８月１７日（日）

　午前８時。『桃太郎電鉄１２〜西日本編もありまっせー！』の『桃鉄公式戦』をテス
ト・プレイ。
　もはや次回作のアイデアのためのテスト・プレイ。

　午前１０時３０分。雨のなか、嫁とＪＲ二条駅へ。
　Ｕターン・ラッシュで、京都ー東京間の新幹線のキップはすべて売り切れと、昨夜の
ニュースで言っていたので、ダメもとで買いに来た。
　私がほしいのは、京都ー名古屋間のキップ。
　新幹線の自動販売機で、きょうの３時ごろのを探したら、あっさり買えた。
　そうか。京都ー東京間の新幹線はダメでも、京都ー名古屋間は、ちょうど谷間なわけ
だ。

　午前１１時。北野天満宮近くの「ＴＯーＦＵ　ＣＡＦＥ　ＨＵＪＩＮＯ」へ。
　毎度おなじみスターバックス・コーヒーの豆腐料理屋版みたいなお店。
　１プレートに、豆料理がたくさん並んでいるので、食べ過ぎた翌朝は、揚げ物を食べ
ないようにとか、調節できていい。
　このお店の黒豆珈琲は、実にうまい。





　午後１２時。北野白梅町のスーパー「イズミヤ」で、日用品を買って、帰宅。『桃太
郎電鉄Ｕ（仮）』の仕様書作り。

　午後２時。土居ちゃん（土居孝幸）と、電話で『桃太郎電鉄Ｕ（仮）』の仕事の打ち
合わせ。
「えっ？　もう締め切りが始まっちゃうの？」
「そりゃそうだよ！」
　土居ちゃんにしてみれば、先週『桃太郎電鉄１２〜西日本編もありまっせー！』んも
イラストを描き終えたばかりだ。
『桃太郎電鉄Ｕ（仮）』は、ある事情があって、締め切りが早い。

　午後２時４３分。京都駅から、のぞみ７２号に乗車。
　京都ー東京間の新幹線の座席はすべて売り切れというだけあって、京都駅の新幹線構
内は、いつもの２〜３倍の人で、ごったがえしていた。

　車中、ひさびさにのんびり読書。
　でもまわりの子どもたちが、うるさい、泣き叫ぶ、笑い転げる。

　午後３時１９分。名古屋駅で下車。
　駅構内を歩いていると、「名古屋駅麺通り」の看板が見えた。
　沖縄らーめん、博多らーめん、和歌山らーめん、東京らーめん、札幌らーめんが食べ
られる、屋台村風の場所のようだ。

 



　まだお腹が空いていないので、入らなかったけど、ＪＲも何かと工夫をして来ている。
不景気は楽しいねえ。みんなが必死に頭をつかって、這い上がろうと努力する。この不
景気に頭をつかわない人は、自業自得の地獄が待っている。

　名古屋駅の太閤口から、名鉄のほうへ。
　おや！　名鉄バスセンターの前に、長蛇の列が。
　帰省ラッシュのわりには、妙に若い人たちしかいない。
　家族連れが全然いない。





　まさかサザンオールスターズのコンサートに行く人たちじゃないよなあ…と思ったら、
アナウンスの人が、「サザンオールスターズのコンサートに行く人のバスツアーの最後
尾は、ここで〜〜〜す！」と、声を枯らしている。
　えっ！　ほんとに、サザンオールスターズの！
　すごい長さの行列だよっ！
　う〜む。国家的な大イベントなんですなあ…。

　こっちは、もう少し時間があるので。のんきに名鉄の駅に、伊勢の赤福のカキ氷が食
べられる場所があるという噂を聞いて、名鉄百貨店まで探しにきた。

　午後３時３０分。名鉄百貨店の地下街のいちばん奥に、「赤福」のお店はあった。日
曜日のせいもあるのか、ここはおばちゃんたちが大行列。

 



　赤福と、抹茶のセットもあるけど、私と嫁は、もちろん赤福のカキ氷。

　ひとくち食べたところで、メールが入る。
　サザンオールスターズのカズ坊（関口和之）からだよ〜！
「席に着いてみて、身体がきつそうだったら言ってください！　車椅子の人たち用の席
があります」

