8月23日(土)

 昨夜、ひさびSに快勝の余韻に酔いしれたものの、あいかわらず頭のなかは『桃太郎
電鉄U(仮)』でいっぱいだ。

 午前8時。ただひたすら、黙々とキーボードを走らせて、『桃太郎電鉄U(仮)』の
仕様書作り。

 きょうも鎌倉の海は、暑そうだ。
 日光浴に行こうという気すら起きない。
 本当に今年は、海で人を見なかった。

 午前11時30分。長谷駅北口の「かいどう」へ。
 老夫婦がお店をやっている定食屋さんといった感じ。

「生いわし御膳」1000円。
 いわしのお刺身と、いわしの酢味噌和えに、ご飯、味噌汁、お新香のセット。 
あっ。デジカメを持ってくるのを忘れた。
『桃太郎電鉄U(仮)』に没頭しているせいか、忘れ物が増えている。
「生いわし御膳」は、まあまあの味。
 家から近いという点では、つかえるかも。

 それにしても暑い。
 どこかのデパートまで行って、散歩しようと思ったけど、そのデパートまで行く気力
すら浮かばない。

 午後12時。長谷の家に戻って、さっさと『桃太郎電鉄U(仮)』の仕様書作りを再
開。

 ぶっ通しで、仕様書作りを続けているために、ちょっと酸欠状態になってきた。
 というより、暑さに身体が負け始めている。
 暑いよね。ほんとに。
 高校野球の決勝戦を眺めて、小休止。

 休んでは、また『桃太郎電鉄U(仮)』の仕様書作り。

 久米宏さんが、近いうちに『ニュースステーション』を降板するんだって? 
 その理由が、60歳だから?
 他人事とは思えないなあ…。

 午後2時53分。江ノ電長谷駅。
 暑いよ。暑い。
 暑い以外の言葉が浮かばない。
 少し風が吹いているのに、おかまいなしに汗が吹き出る。
 まいったなあ…。

 午後3時。鎌倉駅。
 すぐ乗れる横須賀線の行き先が、なんと! 黒磯(くろいそ)行き!
 大磯(おおいそ)ではない。黒磯(くろいそ)。
 黒磯(くろいそ)と言われても、鉄道ファン以外、知らないでしょう。
 ざっくりいうと、宇都宮の先。かぎりなく福島県に近い。
 神奈川県、東京都、埼玉県を通って、栃木県だ。
 天皇家の御用邸がある那須である。
 そんな遠くまで、横須賀線は行くのかあ!
 
 ちょっとこの電車に乗って、黒磯まで行ってみたい気分になってしまったが、グリー
ン車がないというので、断念する。
 グリーン車で、仕事をしたいのだ。

 鎌倉駅江ノ電側近くの喫茶店「カフェ・ロンディーノ」で、ホット・コーヒー。
 立地条件がいいのに、コーヒー330円は、良心的だ。

 午後3時24分。鎌倉駅から、千葉行きに乗車。
 車中、VAIOを広げて、『桃太郎電鉄U(仮)』の仕様書作り。
 横須賀線は揺れるので、キーボードが打ちづらい。

 午後4時30分。品川駅で、下車。
 鎌倉長谷の家が、海に近いから暑いんだと思っていたけど、東京もしっかり暑いね。
あぢぢ…。

 午後5時。ひさびさに、原宿の家に立ち寄る。
 本当に大工事になっている。
 道路工事用の削岩機が導入されていた。
 この暑いのにエアコンなしで、工事をする人は大変だなあ。
 でも嫁は、工事の人がまったく休まず仕事をするので、ここ数日間、篭城状態だそう
だ。家のなかの工事だから、留守にするわけにいかないからだ。娘は学校の一泊旅行に
行っている。

