも、ダメ。  このお店に、とくに名を秘す「京都M」のお父さんが、何もせずに笑顔で立っている だけでも、評価70点のお店が、90点になってしまうだろうなあ。  値段も、ゆばずくしだけで、ひとり3800円は高い。  しかし、あわただしさが、いちばんの難点というのが、もったいない。  味さえよければいいという人には、京都らしさが味わえていいお店だと思う。  私は、しばらくしたら、もう一度行って、お店の状態がどうなったか見てみたい。惜 しいお店だ。  午後1時。二条城まで歩いて行く。  たまには、ふつうの観光もしてみよう。

 二条城は、歴史の教科書でおなじみ、徳川15代将軍・徳川慶喜(とくがわよしのぶ) が「大政奉還」を発表した大広間があることで有名だ。 「大政奉還」というのは、江戸幕府が、政権を朝廷に返し、薩摩藩、長州藩とおなじ藩 の位置にまで落ちてもいいと宣言することだ。  明治維新の立役者のひとり・土佐藩の後藤象二郎が献策して、徳川慶喜が受け入れた ことになっているが、「大政奉還」を思いついたのは、あの坂本竜馬である。  京都の観光地は、歴史のお勉強をすればするほど、ああ! あの場面はここだったの かと思えるから、楽しい。  知識がないと、見学しても、解説は耳を通り越し、目は滑ってしまうものだ。  二条城へはもう何度も来ているけど、今回来て、初めて感動したのは、徳川家康が、 豊臣秀頼を謁見した広間だ。  豊臣秀吉死後、徳川家康は、秀吉の息子・秀頼がどのくらい成長しているかを知りた くて仕方ない。バカだったら、秀頼を無視して、江戸幕府を推進していけばいい。  で、20歳になった秀頼くんを無理やり呼んで、品定めをした。  このとき秀頼は、徳川家康の想像よりも、ずっと成長していて、これはこのままにし ておくと、徳川家に災いをもたらすと思った。  その結果が、大阪「夏の陣」、「冬の陣」だ。  家康が「こいつ、殺したほうがいいな!」と思った大広間だと思うと、何やら身震い する。

 それにしても、二条城は広い。  庭園のほうにも回って、歩いたけど、疲れる、疲れる。  このところ暴飲暴食したので、きょうは歩くぞ!と覚悟を決めて来たんだけど、この お城の広さは、恐ろしく体力を奪われる。  休憩所で休む。  娘は、休憩所でひっくり返ってしまったよ。

 雅楽を演奏してた。

 足がじんじんさいていて、笙(しょう)の音色を楽しむどころではない。  うちの娘は「足がつりそう!」とかいいながら、売店でお菓子を試食している。  午後2時。嫁と別行動で、私と娘は、京都駅前の「プラッツ近鉄」へ。 「アフタヌーンティー」で、コーヒー。 「新星堂」で、DVD購入。    午後3時。帰宅。  京都に来てから、西村京太郎さんの最新作『十津川警部「荒城の月」殺人事件』を読 んでいるんだけど、眠いときにかぎって読むものだから、なかなか読み進めない。おも しろいのに、眠いのは拷問だ。  午後4時30分。『桃太郎電鉄14(仮)』の目的地を決める作業の続き。  午後5時30分。ヤサカタクシーの宮本さんが迎えに来てくれる。  市内観光していた嫁と娘も帰ってきた。  きょうはこれから、おもしろいところに食べに行く。  場所は近い。  でも上賀茂神社を越えて、京都産業大学を越えて、上賀茂山中に入って行くと、とて も景色が、京都市内とは思えない。  雲が畑(くもがはた)というところだ。  元宮内省御用達の京都御猟場というだけで、なにやらすごいところだと思うでしょ?  しかも鴨川の源流のあたりと聞くと、ひと山、ふた山、越えたような気になる。

 山道を登っていくと、すっかり闇夜。  誰も歩いていない。  対向車も来ない。  中学校があるのが、不思議に思える。  午後6時。料理旅館「洛雲(らくうん)荘」に到着。  いやあ、この間の北海道取材旅行を続けているような場所だ。  京都市内から30分という時間以上に、時間を感じる。  第一、あまりはまっくらで、どんな場所かも伝えることすらできない。

