3月19日(水)

 午後12時。嫁と、飯田橋の「おけ以(い)」へ。

 困った、困った。  私は、おいしいお店に出会ったら、極力そのお店をみんなに広めたい。  そのため、接客の悪いお店は、いくら味がよくても紹介しないようにしている。  問題は、無愛想な店員のお店の扱いをどうするかだ。  このお店「おけ以(い)」のタンメンはとにかく絶品なのだ。  おそらく、スープのおいしさでいえば、タンメンのなかでも圧倒的に1位だ。  さっぱりとした味ながら、深い味わい。

 塩分多量摂取を医者から止められている私が、このスープなら、飲み干してし まいたいと思うほど、おいしい。  麺ももちもちしていて、喜多方ラーメンのように太く縮れている…というより、 太さがまばらで、そのまばらさが実においしい。  具は、もやしと、白菜がたっぷりで、これまたおいしい。  タンメンといっしょに注文した餃子がまたまたおいしい。

 皮の焦げ目のパリパリ感が、絶妙。  肉汁の味もいい。  にんにくは入っていないらしい。  お店の玄関には「餃子のお店」と書いてあるくらいだ。  どのお客さんも、お店に入ってくるなり、「タンメンに、餃子!」、「タンメン、 餃子!」と注文している。  それほど、おいしいのだ。  その上で、問題はお店の人たちの愛想だ。  笑わない。誰も笑わない。  家族でやっているのか、全員クローン人間のように似ていて、誰もが笑わない。  その無言の圧力はけっこう気になるよ。  3人が、3人とも顔が似ていて、おなじように黙ったままなのが、とにかく怖 い。  餃子は後ろ向きで、手だけサッと出して、どん!とテーブルに置く。  タンメンも「おまちどうさま!」もなく、黙って、どん!とテーブルに置くだ けである。  こういうお店は、イニシャルにして、紹介したいものだ。  でも、これっも笑顔で、はきはきした声で「おまちどうさま〜!」「ありがと うございます!」というようなお店になったら、おそらく売上げは、3倍になり、 いつも行列がどこまでも続くようなお店になることは間違いない。  たったひとり明るくて、快活な女の子でもいたら、大変なことになる。  そのくらい、おいしい。 ・銀座「みはら」のタンメン。 ・高円寺「代三元」のタンメン。 ・飯田橋の「おけ以(い)」のタンメン。  …と間違いなく、ベスト3に名を連ねるだけのおいしさである。  ひょっとすると、いちばんおいしいかもしれない。  きょうは昼時で、忙しいので愛想が悪かっただけなのかもしれない。  あと2回食べに行ってみようと思う。  それでこの接客なら、行かなければいい。  そう思わせるだけの味のお店だ。  食後、飯田橋駅近くの青森物産館「北彩館」へ。  ここのレトルトカレーのりんごカレーが絶品なのだ。  でもこのお店に来ること自体、10数年ぶり。  はたして今でも売っているのかと期待せずに入ったら、売っていた。  間違いなく、レトルトカレーでは、群を抜いてこのりんごカレーはおいしい。  かつておなじりんごカレーを吉祥寺でも売っていたけど、吉祥寺のほうはお店 ごと潰れてしまった。  10数年ぶりに来て、売っていたのだから、心配ないだろうけど、このりんご カレーは、みんなで買って、コンビニでも売られるようになってほしいほどのお いしさだ。  今から、ハドソンで会議なので、柴尾英令くんを太らせる用に、りんごチップ ス、りんごドラ焼き、玄米せんべいなどを大量に買い込む。  柴尾英令くんは、何でもおいしそうに食べてくれる。  彼の食べっぷりは、芸のひとつである。  そろそろタクシーに乗らないと、ハドソンの会議の時間に間に合わなくなる時 間だ。  ところが、飯田橋駅警察病院側の商店街のところに「おこっぺ牛乳」「ミルク ソフト」の看板が!  おこっぺといえば、北海道の「興部(おこっぺ)」なのでは?  間違いなくそうだった。  サロマ湖の上の紋別市のまたその上のほうにあるオホーツク海沿いの町・興部 (おこっぺ)だ。林業も、酪農も、漁業も盛んな町。モーモー城というオホーツ ク農業科学研究センターのある町・興部(おこっぺ)

