5月18日(日) 昨年から、ずっとハンバーグ・ステーキのおいしいお店を探している。 先日、10年ぶりに最下位、おっと! 横浜ベイスターズのせいで、「さいか い」を変換すると、すぐ「最下位」になってしまうよ。 10年ぶりに再会したフードライターの坂井淳一くんが、おいしいハンバーグ ステーキのお店を紹介してくれた。 そのお店の場所が、軽井沢! 軽井沢! そんなもの私にとっては、八王子より近い。杉並区上井草よりも近 い。時間的にも。 午前9時。そんなわけで、嫁とタクシーで東京駅に向かう。 日曜日だと車が空いている。 一度など、東京駅まで13分で着いてしまったことがある。 と思ったら、タクシー運が悪かった。 わざわざ道をUターンしてまで、拾いに来てくれた熱心なタクシーだなと思っ たら、これがキキキキキキッとUターンしてまで来た車だけのことはあって、運 転が乱暴、乱暴! おまけに、ふつうの運転手さんは、外苑西通りの先の神宮球場を右に曲がって、 国道246号に出るのに、いきなり外苑西通りを左に曲がる。方向が逆だよ。 加速が速い、速い! カーブで、スピード落とさない。 あげくに、千駄ヶ谷の旧神宮外苑プールの通りに出る。 この通りは、日曜日は通行禁止ですよ。 「まいったなあ!」と言いながら、信濃町駅のほうから、青山一丁目に向かう。 もちろん、猛スピード! 車が、青山一丁目の交差点で停まったときに、私は「ここで降ります」と宣言。 「えっ? ここですか? 東京駅…」 「いや。あんたの運転、怖すぎるから、ここで降ろして!」 「うっ、すみません! じゃあ、お金はけっこうです!」 「いや、いいよ。お金は払うよ。ほかの人にやさしい運転してあげて!」 こういう風に、途中でタクシーを降りてしまったことは、今月は2回目だ。 最近、運転の上手い人と、乱暴な人と、両極端に増えている。 先日、築地のハドソンへ向かったときの車なんて、本当に気持ち悪くなって、 吐く寸前までいってしまった。雨じゃなかったら、絶対途中で降りたな。 3回目の途中下車になるところだった。 初っ端で、運が悪いと、悪いことは続くね。 青山一丁目から乗ったタクシーの運転手さんは、うまい運転だったんだけど、 皇居を過ぎて、二重橋の前から馬場先門までが、シティ・ハーフ・マラソンのコ ースになっていて、大渋滞。 運転手さんのせいでは、まったくないけど、何100人という人が、スタート したばかりのようで、えんえん走っている人たちの頭だけ見える。 メーターは上がる。車は動かない。 午前9時52分。東京駅。 あんぎゃあ! 午前10時発の長野新幹線に乗れなかったあ。 あの神風タクシーの乗らなければ、着いていたかも。 午前10時28分。東京駅から、長野行きあさま511号に乗車。 お昼ご飯を軽井沢で食べる予定なので、お腹が空いている。ガマン、ガマン! 車中、読書。 ワープロを叩くには、軽井沢は近すぎる。 昔は電車で、3時間とかかけて行ったのに、いまじゃほぼ1時間。 1時間といったら、通学だってできる距離だ。 午前11時35分。軽井沢駅に着く。うひょ。やっぱり軽井沢は寒いね。 ううっ。変換ミスしたら「軽井沢」が、「軽い井沢どんすけ」になってしまっ た。