 この「洛雲(らくうん)荘」は、いのしし鍋がおいしいと宮本さんに聞いたので、来 てみた。  実は、昨日も問い合わせてみたんだけど、昨日いのししが初めて入って、捌き始めた ところなので、きょうなら…といわれて来たのだ。  というわけで、この「洛雲(らくうん)荘」では、この秋、初めて出すいのしし鍋に なるそうだ。  広間に通される。  囲炉裏(いろり)だと思ったら、大きな火鉢。

 こんな大きな火鉢は、初めてみたよ。  炭火が、遠赤外線特有の吸い込まれるような赤い炎を発している。  ふつうなら、炭火の脇には、灰なのだが、ここのは藁(わら)だ。  焼いた藁(わら)が、無造作に敷かれている。  いいねえ。こういう雰囲気。  大きな土鍋を開けると、牛乳色した白味噌だ。  いのしし肉を、白味噌で食べるのかあ!  異口同音に「柴尾英令くんが、大好きそうだなあ!」

 こんな人里はなれた旅館にぴったりな雰囲気の仲居さんさんが、ドバドバッと土鍋 に、いのしし肉、ゴボウ、ネギなどを投げ入れていく。 「うめいっ!」  これは、たまらんですたい!  いのしし肉が、やわらかい。 「冬に近くなると、もっとお肉はやわらかくなりますよ!」 「きょうのでも、じゅうぶん過ぎるくらいやわらかいですよ!」 「ちっとも、臭くないね〜!」  いのしし肉は臭いという評価が定着しているけど、まったくその臭みがない。  しかし、白味噌といのしし肉の相性のよさをどう伝えたらいいのかわからないよ!  相性がいいのに、さらにもみじおろしのポン酢に浸して、食べる。  このたれがまた、お・い・し・い。

 思わず、「宮本さん! 何でこんなすごいお店を、もっと早く教えてくれなかった の〜〜〜!」と八つ当たり。  いやあ、まいった、まいった、ほんとに、まいった。  これは大事(おおごと)でえすよ!  とんでもなく、おいしいですよ!  言葉にできないくらい、おいしいですよ!  ぐつぐつ量が減ってきた白味噌を、白いご飯にかけるにいたっては、もうどうしてい いかわからないくらい、「うめ〜〜〜ッ!」だ。  きょうは、日中暖かかっただけに、もっと寒い季節に、ここでいのしし鍋を食べたら どうなってしまうんだろう。 「雪がしんしんと、降ってきて、そりゃあ、ええですよ!」 「それはいいなあ!」

