5月26日(月) 京都は朝、相当雨が降ったようだ。 私は疲れていたせいか、まったく気づかなかった。 午前11時。出町柳駅前の「柳月堂」で、くるみパンを買う。 きょう東京に帰るので、わざわざ買いに来るほど、ここのくるみパンを好きに なっている。時間がまだ早いので、くるみあんぱん、くるみリンゴなどが無かっ た。このランダム性が、楽しい。 午前11時30分。南禅寺の「聴松院(ちょうしょういん)」へ。 お寺の湯豆腐のお店だ。 というより、私の京都好きは、この「聴松院(ちょうしょういん)」から始ま っているといっても過言ではない。もう30年前からずっと、ここに足繁く通っている。 お豆腐もおいしいけど、何より庭が美しい。 いまも、庭からは、小鳥のチチチチッというさえずりが聞こえる。 カジカガエルだろうか。カカカカッという鳴き声も聞こえる。 東山の峰の新緑が、ことのほか美しい。
この「聴松院」の湯豆腐と、「三嶋(みしま)亭」のお肉を食べに来るのが、 京都好きのいちばんの原因だと思う。 我が家では、「食い物の恨みは…」ではなく、「食い物の執念は恐ろしいから」 である。 縁側に座って、七論(しちりん)に炭で、湯豆腐を食べる。 冬の寒い日などは、七味を大量にふりかけると、身体がポッポッ暖かくなって、 さらにおいしい。
お豆腐が、ちゅるるんと、おいしいなあ。 天ぷらもおいしいんだけど、大好きな海苔の天ぷらと、シイタケの天ぷらだけ 食べて残す。 一向に、体重が減らない。 うまいもの食べて、体重も増えなきゃ、この世は天国だ。 まあ、私は天国に近い人生を毎日、送っている。 食後、南禅寺の新緑を愛でる。 南禅寺は、桜の季節も、紅葉の季節もいい。 きょうみたいに、雨がぽつぽつ降っているときの南禅寺はとくに美しい。 京都で、行きたい場所に困ったら、南禅寺だと思う。
南禅寺の塔頭(たっちゅう)が並ぶ通りを歩いて、疎水の交差点の近くにある 器(うつわ)屋さん「あ花音(あかね)」を覗く。 ここで一度、伊賀焼きの鍋を買ったことがある。 お店の人が、柳月堂の袋を下げているのを見て、「あそこのくるみパン、おい しんですよねえ!」と言い出す。 お店にいた、ほかのお客さんが「えっ? どこどこ?」とあわてる。 「京阪電車の出町柳駅の真ん前で…」 「えっ? パチンコ屋さんのとなりで…」 「おにぎり屋さんが前に…」 「あ〜、話をしてたら食べたくなっちゃった」 4人で、ああでもない、こうでもないと、ひとしきり。 何でもこのお店にも「柳月堂」の社長がよく見えられるそうだ。 不思議な縁だなあ。
疎水の交差点を突き抜け、老舗料理屋の「瓢(ひょう)亭」の前を通る。 「瓢亭」の創業は、1723年。8代将軍徳川吉宗の時代だ。 「瓢亭」によく来る有名タレントは、山県有朋(やまがた・ありとも)。 それは、明治維新の立役者やないかー! 頼山陽(さいさんよう)。 それは、江戸時代の『日本外史』の作者やないかー。 嘘のような本当の話だ。 京都で、うっかり「有名人、このお店に来ます?」とかいうと、豊臣秀吉、足 利義満といった冗談のような名前が出てくる。 まあ、総理大臣が来るようなお店だ。 私も朝粥定食が有名なので、一、二度は行ったことがある。 三条通りを出て、新宮道を登る。 このあたりで、早くもへばって、喫茶店に退避。 コーヒーを飲んでも、足のじんじんは、静まらない。
午後1時。再び歩き出して、知恩院(ちおんいん)にたどり着く。 さらに、古門前通りを歩き、東大路通りへ。 古布屋さんに寄る嫁を残して、私は京都のマンションに戻る。 午後1時30分。帰宅。 へばった。 少し休んでから、帰り支度。 午後2時30分。京都駅へ。 雨が強くなってきた。 京都駅の構内は、修学旅行生でいっぱい。 1校や、2校どころではなく、3〜4校。 1校が、移動すると、またほかの学校の生徒たちが集合して、うるさい、うる さい。でもまあ、ババアの集団より、静かだ。
午後3時9分。のぞみ18号に乗車。 乗車後、もちろんVAIOを広げて、お仕事。 仕事が捗(はかど)る。 毎日、東京と博多を往復して、ずっと仕事をしていたら、いまの4〜5倍の仕 事量がこなせるかも。イカも毎日食べられるし。 嫁が「新幹線のイスを買って来て、部屋に入れたら?」というけど、あの独特 の軋みが必要なのだろう。 『桃鉄研究所』の原稿が完成した。 午後5時26分。東京駅に着く。 午後6時。帰宅。 1週間分の郵便物が、ドッと宅配ボックスから出て来た。 午後6時30分。地震だ。 このところ、東京で地震が多かったけど、帰って来たら、もう地震?と思った ら、震源地は東北地方だった。震度6? 大きいねえ。でも震源地が深いと、津 波の心配や、被害の規模もそんなに大きくないんだね、よかった。 午後7時。ミートピアサヌキのきつねうどん。 また増えた体重を減らさないと。 食後、『桃太郎電鉄12(仮)〜地方編』の『全国編』をテスト・プレイ。 プレイしながら、次回作のアイデアを考えることが、増えて来た。 適当なところで、身体を休めないと。
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