意味は非常に合っている。 旧軽井沢に向かって、歩いていく。 ハンバーグのおいいしいお店は、駅のすぐそばと聞いている。 あれ? 見当たらないぞ。 どうせだ。電話しよう。 「えっ? いまの時期、お昼は営業していない?」 がびーーーん! それはまいった。 ど、ど、どうしよう。 代案は、まったく考えて来なかった。 代案…、代案…、代案…。ダイアン・レイン。 どんなピンチのときでも、だじゃれは浮かぶ。 いまから旧軽井沢に行って、お店を探すと、どんどん食事時間が遅くなる気が する。 軽井沢駅に戻りつつ、おそば屋さんに電話。 おお! いつ電話しても営業していなかった「東間(とうま)」に予約ができ た! 3年前、成沢大輔くんの知り合いである長野の長谷川書店の長谷川浩一郎さん に連れて来てもらったお店だ。 以来、何度も電話をかけたのだが、気まぐれなお店で、営業したり、しなかっ たりで、その後一度も行っていない。 どういうわけか、きょうにかぎって、うまいこと予約が取れた。 ようやく、きょうの一連の悪いツキが、好転し始めたぞ。 午後12時。プリンス通りを南に下って、「成沢」という交差点を左に曲がっ て、100メートルほのの林のなか。 交差点の名前が「成沢」だったのが笑えた。 読み仮名は「成沢(なるさわ)」で、酔っ払いのほうが「成沢(なりさわ)大 輔」くんだ。 もちろん、メールで成沢大輔くんに報告。 しっかり悔しがってもらえた。
こんな林のなかの一軒家なんか、知り合いに教えてもらわないかぎり来れない よなあ。 飛び石の庭を通って、玄関へ。 ああ、なつかしい門構えだ。 和室に通される。 チェロと、チェンバロのクラック音楽が流れる。 15歳未満の子ども禁止だそうだ。 あれ? うちの娘が来たときは、13歳だったような気がする。まあ、うるさ い子ども厳禁ということだろう。うちの娘はおいしいものを食べさせておけば、 おとなしい。 かといって、敷居の高いお店ではない。 ランチコース。 そばがきが、ぷちぷち、とろとろ、こってり、いい味だ。 山揚げと呼ばれる揚げ物がまた、よかった。 がんもどきのように見えるけど、桜エビも入っていて、いかにも手間のかかっ た味。 おそばは、もちろんいい味。 もうちょい、出汁に甘味があってもいい気がするんだけど、好みだろう。
最後のそばだんごは、きなこ味で繊細な甘さ。 抹茶で終わりというのが、そば懐石といった感じのこのお店らしい。 また来たいお店だ。
午後1時。軽井沢駅南口のアウトレットモール「プリンス・ショッピング・プ ラザ」へ。 いつも旧軽井沢のほうに行ってしまうので、一度こっちのほうを取材してみた いと思っていた。 とはいえ、「サティ」とか「イオン」が広大な土地に平屋建てで、お店を出し ているといった感じの商店街だ。
軽井沢だけに、飲食店と、雑貨屋さんが多い。 衣類などの値段が安いせいか、駐車場は他県の車でいっぱいだ。 人も多い。旧軽井沢よりも人が多いかも。 ガイドブックに、モカソフトが人気と書いてあったけど、なるほど道を歩く人 たちは、みんなモカソフトを片手に持っている。 私も食べねば。取材だ。 大義名分、大義名分!