「さくまサン! ベルトゆるめてるわよ!」 「きょうから減量しようと思ったけど、やめたっ!」  見れば、宮本さんが白味噌をご飯にかけるのを、お代わりしている。 「はっはっは! 宮本さんが、お代わりしてる〜!」 「ボクは、ぜんぶ食べ終わってから、ベルト緩めよう!」 「おいしいよー! しあわせー!」 「おいしいよー! しあわせー!」 「おいしいよー! しあわせー!」  うちの娘の最上級においしいお店に出会ったときの、読経が始まった。  これが始まると、長いぞ〜〜〜ッ!  今年の冬は、丹波篠山までいのしし鍋を食べに行くつもりだったけど、京都市内から わずか30分のここにもう一度来ることに決めた!  京都観光で来る人は、ここは料理旅館だから、泊まりがけで、ここにいのしし鍋を食 べに来るのがいいよ。  私たちも、食べたあと畳の上にゴロ寝したかったもん。  午後7時30分。再び、宮本さんの運転で、山を降りる。 「おいしいよー! しあわせー!」 「おいしいよー! しあわせー!」 「おいしいよー! しあわせー!」 「おいしいよー! しあわせー!」 「おいしいよー! しあわせー!」 「おいしいよー! しあわせー!」  ほら、うちの娘の念仏が、止まらないよ!  昨日、天下の「三嶋(みしま)亭」のたれに文句をいった口驕(くちおご)り娘が、 あの「京都M」の、鴨鍋とどっちがおいしい悩むということは、一大事である。 「おいしいよー! しあわせー!」 「おいしいよー! しあわせー!」 「おいしいよー! しあわせー!」 「おいしいよー! しあわせー!」 「おいしいよー! しあわせー!」 「おいしいよー! しあわせー!」  いいから、おとなしくなってほしい。  いきなり、娘が寝てしまった。  いいよなあ、おいしいものを食べて、さっさと寝てしまうんだから。  午後8時。帰宅。  きょうから始まる日本シリーズが、昼間の対決だと思って、いのしし鍋を食べに行っ たんだけど、試合前半を見られなかったのが、惜しくないほど、いのしし鍋はおいしか ったよ〜!  いのしし鍋というくらいだから、牛肉よりも安いわけだから、これは赤丸印でおすす めだなあ。 「ダイエーVS阪神」は、同点、逆転の繰り返しで、福岡ドームの岩崎誠ニコニコ家族 は一喜一憂で、大変だろうなあ…。  しかし、第3戦と第6戦のチケットしか手に入らなかったといっていたのに、何で開 幕戦にいるんだ?  岩崎誠ニコニコの阪神狂想曲は、再び始まった。  さて、続々、テツandトモ、毎日放送『桃の陣(もものじん)!』への反響メールが 届いているので、少しだけ紹介します。 加茂市・丸倉よしの こんばんは、さくまさん。 丸倉よしのです! すご〜〜〜〜〜〜〜い!!! ようやく謎がとけました! 毎日放送で、しかもテレビだなんて! そして「桃の陣」って! 陣内さんの名前が入ってる番組だなんて! しかもロッシーやバッファも出るなんて! ……いかん、錯乱してます。 なんで私は新潟に住んでいるんだあ!(涙) ものすごくいいメンバーですよ。いやホントに。 関西圏の方が羨ましい!!!! 何処まで行くんだ桃太郎電鉄!? 何もできませんが 新潟から、番組成功を祈願しております!!! 日立市・ベンジャミン  どうもこんばんわ、ベンジャミンです。  いやぁ〜、「桃太郎電鉄12」のCMタレントはテツandトモさんでしたか。これ でテストプレイをした芸能人の謎がすべて解けました。1人目のバッファロー吾郎さん はブーイングの声の役で、2人目のテツandトモさんはCMに出演、3人目の陣内智 則さんはTV番組の主役ということですね。 厚木市・沼田友 さくまさん、こんにちは。 沼田友(ゆうっす)です。 てっ、てっ、てっ、てっ、てっ、てっ、 テツandトモなんですか!? 桃鉄12のCMの若手芸人をひとり頭の中で妄想していたところでしたが、まさか! あまりにメジャーな方なので、びっくりしました! CM楽しみです。 東京都・ごはんの弟子 除幕式お疲れ様でした。 今年のCMはテツandトモなんですか。 例年にも増して賑やかなCMになりそうですね。 それにしてもあの貧乏神を目の前に笑わずシブく読経した(であろう)お坊さん達は エライと思いました。 プロですね。 ネットで拾った除幕式のニュースです↓。 http://www.watch.impress.co.jp/game/docs/20031014/momo.htm こことあとサンケイスポーツにもニュースが出てました。  今年ぐらい、いろんな情報を漏らしてはいけない年も珍しかったよ。  しかし、昨年の暮れに、バッファロー吾郎くんたちの「梅田コマ公演」を見に行った り、ラジオに出たりしているうちに、ここまですごい展開になるとは思ってもいなかっ た。  人との出会いは、最大のパワーだねえ。  しみじみどう思う、きょうこのごろ。  土居ちゃん(土居孝幸)、柴尾英令くんは、きょうはアメリカのどこまで行ったやら…。  あっ、いま、ダイエーがさよなら勝ちした!  はい。お約束のハゲのオーナー(岩崎誠ニコニコ)が観戦すると、阪神が負けるジン クスがスタートか…。

 
さくまNEWS

●テツandトモの『桃太郎電鉄12〜西日本編もありまっせー!』のテレビCMは、
11月から放映開始です!

●〜桃鉄15周年記念特別番組〜
「桃の陣!」ー西日本オニ退治道中記ー
 毎日放送・毎週月曜深夜午前1時35分〜50分。
 11月3日より放送スタート!
 主演:陣内智則 共演:バッファロー吾郎ほか毎週アイドル出演!

●バッファロー吾郎『スッごい!おとなの時間』の1コーナーで、
11月1日から『桃太郎電鉄お笑い対決』がスタート!
 毎日放送毎週土曜日午前0時〜午前1時。


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