9月30日(火) 函館湯の川プリンスホテル渚亭。![]()
やっぱり北海道は揺れてるよ。 昨夜も何度か揺れた。
部屋付きの露天風呂
午前4時30分。地震で目が覚めたのかもしれない。 テレビをつけると、何度も地震速報が流れる。 それでも、このところ昨日震度3だった十勝沖も、釧路沖も、次第に震度2、震度1 になってきた。 こっちのテレビは、苫小牧の出光興産の石油タンクの消火具合ばかり流している。よ うやく鎮火したようだ。 午前9時30分。嫁と、函館の朝市へ。 前回、6月16日に来たとき、食事をすませてから行ったので、露店でかに汁しか飲 めなかったお店へ。 函館らしい、きさくな接客で、「お腹いっぱいなんで、かに汁しか飲めない」という と、若いお兄ちゃんは、「じゃあ今度来るとき、また寄ってね!」と、誠実な応対だっ た。 そういうこといわれると、行きたくなる。 函館朝市通りの奥のほうのお店だ。 マルヤマ商店というのか。
![]()
![]()
土居ちゃん(土居孝幸)たちが来るのはお昼頃だから、いまのうちにちょっとイカの お刺身でもつまんでおいて、またお昼にいっしょに食べればいいや!と思った読みは甘 かった。 ふたりで、イカ刺し定食に、鮭はらす定食を注文して、松前漬けまで頼んでは、ふつ うの朝食ではないか。はっはっは。
![]()
![]()
しかも、ご飯がおいしくて、食が進みますの〜!になっていた。 鮭はらすは、猛毒だよ! 鮭を燻製にしたものを、焼くんだけど、脂がたっぷり、脂が落ちる、落ちる。もうギ トギトの、プリップリッで、何に近い味とたとえたらいいんだろう。 すき焼きについてくる脂身に近い。 これを食べると、ついついご飯をいっぱい食べてしまってね。 ええい、ままよ。たっぷり食べちゃおう!とぱくぱく、ばくばく。 イカ刺しも、硬い、硬い。 歯応え、じゅうぶんのおいしさだ。 松前漬けが、うまいっ! ひさびさに北海道で、甘い松前漬けに出会った。 ここ数年、松前漬けは買っても、ぜんぶおいしくなかったんだ。 このお店の自家製なんだろうなあ。 お土産にほしい。 いいお店だ。 今後、朝市ではマルヤマ商店をひいきすることに決定! 食後、朝市の裏通りを歩く。 以前は海だったところも埋め立てられて、朝市は広がっていた。 夕張メロンのカット・フルーツ200円を売っているので、もちろん買い食い。 ちょっと味は薄かったけど、じゅうぶんメロンを食べた満足感は得られた。 トウモロコシは、売ってるだけだなあ…と思ったら、ありました、ありました。 茹 でたやつが、1本100円。 安い! 食べる、食べる。 ピューッ!と、トウモロコシの果汁を飛ばして、食べる。 北海道が好きなのは、このトウモロコシのせいが大きい。
![]()
![]()
![]()
![]()
「函館朝市」に、「安全宣言」の垂れ幕が張ってあった。
![]()
はっはっは。ついにこんなもの作ったか! 「安全宣言」というからには、以前は安全ではなかったということだ。 私がずっと「朝市はいかん!」といい続けていたのは当たっていたのだ。 なにしろ、人造イクラを売りつける! スカスカの蟹を売る! 強引な客引きをする! とにかくひどかった。 でも前回も、今回も、あの因業ババアたちは影を潜めていた。 まだ時間があるので、函館駅で、帰りのキップを買う。
![]()
