8月18日(月)

 ううっ。だるい…。
 足首が痛い…。
「ポートメッセなごや」での歩きすぎがこたえた。

 午前11時。ヤサカタクシーの宮本さんに来てもらうが、きょう予定していたお店が
ことごとく定休日。
 予備でキープしていたお店も、定休日。
 その次のお店も、電話を入れたら、支店は営業中だけど、本店は定休日の答え。
 見事だね、ここまで打撃不振だと。
 こういう空振りばかりの日は、選ぶお店、選ぶお店がみんな定休日だったりするから
不思議だ。

 午後12時。京阪三条駅に、「KYOUEN」という複合商業施設が最近完成したと
いうので、行ってみる。

 回廊状になったスペースの真ん中は、「禅」と呼ばれる庭園になっている。  こんな繁華街の場所に、ゆったり空間で、なんという贅沢なんだろう。 「地下鉄駅の上なんだから、もっと何階建てものビルにすればよかったのに!」という と、宮本さんが「高くすると、送り火が見えなくなるから、やらんのですよ!」。  京都の観光第一主義は、見事だ。  昨日の疲労がまだ取れないので、お粥家「周荘(しゅうしょう)」へ。  みんなでお粥セット。900円。

 お粥というのは、どのお店でもそこそこおいしいものだけれど、ここのお粥は「おい しい!」といえる味だ。  お漬物や、お豆腐の出汁などが、くっきりとした味で、実においしい。  お粥にも野菜が入っていて、飽きのこない工夫がしてあった。  もちろん胃にやさしい。  デザートの杏仁豆腐も、杏仁豆腐ランキングの上位に登場できるレベル。  これはいいお店を見つけたものだ。 「KYOUEN」にはほかにも「らーめん山頭火」とか、代官山で予約することができ ないほど混んでいるイタリアンのお店など出店しているそうだ。  今後、この場所は家からも近いので、利用する回数が増えるような気がする。  食後、円町の電気屋さん「ニノミヤ」へ。  DVDプレイヤーって、もう2万円台の安さになっているんだねえ。  知らなかったよ。  DVDレコーダーはすでに、すっかり普及している。  どうせなら、今年の12月以降の地上波デジタルに変更のときに、買おうと思ってい る。最近ようやくビデオ録画を間違えなくなったと思ったら、世間はもうDVDレコー ダーに移行している。  面倒だねえ。  どうにも足のだるさが取れないので、マッサージ機の売り場に寄って行く。  昔、大きなマッサージ機を買って、全然効かなかったことがある。 「最近のは、すごい進歩していますよ! CDの曲に合わせて、マッサージ機が動くん ですよ!」と、売り場の人。  何じゃいそれは? へ? マッサージ機のぐりんぐりんが、CDとおなじリズムを刻 むの? それはすごいね! 「どうぞお試しになってください!」  試す。試す。ぜひぜひ試す。  ほんとだ。CDとおなじリズムだ。  しかも昔のマッサージ機よりはるかに揉み方が上手い。  下手なマッサージ師さんより、断然うまいっ!  これ、ほしいなあ!  でも京都の家は狭いから置くところがない。  電子血圧計があったので測る。  あれ? 132−85だぞ。  このところ、上は150台、下は、100台の非常に高い血圧だったのに。  やっぱりどうも私は、病院で測ると、緊張してしまうようだ。  うーーん。東京に戻ったら、この血圧計を買って、病院に行く前も「ふだんは低いん だから、緊張しなくていいんだ!」と、自分に暗示をかけることにしたほうがよさそう だ。  すっかり、電気屋さんで遊んでしまった。  DVDの売り場にいるより、マッサージ機、血圧計の売り場に長くいたところが、 おっさん臭い。  午後2時30分。ブライトンホテルでコーヒー・ブレイク。  キャラメルケーキが、おいしい!  疲れているから、甘いものが、とびきりおいしく感じる。  午後3時30分。家に戻って、部屋の電気をつけたら、蛍光灯が切れた。  さっきまでずっと電気屋さんにいたのに!  今朝、切れてくれれば買えたのに。  嫁に蛍光灯を買ってきてもらう。  しばらく、テレビで高校野球を見ながら、読書。  きょうは仕事を休む。体力がないときの文章は、切れ味が悪くなるだけなので、まず は体力回復に務める。  いつのまにか、うたた寝。  相当へばっている。  午後5時30分。ヤサカタクシーの宮本さんに再び迎えに来てもらって、西陣の焼肉 屋さん「江畑(えばた)」へ。  このあたりは、映画『五番町夕霧楼』の舞台となった、遊郭だったあたりらしいのだ が、いまはその面影も少ない。  まさか、こんな住宅街に焼肉屋さんがあるとは、絶対気づかないと思う。  私も、「すっぽんの大市」に行った際に、近所を散歩したときに、偶然にこのお店を 見つけ「ここが、あの有名な江畑なんだ!」と驚いたくらいだ。