 私の部屋も閉鎖されたままで、入ることもできない。

 きょうの工事は、午後7時までかかるというので、嫁と雑談して、そのまま私だけ仕
事に向かう。
 ほんとに立ち寄っただけだ。

 午後6時。新宿2丁目のラーメン屋さん「青葉(あおば)」へ。
 特製中華そばが、きょうはあった。

 なるほど、おいしいチャーシューだ。  ちょっと焦げた匂いのスープは、好きだなあ!  午後6時15分。東北新社の「映像テクノアカデミア」へ。 「小池一夫塾」である。  小池一夫師匠のマネージャーの天野顕仁くんは、横浜ベイスターズ・ファンだから、 昨日の快勝を自慢することは忘れない。  午後6時30分。講義開始。  きょうのテーマは「反省」。  仕事でも何でも「反省」が大切という話。  自分で「赤」と判断したことを、途中で、本当に「赤」と思えるかどうか、何度も何 度も反省をくりかえしたほうがいいという話。  現在私の頭のなかの95%を占めている『桃太郎電鉄U(仮)』も、実は発売前から 「反省」の連続なのである。  この『桃太郎電鉄U(仮)』は、3年前に着手して、何度も、何度も、反省を繰り返 している。  この春には、一度第1稿も完成した。  ここで、ふつうのゲーム作家なら、この第1稿を最後まで守り通して、ゲームを完成 させようとする。  でも、この第1稿を、札幌の開発スタッフが、PS2のMAP上に、簡易で落とし込 んで、そこそこ遊べるように作ってくれた。  それを見た私の考え方が、コロッと変わった。  もともと私は考えがコロッと変わるほうだ。 「言っていることが、コロコロ変わる」と、文句を言われることも多い。  でも、ダメと気づいたものを押し通して、悪評を受けるより、ダメなものは直すべき なのではないだろうか?  プロ野球の首位打者は、だいたい毎年3割3分3厘くらいだ。  すごい、すごいと言われる人が、3打席に1回しかヒットを打たないのである。  そんなのに比べたら、自分を甘く採点して、3割打者と見ても、10決めたうちの、 7はダメなわけだから、コロコロ直すべきなのだ。  どうも、世の中には「せっかくここまで作ったんだから、もったいない。このまま行 きましょうよ!」という人のほうが、圧倒的に多いらしい。  私には、こっちの論理のほうがわからない。  プロは、結果がすべてだと思っている。  どんなに芸術性が高かろうが、専門家筋を唸らせようが、売れなければ、次回作はな くなってしまうのだ。  そんなわけで、現在頭のなかが、『桃太郎電鉄U(仮)』で満ち溢れている私は、 あっさり、まだ開発中の『桃太郎電鉄U(仮)』のテスト・ロムを塾生たちに見せてし まうのであった。

 そこで「ああ! 『小池一夫塾』に入っておけばよかったあ!」と悔やんでいるあな た! 私は悔しがらせるのが、大好きだ。にょほほほ。悔しがってくれて、ありがとね!  アシスタント役で参加しているコイズミリュウジが「げっ! もう『桃太郎電鉄U (仮)』を見れちゃうんですか!」と驚いていた。  見せちゃうよ〜!  ほかにも、「反省」の大切さを教えるために、今年発売予定の『桃太郎電鉄12〜西 日本編もありまっせー!』の最新ロムも見せてしまう。  塾生のなかにひとりだけ、まだ一度も『桃鉄』をやったことがないという子がいたの で、貴重な研究材料。みんなで勉強することにした。 「へ〜! そうか。初めてだと、何で目的地をめざすかわからないですよね!」 「目的地をめざすのなんて、当たり前になっていたもんなあ!」 「うーーーん。ボクは『桃鉄』に慣れすぎちゃってるなあ…!」  きょうのテーマどおり、みんな反省しきり。  ついでに、私まで反省。  こういう実践で、ゲーム作りを教えられるのっていいねえ。  次回から、『桃太郎電鉄U(仮)』を教材につかって、塾生はスタッフの一員として、 参加することにした。  ちょっとうらやましいでしょ?  午後8時30分。講義終了。  午後9時31分。品川駅から、久里浜行き横須賀線に乗車。  昨日は、横浜から鎌倉の家へ。  まるで鎌倉の住人になったみたいな気分。  実際にいまは住んでいるんだけどね。  車中、『桃太郎電鉄U(仮)』の仕様書作り。  さっそく、「小池一夫塾」で出たアイデアを検討してみる。  午後10時30分。鎌倉長谷に家に戻る。  さすがに疲れてきている。  長距離移動に疲れたというより、暑さにへばっているような気がする。  自宅のお風呂工事が長引きそうなので、私の鎌倉生活は、さらに長引きそうだ。

 

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