3月24日(月)

 午前6時。本日より、『桃太郎電鉄U(仮)』の仕様書の追い込み開始!
 とはいえ、『桃太郎電鉄U(仮)』は、野心作だけに、ちょっとでも具体的に
仕事内容を書くと、推理小説のトリックを先に言ってしまうようなものなので、
いっさい触れられない。
 この間、『桃太郎電鉄12(仮)〜地方編』の『地方編』を、20時間ぐらい公
表してしまったばかりだからなあ。
 かといっても、何も言えない、言えないと書き続けるのは、ライターあがりの
ゲーム屋としては、なかなか出来ないことだ。

『桃太郎電鉄U(仮)』で、役職名を2文字から、最大3文字に増やすの、「○
○○○社長!」を「○○○○+++」に置き換える作業をしながら、カードの仕
様書を『桃太郎電鉄U(仮)』用に書き換える。

 ところで、「ありがち」って言葉がある。
 よく「ありがちなストーリー」とか「ありがちな内容」、「ありがちなフレー
ズ」といったときにつかわれることが多い。
 よく考えると、「ありがち」という言葉は、いう側の人間の「自慢」が含まれ
ていると思わない?
 自分は、たくさんの作品を観たり、聴いたりしてきたから「ありがち」って言
えるんだ。ひいては「ありがち」という言葉をつかうことで、自分の位置を上げ
ようとする場合が多い。

 けっこうこの「ありがち」という言葉をつわれると、頭にくる作家さんは多い
らしい。
 桃太郎チームでは、出たアイデアが「ありがち」でない場合のほうが要注意で、
そのアイデアをじわりじわりと、「ありがち」のほうに寄せて行く作業をするく
らい、「ありがち」を大切にしている。
 過去、何千、何万の名作に似ていないアイデアは、だいたいつまらない。

 昨日もヒッチコック監督の『北北西に進路を取れ』を、「ありがちなストーリ
ー」と書いているホームページが多くて、驚いた。逆だよ、逆!

 午前11時。嫁と、表参道の「カフェ・クリエ」へ。
 このお店は、実にフランス料理のようにていねいなランチを作る。
 味もいい。量も少なめで、助かる。
 惜しむらくは、原宿の表参道に面しているのに、2階のお店なことだ。
 それと、カナッペのようなものが多いので、ひとことで料理のおいしさをいえ
ないことだ。きょうもランチに、ブイヤベースのようなものが出て、悪くないの
だが、おいしいだけの料理は人に伝えづらい。

「ソースこってり、マヨネーズがあふれるようにかかった、わらじのように大き な牛かつのお店!」と言い切れてしまうと、どれだけ楽か。  食後、表参道を散歩しながら帰る。  表参道の同潤会アパートは、いよいよ今週いっぱいで、全部の部屋が空家にな るはずだ。数かのテレビ、映画に登場して、原宿の顔だったこの古いアパートが 無くなるのは淋しいものだが、表参道の景観がどういう風に変わるのか、楽しみ だ。いまの建築技術なら、素晴らしいものを作ってくれるだろう。  楽しみといえば、今年も表参道に富山県から、チューリップが届いた。  毎年この時期、表参道の同潤会アパート側に、チューリップの花壇が出来る。  とくに交番の脇は毎年5メートル四方ほどの広さ一面が、チューリップで埋ま るのだが、今年は規模が小さい。  これも不景気のせいなのかな。

 今年こそ、富山県に、チューリップを見に行きたいものだ。  毎年チューリップが届くのが、3月20日ぐらいだから、この時期にチューリ ップが咲くのだと思っていたら、富山県に咲くのは、4月20日以降だそうだ。  まあ、この花を見て、富山県に来てちょーだい!ということなのだろう。罠に はまってみたい。  午後12時30分。喫茶店「らぴす」サンで、コーヒーを飲んだのち、帰宅。  ひたすら『桃太郎電鉄U(仮)』の仕様書を書く仕事が続く。  何も書くことがないくらい、ずっと『桃太郎電鉄U(仮)』の仕様書を書いて いる。  コンピュータ・ディスプレイを凝視し過ぎて、ドライ・アイになると、目薬を さして、ベッドにひっくり返る。  しばらくして、むっくり起き上がり、『桃太郎電鉄U(仮)』の仕様書を書く。  このくりかえしだ。  午後6時。嫁と、神宮前3丁目の「山之内」へ。  お店にテレビが置いてあるような、定食屋に近い中華料理屋さんなんだけど、 このお店の納豆チャーハンは、絶品だ。  この納豆チャーハンが食べたくて来ているようなものだ。  決め球のあるお店は、何度も行きたくなる。  きょう初めて食べた、茄子とにんにくの炒め物もおいしかった。  このところ、みんなが羨むような豪勢な食べ物が日記に登場しないのは、減量 が体重計に出始めているせい。  人間、結果が出ると、熱心になるものだ。  でも、この禁満腹令は、今週後半には、解除されてしまう。  また京都に行くのだ。  誘惑の町・京都で減量は無理だ。  だからいまのうち、減らせるだけ、減らしておきたい。  午後7時。帰宅。  ひたひたと、『桃太郎電鉄U(仮)』の仕様書作り。  このままずっと、今夜は『桃太郎電鉄U(仮)』の仕様書作り。  明日も、『桃太郎電鉄U(仮)』の仕様書作り。  明後日も、『桃太郎電鉄U(仮)』の仕様書作り。  たぶん、明々後日も『桃太郎電鉄U(仮)』の仕様書作り。  弥明後日(やのあさって)、も『桃太郎電鉄U(仮)』の仕様書作り。   その次の言葉は、知らん…。

 

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