ええっ! またしても帰りの列車は、グリーン車から先に売り切れている。 ニッポンは不景気を脱出したのか。 とりあえず、D席、E席のふたり並びの席すら取れないまま、帰りの列車だけ確保。 函館駅の2階で、路面電車のパネル展をやっていた。 たしか函館で「第6回路面電車サミット」というのが開かれているはずなんだけど、 あまり盛り上がっていない。 今回の北海道取材旅行を、この時期に設定したのは、この「第6回路面電車サミット」 に合わせているのだ。 昨日、電車のなかで『路面電車ルネッサンス』(宇都宮浄人・新潮新書)という本を 読んでいたのは、このイベントのための予習だったんだけど、試験の山がハズれたよう で悔しい。
![]()
![]()
![]()
![]()
午後12時。函館駅前のハーバービューホテルで、土居ちゃん(土居孝幸)、柴尾英 令くん、ヤサカタクシーの宮本さんと待ち合わせ。 ヤサカタクシーの宮本さんと行く北海道取材旅行第2弾の始まり、始まり〜〜〜! でも、いきなりさっきの鮭はらすがおいしかったマルヤマ商店へ、3人を連れて行く。 お店のお兄ちゃんが「あれ? また来たの?」という顔をしているので、「お客さん を連れて来たよ〜!」といってあげる。 にっこり笑うお兄ちゃん。 気に入ったお店は、何度も行って、お店の人に顔を覚えてもらう。 これは基本だ。 宮本さんはイクラ丼、土居ちゃん、柴尾英令くんは、そろってウニイクラ丼を、注文 して、鮭はらす、イカ刺しを単品で注文。
![]()
![]()
![]()
![]()
「うわっ! 何これ! うま〜〜〜!」 やっぱり満腹大魔王の柴尾英令くんが鮭はらすに興奮している。 この鮭はらすなら、絶対柴尾英令くんは喜ぶだろうと思っていただけに、満足、満 足。本日、柴尾英令くんから、私はMAPソフト「プロアトラス」ならぬ、「プロフト ラス」というあだ名をちょうだいした。 「プロフトラス」。人を太らすプロ。 「プロフトラス」の名に恥じないよう、柴尾英令くんを心行くまで太らす所存でありま する。
![]()
![]()
食後、さっそく取材開始。 函館から70キロほど離れた江差(えさし)に向かう。 もちろん前回に引き続いて、ワンボックスカーをレンタカーで借りて、宮本さんに運 転してもらう。 まるで王侯貴族が、音楽家を雇って、お城で自分たちのためだけに演奏させるような 贅沢である。
![]()
国道227号線をひた走る。 函館の市街地こそ、少し混雑していたけど、20分も走れば、あっというまに、道は 1本道、民家もなくなれば、人といえば工事の人しか見なくなる。 「ああ、北海道らしい景色になってきたなあ!」 「おや? 土居ちゃんが、感慨深げにつぶやいてるなあ。どうしたんだ?」 「いやあ、この景色をドット絵で表現するのは難しそうだなあと思ったんで」 私が、土居ちゃんと行く旅は、実は土居ちゃんに『桃太郎電鉄』の目的地の絵を描い てもらうための場合が多い。 今回もいくつか目的地駅候補を巡る予定だ。 気温は、16.5度。 思ったよりは寒くない。 ときおり、雨が降る。 柴尾英令くんが「さくまサン、仕事の話しないと!」というので、仕事の話をする と、本当に晴れてくる。 きょうの函館の天気予報は、雨だったんだから、私の神通力が通じなくて当たり前の はずなのに、どういうわけ本当に晴れる。
![]()
今回の旅行では、紅葉も期待していたんだけど、たまにナナカマドが赤く染まってい る程度で、紅葉は1%程度。大雪山のように標高の高い所でないと、紅葉していないら しい。 午後2時。厚沢部(あっさぶ)という町に寄る。 ジャガイモのメークイーン発祥の地なのだそうだ。 鶉(うずら)ダムというのがあった。 あのうずら卵の鶉(うずら)だ。かわいい名前だ。
![]()
午後2時30分。道の駅「厚沢部(あっさぶ)」にも寄る。
![]()
![]()