「うめ〜! やっぱりソフトクリームはおいしいなあ!」と思ったら、な〜ん だ、日本橋ミカサコーヒーのモカソフトか。日本橋で食べたことあるよ。おいし いわけだ。 嫁と別行動で、私は軽井沢駅北口の「旧軽井沢駅舎記念館」へ。
新幹線が通る前の明治時代の軽井沢駅を復元した鉄道記念館だ。 昔の軽井沢駅というのは、勾配の厳しい土地だっただけに、アプト式と呼ばれ る汽車が走っていて、鉄道の歴史のなかでは、花形だった。 それだけに、残しておきたかったんだろうなあ。 1階は資料室で、2階は、歴史記念室の貴賓室になっている。軽井沢といえば 天皇家。天皇家が利用した部屋の復元だ。
ほかにも、当時の1番線を復元していて、EC40・EF63電気機関車とか、 モーターカーといったものが、レール上に展示されている。 私は鉄道マニアではないので、感動は薄いけど、たぶんマニアには泣ける機関 車の展示なのでしょう。
記念館の外に、草津と軽井沢を結んでいた「草軽軽便鉄道」を走ってきた汽車 が展示されていた。 この「草軽軽便鉄道」というのは、乗ってみたかった路線だなあ。 1962(昭和37)年まで走っていたそうだ。 この記念館はけっこう短い時間で、往時の軽井沢を堪能できる場所だ。 午後2時30分。軽井沢駅に戻って、しなの鉄道の軽井沢駅を見に行く。乗る のではない。しなの鉄道は、最近、民間会社の鉄道とは無縁の人が、社長さんに なって、経営を改善して話題になっている鉄道路線だ。 先日、あんずの更埴(こうしょく)市の屋代駅から、長野駅まで乗ったあの路 線だが、軽井沢から、小諸(こもろ)を通って、上田へと走っている第3セクタ ーだ。 鉄道と無縁の人が社長さんになったので、経営の改善が改札口ひとつを見ても、 よくわかる。 まず時刻表が違う。 駅からの発車時刻だけが書かれた時刻表の看板が高いところにかかっているも のだが、これが軽井沢の発車時間が書いてあって、その脇には、小諸駅、上田駅 などの到着時間が書いてあるのだ。
これは親切だ。 ローカル線で、恐ろしく時間がかかる電車であることに乗ってから気づくこと は意外なほど多い。 料金表のところにも「列車は一時間に一本程度ですので、発車時刻に注意して うださい」と書かれている。窓口には「次の発車は、14:00です」みたいな プレートが大きな文字で書かれている。
明らかに、鉄道ではない、サービス業の匂いがする。 本当はきょう、時間があったら、このしなの鉄道をのんびり乗って、上田駅か ら東京に帰ろうと思っていた。 ところが、もう帰らないといけない。 なんと! 帰りの新幹線が、午後3時台から、まったく満席なのだ。 もともと軽井沢がすっかり日帰り圏になってしまったことから、日曜日の夕方 は満席になることが多い。それにいま、長野善光寺の7年ぶりの御開帳が、人気 のせいで、満員なのだそうだ。 いちばん早く取れても、午後7時台だ。 ちょっと、困る。 きょうはどうしても行かないといけない場所がある。 午後2時49分。軽井沢駅から、東京行きあさま554号に乗車。 歩き疲れたから、1時間ぐっすり寝て行きたいと思ったら、きょうは日曜日、 泣き叫ぶ赤ん坊を抱えた家族連れに、思い切り苦しめられる。 あっちで、ガキが泣くと、こっちのガキも泣き始める。 まったく休む間も与えてくれない。 私の席の通路を隔てた席のお年寄りが、ずっとしかめっ面で、ときおり家族連 れを睨んでいたけど、好転するわけがない。 車掌さんが来て、泣き叫ぶ子どもを抱えて座ったままの母親に「向こうに常務 員室がございますのでご利用ください」と言っているのに「ありがとうございま す!」といって、そのまま動こうとしない。 車掌さんは親切で言っているだけじゃなくて、迷惑だから言ってるんだよ! 頼むから、親子車両を作ってくれよ! 午後4時16分。東京駅に着く。 午後5時。帰宅。 嫁の携帯電話に、浅草キッドの水道橋博士から「食事しませんか?」の電話が 入ったそうだ。うーーーん。もったいないけど、きょうはどうしても行かねばな らぬ場所があるのだ。 水道橋博士の誘いを断った場所とは? 