さくまあきらホームページ:仕事人裏日記

９月５日（金） 　午前８時。『桃太郎電鉄Ｕ（仮）』の仕様書の手直し。『桃太郎電鉄Ｕ（仮）』のカード仕様書が最初に完成したのは、今年の３月の末。　その後、『桃太郎電鉄１２～西日本編もありまっせー！』をチューニングしているうちに、システムを変えたり、カードのメッセージを変更したものがたくさんある。　当然、その手直しを入れた部分を、次回作の『桃太郎電鉄Ｕ（仮）』に反映させないといけない。この作業が半端じゃない。　これが次回作の前に、次の作品を作ってしまう弊害だ。　やっぱり、１年に１本のほうがいいね。『桃太郎電鉄Ｕ（仮）』は野心作なので、来年の夏あたりに、発売しようと思った無理がたたっている。　笑っちゃうほど、しんどい。　午前１１時３０分。ようやく、すごしやすい気候になってきた。　きょうの東京くらいの暑さがちょうどいいね。　嫁と、渋谷道玄坂のカレー屋さん「パク森」へ。

　ＴＶや雑誌の人気投票ナンバーワンに選ばれることの多いお店だけに、一度来てみようと思った。以前、一度定休日に来てしまったことはある。　定番の「パク森カレー」８５０円に、とろとろ卵を、注文する。

　へ～、ご飯の上にドライカレーが乗っていて、さらにカレールーがあるのか。　いったい、どんな味だろう。　ん？　ん？　へ？　人気ナンバーワンというからには、どんな際物（きわもの）のカレーなのかと思ったら、びっくりするくらいストレートで、素直な味にびっくり。　そうか。万人受けするナンバーワンのおいしさだったのか！　たしかに、おいしい。　文句なしにおいしい。　好みとしては、四谷「オーベルジーヌ」のほうが上かもしれないけれど、間違いなく「パク森」のカレーは、おいしい。　神保町「ボンディ」は、ジャガイモにバターがついてきて、おいしいんだよとか、大阪「自由軒」のカレーは、真ん中に生卵が乗っかっていて、辛さをやわらげてくれるといいやすい、おいしさだと表現できる。　でも、「パク森」のカレーに、言葉はいらない。　ひとこと「おいしい！」ですむ。　標準の味が辛くないのもいい。　本格派カレーのお店は、「カレーは辛いのが当たり前なんだよ！」という態度が伝わってきて、あまり好きではない。　壁に「超極上」と、ラッシーについて書いてあったので、ひとつだけ注文。　甘くて、濃厚で、カルピスに牛乳を混ぜたときの味に似ていて、おいしい。　たしかに「超極上」だ。　今後のランチタイムに、ローテーション入りするかも。　午後１２時。渋谷なので、「ブックファースト」に寄る。　我が家にとって、ご飯を食べたあとに、本屋さんが近くにある料理店は、ポイントが高い。　本を買って、１Ｆの「マ・メゾン」で、コーヒー。　午後１時。帰宅。　そのまま私は、佐藤志靖さんの美容室『レ・ザンジュ』へ。「さくまサン！　陽に焼けましたね～～～！」「ええっ？　あっ？　ほんとだ！」　私はいつも嫁といっしょにいるので、色が黒いといわれたためしがない。　毎年、小麦色の嫁の黒さばかり際立っているからね。　先週１週間の鎌倉滞在で、どうやら私も陽に焼けたみたいだ。　そんなに外を出歩かなかった気がするんだけど、やっぱり焼けたのか。　美容室の子に、まんまと「大きな管が、自宅の中に入っていたんですけど、何かあったんですか？」と聞かれる。　最近は、会う人、みんなに自宅のお風呂工事の顛末を話すはめになる。　そういえば、来週に予定されていたお風呂工事は、再来週に延期されることになってしまった。　リフォーム業者の人は、本来先週で工事を終える予定だったから、次の仕事を入れてしまっていたのだ。そりゃそうでしょ。　そんなわけで、私は来週、流浪の旅はしなくてすんだものの、来週１週間、未完成のままの脱衣場から、即、お風呂という悲しい家屋ですごすことになった。　でも自宅にいられるだけでも、幸せ。　長期ロードは、疲れが溜まる。　午後５時。土居ちゃん（土居孝幸）が到着。　昨日見た『桃太郎電鉄１２～西日本編もありまっせー！』のパッケージ・デザインが気に入らなかったので、土居ちゃんに描き直しを勧告した。　土居ちゃんも気に入っていなかったようなので、ふたりで綿密に打ち合わせ。　しゃべっているうちに、お互いの意見が見事に一致する。　コンビが長い芸人…、いや仕事仲間ならではの呼吸である。　午後６時３０分。うちの家族３人と、土居ちゃんの４人で、広尾の「プティ・ポワン」へ。　きょうは、すぎやまこういち先生ご夫妻にお招きいただいた。　ほかにも、堀井雄二くん、眞島真太郎くん＆杉村幸子さん夫妻、柴尾英令くんもいっしょ。　来週に予定されている「すぎやまこういちを囲む会」の打ち合わせを兼ねた会食会なのだ。　しかも、ただの会食ではない。　私が今年、あまりにも「夢のようにおいしいハンバーグが食べたい！」と日記で何度もつぶやいていたので、すぎやまこういち先生が「プティ・ポワン」の北岡さんに「おいしいハンバーグを特別に作ってちょうだい！」と、またまた無理難題をふっかけたのだった。　いまのところ我が家のハンバーグ・ベスト３は、京都「はふう」、五反田「カサローエモ」、銀座「ケテル」なんだけど、じつは隠れ１位が存在していた。　その１位とは、この「プティ・ポワン」の北岡さんの熱海の別荘で食べさせていただいた仔羊のハンバーグだったのだ。　あのおいしさは、いまだに忘れることができない。「えっ？　すぎやま先生！　またあのハンバーグが食べられるんですか？」「いや。さくまクン、きょうは３種類のハンバーグなんだよ！」「ええっ？　３種類？」　メニューを渡される。「ＳＵＧＩＳＡＮ　はんばーがー・ないと」と書かれている。「ＳＵＧＩＳＡＮ（すぎさん）」とは、すぎやまこういち先生の「ＳＵＧＩＳＡＮ」だ。・甘海老の生ハンバーグ。・秋刀魚のハンバーグスープ。・帆立貝のハンバーグステーキ。・上旭牛のスタンダードハンバーグ。・デザート、コーヒー。