珍しい食べ物、お土産品、見当たらず。 ひとつだけ栗の和菓子に狙いをつけて買って、ワンボックスカーのなかで食べるも、 誰も「おいしい!」といわないどころか、2個目を食べたのは、私だけ。 日本海に出た。 海が荒れている。 白い波がテトラポットを必死に越えようとしている。
![]()
午後3時。エビス浜の「開陽(かいよう)丸青少年センター」へ。 ここに明治維新の最後を飾った開陽(かいよう)丸が、復元、展示されている。 薩摩・長州の連合軍が江戸幕府を攻めたとき、幕府の軍艦奉行の榎本武揚(えのもと たけあき)は8艘の船を率いて、北海道に渡って、新政府を作ろうとした。 そのときの象徴だった船が、この開陽丸なのだ。 いわば第二次世界大戦の戦艦大和のようなものだ。 ところが大戦艦にありがちな末路が待っているもので、北海道江差沖で、この開陽丸 は嵐にあって、沈没してしまったのだ。 歴史の本を読むと、この開陽丸が沈没していなかったら、榎本武揚の新政府は樹立で きたかもしれないというのが、大方の見方だ。 ということは、いまごろ日本は、北日本、南日本のふたつに分かれていたままだった のかもしれない。 そういう運命を握っていた船なのである。 実はこの開陽丸を、私は10年ちょっと前にも見に来たことがある。 函館から、バスでやってきた。 ところが、江差(えさし)に着いたとたん、1メートル先も見ることができない吹雪! 江差のバスセンターから、動くことができなくなってしまった。 けっきょく、しばらく待っても、吹雪はまったく収まらない。 乗ってきたバスが折り返して、出て行ってしまいそうになったので、あわててバスに 乗って函館まで戻ったことがある。 北海道の気候は、極端だ。 最近こういうリベンジのための旅をすることが多い。 そういうわけで、念願の開陽丸である。 この船を海から引き上げたのは、昭和50年。 明治維新から100年後のことだ。 その後、平成2年、総工費13億5000万円かけて、ようやく復元が完成して、公 開されるようになった。
![]()
でかい! 想像していた船よりもでかい! 横須賀に展示されている日露戦争の旗艦となった戦艦三笠よりも大きい! この船は、オランダで建造され、5ヶ月かけて日本まで運んできたそうだ。
![]()
![]()
「大きい船だけど、こんな船で5ヶ月間も生活するのイヤだねえ!」 ハンモックが展示されて、マネキンの船員がハンモックで寝ている。 「寝ている人を起こさないでください」と書いてある。 その脇には、ハンモックだけが吊るされていて、お客さんがハンモック体験できるよ うになっている。 でも「体重70キロ以下とさせていただきす」の文字が。 「あっ。俺、ダメだ!」 「ボクも、無理だな!」 「今朝、70キロちょうどだったんだけど…」 けっきょく、宮本さんのみ該当者なので、宮本さんに乗ってもらう。
![]()
![]()
けっこうこの船の展示物は、こういうウィットに富んでいて、センスもいい 「思ったより、おもしろいね、この船!」 「ひとつひとつの展示物がていねいに作られているのがいいですね!」 「海から引き上げられた大砲の弾がたくさん置かれていて、この船が軍艦だったことが よくわかるね〜!」
![]()
![]()
![]()
![]()
ちょっと寒いけど、甲板にも上る。 この船が本当に大きいことがよくわかる。 端と端に人が立つと、遠くに見える。
![]()
一応、土居ちゃんと柴尾英令くんがタイタニック・ポーズを試みるが、甲板側からで は、位置的にあのポーズをデジカメにおさめることができない。 けっきょく、こっち向きで、タイタニック・ポーズ。 どう見ても落語家さんの二人羽織である。
![]()