 でもこのお店、おいしいという評判を聞かなければ、絶対に入らないようなお店だ。 北海道の二重サッシのような住宅で、間口も狭い。  この二重サッシが開くと、なかからお肉のおいしい匂いが漂ってくる。  店内に入ると、驚くほど広くて、奥行きが長い。  要するに京都風の「うなぎの寝床」というやつだ。

 店内のすぐ右の壁に、田中康夫長野県知事の写真が貼ってある。  実は、おいしいという評判とともに雑誌『噂の真相』の田中康夫さんのエッセイで、 ちょくちょくこのお店の名前が出てくるので、気になっていたのだ。  田中康夫さんのエッセイに出てくるお店は、おいしい場合が多い。  ときどき情報源としてつかっている。  まずは、タン、ハツを塩で食べる。

 疲れているので、にんにく焼きでもと思ったんだけど、このお店では、にんにく焼き もなければ、野菜焼きもない。ときおり出る万願寺唐辛子と、キャベツだけで、あとは ひたすらお肉だけという豪快なお店だ。  ただお肉につけるたれが、実においしいので、どのお肉も本当においしい。  嫁がいきなり「ギャラねぎを!」と注文している。  そんなお肉など、メニューに載っていない。  どうも裏メニューらしい。  初めて入ったお店で、何でうちの嫁は裏メニューを知っているんだ?  インターネットに載っていたらしい。  何でも1日20食限定の数少ない牛の4番目の胃の部位だそうだ。  限定だから、メニューに書けないのか。なるほど。  たしかにこのギャラねぎは、抜群においしかった。  甘いたれにつけられたこっりこりのお肉と、九条ねぎが合うこと、合うこと。

 サーロインステーキも食べてみる。  うほっ。1枚べろんと焼いてしまうの!?  切らないのかな? あとで切る? そうでしょ、そうでしょ。よかった。切らずに食 べるお肉というのは、西部劇でもないかぎり、まずないだろう。

 ほかにも、天肉焼きという、牛のホッペの部分も食べる。  てっちゃん焼きも。  どのお肉も抜群においしい。  ご飯もおいしい。  胡椒たっぷりのスープも、いかにも関西風でよかった。  とくに嫁がえらく、このお店を気に入っていた。  宮本さんも気に入ったようだ。  私もいいお店だと思うんだけど、その前に自分がもっと体力のあるときに来るべき だったと、少し反省。疲労した身体がこの豪快なお肉の脂についていけていないのが、 よくわかった。  おいしいものを食べるには、体力が必要なんだね。  次に来るときは、体調を整えてからにしよう。  午後7時。帰宅。  疲れているので、ベッドに横になって、DVDで、ぼんやり映画を観る。  あまりおもしろくない。  映画も、体力がないときに観ると、もうひとつ感動できない場合があるね。  健康は大事だ。  きょうは静養に務める。  明日は、東京に戻る。

 

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