7月22日(月)

 7月も下旬になったというのに、涼しいねえ。
 昔は暑い夏が好きだったけど、最近体力ないんで、このくらいがちょうどいい。
 午前11時30分。嫁と、赤坂の「博多味問屋いちにち一膳」へ。
 先日、ほかのお店で食事してから、ここを通りがかったときに見かけた「呼子(よぶ
こ)いかどんぶり膳」のメニューに、絶対来るぞ!と決めていた。

 お店に入ってみると、カウンターの前に、九州各県別の料理名が並んでいた。博多の 味だけでなく、九州全土の料理が食べられるようだ。  玄界灘の地魚。がめ煮。嬉野温泉の温泉豆腐。関さば。関あじ。だご汁。馬刺し。さ つまあげ。チキン南蛮。冷や汁。ゴーヤ料理…。  まるで、『桃太郎電鉄』の物件名を見ているようだ。  お店の人が「九州の出身の方ですか?」と聞いてきた。 「いえ。九州出身で、デブで、九州の食べ物なら何でも絶賛する、最近日記をまったく 更新しなくなった肥満体(二重修飾語)が、友人にいて…」とは言わずに、「いえ、九 州によく行くもんで…」と、答えた。  呼子のいかどんぶりといえば、私が大好きな博多「河太郎」の透き通るイカを想像し て、わくわくしたのだが、出てきたものは、イカの醤油漬けであった。  でもちゃんと、まんなかに生卵が乗っていて、「河太郎」のお昼に食べられるイカど んぶりに近い。

 食べてみたけど、間違いなく呼子(よぶこ)のイカの味だ。  私は、イカの味にはうるさいからね。  嫁は、ちょっと醤油の味がきつくて、しょっぱいと言っていたけど、私は醤油味が好 きなので、ちょうどよかった。  私のほうが、嫁より下品な味が好き。  このお店は、絶対いいよ。  難点は、赤坂の住宅街のほうにあって、ちょっとわかりづらい。  私も、もう一度行きたいお店なので、メモ、メモ! <私がもう一度行くためのメモ> 「博多味問屋いちにち一膳」 住所:東京都港区赤坂4丁目3の25 電話:03(3560)6480 備考:一ツ木通り。左にスターバックス・コーヒー。    道にアーチがかかった交差点を右に入って、ちょっと歩いた左側。  たぶん、このお店の登場回数は、増えると思うなあ。  どこかの九州絶賛男が、絶対気に入るお店だと思うから。  午後12時。赤坂の和菓子喫茶「鳳月堂」へ。

 コーヒーを注文したら、おまけで大きい最中がついてきた。しめしめ。合法的に甘い ものが食べられる。はっはっは。  別に、医者から甘いものを食べるのを制限されているわけではないんだけどね。  午後1時30分。銀座の読売広告へ。  きょうは、ここでハドソンのプロモーション会議。

 メンバーは、ハドソンの大里専務、梶野竜太郎、藤原伸介。  読売広告の岩崎誠、小池栄子さん。  私、嫁、柴尾英令くん。  土居ちゃん(土居孝幸)は、イラストがいよいよピ〜〜〜ンチ!で、欠席。  きょうは、「えっ!?」、「それは!?」、「ええええっ!」と、みんなに驚いても らえるような宣伝企画が正式決定した。  もう言いたくて、言いたくて、うずうずするような企画なんだけど、もうしばらくお 待ちください。  午後4時。読売広告の近くのケーキ屋さん「アンリ・シャルパンティエ」へ。  メンバーは、私、嫁、岩崎誠、柴尾英令くん。  柴尾英令くんが「ボクは、ダイエット中なので、ケーキは食べませんよ!」と、言っ ていたけど、メニューの写真を見ているうちに、あっさり禁を破る。 「そうでなきゃ、柴尾英令くんじゃないよ!」  私は、嫁とモンブランチョコケーキを半分個。 「あっ! ケーキを落としちゃったよ〜!」  ただでさえ、嫁と半分にして、量が少なくなっているのに、ケーキを一塊、落っこと しちゃった〜! くそ〜〜〜!  午後5時30分。柴尾英令くんと、私、嫁の3人で、ひさびさに讃岐うどんの「さか 田」へ。  私は、釜玉うどん。  嫁は、冷たい生醤油うどん。  あれ? 柴尾英令くんは、何だったっけ?  冷やし生醤油うどんに、生卵だった。  まあ、「トッピングは、ダイエット中なので遠慮します」というのを、まんまとタコ の柔らか揚げやら、めかぶのぬるぬるサラダやら、醤油豆などを食べさすことに見事、 成功! わが意を得たり!  われらは、柴尾英令ダイエット阻止委員会会員である。

