３月２１日（金）

　午前３時。再び、イラク空爆が始まった。

　１日じゅうテレビをつけっぱなしにしていると、いろいろ不思議な光景を目に
する。

・空爆を受けたあとのバクダッドの道路に、ふつうの車が数多く何事もなかった
かのように走っている。

・全世界で、戦争反対のデモが起きている。韓国では、戦争反対のデモ隊が、警
官隊と殴り合っている。戦争反対のはずなのに…。

・日本のアメリカ大使館に、戦争反対を呼びかけに行った人のうち、スピーカー
を持った男は、警官が排除しようとすると、マイクを握り「痛い！」、「痛い」
と叫び、わざと倒れようとする。

・イラクの国民たちが実は、フセインの圧制に苦しみ、今回の空爆を待ち望んで
いたらしい。

・ＮＨＫは、ふたりのアナウンサーが交代で、ほとんど出ずっぱりでイラク情報
を放送しているのに、髪型も乱れず、Ｙシャツもつねに新しい。
　どういうローテーションで睡眠、飲食をしているのだろうか？

・どうして戦車やヘリコプターを見ただけで、車種名をいえる軍事評論家が、戦
争放棄の日本にたくさんいるんだろう。

・民間の施設には、空爆しないようにする。そんな攻撃は、戦争なんだろうか。


　午前７時。『桃鉄研究所』の原稿を書きながら、カード売り場のメニューを再
検討したり、おまかせ名前の台帳を訂正したり、新しいアイデアを考えたり。

　午前１１時３０分。嫁と、近所の「ワンズ・バーガー」へ。
　数年前にできたときは、味も接客も悪くて、いったいどうなることやらと心配
したんだけど、徐々においしくなってきた。
　スパム・ボウルというこのお店特有の食べ物もあるし、ハンバーガーもかなり
いい味になってきた。
　きょうなど、２０席ほどが満員になり、待つお客さんができたほどだ。
　その待っているお客さんに、店員がドリンク・サービスをしていた。
　いい接客だ。

　あとで調べたら、どうもこのお店、フレッシュネス・バーガーの系列店のよう
だ。でもこの千駄ヶ谷店しかヒットしない。ほかには無いのかな。

　食後、嫁と別行動で、私は四谷へ。
　お気に入りのパン屋さん「ボンドール」へ。
　しまった。祝日でお休みだった。

　悔しいので、曙橋に向かって、散歩する。
　天気もきょうぐらいだと、散歩日和だ。
　陽射しが春らしくなってきた。

　午後１２時３０分。新宿新星堂で、ＣＤを買う。
　サントリーウーロン茶のＣＭで流れていた曲ばかり入ったアルバムだ。
　『春一番』も、『鉄腕アトム』も、『結婚しようよ』も入っている。
　どの曲も、女の子たちが中国語で歌っているやつだ。
　なんとなくＣＭの映像が思い出されてくるでしょ？
　お買い得の１枚ですぞ。

　新宿を歩いていたら、急に花粉症がひどくなってきた。
　おかしい。「ワンズ・バーガー」で、花粉症の薬を飲んだはずなのに。
　花粉症特有の酸欠状態のような気持ち悪さだ。

　午後１時３０分。帰宅。
　風邪を引いたような花粉症のひどさは、自宅に着いても治まらない。

　風邪を引くと、いつも継母のいじめを思い出す。
　小学校１年生の私に向かって、「頭が痛いって、どういう風に痛いのよ！　痛
いだけじゃ、わからないでしょ？　どう痛いの？　ちゃんと説明できなければ、
わからないでしょ!?」とまくし立てる。
　小学校１年生のボキャブラリーで、頭の痛さを何通りにも豊かに表現できるわ
けがない。
「ズキズキ痛い…」
「ズキズキ痛いだけじゃ、わからないでしょ！」
　私には、どう言っても「わからないでしょ！」へ持って行こうとしているとし
か思えなかった。
　そしていつしか、風邪を引いても、ガマンのうまい子どもになった。

　のちに私の文章は、説明が上手いとホメられるようになるのだから、皮肉なも
のだ。そりゃ、そうだ。あれだけ表現力を要求されれば、必死にいろんな言葉を
覚えたものだ。

　スカイ・パーフェクＴＶで「横浜ベイスターズＶＳダイエー」を見る。
　ありゃあ、いきなり開幕投手が決定している吉見祐治投手が、連打を浴びる。
　期待の古木克明選手は、三振の連続。
　思わず、風邪が悪化するような展開だ。
　あまりのふがいなさと、花粉症のひどさに、うたた寝する。

　目が覚めれば、１０対１のワンサイド・ゲーム。
　花粉症は治まったものの、がっくり。
　ダイエーの杉内投手はいいねえ。
　和田、寺原、新垣、山田、山村…。ダイエーは将来、投手王国間違いなしだな。
　ＮＨＫのイラク情報を見ながら、『桃鉄研究所』の原稿を再び、書き始める。
　その他、あれこれメールなど。

　午後６時３０分。嫁から連絡が入って、嫁は、菅沼真理（通称：すがねまチャン）
さんとふたりで、麻布十番を着物姿で闊歩しているようだ。


キモノでお仕事！　格好いいでやんしょ？


　午後７時。麻布十番の「猿のしっぽ」へ。
　ちょうど外に、着物姿のすがねまチャンが立っていた。
「旅館の仲居さんじゃありませんよ！」
　どうして自分をギャグにつかうのが好きなかなあ、この人は。

　しばらくして、味の素勤務の加賀山さんも到着。

　鶏肉と、生湯葉のしゃぶしゃぶには、驚いた。
　はりはり鍋風に、鶏肉で水菜を巻いて、しゃぶしゃｓぶする。
　おいしい食べ方だ。

　嫁も、すがねまチャンも着物を着て歩いていると、お店で話し掛けられて大変
だそうだ。
　町おこしのアイデアが浮かばない町は、着物姿で来たら、どのお店も１割引き
みたいな町を作れば、あっという間に町が活性化すると思うのだが。
　千葉県の佐原あたりで、やらないかなあ。
　着物姿が見たい外人さんも増えるし、着物姿を写したいカメラ好きの人も来る
から、３倍以上の消費を期待できると思う。ただ日本の伝統を守ろうと言ったと
ころで、人は利が想像できなければ、動かない。

　加賀山さんは、お兄さんが私よりひとつ上なので、私とおなじ頃の音楽を聴い
ているので、ひさびさに音楽の話を堪能する。
　どうしても、私が詳しかった頃の音楽を知っている人が、最近私のまわりには
少ないので、つい封印してしまう。
　たまに、音楽の話をしみじみしたいと思う。
　世界３大ギタリストが、エリック・クラプトンと、ジェフ・ベックと、ジミ
ー・ページだということを、注釈無しで会話できるのは、うれしい。
　ただ困ったことに、エリック・クラプトンが、クリームから独立してソロにな
った頃に、すがねまチャンが生まれた。
　若いぞ、すがねまチャン！

　午後９時３０分。帰宅。
　今夜も、イラク情報をテレビで見ながら、『桃鉄研究所』の原稿を書く。