7月24日(木)

 午前8時。『桃太郎電鉄12〜西日本編〜』の細かい手直し。
 ほとんど誤植とか、確率の計算の分母の足し算間違いとか、大きな変更が少なくなっ
て来た。

 午前11時30分。嫁と神保町の餃子専門店「スヰート ポーヅ」へ。
 今朝の朝日新聞の『天声人語』に載っていた本がほしくて、神保町まで来たついで
に、ライター時代によく通った餃子屋さんに寄ってみる。
 嫁は、ここで1回くらいしか食べたことがない。

 うーん。昨日のラーメン屋さん「こうや」もそうなんだけど、どうも最近昔の味を忘 れてしまったようだなあ。  何か、前と味が違う。  もっと餃子に羽と呼ばれるパリパリが多かったような気がする。  神保町でごろごろしていた時期は、美食家ではなかったんで、こっちの舌の感覚が変 わってしまったのかなあ…。  というより、前より味が上品になってしまった気がする。  前はもっと、B級グルメのおいしさがあった気がするなあ…。  午後12時。本屋さんを何軒か歩いて、ほしい本を検索してもらうが、どこも品切れ。 神保町なら、あると思ったのに。インターネットで探そう。  午後12時30分。銀行に入ったら、元『月刊OUT』編集長の大徳哲雄くんとばっ たり。  あいかわらず、私のばったり病健在なりなんだけど、まあ、本の街・神保町なんだか ら、誰かには会うと思っていた。  銀行でしばらく、お互いの近況報告。  大徳哲雄くんは、現在主に『週刊少年ジャンプ』、『Vジャンプ』などの単行本や雑 誌の特集記事を作ったりする編集プロダクションの社長さんだ。  午後1時。大徳哲雄くんと、出版業界の話をしているうちに、里心がついたのか、知 り合いの編集者さんたちに会って行きたくなる。  やっぱり神保町は、私の故郷の気持ちが強いんだろうなあ。  午後1時30分。小学館のビッグコミック編集部へ。  古い友人である奥山豊彦くんが、ビッグコミック・オリジナルの編集長になり、昨年 『おいしい桃鉄』(小学館)を担当してくれた大島誠くんが、『ビッグコミック・スペ リオール』の編集長になり、石川享くんが、『ビッグコミック』が主任になって、知り 合いがやたらと『ビッグコミック』系列に集結してしまったのだ。  でも、こんな早い時間に編集者がいるわけがなく、奥山豊彦くんや石川享くんが編集 部にいること自体、奇跡的。

 大島誠くんはいたんだけど、『ビッグコミック・スペリオール』編集部はほかのビル に移転したらしい。

 ひさびさに、編集の人たちと話をすると、ふつふつとたぎるものがある。  人生の最後に、出版で細々とした仕事をするのもいいなあ…。  ライターでなくてもいいから、プランナーとしてどこか雇ってくれないかなあ。プラ ンナーなら、原稿料いらないし、お得ですよ。  午後3時。帰宅。 『桃太郎電鉄12〜西日本編〜』の手直し作業を始める。  おっと。すっかり忘れていた作業を、札幌の込山勉くんに指摘されてしまった。  いかんなあ。大量にある。  明日から、また旅に出てしまう。  少しずつでもいいから、始めよう。  午後4時。ええっ? 『ジャンプ放送局』のときの榎本49歳(えのクン)から電話。 「何? えのクン! お金貸せってか?」 「違いますよ〜! ちょっとご挨拶に!」 「ちょっとご挨拶のあとに、お仕事ちょうだいなのねん!か?」 「違いますよ〜! あっ。お仕事はほしいけど!」  榎本49歳の用件は予想がついている。  今週、えのクンはいまの事務所を引っ越すからだ!  お昼に、大徳哲雄くんからも聞いている。  きょうは妙になつかしい人とばかり会うなあ。  もともと8年前に、この原宿の家は、えのクンの事務所まで歩いて3分程度の近さな ので、何かと原稿を出しに行くのが便利だという理由から、購入した。  ところが購入したとたん、ゲームに専念することになってしまって、こんなに近いの にまったくえのクンの事務所に行く用事がなくなってしまったのだ。  あれからもう8年。  えのクンは、神保町のいまより広い事務所に移転だ!  面積にしてほぼ100坪とか! 『ジャンプ放送局』のイメージでは「えのサン、貧乏なのねん!」なのだが、当時から 出版業界では、最大手のデザイン事務所なのだ。  いわば大社長さんなんだよ。  貧乏神のモデルでもあるけど、実は「貧乏」ではなく、「貧乏性」。  きょうはわざわざ引っ越しの挨拶に来てくれた。 「すごいな、えのクン! 躍進しっぱなしだなあ!」 「そんなことないですよ〜〜〜!」 「引っ越すときは必ず、広い事務所に移転じゃないか!」 「出版で仕事をするには、神保町にいないと仕事来なくなっちゃいそうなんで引っ越す んですよ〜!」 「あいかわらず、貧乏性だねえ。私はまた小学館の真ん前に出来た大きなビルを、えの クンが買い取るのかと思ったよ!」 「そんなお金ないのねん! 築20年のビルを借りるのねん!」  すっかりふたりで、『ジャンプ放送局』の頃の口調になってきてしまった。

 ひさしぶりに、神保町に行った日に、明後日から神保町に引っ越すえのクンが挨拶に 来るなんて、変な1日だな。  午後6時。嫁と、近所の沖縄料理のお店「藹藹(あいあい)」へ。  いつものように、らふてぃそば、ぴリ辛焼きそば、ほうれん草のサラダ、ミミガー、 シークワーサー、オリオンビールのパターン。  午後7時。帰宅。  今夜もずっと『桃太郎電鉄12〜西日本編〜』の手直し作業。  明日1泊で、長野方面に行く。  ちょっとおもしろいイベントを見に行く。  明後日は、「小池一夫塾」なので、日記の更新は、日曜日くらいになるかも。  榎本49歳(えのクン)にも「さくまサン、旅行ばっかしてませんか?」と言われた けど、私もそんな気がする。  それではまた!

 

-(c)2003/SAKUMA-