軽井沢から、わざわざ新幹線でこんなに早く帰って来て行く場所とは? はっはっは。もちろん、神宮球場であ〜〜〜る! 昨日あまりの不甲斐なさに途中で球場を早退してしまった。 今朝、神奈川新聞の横浜ベイスターズ情報を読んだら、ごひいきメディアにも かかわらず苦言を呈している。 味方にまで見放されそうになっているチームを、影のオーナーである私まで見 放したら、横浜ベイスターズは消滅してしまう。 きょうは、とにかく私が気合を入れるところから、始めるのだ! まず、5万円したんだったかなあ。 一度も着たことのない横浜ベイスターズのスタジアム・ジャンパーについに袖 を通した。熱狂的な横浜ベイスターズ・ファンであるが、私はあまりスタジャン を着るのは、好きではない。何だか横浜ベイスターズのこと以外の世間を知らな い人みたいで、嫌なのだ。 だから、かつてスタジャンを着たのは、一度しかない。 もちろん、1998年10月8日(暗記している)のセ・リーグ優勝の日だけ である。 ということは、きょうの試合はそれだけ、私にとっては重要な試合なのだ。 きょう負けると、もう本当に今シーズン、全敗しそうな気がするのだ。 この影のオーナーの意気込みは、やはり横浜ベイスターズにも伝わったようで ある。 5月15日(木)の日記を覚えているだろうか。 私は「個人的には、今年は内川遊撃手ブレイクの年だと思っていたのに、まだ 2軍でくすぶっているようだなあ。」と書いた。 きょう、神宮球場に来てみたら、先発出場のメンバーに1番・金城、2番・内 川とあるではないか! これだよ、これ! 影のオーナーである私の言うことを聞くことだよ! 余談だけど、1試合100万円で、監督ができる券とか売ってくれないかあ。 私が選んだ先発メンバーなら、勝てると思うよ。 しかし、打撃不振とはいえ、石井琢朗選手をついにスタメンから外して、内川 選手を起用とは! 中日ドラゴンズでいえば、立浪選手を外すようなものだ。巨 人なら、阿部選手、阪神なら、赤星選手だ。 いや、それ以上だなあ。 横浜ベイスターズのスタメンから、石井琢朗選手が外れるなんてことは、いま まで一度も予想したことがなかった。 ますますこの試合を落としたら、もうこのチームは、どこまでもダメになって しまう。 まず、神宮球場で、お弁当を買う。 昨日の牛丼はおいしかったんだけど、牛丼を買った後に、売り場に「崎陽軒の シウマイ弁当」が売られていたことに気がついた。思わず昨日、私はその場で 「ガッデム!」と叫んでいた。 「崎陽軒のシウマイ弁当」は、横浜ベイスターズ公式応援弁当である。決めたの は私ひとりだが。でも横浜ベイスターズ・ファンなら、すべからく崎陽軒のシウ マイ弁当は好きなはずである。 昨日の敗戦の原因を、私は、このシウマイ弁当を買いそびれたことにしたのだ った。 午後6時20分。試合開始。 横浜ベイスターズのスタジアム・ジャンパーに、崎陽軒のシウマイ弁当! この出で立ちで、きょうは声を枯らして、応援するのだ。
1回表。いちいち、初回から全打席解説する必要ないよな。 とにかく、快勝ですよ! 快勝! 7−3! T・ウッズが、満塁ホームラン! 18打席、まったくヒットのなかったコックス選手が、ホームラン! いぶし銀・小川選手が今季初ホームラン! 古木克明選手は、代打に出て、初球ファウル・フライで凡打。とほほ…。 やっぱり私が気合いれて、応援しないといかんね。 でも大量リードしているのに、ずっと負けているような気分で見ているのは、 本当にチーム事情として、重症だなあ。 途中から、霧雨が降ってきて、けっこうずぶ濡れになってしまったけど、きょ うだけは途中で帰るわけにはいかない。
午後9時過ぎ。いやあ、ひさびさの勝利! 嫁にとっては、今季初めての生勝利! 私は、今季2勝目。 いやあ、ホッとした。 これでようやく、1勝3敗のペースだ。 午後9時30分。帰宅。 もちろん、今夜はプロ野球ニュースのはしごだ。
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