4月17日(木) 午前7時。どうもゴールが近いと、ラスト・スパートをかけてしまう癖があっ て、今朝もこんな時間から、ヒッチコック監督の『トパーズ』を鑑賞。 1969年の作品だ。 1925年から始まったヒッチコックの監督生活44年目にして、初めて間違 いのない失敗作だ。 このあと2作品で、ヒッチコックの監督生活は終了するのだから、人生の95 %は、素晴らしい作品を作ったことになる。打率9割5分。信じられない人だ。 というわけでようやく、ヒッチコック監督でも失敗することが学べた。 ・最初の10分間に、登場人物が多すぎる。 ・1画面に5人以上の人物がいて、全員にセリフがあるので混乱する。 ・飛びぬけて異形の顔の役者さんがいないので、的を絞って見ることができない。 ・その画面にいない人の話題が多い。 ・ヒッチコック監督得意のユーモアが少ない。 ・最初の30分で、犯人もしくは、犯人探しの誘導がない。 ・米ソ冷戦時代の話に、フランス、キューバまでからんでいるので、話が複雑。 ・実は不倫関係だったという設定に意外性が無い。 ・有名な景色でのラスト・シーンがない。 ・くっきりとした悪役がいない。 ・主人公の行動に必然性がない。 映画史のほうから見ると、ヒッチコック映画では初めて、有名俳優が出ていな いせいで、『トパーズ』は失敗作だったという言い方をしている。 名優さんは、駄作を傑作に塗り替えるだけのパワーを持っているからね。 この作品だけ、メイキング・ドキュメンタリーに、スタッフが出てきて、イン タビューに応じていないのだから、やはり特別な失敗作だったのだろう。 ヒッチコック監督ですら、失敗するときは、誰もがやる失敗をなぞってしまう のだから、おもしろい。 「ヒットに偶然あり、失敗に必然あり」の格言は生きている。 午前11時30分。嫁と、銀座へ。 きょうの東京は、20度を越す天気のよさ。 思い切って、半そでを着てみるが、日陰以外では寒くない。 こういう天気が続いてほしいなあ。八重桜が美しいね 銀座の「ラ・ボエーム」で、読売広告の岩崎誠と、食事。
ガウディみたいな店内 ついでにあれこれ仕事の打ち合わせ。
『桃太郎電鉄』以外の新しい仕事の話もちょこちょこと。 定期的に、新しい仕事もしておかないと、煮詰まってしまう。 もともと新しいもの好きだ。 食後、読売広告のいくつかあるビルのうちのひとつの1Fに新しく出来たケー キ屋さん「アンリ・シャルパンティエ」へ。 お店だけ見ていると、値段の高そうなフランス料理のお店というか、オードリ ー・ヘップバーンの『ティファニーで朝食を』の宝石店のようなお店。 岩崎誠に言われなかったら、ケーキ屋さんとは絶対気づかなかっただろう。 お店になかに入っても、宝石のショーケースのように、ケーキを陳列してい る。 神戸芦屋で、30年間の歴史を誇る人気店の東京進出らしい。 そんなわけで、取材という大義名分が立ったところで、「渋皮の栗のチョコレ ートケーキだな!」とケーキを食べに、地階へ。
すかさず、嫁に「どうせ渋皮の栗のチョコレートケーキでしょ? 半分よ!」 と先制攻撃を受けてしまう。 何で毎回、私が食べたいケーキを当てられてしまうのだろう。 しかも「半分よ!」と、イエローカード。 岩崎誠は、シュークリーム。
ケーキは密度も濃くて、シャリシャリ感のある不思議な味わいで、実においし い。値段もびっくりするほど高くない。銀座としてはね。 店内は、書斎をイメージしてあって、本棚っぽいインテリアがあって、トイレ が何と、この書斎をくるりと回転させて入って行く方式。 誰もが憧れたからくり部屋だ。 私がきょうこのトイレを見に行かなかったのは、次回「まだこの間のトイレを 見ていないので…」という言い訳とともに、再訪するためである。 岩崎誠とは、ここで別れ、私と嫁は、デパートに行ったり、山野楽器に行った り。ウインドウ・ショッピングは、じゅうぶん歩行訓練になる。 午後3時。帰宅。 『桃太郎電鉄12(仮)〜地方編』全国編のテスト・プレイ。 次回作は、新作カードをほかのカードと組み合わせてつかうとおもしろいゲー ム展開になるなあ!と、他人事のように感じながら、プレイ。 午後6時30分。嫁と、新宿1丁目の「CHEF‘S(シェフズ)」へ。 きょうはすぎやまこういち先生ご夫妻のお招きで、「プティ・ポワン」の北岡 さんご夫妻もいっしょ。 ひさびさに、お酒の飲めないグルメ軍団、勢ぞろいだ。
ただでさえおいしい「CHEF‘S(シェフズ)」の料理が、きょうは北岡シ ェフの解説付きなので、なぜおいしいかがよくわかって、楽しい。 このお店の名物であるトマトの卵炒めも、何と何とバランスが絶妙だからと解 説されると、プロ野球の解説を聞いているように、なるほどと思う。
プロ野球といえば、案の定、すぎやまこういち先生ご夫妻から、横浜ベイスタ ーズの体たらくを慰められる。 でも、すぎやまこういち先生の口から「村田!」、「古木!」、「ウッズ!」 という選手が出るだけで、うれしいと思ってしまうのは、最低20年間以上、横 浜ベイスターズのファンを続けている人だと思う。 ま〜ず、ほかの球団の人で、横浜ベイスターズの選手名を言える人は少ないか らね。いまだに大洋ホエールズという人も多い。
午後10時。けっきょく、きょうはすぎやまこういち先生ご夫妻にごちそうに なってしまう。 夜になっても、寒くないので、私と嫁は、「CHEF‘S(シェフズ)」から、 歩いて帰ることに。 この時期に走行距離を稼いでおかないと、あっという間に夏になって、歩くの も嫌な季節になってしまう。1年分の体力をこの時期につけておきたい。 午後10時30分。帰宅。 『桃太郎電鉄12(仮)〜地方編』の手直し作業。
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