 午後7時。私と嫁は、赤坂プリンスホテルへ。  きょうはここで、「浦沢義雄さんの『たまご和尚』の出版を祝う会」が開かれる。  浦沢義雄さんは、アニメ脚本家として、有名な人で、『忍たま乱太郎』、『はれとき どきぶた』、『デジモン』、『ペットントン』、『ルパン3世』、『らんま1/2』と いった作品を、シリーズ構成したり、脚本を書いている。 『カーレンジャー』、『ちゅうかなぱいぱい』といった実写ものの脚本家としても有名 だ。  私とは、30年近く前。お互いデビュー当時に、バラエティ番組の構成作家として、 番組でいっしょになったことがあって、その後、20年以上、お互い違う世界に進んで しまったので、音信不通になってしまった。  ここ数年、「笑止会」のおかげで、再会できるようになった。  だから、今回、浦沢義雄さんが、初めての本の出版と聞いて、驚いた。  あれだけ実績のある人だから、10冊目くらいの出版パーティだと思っていた。  途中で、私とはまったく違う世界に進んでしまったので、きょうのパーティに来る人 に、まったく知り合いはいない。  発起人の映画監督・鈴木清順さんとは、千代田学園の講師をしたときに、いっしょ だったけど、1回だけ挨拶しただけだしね。  いつも、知り合いばっかりで、挨拶に奔走しないといけないパーティと違って、知り 合いのいないパーティというのも、気が楽でいい。  これがひとりで行って、知り合いゼロ! 知り合いは、主賓のみというのは、非常に 寂しいものだけど、私の場合は、嫁といっしょなので、楽。

 浦沢義雄さんは、たしか私より1歳か2歳年上だったと思うから、パーティの年齢層 が、高い、高い。私よりも年上の人ばかり。  年齢層が高いので、喫煙率も高い。  少々の喫煙は気にならないんだけど、半分以上の喫煙で、大人数は、さすがに「煙が 目にしみる」byプラターズで、目が痛くなる。  会場で、目薬をさした。  浦沢義雄さんと共通の知り合いは、ふたりほど浮かぶんだけど、どうもきょうは来れ なかったようで、このままだと本当に知り合いゼロのまま、すごすごと帰るのも、悔し いなあ!という、持ち前の悔しい魂が芽生えてきたら、いました、いました。  アニメ演出家の角銅博之さんだった。 「いつも柴尾英令くんの集まりでは、すれ違いばかりなのに、こんなところで会うと思 いませんでしたね〜!」 「そうですねえ!」 「さっきまで、柴尾英令くんといっしょだったんですよ!」  やっぱり、知り合いがいた。

 しかし、歓談の時間が長いなあ。  ひょっとして、浦沢義雄さんは、人見知りのしゃべり下手だから、このまま主賓の挨 拶なしで、終わらすつもりじゃないだろうなあ。  思わず、浦沢義雄さんに聞きに行く。 「浦沢ちゃん! まさか挨拶無しってことないよね!」 「うーーん、もう、期待しないで!」  はっはっは。やっぱりイヤなんだ。  午後9時。会場の時間ぎりぎりになって、ようやく浦沢義雄さんのスピーチ。  会場のあちこちから「浦沢くん、しゃべれるの?」という声が聞こえる。 「え〜〜、絵を描いているタムラノボルさんが、『オレはもう死ぬ!』というので、彼 に同情して、この本を書いたんだけど、いまでも生きてます。しかもきょう、途中で彼 は帰ってしまいました。本日はみなさん、本当にありがとうございました!」。

 おいおい、浦沢ちゃん、自分の話をしないまま終わらせちゃったよ。  浦沢義雄さんらしいなあ…。  人付き合いよりも、作品の実力だけで、この世界を生き抜いた珍しい天才だ。  午後9時30分。帰宅。  VAIOを開いてインターネットをつかおうとしたら、また「ページを表示できませ ん」と言われる。  嫁を呼んで、いろいろ見てもらうがダメ。  再起動しても、ダメ。  柴尾ER殿を呼ぶしかない!  ♪ピロロピロロピーーーッ!  この笛は、「マグマ大使」の笛だった。 「ああ、もしもし。午後6時過ぎにさくまサンたちと別れてから、ずっと歩いて、やっ といま家にたどり着いたところですよ!」 「ええっ? 何!? 銀座から池袋まで歩いて、さらに東武練馬まで歩いちゃったって こと?」 「そうですよっ!」 「ダメじゃん! せっかく柴尾英令くんのダイエットを阻止したのに!」 「いいじゃないですか! ははは!」 「そうだ。そんなことを言ってる場合ではない。またVAIOがインターネットに繋が らないよ〜!」  遠隔操作で、チェックしてもらう。  もちろん電話の受け答えは、嫁にしてもらう。  どうもうまく行かない。  柴尾英令くんが「ひょっとすると、さくまサンの場合、VAIOの左下前面について いる『ON OFF』のボタンを、うっかりOFFにしてしまった可能性がありますね!」 と言い出す。 「はっはっは。それは大いに可能性がある! 私もさすがに電源がコンセントに刺さっ ていないという笑い話はイヤなんで、刺し直したんだけどね…」 「VAIOの前面の左のところです…」 「えっ? そんなところにボタンあったっけ? あっ! 何かある! あっ! ボタン 押したら、インターネット繋がったああ!」 「やっぱり! 鞄から出し入れするときに、うっかりボタン触ったかもしれませんね!」 「こんなところに、そんなボタンを配置しておくなよなあ!」 「それは無理ですよ、さくまサン!」 「これだけ技術が進んでるんだから、私がVAIOを開いて、インターネットが繋がら なかったときには、『ひょっとしたら、あなたは左下のボタンを押し忘れていませんか?』 くらい言えよなあ!」 「無茶言ってる!」  しかし、柴尾英令くんは、私の性格からなぜ繋がらないかを当てるのが、うまいなあ!  はっはっは。  よかった。よかった。これでインターネットが使える。  うもうっ! インターネットは繋がったけど、また横浜ベイスターズがあっさり負け ている。私のVAIOよりも、横浜ベイスターズは勝利に繋がらないね〜! とほほ…。

 

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