6月3日(火)

 午後12時。嫁と、大手町の大手町ビルB2のひとくち茶漬けの店「米楽(こ
めらく)」へ。
「八十八楽」と書いて、「こめらく」とも読ませている。
「米楽」と「「八十八楽」の表記が、お店のなかでバラバラにあるんだけど、ま
あ、「八十八」と書いて「米」のことだから、紛らわしくはない。
 名刺を見ると、「八十八楽(こめらく)」と読ませたいようだ。

 ちょうどお昼時に着いたので、地下街は、サラリーマン、OLが、雷おこしの 粒々のように、びっしり地下街を埋めている。

 どの飲食店も、お弁当を販売している。  日本テレビの『スーパーテレビ』の「30億円産業オフィス街お弁当戦争!」 みたいな題名のドキュメント撮影現場のようだ。 「米楽(こめらく)」は、お茶漬け専門店。  大手町ビルは古いビルなので、天井が低くて、ちょっと圧迫感がある。私が閉 所恐怖症なので気になるだけなようだけど。  本日のセットから、まず2品選ぶ。  私も嫁も、明太子に、うなぎの蒲焼を選択。  ほかにも葉わさびとか、6品ぐらいある。

 お出汁は、とんこつと、かつおだしのどちらかを選ぶ。  私も嫁も、かつおだし。  それに、本日の1品、豚肉の生姜焼きがつく。  何より、私にとっては、三つ葉が別盛りでお皿に乗っているのが、うれしい。  私は三つ葉が嫌いなので、うっかり言い忘れると、三つ葉撤去作業に没頭する はめになる。  ご飯も小さなお櫃(ひつ)に入っていて、好きな分量だけ入れて、好きなだけ お出汁を自分の裁量でかけられるのがいい。  まずは、ご飯を食べてみる。  玄米の入ったご飯なのかな? おいしいよ!  明太子をちょっと食べて、ご飯食べたら、さらにおいしいよ!  このままお茶漬けにしなくても、食べられそうだ。  でも、お茶漬けにしたら、さらにおいしかった。  お出汁がいいんだね。  かつおだしと言っていたけど、昆布風味が強い。  これで、880円は安い!  このお店は銀座に本店があるようなので、今度はそっちのほうに行ってみよう と思う。大手町で仕事している人には、絶対お勧め。お客さんは女性客ばかり。  仕事に疲れた顔のしょぼくれ父さんがいないので、雰囲気いいですぞ〜!  午後12時40分。歌舞伎座の先の「茜屋珈琲店」へ。  もはやこのお店に寄って、名人芸のコーヒーを飲まないと、築地に仕事をしに 来た感じがしない。  ここのマスターは、イッセー尾形さんの「モンカフェ」のCMのような人だ。  コーヒー一杯で、癒されるお店は、ここをおいてほかにない。

 午後1時。築地のハドソンへ。  玄関で、ひとりの男の子に声をかけられる。  おお! 『桃鉄研究所』にもメールをくれて、かつて『ジャンプ放送局』に通 算20枚のハガキが掲載された、くすひのきクンではないか!  何でも、ハドソンの会議室とおなじ、8Fの会社に勤務しているようなのだ。  はっはっは。最近みんなが私の日記で、行動パターンを知っているので、簡単 に見つけられてしまう。楽しいことだ。  きょうは、『桃太郎電鉄12(仮)〜地方編』の宣伝会議。  メンバーは、ハドソンの大里専務、宣伝部の梶野竜太郎くん、藤原伸介くん。  読売広告の岩崎誠。  土居ちゃん(土居孝幸)、柴尾英令くん。

 席上、最近、私が何度もこの日記で『地方編』がどこであるかを、うっかり書 いては、読者に「また書いちゃってますよ〜!」と言われ、日記の表記を書き直 すことが続いているので、正式タイトルの公表はまだ先にしても、仮タイトル は、発表してもいいことになった! 助かる。