![]()
「開陽丸青少年センター」で、五勝手屋羊羹(ごかってやようかん)を買って、みんな に配る。
![]()
五勝手屋羊羹(ごかってやようかん)は、江差町の名産品だ。 函館などでもよく売っている。 ほかの羊羹よりは、甘さ控えめで、おいしい。 丸筒に入ったようかんを、糸で切って食べる趣向になっているけど、これは現物を見 てもらわないと想像がつかないだろうなあ。 コンビーフを開ける原理に近い。 開陽丸は、間違いなくおもしろかった。 江差を訪れる人は、開陽丸に寄るのを忘れずに。 16分間のビデオは、非常に出来がいい。 大砲の発射体験や、砲弾を実際に持ち上げる体験など、じゅうぶん楽しめる。 午後4時。江差追分会館へ。 有名な「江差追分節」の資料館なので来てみたんだけど、私は「江差追分節」を間違 えて覚えていた! 名前だけ有名なので、知ったつもりになっていたけど、ここに来てみて聞いた民謡は まったく違っていた。 失意のうち、会館を去る。
![]()
![]()
一路、函館に向かって、来た道を引き返す。 出きれば、松前(まつまえ)も通って帰りたかったんだけど、遠い。 北海道は、ひとつひとつの町が遠すぎる。 午後5時30分。函館駅の近くの私に日記ではおなじみのお店「鮨金(すしきん)総 本店」へ。 私が15年間通い続けているお寿司屋さんだ。 東京でもないのに、15年通っているというのも、われながら恐ろしい。 ほかにも25年通っている博多の「河太郎」とか、10数年通っている仙台の「大胡 椒(だいこしょう)」など、意外と私は一度ひいきにすると、しつこく長い。京都の 「三嶋(みしま)亭」など、もう30年かかさず通っている。 「私の身体にはワインが流れている」といった女優がいるけど、「私の贅肉は近江牛で できている」だ。 「あれ〜、いつから来てるの?」と、15年来の福田さん。 「私と嫁は昨日から、こっちの人たちはきょう!」 「また汽車で先に来たんだ。ははは!」 「その通り!」 「きょうは江差に行ってきたんだ!」 「あれ〜、江差の南に、上ノ国(かみのくに)ってところがあるんだけど、オレはそこ で生まれたんだあ!」 「へ〜、そうだったんだ! 福田さんの家ってそこで何してたの?」 「漁師さあ! 漁師継ぐのイヤで、飛び出してきたんだあ!」 「でも、けっきょくお魚相手の職業になったわけだ!」 「あははは!」
![]()
![]()
![]()
![]()
「う〜〜〜、苦しい!」 柴尾英令くんが、もう満腹になっている。 「柴尾英令くん、ちょっと早すぎるよ!」 「だって、お寿司の出るスピード、異常なんですもん!」 「あっ。ごめん。福田さんはうちの食べるスピードを熟知しているから、どんどん握っ ちゃうんだ!」
![]()
![]()
![]()
![]()
![]()
![]()
「あ〜、もうこれ食べたら、帰ってもいい!」と宮本さん。 「宮本さん、旅は始まったばかり。早すぎますよ!」 イカげそのごろ焼き、サーモン握りなどが、好評。 サバ、はっかく、さんま握りも脂が乗っていて、おいしかったなあ。 午後7時。ワンボックスカーで、湯の川プリンスホテル渚亭まで送ってもらう。 1 Fのコーヒーラウンジで、コーヒー。 「うい〜〜〜、苦しいよ〜!」 「お腹がはちきれそうだよ〜!」 お寿司の食べすぎが、なかなか解消されない。 午後7時30分。土居ちゃん、柴尾英令くん、ヤサカタクシーの宮本さんは函館山に 夜景を見に行く。 私と嫁は、部屋に戻る。 ダイエーの優勝の瞬間を見ながら、日記の下書き。 今夜も、漁火が見える露天風呂に入るのが、楽しみ。
-(c)2003/SAKUMA-