　またカズ坊（関口和之）のやさしさ爆弾だよ〜！
　いつもサザンオールスターズのコンサートを見に行くと、その日にメールをくれるん
だよ。リハーサルの合間に。プラチナチケット以上と呼ばれるサザンオールスターズの
コンサートのチケットをプレゼントしてくれるだけだって、大変なことなのに、いつも
気をつかってくれるんだよ〜！

　前から１５番目くらいの真ん中の席という、ファンの人が聞いたら、鉈を振りかざし
て襲い掛かってきそうないい席なんだよ。
　しかも、ちゃんと私の身体がつらくないように、はじっこから２席取ってくれるんだ
よ！　列の真ん中へんだと、人の前を通って移動するのが大変だからね。　６万人の
ファンが集まるコンサートの出番を待っているきょうの主役の人が、こんなに細かい神
経をつかってくれるんだよ。まいっちゃうでしょう！
　真似ができないよ〜！

　午後４時。名鉄百貨店から、ＪＲ名古屋駅まで移動するだけで、かなりの距離を歩い
た。
　名鉄ビル名物・ナナちゃんのきょうの衣装は、水着だ。





　ちょっと冷夏の季節に合わないけど、あいかわらず町の人気者として、努力してるわ
けだ。

　おっ！　関西放送作家業界のドン・小林仁くんからメールだ。
　小林仁くんもこれからサザンオールスターズのコンサートを見に行くんだ！
　いま名古屋駅！？　人と待ち合わせしている。それじゃいっしょにいけないな。
　コンサート前には、あれこれ伝令が届いて、まさに戦さの前みたいだ。臨場感が増す
なあ。

　午後５時。名古屋の南のほうの金城埠頭へ。
　金城とは、またいい名前の場所だ。
　いや、昨日横浜ベイスターズの金城選手が、右打席、左打席の両方でホームランを
打ったんで、気分がいいのだ。今年ドラフトで入ったばかりの新人投手・堤内投手が初
勝利したし。
　しかし、たまの１勝がこんなにうれしいプロ野球チームは、ほかにないね。
　ほんとに、めったに勝たないんだもん。
　勝った翌日の夕方まで、にこにこ出来ちゃうんだよ。
　長持ちする幸せだ。

　それはいいんだけど、すでに金城埠頭には到着しているのに、きょうのコンサート会
場である「ポートメッセなごや」が、なかなか近づいて来ない。

　午後５時１５分。ようやく「ポートメッセなごや」に着く。
　まるで幕張メッセのように巨大な会場だ。

 



「会場入り口」の看板のほうに向かって行って、やっとたどりついたと思ったら、
「関係者受付」は、まったく反対側だった。
　うひ〜〜〜！

　でかい会場は、これがあるから大変。
　江ノ電だと、楽に一駅分くらいは歩くことになる。

「関係者受付」で、コンサートのチケットをもらう。
　でもその前に、楽屋に確認の電話。
　最近はチェックが厳しくなっているんだねえ。
　チェックは厳しいけど、そのあと係りの人が来てくれて、わざわざ楽屋まで連れて行
ってくれた。
「そんな開演前のいちばん緊張する時間帯に、楽屋に挨拶に行くのは、失礼なので、会
場のほうを教えてください…」と言おうとしたら、なんと広々とした場所にぽつん！と
真っ赤なパラソルが立っていて、カズ坊（関口和之）本人と、ファミリー（奥さん、子
どもふたり）が座っていた。
　へなへな…。拍子抜けするほど、アットホームな空間になっている。





「カズ坊（関口和之）！　とてもいまから演奏を始める人に見えないよ！」
「えへへへ…」
「開演前って、必死に歌詞を覚えたり、楽譜を食い入るように見ているんだと思ってい
た！　余裕なんだね！」
「ううっ！」
　カズ坊（関口和之）、うろたえないでよ。