「生海老のハンバーグ？」「ええ？　さんまがハンバーグになっちゃうの？」「３種類じゃなくて、４種類なんじゃないの？」と、大騒ぎ。　堀井雄二くんなんか「えっ？　この３種類のなかからひとつ選ぶんじゃないんだ。あっはっは！」と、勘違いしていた。　いやはや、驚きましたよ。　甘海老の生ハンバーグは、まるでユッケ。　このシャキシャッとした甘いものは？　えっ？　リンゴが入っているの？　これでもハンバーグって、呼ぶの？　一度も、この料理に近いハンバーグというものにお会いしたことなんてないよ！

　さらに驚かされる。　秋刀魚のハンバーグスープ。　スープというけど、本当に秋刀魚（サンマ）のハンバーグが入っている。つみれっぽいけど、こんなに大きなつみれはない。　しかもスープの上品なこと、上品なこと。　ゴボウの味が、もう食べた人以外に、伝えるの無理ってぐらいおいしい。「桁外れにおいしいゴボウ」っていわれても、想像つかないよね。　ちなみに、秋刀魚は北海道厚岸（あっけし）で今朝採れたものだそうだ。　なんて、贅沢～～～ッ！　帆立貝のハンバーグステーキも驚いたけど、賽の目状の不思議なものがたくさん乗っている。何だと思ったら、これがジャガイモだそうだ。しかもこのジャガイモが焦げた香ばしい匂いを発している。

　そして、満を持して、スタンダードハンバーグの登場だ！　もうダメ！　まさに３球三振！　その３球三振も、１球目が、松坂大輔のスライダー。　２球目が、野茂のフォーク。　３球目が、ヤクルト五十嵐亮太の１５５キロのストレート！　そんな感じの完敗だ。　野球のことがわからない人には、まったくわからないたとえだ。　だって、このスタンダード・ハンバーグこそが、私が言い続けてきた、外側がカリカリで、お肉のなかがやわらかいハンバーグなんだよ。　これが「夢のようにおいしいハンバーグ」だよ～～～！　ドリーム・オブ・ドリーム。フィールド・オブ・ドリームス。アイム・ア・ビリーバー！　ドリームス・カム・トゥルー。デイ・ドリーム…。　いちばんオーソドックスなスタンダード・ハンバーグで、このおいしさは本当に罪作りだよ。　まいりました！　何もいえません。　脱帽です。　ひたすら、おいしいです。　食べ終えちゃうのが、本当にもったいないです。　今度また食べたくなったら、どうしたらいいのでしょう？

　午後１０時。誰かが帰るといわないと、このままずっと朝までしゃべり続けてしまいそうなので、お開きに。

　今年の阪神優勝に大いに貢献した横浜ベイスターズは、きょうも９回裏、さよなら２ラン・ホームランを浴びて、神宮球場での胴上げに一役買う。　何もそんなに劇的に負けなくてもいいのに。　おかげで、神宮球場の年間シートが生きてきたよ。とほほ…。　午後１０時３０分。札幌開発チームの川田忠之くんから緊急電話がかかってきて、一瞬やばいことが発生か？と思ったのだが、たいしたことではなくて、ひと安心。　この時期の緊急電話は、ゲーム発売延期にかかわることだけに、今後１ヶ月間、川田忠之くんの胃がきりきりと痛む毎日が続く。『桃太郎電鉄１２～西日本編もありまっせー！』は、私たちの手を離れてしまったので、リリーフエースの川田忠之くんにすべてをお任せの時期だ。　札幌開発スタッフが、一喜一憂しているというのに、柴尾英令くんのきょうのうれしそうな顔（もう一度写真をご鑑賞ください）！　困ったもんだよ、ほいっ。　いやあ、きょうは相当体重が増加してしまったと思うけど、夢のようにおいしいハンバーグのせいだから、悔いなし！