 わざわざそ興部(おこっぺ)町の特色をだらだらと解説するのは、『桃太郎電 鉄』の作者のウンチクひけらかしではない。  ひたすら、おこっぺソフトアイスクリームを食べたいための、いいわけである。  うまい! やっぱり北の牛乳はおいしいね〜!  ミルクがこってりではなく、さらさらしている。  夏なら、もっとおいしくなるなあ。  しかし、この飯田橋駅警察病院側。  25年ほど前、ここに集英社の『週刊プレイボーイ』の編集部があって、私は 毎週通っていた場所なのだ、その頃は、商店もなく、ひっそりとした住宅地だっ たのに、飲食店がこんなに増えているとは思わなかった。  おっと。のんびり、ソフトクリームを食べている場合ではなかった。  タクシーに飛び乗り、築地のハドソンへ。  午後1時10分。築地のハドソンへ。 「すみませ〜ん! 遅刻しましたあ!」  やっぱりソフトクリームを食べていた時間がよけいだった。  えっ? 宮路一昭くんがまだ来ていないの?  遅刻はいちばん遅い人が非難を浴びるものだ。しめしめ。  きょうは、音楽の打ち合わせ。  メンバーは、サザンオールスターズのベーシスト&ウクレレ伝道師・カズ坊 (関口和之)、『ドラゴンボール』、『北へ!』の作曲でおなじみの池毅(いけ たけし)さん、辻邦博さん(関口和之くんの曲のアレンジ担当)、宮路一昭くん。 ハドソン札幌音楽担当の佐藤昭洋くん。  ハドソン宣伝部の梶野竜太郎くん、藤原伸介くん。

 一昨日から来ている、札幌開発チームのみなさんもいる。川田忠之くん、田中 俊介くん、込山勉くん、加藤和美さん、小坂晃弘くん。  きょうは、すごい人数だ。  私、嫁、柴尾英令くん。  土居ちゃん(土居孝幸)はきょうは、午後3時から登板の予定。  1ヶ月前の会議で、ほとんどの曲を聴いているので、きょうは手直しをお願い した曲と、関口和之くんが、前回締め切りに間に合わなかった曲などを聴く。は はは。関口和之くん、作曲遅いのよ。  関口和之くんが書いた『桃太郎電鉄12(仮)〜地方編』のショッカーO野ゲー ムの曲、いいよ〜〜〜! 今回のショッカーO野ゲームは、いつもと趣向を変え た内容なので、この曲が流れるのが楽しみ。  前回、池毅さんに作曲してもらった、新ゲスト怪獣の曲を、出来上がっている 画面に合わせて、みんなで見てみる。  いいよ〜! いいよ〜!  ブラックボンビーの曲のよかったけど、今度の曲はもっといい曲だよ!  やることは、ブラックボンビーのほうがひどいかもしれないけど、曲はいいよ 〜!  午後3時。そのままオープニング・アニメの打ち合わせ。  札幌開発スタッフの吉見直人くん。  東京のアニメ制作会社「たくらんけ」さんから、近藤康彦さん、山田浩之さん。  さすがに人数が多すぎて、酸欠状態。  扇風機を回したら、みんな「わ〜〜〜!」と、すがすがしい声になる。

 オープニング・アニメ…の内容については、何も言えない。  お楽しみに。  一昨日、うっかりバラしてしまった地方を題材にしたアニメだ。  間違いなく、また馬鹿げています。  毎度、毎度「まったくもぅ!」と、賛辞を送っていただいておりますが、今度 もまた「まったく、何考えているんだか!」と言われるような内容です。  午後4時。打ち合わせ終了。  めでたし、めでたし。  3日連続の会議も終了。  午後4時30分。私、嫁、池毅さん、土居ちゃん、柴尾英令くんの5人で、銀 座の「茜屋珈琲店」で、お茶。  午後5時30分。そのまま私、嫁、池毅さん、土居ちゃん、柴尾英令くんの5 人は、池毅さんの車に乗って、銀座の「煙事(えんじ)」に。  燻製料理がおいしいお店だが、最近ランチをやめたので、すっかり足が遠のい てしまっていた。このお店の燻製料理は、独特なので、行きたいのだが、なかな かチャンスがなかった。  ベーコンも、鴨も、たくわんも、明石の蛸も、チーズも燻製されて出てくる。  これがおいしいのだ。  ハンバーグに、タルタルステーキも燻製。  みんなで分け合って食べる。  やっぱり、「煙事(えんじ)」の燻製料理は、おいしいなあ。  午後7時30分。帰宅。  ベッドにひっくり返る。  きょうの会議は順調だったものの、20人近い人たちとの会議はさすがに疲れ る。  NHK『そのとき歴史は動いた』を見ながら、ちょっとうたた寝。  今夜は、『桃鉄研究所』の原稿書き。この間は2月9日分までのメールで、断 念してしまったので、その続き。  この3日間で、手直しした『桃太郎電鉄12(仮)〜地方編』の仕様書を札幌に 送る作業も開始しなければ。  早く最新版の『桃太郎電鉄12(仮)〜地方編』、『桃太郎電鉄U(仮)』のロ ムもテスト・プレイしたい。  やりたいことや、やらなければいけないことが山積みだ。  こういうときは、ひとつずつ片づけること!  それが鉄則だ。

 

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