　再び、係りの人が、楽屋から会場まで案内してくれる。
　ＶＩＰ待遇なのは、もうしわけないんだけど、会場の広さには、まいった。
　足がじんじんするくらい歩く。
　それでも楽屋口からなんだから、一般入場者の人より、はるかにショートカットの
コースなのだ。

　午後６時。コンサート開始。
　しかし、６万人という数は、すごいなあ！
　ほとんど後ろのほうの人たちは、雷おこしの粒々のようにしか見えない。
　桑田佳祐くんが、いつもの「スタンド〜！　アリーナ〜〜〜！」の代わりに、「Ａ、
Ｂ、Ｃ、Ｄブロッ〜〜〜ク！」と叫ぶ。
　後ろの方の「Ｌ、Ｍ、Ｎブロッ〜〜〜ク！」と叫ぶと、「オ〜〜〜ッ！」という返事
がはるか遠くのほうから聞こえてくる。
　戦国時代の軍勢の雄たけびを聞いているようだ。
　そのくらい人数がいるってことなんだね！

『勝手にシンドバッド』の復刻版についていたランニングシャツを着てきている人の多
いこと、多いこと。
　２５周年ということもあって、昔のなつかしい曲をメドレーで次から次へと。　途中
で、オーロラビジョンに明石家さんまサンが登場して、サザンオールスターズといっし
ょに『アミダばばあの歌』を歌うサービスも。
　桑田佳祐くんの腰は低いけど、下ネタのトークもあいかわらず。
　元気だねえ。桑田佳祐くんも来年５０歳か！

　雨のほうは、開園直後はぽつぽつ程度だったんで、平気だったんだけど、途中で、ど
んどん雨が激しくなって来た。
　神宮球場で買ったビニール合羽は持参してきたので、大丈夫だろうと思っていたけど、
次第にＴシャツはずぶ濡れ、鞄もかなりやばい状態、ズボンもだいぶ浸水して来たので、
午後８時過ぎ。無念のリタイア。
　若い人と違って、風邪を引くと年寄りは長引くからね。
　それと『桃太郎電鉄１２〜西日本編もありまっせー！』の完成間近の時期に風邪を引
くわけにはいかない。

　それでも、一度トイレに行って、もう一度会場に戻ろうとしたんだけど、雨は激しい
し、トイレから会場までの距離もすさまじい。
　最後まで見ていたときの体力の消耗度と、帰るときの大混雑に巻き込まれる大変さを
考えて、勇気ある撤退のほうを選択！
　ドリーム・チケットをもらっておきながら、もうしわけない。

　泣く泣く会場を後にしたけど、ここからがまた大変。
　タクシーの縦列はすぐ見つかったけど、先頭車両が見当たらない。
　歩けど、歩けど、タクシーが長く連なっているだけ。
　本当に、電車の一駅以上歩いたよ。
　もうへとへとになったときに、おまわりさんがいたので「ハアハア…、いったいタク
シーの先頭はどの辺なんですか？」と聞くと「まだまだ、ず〜〜〜と、ず〜〜〜と先で
す！」との返事。

　うひ〜〜〜ッ！
　昨日の将軍塚登山に続いて、きょうは名古屋港行軍だ！

　ああ！　やっとタクシーの先頭が見つかった。
　見つかったころに、雨があがった。
　うーーーむ。もっと早く上がってくれよ。
　もうこの距離を会場まで戻る気力はないぞ！

　午後８時４５分。名古屋駅へ。

　午後９時１分。新大阪行きのぞみ９１号に乗車。
　名古屋駅のホームで買った「みそかつ幕の内」を食べる。
　嫁は、「夏の彩り弁当」という名前だったかな？

 



　歩きつかれてへばっているので、駅弁をメモるひまなし。
「みそかつ幕の内」は、私が名古屋駅でごひいきにしているお弁当なので、んまい、ん
まいである！

　午後９時３７分。京都駅で下車。

　午後１０時。京都のマンションに到着。
　ふい〜〜〜ッ！　疲れたあ…！
　うにににににっ…。足首が痛い。

　コンサートに疲れたんじゃなくて、歩くのに疲れた。

　まいりましたあ…。
　６万人は、すごい…。