3月26日(水)

 午前8時。むひょ…。仕事をしようとしたら、さすがに右腕が痛い。
 腱鞘炎ほどではないにしろ、筋肉痛だ。
 ワープロのおかげで、直筆で原稿用紙に鉛筆を走らせるよりもはるかに多くの
文章を書けるようになったけど、キーボードには、キーボードなりの疲労の仕方
がある。
 しかも私の場合、右腕1本で、キーボードを叩いているから、よけい疲れやす
い。

 午前11時。嫁と、喫茶店「らぴす」サンで、カフェオレ。
 天気がいいねえ。
 今年初めて、コート無しで歩ける。

 午前11時30分。嫁と、伊勢丹2Fの「アフタヌーンティー」へ。
 カボチャとベーコンのトマトクリームソーススパゲティ。
 伊勢丹はいつもお客さんが多いねえ。

 午後12時30分。伊勢丹5Fのアートギャラリー「北見隆展」へ。
 北見隆は、毎度おなじみ私の高校時代の同級生で、赤川次郎さんの小説のカバ
ー・イラストで有名な洋画家さんだ。

期間:2003年3/26-4/1 伊勢丹・新宿店本館5階

 私の場合、中学校のときには、音楽が得意で、プロのミュージッシャンになっ た男がいて、彼に音楽を学び、高校で、北見隆に絵を学び、大学で、堀井雄二に 文章を学び、こうして今、ゲーム作家になっているようなものだ。  音楽、イラスト、文章、この3つが合わさったものが、ゲームだからね。  偶然とはいえ、結果だけ見ると、必然のようだ。  伊勢丹の人が、北見隆は毎日、ギャラリーのほうに来ているというので、寄っ てみたのだが、ちょっとまだ早かったみたいだ。  画家さんが動き出すのは、午後からだろう。  毎回、個展で2冊しか売らないという、小さなオリジナル手製画集を買って帰 る。私が買ってしまったものだから、あと1冊しかありませんぞ。  小説の挿絵、カバー・デザインを描けるようになりたいという若い人は、ぜひ 北見隆の個展を見ておいたほうがいいと思う。私の好きな「大胆にして、細心」 の絵だ。  さて、天気がいいので、このまま帰るのもおもしろくない。  少し歩いて、疲れたら、タクシーかバスに乗ればいいやと、新宿伊勢丹から、 新宿通りを、四谷4丁目に向かって歩く。  昔よく歩いた道だけど、ほとんどのお店が営業主の違うお店になっていた。新 宿美術学院だったかな。絵の専門学校ぐらいなものだ、昔のままなのは。  あれ? かつて四谷公会堂だった場所は、四谷特別出張所という名の近代的な 大きなビルになっているぞ。  かつてこの四谷公会堂で、1978年5月6日(土)、あの有名なコミック・ マーケットの第1回大会が開かれたのである。  その第1回大会に、私は参加していた。  何で参加したのかもよく覚えていないのだが、『風雲児たち』のみなもと太郎 さんに『ホモホモ7』の絵を描いてもらったような気がする。  私と、コミケは無縁だと思っている人が多いようだけど、かつて私は漫画評論 家である。無縁どころか、真っ只中にいた。  コミケ代表の米澤嘉博くんとは、いまだに旧友である。  タレントの阪東英二さんが、かつて夏の甲子園高校野球大会で、延長18回を 投げ抜き、惜しくも準優勝投手になり、中日ドラゴンズに入団し、星野仙一さん がエースになる前の、エースだったことを知らない人が多いように、私の過去を 知っている人も少なくなってきた。  まあ、過去はどうでもいいや。  ちょっと感慨深げになっただけ。  そんなわけで、四谷4丁目を右折、神宮外苑西通りを千駄ヶ谷、国立競技場に 向かって歩く。  道端に、井戸がそのまま残っていた。

 まだ水が出るようだ。  なつかしいねえ、井戸のデザイン。  あれ? こぶしの花かと思ったら、桜の花も咲いていた。  千駄ヶ谷駅の近くだ。  寒桜かな。  真っ白いので、桜に見えなかった。  ふい〜〜〜! さすがに新宿3丁目→四谷4丁目→千駄ヶ谷→国立競技場まで のコースを歩き通すのは、大変だなあ。  でも、ここまで来ると、家まで歩き通したい。  左足のつま先が上がらなくなり、何度もこけそうになりながら、ビクター・ス タジオの脇の道を通り、喫茶店「らぴす」さんへ。 「ただいま〜〜〜!」  朝、「らぴす」サンで、コーヒーを飲んでからでかけたので、まるでふりだし に戻ったみたいだ。  暑い。暑い。ついに歩くと、汗をかく季節がやって来た。  自宅に戻って、Tシャツを着替える。  春は、寒さを気にせず、旅行ができる。 「冬だって、旅行してるじゃないか!」と言わないように。  私なりに、寒さを微妙によけながら、旅に出ている。  ときどき失敗するが…。  午後3時。蔵人総合研究所の赤根豊くんと、遠山孝司くんが来る。  毎月おなじみ、難しい経営のお話。  本当は難しくはない。  石田三成の軍師・島左近が理想という赤根豊くんは、正義感が強く、高潔な経 営を勧めるので、うんうんと、聞いているだけでいい。  ゲームが売れたからといって、何かに投資をしろ!とも言わないし、飲食業に 進出しましょうよ!とも言わない。  もはや、私も50歳。 「あの人も、すっかり守りに入っちゃって、昔の牙(きば)がすっかり抜けちゃ ったね!」と、揶揄されたいものだ。  午後4時。おなじく牙(きば)のない人・土居ちゃん(土居孝幸)が到着。 『桃太郎電鉄12(仮)〜地方編』用のイラストのラフ・スケッチにダメだしを して、『桃太郎電鉄U(仮)』で、新登場させるキャラのデザインについて、あ んな感じにしよう、こんな感じにしようと、打ち合わせ。 『桃太郎電鉄U(仮)』のゲスト怪獣も、二転三転したのち、ふたりで大笑いす るようなデザインになって、OK、OK!  これから何回か描きこんで行くうちに、少しずつ、デザインが変化して行き、 悪行内容も変わって行くはず。  ついでに、『桃太郎電鉄U(仮)』用のキングボンビーの新しい悪行を、土居 ちゃんと話す。別に土居ちゃんがアイデアを出すわけではないのだが、昔から土 居ちゃんと雑談しているうちに、私がポコッ!とアイデアを思いつくことが多い。  きょうも出た。  これで、『桃太郎電鉄U(仮)』のトンネルの先が明るくなって来たぞ。  午後6時30分。私、嫁、土居ちゃんの3人で、麻布十番の釜飯の「むら田」 へ。土居ちゃんは、カキの醤油味釜飯、私は嫁と、穴子の釜飯。  ダイエット中なので、ふたりでひとつの釜飯だ。  いい具合にいま、体重が減っている。  その分、さつま揚げ、そら豆、カミカツ、鴨のつくね焼きなど種類多く食べる。  歳を取ると、おいしいものを少量食べたい。  午後8時。帰宅。 『桃太郎電鉄U(仮)』の貧乏神の仕様書を書き始める。  今週いっぱいで、貧乏神と、キングボンビーの仕様書を書き上げたいものだ。  柴尾英令くんにメールを入れると、へろへろになるくらい、仕様書に没頭して いるようだ。やるときは、やるね、あのおデブさんは。  明日から、たぶん、京都。

 

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