『桃太郎電鉄12(仮)〜地方編』は、『桃太郎電鉄12〜西日本編』だ!  あ〜〜〜、やっと、これで気が楽になった。 『桃太郎電鉄X(ばってん)〜九州編もあるばい〜』のように、正式タイトルに は『桃太郎電鉄12』のあとに、「西日本編もあるじゃけー!」とか、「西日本 編もあるぞなもし!」とか、「西日本編もありんすえ〜」とか、付く予定。  そっちのほうは、まだナイショね。  というわけで、エリアは、中国、四国、近畿編!  あれだけ、中国・四国地方に行って、最近何かと大阪の毎日放送に行っていた ら、日記読んでる人なら予測できるよねえ。  一応、カムフラージュのために、草津温泉に行ってみたり、飛騨高山、富山ま で行ってみたりもしたんだけど、白浜のあとに、わざわざ生野銀山なんてとこに 行くの、いかにも怪しいよねえ。ははは。  さあ!、中国、四国、近畿地方の皆様!  大喜びして、たったいまから、部屋で阿波踊りを踊ってください!  チャンカ、チャンカ、チャンカ、チャンカ!  あなたの町が物件駅になっているかもそれませんぞ!  ほかにも、いよいよ宣伝関係の具体的な話がぽんぽん出てくるようになって来 た。…来たってことは、ゲームを完成させないといけない時期も近づいて来てい るわけで、宣伝戦略を考えつつも、チューニングのことが気になる。  午後4時30分。宣伝会議終了。  会議室をそのまま借りて、『桃太郎電鉄12〜西日本編〜』の打ち合わせ。  メンバーは、私、嫁、土居ちゃん、柴尾英令くん、岩崎誠、藤原伸介くん。  私がこの3日間、悩みに悩んでとうとう浮かばなかった場所の手直しを、柴尾 英令くんに相談する。  すると、いつものように柴尾英令くんは「ちょっと文章を最初から読ませてく ださい…」と言いながら、「ああ、これはここの文章が意味が無くて、誤解を呼 ぶわけですから、こういう風に直すといいですね!」と、たちどころに直してく れる。  まるで柳生流の達人のようだ。  本当にすごいのですよ、柴尾英令という男の頭脳と、瞬発力は!  でも、その場ですぐ何でも解決できちゃうだけに、なかなか仕事をしてくれな いんだよなあ!  仕事を始めりゃ、抜群に早いのだ。  でも「ああ、それなら、やっておきますよ〜!」と言いながら、その日、お酒 を飲むとすっかりその仕事を忘れてしまう。 『三国志』でいえば、大酒飲みの張飛(ちょうひ)と、頭脳明晰な諸葛亮孔明 (しょかつりょうこうめい)を併せ持ったような男なので、「諸葛亮張飛」と呼 んだりもするのだが、画数も多く覚えづらいネーミングなため、定着していない。  空気男爵、ミスター鉄板焼きのほうが、覚えやすい。  午後7時。私、嫁、土居ちゃん、岩崎誠、柴尾英令くんの5人で、月島のもん じゃ焼き屋「しなのや」へ。  ほどなく、浅草キッドの水道橋博士と、奥さんの千枝さんが到着。  以前から、岩崎誠のもんじゃ焼きの秘技を見てみたいと、水道橋博士が言って いたので、ちょうどいい機会なので誘ってみた。  水道橋博士のご指名に緊張する岩崎誠。

 でも、本当に岩崎誠のもんじゃ焼き、お好み焼き、あんこ巻を食べてしまうと、 もうほかの人が作った粉物を食べる気がなくなってしまう。  そのくらい、おいしいのだ。  特別びっくりするようなものをトッピングするわけではない。  お店のメニューにあるものを、オーソドックスにつかって、そのあとの塩加減 とか、青海苔の量とか、焼き方に秘技があるようなのだが、その秘技をホメる間 もなく、私たちは、「岩崎誠! 次は焼きそばがいいな!」「もんじゃがいいな、 ベビースターラーメン入れてね!!」「あんこ巻は絶対外せないな!」と、勝手 なことをいいまくる。

 もちろんその脇では、さっきまで頭脳明晰だったはずの柴尾英令くんが、破顔 一笑! にこにこしながらお店の人に「焼酎を一杯!」「焼酎をお代わり!」 「おいしいね〜!」と叫び、さっさと大酒飲みの張飛(ちょうひ)に変身してい る。 反対側の席では、ビールを飲んで、真っ赤な顔の土居ちゃんが、まぶたが 重そうにとろ〜ん!としている。  いつもの光景だ。  みんなで水道橋博士の「悪童日記」の裏話を聞いたりする。  バイオラバーの話とか、断食の話とか、ラスベガスの話とか…。  しかし、博士と話していると、どうしても芸人さんと話している気がしなく て、出版界の人と話しているような気がして、なつかしい気分になるのが、不思 議だ。 小林信彦さん、永六輔さん、司馬遼太郎さん、野坂昭如さんといった名 前を、平気で出せるのもうれしい。  柴尾英令くんと水道橋博士の博識同士の会話も聞いていて楽しい。  午後9時30分。帰宅。  帰り際で、岩崎誠が「さくまサン! ベイスターズ勝ちましたよ!」と教えて くれたので、ルンルン気分の喜色満面で『ニュースステーション』のスポーツ・ コーナーを待っていたら、何度もヤクルトに同点にされて、「あれ〜! 岩崎誠、 嘘を教えたんじゃないだろうな!」と、0.2秒間、岩崎誠に殺意を覚える。  結果は、8対5。あ〜〜〜、ドキドキした。  今夜も、『桃太郎電鉄12〜西日本編〜』の手直し作業。  鎌倉のテスト・プレイで、井沢どんすけ大明神に指摘いただいた箇所を直すの が、大変、大変! 大明神、『桃鉄』は下手だけど、指摘は、天才だから。

 

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